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2010年10月31日 (日)

台風が近付く中、自治労都本部大会

急に涼しくなり、秋を実感する季節となっていたため、前回の記事は「秋本番、多忙な季節へ」でした。ところが、秋本番どころか、先週は一気に真冬並みの寒さとなり、震える日が少なくありませんでした。地球温暖化の影響なのか、穏やかな四季の移ろいが薄れ始めているようです。また、甚大な被害を受けた奄美大島など、かつてない規模の豪雨に襲われる地域が増えています。そのため、異常気象という見方ではなく、日本列島全体が亜熱帯化しているという極端な話も否めなくなっているのかも知れません。

さて、自分自身の忙しさは相変わらずで、台風14号が関東地方に接近している土曜の午後、自治労都本部の定期大会に出席しました。早々に六大学野球の早慶戦や東京競馬場の開催中止が決まっていましたが、幸いにも鉄道のダイヤに大きな乱れはなく、強い風雨にさらされることもなく、市ヶ谷にある自治労会館を往復することができました。自治労会館に着き、ばったり参議院議員の江﨑孝さんとエレベーターを乗り合わせました。「ブログ、いつも拝見しています」という言葉が思い浮かびましたが、結局、短い時間の中では台風絡みの会話だけ交わしていました。

以前、自治労都本部の定期大会は平日の朝から夕方にかけて行なわれていました。「ヤミ」と批判されるような参加があった訳ではありませんが、数年前から土曜日の開催となっていました。さらに今年は午後1時から夕方までの半日で、すべての議事を終わらせるという過密な日程設定でした。それでも来賓の人数は例年通りの多さで、来賓挨拶が終わったのは午後2時36分、大会の約3分の1が挨拶の時間となる長さでした。

私自身は自治労本部委員長の挨拶をはじめ、いろいろな話を伺える機会だと考え、来賓挨拶の長さにそれほど抵抗感を持っていません。あまり中味のない型通りの挨拶が続くと飽きてしまうのでしょうが、話し上手な方が多いため、集中できる時間帯でした。一方で、平日夜に開く私どもの組合の定期大会は、なるべく来賓の人数は少なくし、挨拶の持ち時間にも協力いただきながら、できる限り来賓挨拶の時間が短くなるように努めています。

どのような会議でも同様なことだと思いますが、長々と続ける会議は好まれません。仮に新鮮な情報や意義深い議論に触れられず、事前に配布された資料が読み上げられるような時間となった場合、睡魔との闘いとなりがちです。幸いにも土曜日の都本部大会は、提案者それぞれがメリハリを付けた簡潔な説明に努めていただき、10人近くの代議員の発言が示されながらも、ほぼ予定した時間に終わることができています。

自治労都本部の方針案は多岐にわたっています。代議員からも幅広い内容の意見や質問が複数示されていましたが、特に質疑討論の中で印象に残ったのは政権与党との距離感の問題でした。人事院のマイナス勧告を上回る給与削減、「深堀」と呼ばれているそうですが、このような動きが示されること自体へ不信感を募らせているという意見も少なくありません。労使交渉のルールが確立されていない中、どれだけの「深堀」が妥当なのか、可能なのか、どのように決めるのか、まったく曖昧でした。

結局、公務員連絡会等の反対によって、今年度の人事院勧告はそのまま閣議決定される見通しとなっています。ただ来年度以降、国家公務員賃金の水準について労使で話し合うルールを定めた上、「深堀」議論が本格化することになっているようです。これまでも総人件費2割削減のマニフェストの問題など、自治労の会議の中で民主党を「これだけ応援してきたのに」という苛立ちや失望の声が上がっていました。

しかし、そもそも民主党は幅広い層からの支持を受け、政権交代を果たしています。当たり前なことですが、公務員組合の言い分だけ聞いて政策判断していく訳ではありません。一方で、自治労や公務員連絡会が直接政権与党と話し合えるパイプを持っていることも確かでした。今回、賃金労働条件の変更は「労使で決める」という原則を民主党側が受け入れた結果、人事院勧告の「深堀」は来年度以降に見送らせることができたものと理解しています。

このように対話できる関係性を築けていることについて、私自身は一定評価しています。もともと過度な期待は膨らませず、労働組合が民主党に注文を付ける際も「ゴリ押し」と見られないような謙虚さが必要だと考えていました。今回の「深堀」の問題も労働組合側に少なからず「是」があったからこそ、民主党側も方針転換した訳であり、国民の皆さんに向けても堂々と説明できる理由となっているはずです。

