巨大地震後に続く難局
東北地方太平洋沖地震、前回記事と同様、このブログでは東日本巨大地震と呼ばせていただきます。テレビの画面を通して目にする凄惨な被害の状況、被災された皆さんの悲しみや苦しみ、刻一刻と危機感が高まる東京電力福島第一原子力発電所からの放射能漏れの恐怖、とても被災前のような内容のブログ記事に戻れる現状ではありません。
巨大地震が発生した時から始まった苦難は、その終わりが簡単には見通せず、たいへんな難局が今後も続くこととなります。それでも必ず復興できるという希望だけは捨てないようにしなければなりません。そのような長丁場となる覚悟と復興への願いを込めながら、週1回更新してきた間隔だけは途絶えさせず、しばらくの間は巨大地震絡みの内容を綴っていこうと考えています。
1995年の阪神淡路大震災の時は、8割が建物の倒壊による圧死や窒息死でした。今回の地震では9割が大津波による溺死だったようです。改めて地震直後に襲った大津波の恐ろしさが思い知らされます。さらに今回、福島原発の放射能漏れに対し、復旧の目処が立っていない深刻な事態に及んでいます。この瞬間にも文字通り命を賭して作業に当たられている現地関係者の皆さんには深く感謝し、心から安全をお祈りしています。
この原発事故は放射能汚染という広域的な脅威をもたらし、国際的にも注視されている現況です。また、電力不足に伴う計画停電などは各地で大きな混乱を生じさせていました。鉄道のダイヤは乱れ、市役所業務にも大きな影響を与えています。本来、この時期に行なうべき業務や会議の多くが見送られていました。加えて、住民の皆さんから計画停電に対する問い合わせが市役所へも殺到し、職員の手で市内全戸にチラシ配布まで行なっていました。
店頭からは食料品を中心に売り切れが続出し、特にガソリンの不足は日常生活に大きな支障を与え始めています。今朝も近所のガソリンスタンドの開店前から車の長い行列ができていました。私も頃合いを見て、その列に並ぶつもりでしたが、午前10時前には品切れのためか、スタンドそのものが早々に店仕舞いしていました。そのため、しばらく車を使うのは必要最低限にとどめ、この状態から早く抜け出せることを願っているところです。
夜間の停電も経験しましたが、このような苦労は被災地の皆さんの苦しさを思えば、比べることすら論外な小さな苦労だろうと受けとめています。私どもの組合としては巨大地震への対応について、市側に最大限協力していくことを伝えていました。差し当たり、義援金に関しては市側と協力して取り組んでいきます。同時に自治労からのカンパ要請も別途対応することを決めていました。今後、ボランティアの現地派遣などは連合や自治労本部を通した要請に応えていく予定です。
つい最近、ある市議会議員から派遣ユニオンのブログ記事「厚生労働省に要請書を提出します」のペーパーを渡されました。巨大地震の影響から無給休業が拡大し、派遣切りや解雇まで増え始めています。それに対し、3月15日に厚生労働省が「計画停電の時間帯における事業場に電力が供給されないことを理由とする休業については、原則として(労働基準)法第26条の使用者の責めに帰すべき事由による休業には該当しないこと」という通達を出していた話を受け取ったペーパーで知り得ました。
このような災害に遭っても収入や雇用に対する心配がなく、規定通りに時間外勤務手当も支給される公務員組合に対し、よりいっそうの奮起を促す趣旨の働きかけの際に渡された参考資料でした。その議員の求めているレベルまでは応え切れなくても、できる限りの支援を重ねていく旨は説明させていただきました。それにしても「国民の生活が第一」とした政権の看板が色あせ、労働者側への目配りが足りない残念な通達でした。
最後に、巨大地震の2日後、一人の組合員が逝去されていました。青年婦人部の活動を一緒に担い、よく飲み語り合い、秋田の実家におじゃまし、スキーに行ったことなどもありました。不慮の交通事故による突然のお別れでした。明日のお通夜、明後日の告別式に参列しますが、何とか計画停電は避けられそうな日程です。やはり身近な仲間とのお別れは、より悲しく、より辛く…、謹んでご冥福をお祈りさせていただきます。
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コメント
今回の通達で「休業に該当」しない背景には、激甚災害法(あっしまった!さんがお詳しいと思いますが・・・)が、原則災害を直接受けたものに対して適用され、計画停電などで生じた事象については該当しない(間違いがあればご指摘ください)ことも背景あるのではないかと推測しています。しかし、「労働者側への目配りが足りない残念な通達」であると感じています。
東北地方太平洋沖地震に労組側から緊急事態に対応した取組の申し入れを行っているところです。しかし、当局側の緊急事態であるのにかかわらずいくつかの施策で「別次元の問題」(背筋が凍りつきますが)ととらえているなど上記通達と似た反応を示しているものもあり、一刻も早い方針の転換をさらに求めていきたいと感じています。ただし、「別次元の問題」は「政治主導」で実施されているものもあり、こちらも早急な「政治判断」が待たれるところです。
弟(陸上自衛隊)が福島に支援のため出発しました。現地の方々の支援に従事し、職責を果たすことを祈るとともに、無事の帰還を祈っています。
身近な方とのお別れは本当につらいですね。OTSUさんの自治体、組合で支援にむけた取組が行われるとおもいますがどうかお体を大切にされてください。
投稿: ためいきばかり | 2011年3月20日 (日) 12時16分
ためいきばかりさん、コメントありがとうございます。
厚生労働省の現場職員の皆さんの立場からは法律や規則にそって判断し、このような通達を出さねばならかったものと思っています。特に企業側からの問い合わせが続いていた場合、取り急ぎ文書による周知が必要だった事情なども理解しなければなりません。
一方で、仕事がなくなることイコール収入がなくなる労働者の生活などについても、省全体、さらに政府全体で目配りして欲しかったものと感じていました。いろいろ混乱している非常時であることも確かですが、それこそ「政治主導」で全体調整がはかれるよう願っているところです。
弟さんの任務も本当にたいへんであり、ご活躍とご無事をお祈り申し上げます。
投稿: OTSU | 2011年3月20日 (日) 12時36分
今日現在も被災地で救命救助に全力で、
自衛隊の方々が活動されています。
どこぞのパフォーマンス宰相の決死とは
比べるもない本当に決死の活動に深謝し
なければならないと思います。
必死に活動する自衛隊を「暴力装置」など
と言った方が官房副長官に就任とか。
なんと言えばよいのか言葉がありません。
最後に
管理人OTSU氏へ
幾つになっても知人知己との別れは辛く
ただただ辛く悲しいものです。
御逝去を悼み謹んでお悔やみ申し上げるとともに
心よりご冥福をお祈りいたします。
投稿: nagi | 2011年3月23日 (水) 17時18分
nagiさん、コメントありがとうございます。また、お悔やみの言葉もありがとうございました。
きっと菅首相らは本当に一所懸命、頑張られているものと信じています。ただ残念ながら「どのように国民から見られるのか」という視線を意識しすぎなような気がしています。いろいろ例示しようと書き進めましたが、やはり余計な言葉だと思い返し、いったん書いた文章を削除しました。とにかく今は政府を信頼し、一致結束して難局に立ち向かわなければならないものと考えています。
投稿: OTSU | 2011年3月23日 (水) 21時43分