年末の話、インデックス
圧勝した自民党側が「それほどの支持は受けていなかった」と選挙戦を振り返るほど、自公で衆議院の3分の2を超えた結果との「アンマッチ」感が指摘されがちです。とは言え、前回記事「政治が動く師走、雑談放談 Part2」の最後に綴りましたが、ルールが平等である中での審判として受け入れていかなければならない選挙結果でした。このような話題を書き進めていくと際限なく広がりそうであり、今回の記事ではなるべく題材や論点を絞りながら「年末の話」に繋げてくいくつもりです。
これまで時々、「自治労の話、2012年夏」のように記事本文の中にインデックス(索引)代わりに関連した内容のバックナンバーを並べていました。今年8月に「平和の話、インデックス」というタイトルの記事を投稿した以降、「職務の話、インデックス」「原発の話、インデックス」「定期大会の話、インデックス」が続いていました。このように新規記事をまとめる際、バックナンバーをカテゴリー別に整理する機会にも繋げていました。
今回、2012年最後の記事投稿に取りかかる中で、毎年、年末にどのような思いを綴っていたのか興味がわきました。ちなみに今までも時々、過去の記事を読み返す時がありました。自分自身が書き込んだ内容であるのにもかかわらず、「こんなことを書いていたのか」と驚く時も少なくありませんでした。基本的なスタンスは一貫しているはずですが、その時点で書いた個々の内容の詳細に関しては「忘れている」場合がありました。
自分の日記でも何年か経ってから読み返すと「あの時、こんなことがあったのか」と改めて思い出す時があります。このブログの以前の記事を読み返す時、そのような意味合いからの面白さも感じていました。前置きが長くなりましたが、それぞれの年の最後に投稿した記事をピックアップした際も少し驚きました。毎年、その年の最後には「年末」を意識した内容を書き込んできたものと考えていました。それが最初の3年間は単にその年の最後に投稿した普段の記事の一つに過ぎず、特に「年末」を意識した内容ではありませんでした。
- 2005年12月29日 小泉改革総仕上げ、重要方針決定
- 2006年12月24日 社保庁の解体、自治労の正念場
- 2007年12月22日 UFO論議から思うこと
- 2008年12月27日 剣を売りて牛を買う
- 2009年12月27日 2009年末、改めて当ブログについて
- 2010年12月25日 2010年末、気ままに雑談放談
- 2011年12月24日 2011年末、今、思うこと
結局、最初に意図したカテゴリーのインデックスにはなり得ませんでしたが、その年の暮れに話題になっていた内容を取り上げていますのでご覧いただければ幸いです。今回の記事がバックナンバーの紹介だけで終わってしまっては面白みに欠けますので、総選挙戦後、気になったニュースを掲げながら個人的な感想を加えさせていただきます。一つ目は「すでに4陣営から違反者 維新 逮捕者続出 ヒド過ぎた選挙戦」という見出しの記事でした。
「維新の会」の候補者の選挙スタッフが、次々に選挙違反で逮捕されている。しかし、逮捕者の続出は選挙中から予想されていたことだ。他の陣営から「あいつらのやり方はムチャクチャや」「いずれ逮捕されるで」と呆れられていた。逮捕者は相当な人数に膨らむのではないか。すでに逮捕者は4陣営に及んでいる。京都1区から出馬した田坂幾太(60)の運動員は、電話で投票を呼びかけるために雇ったアルバイト女性5人に、時給1000円を払う約束をしたとして“日当買収”の約束の容疑で逮捕された。
大阪7区の上西小百合(29)の運動員は、知人男性3人にビラ配りの報酬として20万円ずつ渡した買収の疑いで逮捕。愛媛4区の桜内文城(47)の運動員も選挙運動の報酬として男性2人に数万円ずつ渡していた。大阪9区の足立康史(47)の運動員も女性3人に報酬を払う約束をしていた。上西と桜内は比例復活で、足立は選挙区で当選している。もし、この先、選対幹部が捕まれば“連座制”が適用されて議席は剥奪だ。それにしても、いまどきカネを渡して“買収”するなんて乱暴なことは、田舎の自民党議員だってやりゃしない。
橋下徹は「運動員を全員管理するのは至難の業だ」などと釈明していたが、次々に逮捕者を出しているのは、本はといえば、すべて党の責任だ。「維新の候補は素人ばかりだったのに、党本部はまともに指導せず、人も派遣しなかった。なにも知らない候補者同士が、互いに電話しあって選挙のやり方を相談しているありさまでした。選挙の“せ”の字も知らない親戚や同級生をかき集めてビラ配りをやっていた。あれでは違反者が続出して当たり前ですよ」(落選した候補者)そもそも、橋下本人が選挙中に「私も選挙後に選挙違反で逮捕されるかもしれません」と公言していたのだから、どこまで法律を順守する気があったのか怪しいものだ。