よく野党側は、労働組合から支援を受けていることが民主党の弱点であるような批判を繰り返しています。それに対し、ぜひ、民主党は労働組合との信頼関係があるからこそ、適切な公務員制度改革ができるという反論を加えて欲しいものと願っています。さらに自治労とのパイプは、各自治体の現場に根付いた問題提起や情報を得られる機会だと見ていただければ幸いなことでした。

自治労都本部大会での議論を改めて振り返りながら、このような思いを巡らしています。自分自身、大会での発言は見合わせていましたが、執行部や多くの代議員の問題意識は基本的に信頼を置けるものでした。台風が近付く中で行なわれた大会、とりまく情勢は自治労の先行きを暗示した見方となりますが、必ず台風一過の素晴らしい青空を見上げられる日が来ることも信じているところです。

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2010年10月24日 (日)

秋本番、多忙な季節へ

厳しい暑さだった長い夏が続きましたが、いつのまにか秋本番を迎えています。クールビズから切り替えた直後は、しばらくネクタイを締めた時の圧迫感もありました。それが今では保温の意味合いからも、ネクタイが欠かせない気候に移りつつあります。そして、スポーツの秋、芸術の秋、読書の秋、食欲の秋、いろいろな秋がありますが、私自身にとって多忙な季節になってきました。

月曜日、連合三多摩の政策・制度討論集会に参加しました。基調講演はNPO法人ファザーリングジャパンの代表理事である安藤哲也さんによる「イクメンが増えれば、職場が変わる~父親の育休取得普遍化を目指して~」でした。分科会は「公契約条例について~公共サービスの充実と全ての労働者の労働条件・賃金底上げのために~」を選び、今年12月に公共調達の条例化をめざしている国分寺市の総務課長から、これまでの経緯や目的などを伺いました。

火曜日、私どもの組合の役員選挙が告示されました。定期大会を11月12日に控え、役員は1年任期であるため、それに先がけて選挙又は信任投票が行なわれます。毎年、告示日に定数を満たせる顔ぶれが揃うことを理想視していますが、いろいろな面で厳しい任務と見られている組合役員に手をあげる組合員は少なく、いつも執行委員の定数を埋めることに四苦八苦している現状です。その中で、大半の現職役員から留任の返事をいただき、心強い思いがあることも確かでした。

水曜日、現年度の市税滞納者あてに発送する総合催告書が納品されました。組合専従ではありませんので、言うまでもなく自分の職務に全力を注いでいます。過年度分の滞納繰越者に対する差押処分を連日執行している中、並行して現年度にも気を配っていかなければならない時期となってきました。その日の夕方には、私どもの市へ提出する「政策制度の充実に向けた要請書」の確認のため、連合地区協議会のプロジェクトメンバーと推薦市議会議員による会議を開きました。

木曜日、勤務時間中の密度の濃さは日常的なものであり、取り立てて羅列しませんが、その日は「五十日(ごとおび)」に向けて複数の差押の決裁を回していました。夜は三多摩平和運動センターが呼びかけた「米軍再編・米軍と自衛隊の一体化に反対し、横田基地の整理・縮小・撤去を求める10・21三多摩集会」に参加しました。デモ行進中、このような取り組みが継続されていく意義を感じながらも、以前の記事「沖縄に揚がる自治労の旗」の中で示した自分なりの問題意識も思い巡らしていました。

金曜日、組合役員の立候補締切が迫った中、書記長とも相談しながら執行委員の欠員が広がることを覚悟しました。今年度1名の欠員でしたが、来年度に向けては何とか定数を満たせるよう事前に新たな立候補者の人選を進めてきました。結局、引き受けていただけるものと期待していた方からも断わられるなど、見通しや詰めの甘さを反省しながら厳しい現状を受けとめているところです。その日は、選挙広報に掲載する次のような原稿を書き上げました。

職場の先輩から忘年会の時に青年婦人部の幹事に誘われ、きっぱり断わっていたはずでしたが、酔いが進むうちに「やってもいいかな」と答えてしまったようでした。その数年後、とても執行委員まで務められないと断わり続けながら、結局、今では執行委員長まで担わせていただいています。意思の弱さの表われとも言えますが、組合役員を続ける中で「組合は大事」という思いを強めてきたことが最大の理由でした。引き続き立候補するにあたり、改めて「組合は大事」という思いを組合員の皆さんと共有化できるような活動に力を注いでいきます。ぜひ、よろしくお願いします。

