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2010年12月12日 (日)

年明けに阿久根市長選

阿久根市の竹原信一市長の解職請求(リコール)の是非を問う住民投票が12月5日に行なわれました。即日に開票され、賛成7543、反対7145、下馬評を裏切る398票という僅差でしたが、解職賛成票が過半数を占め、竹原市長は失職しました。出直し市長選挙は年明け、1月9日告示、1月16日に投開票日を迎える予定です。竹原市長が初当選したのは2008年8月、市議会の不信任による出直し選挙が2009年5月、わずか2年半の間に3回の市長選挙が行なわれる事態となりました。

解職された竹原前市長は早々に立候補を表明し、市民団体「市長リコール委員会」の監事だった西平良将さんも出馬の意思を明らかにしています。ほぼ間違いなく、西平さんと竹原前市長との一騎打ちとなる見通しとなっています。昨年6月以降、これまで当ブログでは阿久根市や竹原前市長に絡む記事を数多く投稿してきました。直接的な題材とした記事だけでも、次のとおり11回を数えていました。

9月以降の阿久根市の動きも、全国的なニュースとなる話題が尽きることはありませんでした。それらの出来事を紹介していくだけで、かなりの分量となるため、今回の記事でその役割は見合わせます。ちなみに相互リンクさせていただいてるブログ「地方公務員拾遺物語 別館」の管理人さんが、きめ細かく阿久根市の動向を追われています。さらにカテゴリー別の検索機能も設けられていますので、顛末をたどる際に『テーマ「阿久根市」の記事』が心強い参考資料となっています。

また、そのブログの管理人さんと私の視点は近しいものがあり、一つ一つ共感する記事内容ばかりでした。同じように共感するサイトとして、以前にも紹介したことがある「本日の産経SHOWと阿久根政界NOW」もその一つでした。お二人とも単刀直入な物言いの中にユーモアのセンスがあふれた文章であり、いつも感心しながら阿久根市の最新情報を知り得る機会となっていました。

以前の記事「多面的な情報への思い」の中で、「シロをクロと見誤らないためには多面的な情報をもとに判断していくことが非常に重要です」と述べていました。したがって、継続的に阿久根市の動きを見守っていく際、竹原前市長の言動を批判的に見ているサイトにとどめず、前市長を強く支持している方々のブログなども常に注目していました。更新されれば、欠かさず閲覧している主なサイトは次のとおりでした。

  • 住民至上主義 … 竹原前市長ご自身の有名なブログです。「天皇家」や「人間豚」に関する記述などもあり、独特の世界観をお持ちであることが垣間見れます。
  • 山田 勝のいきいき日記 … 市長支持派のベテラン市議でしたが、議場閉鎖に対する懲罰で除名されていました。 
  • まーちゃん日記 … ブログの副題は「怒涛の阿久根市議会議員 石澤正彰」であり、ストレートな感情の起伏がよく伝わってきます。  
  • 松元しげひさ 奮闘記 … 市長支持派議員の中で最年少であり、しっかりした文章力で綴られています。
  • 竹原信一という男 … 更新頻度が少なくて残念ですが、「竹原信一という男 BBS」の議論は多面的な情報を得る意味合いで非常に参考になっていました。

その他、ネット上で閲覧できる動画から竹原前市長の声や姿にも接してきました。最近ではテレビの報道番組からも阿久根市の動きを知る機会が増えています。以前の記事でも取り上げましたが、竹原前市長の著書『独裁者』にも目を通していました。つまり偏った情報や中途半端な事実認識で、物事を判断しないように努めています。その上で、竹原前市長の手法を危惧する私自身の見方について、これまでの当ブログの記事を通して訴えてきました。

一方で、いろいろな情報に接すれば接するほど、竹原前市長に対する評価が極端に枝分かれしていくことも痛感していました。先日の住民投票の結果が予想外の僅差だったことによって、マスコミの報道の論調が微妙に変化してきたことを感じ取っています。斎藤佑樹投手の言葉ではありませんが、竹原前市長は「何かを持っている」という見方がマスコミから示されるようになっています。

これまで法律を無視する単なる変わり者と決め付け、住民投票も大差で結果が出るものと見ていたのではないでしょうか。全国的な評判は芳しくない市長に対し、まだ7千人を超える地元住民が支持していた現状に驚き、マスコミ側の報道のあり方が本当に真実を伝えていたのかどうかという反省の弁まで耳にしました。しかし、このような言葉をテレビやラジオから聞き、個人的には強い違和感を覚えていました。