しかも、比例名簿には逮捕者をズラズラと並べていた。近畿ブロック1位の東国原英夫は暴行で逮捕歴(不起訴)があり、2位の西村真悟は弁護士法違反で有罪判決を受けている。また、南関東ブロックの比例単独候補者は、政治資金規正法違反で有罪、東海ブロックの比例単独候補も公選法違反で有罪になっている。これでは候補者が「法律など守らなくたっていい」と勘違いしておかしくない。各地の警察本部は維新のシロウト選挙に目をつけていたから、選挙違反者は今後も続出する可能性が高い。こんなデタラメな政党から54人も当選しているのだからヒドイ話だ。【日刊ゲンダイ2012年12月22日】
まず公職選挙法が複雑であるため、「買収」という自覚がないまま逮捕されたケースもあったように見ています。したがって、選挙に関する予備知識もない素人を公認候補としながら、満足にフォローできなかった党本部側の責任がより重いものと考えています。そもそも金権選挙を問題視する経緯がある中、なるべく「お金がかからない選挙」とするため、公職選挙法で事細かく様々な規制がはかられています。例えば、選挙運動は公示(告示)以降のみとし、事前運動は禁止されています。
しかし、立候補を予定した人物の顔写真や名前を大きく掲げたポスターが公示(告示)日の前日まで街中に張り出されています。ちなみに最近は、前日までというルールも無視されがちな「あの陣営もはがしていないから」という傾向が強まっているようです。いずれにしても、そのポスターの片隅には必ず小さく「2012年12月1日演説会」などと記されているはずです。あくまでも「日常の政治活動の宣伝のため」という位置付けで容認されている行為でした。
同じように選挙期間の前に多くの候補予定者が自分の選挙区で挨拶まわりなどを活発に行なっています。理不尽な話だと憤られる方もいますが、曖昧に「ご支援よろしく」と言うだけならばギリギリセーフで、「今度の衆議院選挙でのご支援よろしく」と言うとNGという線引きがあります。誰もが「今度の選挙のための挨拶だろう」と思いながらも、その線引きを候補予定者が理解しているかどうかは非常に重要な点となっています。
「お金をかけない」という目的のために選挙期間中、候補者の氏名を掲げたチラシ配布に関しても方法と枚数が規制されています。そのため、何万枚ものチラシに各候補者側で切手大の証紙を貼るという作業が必要とされています。そのチラシを配り切るのにも人手が必要ですが、公営掲示板に自分のポスターを張る作業も候補者側の責任でした。このように最低限の選挙運動を進めるにあたっても、ある程度の人数のスタッフが欠かせない現状です。
しかし、公職選挙法では賃金を支払える運動員の数や報酬額も細かく定められています。そのため、アルバイトを雇う気軽な感覚で運動員を揃えてしまうと、前述した報道のとおり「日当買収」という容疑に繋がってしまうケースもあります。以前の記事「選挙運動とインターネット」の中でも綴っていましたが、「お金をかけない」ことを目的としながら、さらに投票率を上げることも大きな課題としながら、インターネットの利用を規制する不合理さがありました。法律の条文が古いという事情に加え、「成りすまし」による選挙妨害の懸念などが指摘されていたからでした。
それでも来年の参議院選挙までには解禁に向かう動きも見られてきました。しかしながら現時点では一定の規制があることも事実でした。それにもかかわらず、ツイッター利用に伴う橋下市長の「選挙後に選挙違反で逮捕されるかもしれません」という姿勢はいかがなものかと思っています。理不尽なルールだと批判していても、決められているルールは守ることが当然です。人一倍部下に厳しい橋下市長だからこそ、そのようなルールを軽視した姿勢がたいへん気になっていました。もう一つの気になったニュースも橋下市長が絡んでいました。
日本維新の会の橋下代表代行は20日、来夏の参院選に向け、「民主党と維新の会、みんなの党がバラバラでは、まったく政治的な力を発揮できない。政党政治をしっかりと機能させようと思えば、自民党、公明党という強力な政権がある以上、それにきちんと対抗できる勢力を作っていくことが政治家の役割だ」と述べた。大阪市役所で記者団に語った。【読売新聞2012年12月20日】
少し前まで二大政党の一翼と目されていた民主党も、第三極の一つに埋没したような象徴的なニュースでした。個人的には政策の方向性や基本的な理念が、維新の会、みんなの党と民主党は大きく異なっているものと理解しています。それこそ3党が連携するようであれば「野合」批判も免れないはずです。民主党側の一部に呼応するような動きがあることも耳にしましたが、ぜひ、新たに決まる代表のもとに一致結束して再建を果たして欲しいものと願っています。
最後に、この一年間、多くの皆さんに当ブログを訪れていただき、たくさんのコメントも頂戴しました。本当にありがとうございました。どうぞ来年もよろしくお願いします。なお、次回の更新は例年通り元旦を予定しているため、変則な日程となります。ぜひ、お時間が許されるようであれば、早々にご覧いただければ誠に幸いです。それでは少し早いようですが、良い年をお迎えください。
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