ブログを始めた頃の記事「組合役員になったイキサツ」を思い浮かべながら、短い文章の中に自分自身の原点を考える内容にまとめてみました。ちなみに土曜日は、郵送分から引き抜いた総合催告書を持って、60世帯以上の滞納者宅を訪問していました。以上のように「多忙の秋」に入った先週1週間を日記風に振り返ってみました。もともと当ブログのカテゴリーは「日記・コラム・つぶやき」ですが、週1回の更新であるため、日記と言うよりも「週記」と呼べるものとなっていました。

短い内容であれば、週に複数回投稿できるのかも知れません。それでも書き始めると「あれも、これも」と長くなる習性があるため、やはり週1回の更新が適度なペースだろうと思っています。いずれにしても組合を身近に感じてもらうという目的で、これまで自分自身の日常活動の一端を綴ってきました。あえて言うまでもなく、閲覧されている皆さんからの心証を意識した「粉飾」は考えたこともありません。等身大の姿を発信することで率直な感想や指摘、あるいは批判を受けようと心がけてきました。

その一方で、インターネット上に発信しているという特性も充分留意してきました。とりわけプロフィール欄にあるとおり組合員の皆さんらにとって当ブログは匿名での発信ではありません。加えて、これまでの記事内容から自治体名なども簡単に特定できるようになっています。したがって、個人情報に関わることはもちろん、組織として議論途中の課題などは控えてきました。時には踏み込んだ記述もありますが、どなたに読まれても問題はないと判断している内容のみ投稿してきたつもりです。

情報公開や透明性が重視されている時代ですが、このような性格のブログにおいてまで、すべて当てはまるものではないはずです。やはりケースバイケース、時機を見計らいながら取り扱うべき事柄があることも確かでした。今回、多忙な1週間を綴った記事の最後に、このような側面があることも改めて説明させていただきました。実は秋本番を迎え、慌ただしく感じるのは身体よりも心の中であるような気がしている昨今でした。

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2010年10月16日 (土)

都議会議員との懇談会

このブログでは説明の必要な言葉が出てきた場合など、その言葉にリンクをはって解説したサイトへ飛べるようにしています。一方で、自治労や連合などという頻繁に使う言葉に関しては、普段から右サイドバーの用語解説リンクに並べていました。その連合も民主党の有力な支持団体として知名度を上げていますが、正式名称を答えられる人は稀だろうと思っています。

日本労働組合総連合会の略称が連合となり、各都道府県単位に地方連合会があります。各地方連合会の中に、いくつかの地域協議会があり、さらに数自治体単位の地区協議会まで地方組織が整えられています。連合東京都連合会、いわゆる連合東京には4つの地域協議会、29の地区協議会があります。このブログの中で、連合三多摩と言えば、三多摩地域協議会を指しています。

私どもの組合が所属する地区協議会は、4つの市内にある労働組合で構成されています。正式名称で呼ぶ人はあり得ませんが、ちなみに日本労働組合総連合会東京都連合会三多摩地域協議会多摩中央地区協議会という長さとなります。実は、もともと地区協議会の副議長を務めていましたが、先月末から12月の総会まで議長代行の役割を私が担うことになりました。

任務の重さなどを考え、あくまでも繋ぎ役として引き受けているところですが、地区協議会を代表して出席しなければならない会議が増えていました。木曜日には連合三多摩が主催した推薦都議会議員との懇談会に参加していました。このような場は貴重な情報が入り、こちらからの意見も率直に訴えられるため、意義深い機会だと受けとめています。ただ昼間に行なわれることが多く、有給休暇の残日数が目に見えて減っていく難点はありました。

その懇談会には多忙な中、連合が推薦している三多摩地域選出の都議会議員20名中17名もの方々に出席していただきました。連合三多摩の政策・制度要求の内容を柱にした意見交換が中心でしたが、この日は「三多摩格差」という言葉が大きな焦点となり、いろいろな問題点や現状を改めて認識する機会となりました。そもそも東京都は、東京23区、三多摩地域の26市3町1村、大島や三宅島などの島嶼部から成り立っています。

