縦糸と横糸の話
送別会の季節です。市役所に入った時の職場の先輩を送る会が、ほぼ毎年開かれています。年に一度、懐かしい昔話に花を咲かせています。以前の記事「公務員になったイキサツ」に記したとおり素晴らしい先輩たちに恵まれたことで、市役所を永久就職の職場に選んだと言っても言いすぎではありませんでした。暖かみあふれた当時の職場の雰囲気がそのまま送別会の和やかさに繋がっていました。金曜の夜に開かれた今年の会の中で、ある先輩からブログの話が出て、「たまに見ているけど、長すぎて最後まで読めない時があるよ」という言葉も添えられていました。
週1回の更新間隔になった頃から確かに一つ一つの記事の内容が長くなっています。初めから長文を予定している訳ではなく、気ままに書き進めていると自然に長くなっていました。やはり気軽に多くの方に目を通していただき、何を伝えたいのか、できる限り分かりやすい記事とするためには内容の簡潔さも欠かせないものと考え始めています。と言う訳で、今回は前回記事(いろいろな「答え」を認め合った場として)の中で取り上げた縦糸と横糸の話の補足に位置付け、なるべく簡潔な内容に努めていきます。
抽象的な言い回しとなりますが、歴史という縦糸の中で、私どもの組合の活動ぶりは大きく変わっていました。横糸で現在を見た時、その変化のスピードに大きな地域差が残っていたように感じています。まったく別な話としての具体例をあげれば、少し前まで職場の机の上に灰皿が置いてあるのが当たり前な風景でした。受動喫煙の問題が取り沙汰されるようになり、徐々に分煙が進んだ結果、現在の職場の風景は隔世の感があるのではないでしょうか。
上記の記事内容に対し、「この数年間の応酬の回答が灰皿とは、あまりにも寂しすぎますね。もはや出るのはため息だけです」というコメントが寄せられていました。それに対し、私からは「灰皿」という言葉のみに反応されていたため、たいへん残念なことであり、私の文章力、表現力の拙さや甘さを深く反省している点をお伝えしました。すると別の方から「批判は市民の不理解によると頭から思い込むのですね」という言葉が投げかけられました。そのため、さらに私からは次のような補足説明を加えていました。
公務員組合の活動の現状などの「答え」が間違っていれば、変わらざるを得ないという縦糸と横糸の話を記したところでした。喫煙の問題を一例にあげましたが、セクハラやパワハラなども時代情勢の変化に応じ、一昔前と比べて大きく変わった事例だと見ています。言葉が不足し、誤解を招くのかも知れませんが、皆さんから批判を受けがちな「答え」が変わらざるを得ない場合、おのずと変わっていくのだろうと受けとめています。
この説明に関しては「灰皿もハラスメントも内部事情で全く市民には関係ありません。視点は外部においてください」というコメントが返され、インターネット上での意見交換の難しさを改めて痛感していました。そもそも「市民の不理解」という次元の話ではなく、こちらの意図した主張などが正確に伝わらないまま、不本意な批判を受けることは避けたいものと考えるのが普通ではないでしょうか。したがって、今回の記事を通し、うまく伝わっていない論点を改めて補足させていただきます。
縦糸の事例は「変わるべき必要性のある物事は年月を経て、変わっていく、変わらなければならない」という見方を示したものでした。以前、民間も公務員の職場でも喫煙者は堂々と自席でタバコを吸っていました。受動喫煙、間接喫煙の問題が注目されるようになり、分煙や禁煙が進み、現在、大半の職場で机上から灰皿が消えていました。喫煙者からすれば、気軽に自席で吸えるほうが有難い話であるはずです。しかし、非喫煙者の健康が重視されるようになった結果、喫煙者が譲歩しなければならない社会的雰囲気に包まれていきました。
それでも一斉に、もしくは急激に変わっていった訳ではなく、徐々に分煙が進み、机の上から灰皿が消えた現在の職場風景に繋がっていました。セクハラとパワハラも同様で、別に「内部」の話として示したものではなく、「変わるべき必要性のある物事は変わっていく」という観点から例示していました。一昔前はセクハラやパワハラという概念さえ普及していなかったため、誰にも相談できず、職場の中で悩み、傷付いていた方が多かったのではないでしょうか。
横糸の話は、他の組合への注文となりますが、時代情勢の変化の中で「変わるべき必要性」を見落としたり、見誤ったりしないように留意すべきものと思っています。今回、簡潔さを心がけながら、また長々と書き進めていました。いずれにしても大半の方々から理解を得られないような「答え」は変わっていく、変えざるを得ないものと考えています。冒頭に紹介した職場に席を置いてから30年以上の年月の中、市役所の風景や組合の活動を間近に見てきた縦糸を知る一人として、そのような認識を強めるようになっていました。
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