裁判所の命令に従わず、違法行為を繰り返す竹原前市長、確かに事実をそのままマスコミは報道していました。その一方で、それでも竹原前市長を根強く支持する市民の姿もマスコミは映し出していたはずです。したがって、このような支持者が少なくない中、僅差という結果も充分予想できたため、「意外だった」というような声が出るほうが意外でした。阿久根市民の民意を問う声もありますが、一人ひとりの立場から投票行動が左右されるのは当たり前なことだと考えています。

市民の平均所得と阿久根市職員の年収を比較するモノサシの不適切さがあることも確かですが、その地域の中で職員の賃金水準が際立っていることも事実だろうと受けとめています。また、生活を支える専業に従事できている市議が片手間に議会活動を行なっているような場合、日当制に切り替えるという乱暴な選択肢もあり得るのかも知れません。とは言え、市議の役割や責任が生半可なものではないと判断するのであれば、一定の年収を保障しない限り、幅広い層から有能な人材は集まらなくなるはずです。

そもそも全国どこの自治体でも職員や市議の年収は公開されています。そのため、隠されていた事実を竹原前市長が明らかにしたという言い方は適当ではありませんが、阿久根市民に対して強烈に印象付けたことは間違いない話でした。その結果、「職員や市議は私たちに比べて恵まれすぎている」という認識が広がったことも確かです。そのように感じた方々にとって、賞与の半減や議員報酬の大幅引き下げは喝采すべき行為だったものと見ています。

加えて、その捻出した財源で、ごみ袋代金や証明手数料の値下げ、固定資産税の減額などが実現したと言われれば、市長の続投を望むほうが自然な流れではないでしょうか。このようなアピールは直前に発行された「広報あくね」や頻繁に開かれた市政懇談会の中でも訴えられていたようです。要するに「既得権」を守ろうとする勢力に対し、ぶれずに改革を断行する竹原前市長という構図ができあがっていたように見受けられます。

そのように考えると僅差だったとは言え、リコールが成立したことのほうが驚くべき結果だったのかも知れません。現職対新人という候補者同士がぶつかり合う来年1月の市長選では、よりいっそう際立つ構図になるものと見ています。自分自身の考えが唯一絶対、目的を実現するためであれば手段は選ばない、そのような独善的な発想や手法が許され、全国に波及していくような事態は絶対避けなければなりません。

民主主義のルールも完璧ではなく、時代情勢の変化などに対応し、改めていくべき点も多々あろうかと思います。しかし、その改める手続き作業も民主主義のルールに沿ったものでなければなりません。スピート感に欠けるという批判も示されるのかも知れませんが、厳守すべき当たり前なルールだと理解しています。そして今、たいへん懸念しているのは、その民主主義に定められた選挙によって竹原前市長が三選を果たすことです。

阿久根市民の選択を重く受けとめなければなりませんが、これまでの手法がすべて認められたという免罪符につながることだけは本当に悩ましい事態だと言えます。いずれにしても「既得権」側に見られがちなブログの主張であるため、発信していく言葉に難しさも感じています。同様に対立候補として名乗りをあげている西平さんも、今後の選挙戦略には苦慮されているものと思います。

最近、コメントの投稿数は少なくなっていますが、今回の記事に対しても、どのようなご意見をいただけるのかどうか分かりません。ただ言えることは、幅広いコメントが寄せられた場合、年明けの阿久根市長選を勝ち抜く確率の高い竹原前市長に対抗するためのヒントが必ず得られるはずです。今回の記事、いつものことながら長々と綴ってきましたが、言葉が不足している点も多いものと思っています。それでも今回は誠に恐縮ながら、ここで一つの区切りとさせていただきます。

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コメント

前半でご紹介いただいた、「地方公務員拾遺物語・別館」の管理人です。
「笑えて役に立つ」を心がけていますが、その分、茶化して書いていますので、多分、本文より、常連コメント陣の内容のほうに価値があるかと存じます。

こちら様とは、情報の切り口も考察方法も異なりますが、それ故の相互補完できればと思います。
今後とも、ご贔屓に。

投稿: k.k. | 2010年12月14日 (火) 00時17分

k.kさん、おはようございます。コメントありがとうございました。

相互リンクさせていただいているとは言え、記事本文内でご紹介しましたので、一言お知らせすべきものと考えていました。結局、不精してしまい、k.kさんのほうから、このようなコメントをいただき恐縮しています。

最近、ある記事へコメントが殺到されていましたが、「地方公務員拾遺物語・別館」に寄せられているコメントは一つ一つ読ませていただいています。コメント欄も含め、私にとって「地方公務員拾遺物語・別館」は非常に参考になるサイトとなっています。こちらこそ、これからもよろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2010年12月14日 (火) 08時13分

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