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2011年9月10日 (土)

東日本大震災から半年

東日本大震災から半年が過ぎます。日頃から津波への避難訓練を怠らず、指定されていた避難場所に移動していながら犠牲となられた方々が大勢いらっしゃいました。これまで自然の猛威は人知の及ばぬスケールで牙をむく時がありました。台風12号による豪雨被害も、被害を受けた地域の皆さんにとって「まさか」という驚きの中で、犠牲者を増やしてしまった誠に残念なケースもあったようです。

災害が発生したり、その恐れがある際に住民を退避させるため、災害対策基本法に基づき、主に自治体が避難指示や勧告を発令します。台風12号の影響で熊野川の雨量が増える危険性を認識していたにもかかわらず、川岸から100メートル以上離れている民家に対しては自主避難の呼びかけにとどまっていました。そのため、「まさか、ここまで熊野川の水が押し寄せるとは…」という痛恨の思いを残された方々が多かったはずです。

津波避難の指定場所や台風12号に際した避難指示の遅れなど、自治体の見通しの甘さは猛省しなければなれません。一方で、「想定外の大津波」「原発の全電源喪失は想定外」という言葉が東日本大震災の後、よく耳にしていました。つまり想定の範囲内なのか、想定外の災害なのかどうかで、結果的に被害の甚大さを左右していくことが浮き彫りになっています。防災計画や災害への対策を立てるに当たって、災害の規模や対象地域などを必ず想定しなければなりません。

しかしながら想定の範囲を青天井にすることも現実的ではなく、やはり一定の線を引いた上での対策の立案が求められていきます。たいへん大きな犠牲の上での教訓として、千年単位での歴史の検証や地球温暖化による異常気象への対応など、よりきめ細かい災害の予測が重視されるようになっています。今後、そのような積み重ねによって、できる限り想定の範囲を広げ、柔軟な発想で対策を練り直すことが欠かせないのだろうと考えています。

3月11日の震災後、これまで以上に各自治体が防災に関して力を入れていることは間違いありません。また、連合三多摩も同様に防災の問題を最重要テーマとして、今年度の制度政策要求の柱としています。10月4日に開く政策討論集会では、防災担当政務官だった阿久津幸彦衆院議員の講演などを予定しています。このような取り組みの一環として、金曜日に連合三多摩のメンバーで東京消防庁の防災館を見学する企画がありました。

昨年5月、その防災館の真向かいに私どもの市役所は移転していました。いつでも足を運べる近さにもかかわらず、じっくり見学する時間を今まで作ってきていませんでした。今回、せっかくの機会であり、私も午後休暇を取り、連合三多摩の一員として防災館の体験学習に奮って参加しました。当日は防災館の職員の方が付きっ切りで案内され、想像していた以上に密度が濃く、分刻みに動き続けながら頭も使った時間でした。

一つのコーナーの体験時間は約30分で、3時間近くのコースとなっていました。消火や応急救護の訓練、震える椅子での首都直下型地震の映画鑑賞、地震や煙の体験室などを回りました。その都度、職員の方から詳しい説明や指導を受けていました。印象に残った言葉として、「以前は地震が起こったら、まず火を消すことと言われていました。最近は、まず自分の身の安全を守ることと言われるようになっています」という説明がありました。

関東大震災の時、火災による死者が圧倒多数を占めていました。そのため、火を消すことが第一に取る行動だと長らく言われてきました。それが現在の調理器具などは地震が発生した際、自動的に火が消えるようになっているため、テーブルの下に身を隠すことなどが最優先すべき心構えに変わってきたそうです。その他にも、いったん揺れが収まった後、屋外に出るべきなのかどうかなど、実際に起こった地震の被害を検証しながら、専門家の間で議論が交わされている話を伺いました。

防災に対する常識や既存のマニュアルが本当に適切なのかどうか、このように日々検討が加えられていることを改めて知る機会となりました。前段に綴ったとおり適確な想定の範囲を示せることが様々な災害に向けて、有効な対策を確立することに繋げられます。実際に積み重ねられている関係者の皆さんの努力が実を結び、避けることのできない自然災害のダメージを少しでも緩和できる対策や周知がはかれていくことを強く願っています。

最後に、地震や津波、台風は人間の力では制御できない自然災害です。しかし、原発事故は人間の力で防げた災害だと言われています。稼動している原発の安全性確認の徹底は言うまでもありませんが、代替電力の確保などを綿密に計画し、近い将来、脱原発社会が実現できることを望んでいます。そのような願いを託し、大江健三郎さんや坂本龍一さんらを呼びかけ人とした「さようなら原発集会」が9月19日午後1時30分から明治公園で開かれます。どなたでも気軽に参加できる催しですので、ぜひ、関心のある方は会場へ足をお運びください。

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コメント

マスコミが広い視野で偏りのない情報提供を出来ないから、これほどまでにグタグタになってと思うのですけれど。
今日のTVタックルと日曜日にNHKで放映されたサンデル教授の震災復興を見比べれば、今のマスコミがどれだけのものか良く理解できると思います。
ただし、後者の番組でアメリカと中国と日本を比べてみて、日本には悪平等が根深く根付いているなとも思いましたが。

投稿: | 2011年9月12日 (月) 22時29分

2011年9月12日(月)22時29分に投稿された方、コメントありがとうございました。

サンデル教授の番組は見ていませんので、「悪平等が根深く根付いている」というお話は何とも言えませんが、TVタックルはよく視聴しています。その番組の内容を時々、このブログの中でも取り上げてきましたが、ご指摘のような問題意識は共通しているものと受けとめています。

なお、コメントをお寄せいただける際、意見交換をスムースに行なうためにも、名前欄の記入にはご協力くださるようよろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2011年9月13日 (火) 07時57分

早くも泥沼の国会になりつつありますが
さすがにこれは野党には責任はないでしょう。
協力を求めて国会はすぐ閉じますじゃねえ

国会も運営できず、党内もまとめられず
これで国の運営などできるわけがない。

関係ないですが、情報統制に熱心な
幹事長は日教組出身で、ぐだぐだの国対は
某労働組合の出身ですが、労組の方々は
秘密主義で、情報は開示しないのが普通
なんですか。

投稿: nagi | 2011年9月17日 (土) 10時35分

nagiさん、コメントありがとうございました。

会期の延長問題の混乱は稚拙であり、経産相の辞任以上に野田政権の大きな躓きだろうと思っています。ただ労働組合出身者だから秘密主義だという見方は、当てはまらない点だけは弁明させていただきます。

投稿: OTSU | 2011年9月18日 (日) 19時13分

管理人様レスありがとうございます。

>ただ労働組合出身者だから秘密主義だという見方は、当てはまらない点だけは弁明させていただきます。

これを聞いて安心しました。無礼な発言は謝罪させていただきます。

では、自治労は民主党を支持していますね。
さっそく自治労から、民主党の幹事長に
情報統制などやめ、マスコミの取材にも応じるように
強く意見をしていただきたく思います。
よろしくお願いします。

投稿: nagi | 2011年9月18日 (日) 19時47分

nagiさん、コメントありがとうございます。

素早く届けられるポジションではありませんが、機会があれば都本部を通し、そのような見られ方はマイナスであることを伝えていきます。また、地元選出の代議士とお会いできた際なども意見してみようと思います。

投稿: OTSU | 2011年9月18日 (日) 21時45分

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