ある苦言とトラックバック
このブログは「OTSU」というハンドルネームで投稿していますが、私どもの組合員の皆さんをはじめ、知り合いの方々にとって匿名の扱いにはなっていません。そのため、記事の内容に対して意見や感想を直接伺える場面も少なくありません。週明けの月曜、会った早々に前回記事「消費税引き上げの問題」に対し、ある方から苦言が寄せられました。
消費税引き上げを容認した内容に対する辛口な感想でした。その方は、マニフェストに掲げた約束を守らず、マニフェストに書いていない消費税引き上げを強引に進めている民主党を強く批判されていました。さらに私に向けて、「民主党を支援している立場上、そうなってしまうのですね」という言葉も投げかけていました。
まず私からは前回の記事の中でも記したとおり「民主党政権だからという理由で私自身も含め、連合や自治労が消費税の引き上げを容認しているのではない」旨を改めて説明させていただきました。その上で、もともと消費税引き上げはやむを得ないものと思っていた経緯なども説明し、短い時間でしたが、その方と率直な意見を交わす機会となっていました。
一方で、コメント覧では消費税引き上げに対する意見が思ったほど寄せられませんでした。その中で木曜の朝、シジフォスさんという方のブログ記事(「公務員のためいき」というブログを読んで溜息…)がトラックバックされていました。やはり消費税の引き上げに強く反対されている方で、「マニフェストでここまで嘘をついて、あげくの果てが国民から税金を泥棒のごとく集めようというのだから」と記しながら最大の支持母体である連合の責任は大きいとし、痛烈に批判されていました。
そのブログの中で、前回記事の大半を紹介された後に下記のような文章が続いていました。冒頭に取り上げた苦言の話と似通った「引っかかり」を感じていたため、合わせて新規記事の中で取り上げようと考えていました。特にトラックバックに対しては謝意を示す機会などを逸しがちであり、今回の記事を「トラックバック返し」させていただくつもりです。なお、長島昭久さんの漢字が誤っていましたが、原文のまま段落だけ区切り、ご紹介します。
まじめな委員長さんなのだろうが、今や自治労もこのように他の大産別と変わらなくなりつつあること(言い過ぎであるが、あえて…)に惨憺たる思いを抱く。「連合」の決まり文句に「顔合わせ・心合わせ・力合わせ」という、潮流の違う統一の中でも仲良く運営するという「作風」があることは、以前にも紹介した。結果、相互批判はしない、自己主張はしない、路線の違う対立を引き起こす課題は持ち込まない、という「仲良しクラブ」状態に陥り続けている。3.11以降、変わるのではないかと微かな期待をもったが、結果、変わっていないように見える。
上記の文中にでてきた長島和久・民主党衆院議員は、慶應大学応援指導部出身で米国一辺倒の保守主義者だが、それでも「民主党」候補者になれば、何の問題もなく労組との関係が保障される。そこには組合員の意識や国民の生活、さらには責任者たる労組役員の個人意思などは入る余地がないレールが敷かれている。紹介したブログには、多くの組合員からもアクセスとコメントがあるという。こんな時期、現役を離れていて、まさに無責任な言い方だが、自治労としての矜持を持ち続き得てほしいと思う。
最後の一文から自治労のOBの方のようにも受けとめています。そうではないかも知れませんが、自治労に所属する職員労働組合の委員長に対する期待があり、前回の記事はその期待を裏切り、深く失望させていることがシジフォスさんの文章から読み取れていました。いろいろお答えしなければならない言葉が頭に思い浮かんでいますが、シジフォスさんが描く「自治労の矜持」と私の「こだわり」は一致しない可能性もあります。
それでも、めざしている方向性は大きく違わないはずです。その中で、個別各論の選択肢に対する「答え」が異なる場合、目的を実現するための進め方や手法が異なる場合など様々ではないでしょうか。「答え」の違いとなっている消費税引き上げに対する評価は前回記事のとおりでした。今回、後者の問題意識について少し掘り下げてみます。
相互批判はしない、自己主張はしない、路線の違う対立を引き起こす課題は持ち込まない、そのような連合の「作風」をシジフォスさんは指摘しています。確かに象徴的な一例として、原発に対する評価の問題がありました。しかしながら現在、決してタブー視せず、連合内でも議論できる環境が整い始めています。自分自身が関われる範囲内でも、そのような動きを模索しています。
今年2月の記事「脱原発署名の呼びかけ」の中で「電力総連の皆さんとも忌憚のない議論を交わし、連合内が脱原発でまとまることの意義は非常に大きいものと考えています。逆に連合内での意思統一もできないようであれば、脱原発への道筋もたへいん厳しいものとなるように感じています」という問題意識を示していました。その際、対立が目的ではなく、お互いの立場を尊重しながら率直に話し合い、最適な「答え」を導き出す努力を最も重視すべきものと考えています。
長島さんとの関係も少し補足します。そもそも自治労は一つ一つの組合の連合体であり、中央本部や都本部の決定が必ずしも徹底できないケースもあります。長島さんを私どもの組合として推薦できないと判断すれば、そのような選択肢もあり得るのが自治労という組織の特性でした。いずれにしても組合方針の大半が一致できる候補者は極めて限られ、大きな方向性が合致した上で、基本的な信頼関係を築けるかどうかが大事な時代になっているものと思っています。
したがって、長島さんの考え方と私どもの組合方針との差異があることを否定しません。しかしながら以上のような問題意識のもと、私どもの組合は長島さんを推薦してきていました。そして、推薦関係があるからこそ、自治労に所属する一組合の立場や要望を長島さんに直接訴える場を持ち得ることができていました。以前の記事「大胆な改革、オランダのダッチ・モデル」をはじめ、このブログの中で何回か長島さんは登場しています。機会があれば、このような関係性の話を改めて取り上げてみるつもりです。
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