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2011年5月 1日 (日)

内閣官房参与が辞任

東日本大震災復興支援活動として、自治労都本部からの要員派遣が4月10日から始まっていました。私どもの組合からの派遣は4月30日から始まり、10名以上の組合員が福島県相馬市と新地町での任務に当たります。緊急な組合からの呼びかけに対し、すぐに多くの方が名乗りを上げていただき、たいへん心強く思っていました。ちなみに平行して市長会を通した派遣募集もあり、両方申し込まれた方がいらっしゃるほどでした。

火曜の夕方、自治労都本部派遣の第一陣で現地に赴いた方から話を伺う機会がありました。これから出発するメンバーに対するレクチャーを主な目的とし、被災地の様子や支援活動中の写真などをパワーポイントで映しながらの説明でした。その方は阪神淡路大震災の直後、神戸での支援活動にも行かれていました。神戸では建物の倒壊や火災による被害を受けた風景が一面に広がっていたことに比べ、今回は津波が押し寄せた地域かどうかで極端な被害の違いを目にしてきたと話されていました。

内陸部を車で走っていると、あの大地震に見舞われた場所なのかどうか分からないほど普通の街並が続くそうです。それが突然、絶句する瓦礫の山となった景色に切り替わるという話でした。今回、地震そのものよりも津波による被害の甚大さを思い知らされる光景だったようです。実は瓦礫という言葉を使ってしまいましたが、被災された方々にとって瓦礫でもゴミでもなく、「帰るべき我が家」であり、「かけがえのないもの」という説明も加えられていました。

さて、今回の記事内容は当初、別な話題を考えていました。しかしながら日曜の朝、ためいきばかりさんから前回記事に寄せられたコメントが切っかけとなり、小佐古内閣官房参与の辞任に至った問題を取り上げることとしました。私自身も気になっていたニュースでしたが、事実関係の真偽や評価が簡単に下せず、このブログでは荷が重いように感じていました。とは言え、たいへん重要な問題提起であるため、そのような経緯を広く伝える意味合いからも今回の記事内容としています。

小佐古敏荘内閣官房参与(東大大学院教授)は29日夕、衆院議員会館で記者会見し、30日付で参与を辞任すると表明した。小佐古氏は「今回の原子力災害に対して(首相)官邸および行政機関はその場限りの対応を行い、事故収束を遅らせているように見える」と述べ、菅政権の福島第1原発事故への対応を辞任理由に挙げた。小佐古氏は放射線安全学の専門家で、3月16日に起用された。

菅直人首相は東日本大震災発生後、東京電力や内閣府の原子力安全委員会などへの不信感から、専門家6人を内閣官房参与として迎えた。その一人の小佐古氏が今回、政権の対応を公然と批判して辞任することは、首相にとって痛手だ。小佐古氏は会見で、年間累積放射線量が20ミリシーベルトを上限に、学校の校庭利用を認めた政府の安全基準について「(同程度の被ばくは)原発の放射線業務従事者でも極めて少ない。この数値を乳児、幼児、小学生に求めるのは受け入れ難い」と見直しを求めた。【時事ドットコム2011年4月29日

テレビからのニュース映像で、小佐古参与は途中で声を詰まらせ、涙の辞任会見となっていました。その模様は衝撃的であり、子どもたちへの放射線被曝の問題が非常に不安視される出来事でした。ためいきばかりさんは中部大学の武田邦彦教授のブログから次のような言葉も紹介されていました。「被ばくしている児童生徒を疎開させるのは面倒なのだろうか?文科省は子供に20ミリという高い放射線をあびさせている。疎開させれば無事なのに、なぜ子供達を被ばくさせたいのだろうか?まるで戦時中の竹槍精神を思い起こす.先生方、立ち上がってください!」

言うまでもありませんが、児童生徒の疎開が難しいという理由で、基準値が改められるのであれば論外な話です。政治や行政の怠慢であり、許されない不作為という厳しい批判にさらされることになります。この小佐古参与の強い抗議の意を込めた辞任に対し、菅首相は「参与の意見も含め、議論の結果に基づく原子力安全委員会の助言で対応しており、決して場当たり的な対応とは考えていない」と衆院予算委員会の場で反論していました。

上限値は国際放射線防護委員会(ICRP)の考え方に沿ったものであり、文科省は「余裕を持って決めた基準で、実際に年間20ミリシーベルトを被曝することはない」と説明しています。日本原子力研究所の笠井篤元室長は「一時的に年間20ミリシーベルトを学校に適用することはやむを得ないとしても、通常時の一般人の基準である年間1ミリシーベルトに、できるだけ早く収まるよう努力していくべきだ」と話しています。

一方で、放射線の専門家からは「子どもを大人と同様に扱うべきではない」という異論があり、原子力安全委員会の中でも「子どもの基準は10ミリシーベルトにすべきだ」という意見も示されていたようです。福島県災害対策本部の荒木宏之事務局次長は「今回の件で、児童への安全性に改めて不安を抱く住民がいるかも知れず、国が科学的な根拠に基づいた説明を住民に対して繰り返していくべきだ」という指摘は本当にその通りだと思います。

ためいきばかりさんからは「子供たちに通常の基準値の20倍(1年あたり)もの放射線量を浴びせてもよいとする基準は即刻やめていただきたい。労働組合として子供たちの健康を守る行動をとって欲しい」という訴えもありました。自治労は幅広い運動方針を掲げ、子どもたちの安全を守るという立場も大切な柱の一つとしていました。したがって、今回の問題を看過せず、政府が本当に「場当たり的な対応」だった場合、子どもたちの健康を守るための具体的な行動が必要であるものと考えています。

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コメント

この動画をみてください。この件で福島の方々が政府担当者と交渉したときの映像です。
原子力安全委員会と文科省の杜撰さがよくわかるはずです。
原子力安全委員会は基準を20ミリシーベルトに上げるにあたって会議も開いておらず、文科省はこの基準が放射線管理区域の基準をも上回ること、それどころか放射線管理区域が何かも知らないと言うのですよ。

http://www.ustream.tv/recorded/14169488

投稿: ナノハナ | 2011年5月 1日 (日) 23時21分

ナノハナさん、おはようございます。コメントありがとうございました。

参与の辞任をはじめ、ますます不安感が高まる話です。一義的には政府の指示や見解を信頼していかなければなりませんが、常に情報伝達の不充分さが付きまとっています。ただ今回の問題が情報伝達の不充分さにとどまっていれば、そのほうが幾分か救われるのかも知れません。怠慢や不作為による情報操作や隠蔽がないことを強く願わざるを得ません。

投稿: OTSU | 2011年5月 2日 (月) 08時07分

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110502-OYT1T01026.htm?from=main4
官邸が脅迫まがいの事をして、意見を封殺しようとしています。
民主党の支持母体である労組の力を活かして、情報開示をするように政府に働きかけることはできないのでしょうか。

投稿: マイケル | 2011年5月 3日 (火) 00時18分

マイケルさん、おはようございます。コメントありがとうございました。

不安が払拭できる情報開示等に向け、連合や自治労が政府与党へ働きかけることも必要な問題だろうと思っています。一単組役員としての影響力は小さなものですが、ボトムアップ的な動きに努めていくつもりです。

投稿: OTSU | 2011年5月 3日 (火) 08時40分

小佐古氏については、背景に小沢グループの動きもちらついているので、ちょっと違和感があります。

現実問題として、福島近郊以外で子供の健康に大きな影響が出るような放射線レベルが数ヶ月以上も続くとも考え難いです。

投稿: Thor | 2011年5月 5日 (木) 11時55分

福島近郊→福島原発のある大熊町近郊

投稿: Thor | 2011年5月 5日 (木) 12時00分

Thorさん、コメントありがとうございました。

この問題で派閥間の争いは絡んでいないものと思っていますが、不安感の拭えない経緯であることが確かです。今回の運用が適切だった場合、最低限、専門家である小佐古氏からも「やむを得ない」という納得を得る手順が欠かせなかったはずです。それが間逆の顛末をたどっているため、ますます不信感が高まってしまいます。しっかりとした情報開示を前提に丁寧な説明責任を果たすことで、様々な難問に対する政治的な判断が住民から信頼を寄せられるようになるものと考えています。

投稿: OTSU | 2011年5月 5日 (木) 20時16分

こんにちは。いつも拝読いたしております。私は労働組合を作れない消防職員です。ご存知かもしれませんが、消防協議会という自主組織の執行部で、悩みも思いもたくさんあります。全国消防職員協議会は自治労傘下でお世話をいただいておりますし、私たちの協議会も単組にはお世話になっています。そんな状況でなかなか口に出せないこともあるのでブログをはけ口とて初めて見ましたので、お手すきの際にでも暇つぶしとしてご覧いただければ幸いです。おじゃまして失礼いたしました。
http://blogs.yahoo.co.jp/syobokyo

投稿: 消防協 | 2011年5月 7日 (土) 13時13分

消防協さん、コメントありがとうございました。

さっそく「消防職員協議会の憂鬱」はブックマークさせていただきました。普段、消防職員の皆さんとお話する機会がないため、これからも興味深く拝見させていただきます。たいへんな任務だと思いますが、安全には留意されながらご活躍ください。

投稿: OTSU | 2011年5月 7日 (土) 20時49分

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