東京23区は特別区と呼ばれ、政令市の行政区とは異なり、首長は選挙で選ばれています。さらに2000年の地方分権改革で、法的にも市町村と同じ基礎自治体となっていました。しかしながら固定資産税の賦課徴収や消防責任を東京都が担うなどの独特の側面も残していました。合わせて、都区財政調整制度という地方税の特殊な分配制度があり、港区のような裕福な自治体も多いため、通常の市町村と比べれば財政面の厳しさは次元の違う話となっているようです。

1975年の都市町村協議会で「三多摩格差8課題」が設定され、道路舗装率や下水道普及率などが解消すべき現状だと認められました。その後、三多摩地域の都市化の進展などにより、掲げられた「格差」は解消されていきました。それでも懇談会の中で話題の中心となるように「三多摩格差」は現存している課題であり、三多摩地域選出の都議会議員の皆さんが「格差」を縮めようと日頃から努力されている姿勢を充分感じ取れました。

一方で、東京都側は「三多摩格差はない」という立場であり、都議会の一般質問の中に「三多摩格差」という言葉は使わないで欲しいとの要望まであったそうです。確かに35年前に設定した課題は、ほぼ解消されたのかも知れません。しかし、三多摩地域の特に南北交通網の脆弱さ、公立小中学校における冷房完備率、電話や高速道路の料金面など、数多くの23区との「格差」の事例が懇談会の中で紹介されました。

このような比較の視点は、常に23区内と地元三多摩の事情を間近に見続けている都議会議員の皆さんだからこそ、私たちよりも強く意識する点であろうと思いました。なお、簡単に解決できない理由などの説明も受けました。例えば学校への冷房設置に関しては、基本的に各区が予算を工面しながら進めてきた経緯がありました。それにもかかわらず、三多摩地域にだけ都の税金を投入するのは、都民全体の理解を得られないという理屈が立ちはだかるそうです。

この理屈は同じ民主党会派の中でも、23区選出の都議会議員との間で論点となることも付け加えられました。そもそも「三多摩格差」という問題は、全国的には大都市圏と地方との間に広がる「格差」の問題と同根であるものと受けとめています。つまり自治体間に広がる財政力の差が様々な「格差」の問題につながっていました。そのような中で、同じ東京都であるため、ことさら「三多摩格差」という言葉が強調される構図も否めませんでした。

ただ同じ東京都で考えれば、島嶼と23区の「格差」はもっと極端なものであり、あまりにも違いすぎるためなのか、「島嶼格差」という言葉は耳にしません。いずれにしても「格差」問題の解決のためには、都区財政調整制度のような再配分機能を工夫する必要性も示唆されていました。とは言え、「石原都知事は23区だけを東京だと考えている」という話をその懇談会の中でも聞くことになり、三多摩に住む都民としては非常に残念な現状でした。

「三多摩格差」以外の話題も交わされた懇談会でしたが、私から都議会議員の皆さんへ要望した内容の骨子を最後に紹介させていただきます。連合三多摩の要求書の中に「市民に必要とされる良質な公共サービスを保障し、公共サービスに従事する者の労働環境が適正に保持されるよう、公共サービス基本条例を制定すること」という一文があります。その趣旨を踏まえれば、最近の記事「非正規公務員の課題」でも取り上げていましたが、自治体内に急増している非常勤職員の待遇改善の問題を重視していかなければなりません。

しかし、非常勤職員の昇給制度の導入や手当支給に対し、総務省や東京都から「適切ではない」というような見解が示されがちでした。一方で、「非正規公務員の課題 Part2」の冒頭で示した枚方市の裁判結果では、非常勤職員への手当支給も「適法」と判断されていました。このような情勢を追い風とし、東京都が杓子定規な「指導」を各自治体へ行なわないためにも、非常勤職員の待遇改善に向け、よりいっそう都議会議員の皆さんのご理解ご協力が重要であるものと要望させていただきました。

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2010年10月10日 (日)

再び、多面的な情報への思い

今年5月に「多面的な情報への思い」という記事を綴りました。同じモノを見ていても、見る角度や位置によって得られる内容が極端に違ってきます。一つの角度から得られた情報から判断すれば明らかにクロとされたケースも、異なる角度から得られる情報を加味した時、クロとは言い切れなくなる場合も少なくありません。クロかシロか、真実は一つなのでしょうが、シロをクロと見誤らないためには多面的な情報をもとに判断していくことが非常に重要です。

このように書き込み、このブログも多面的な情報を提供する一つのサイトとしてインターネット上の片隅に加わり、公務員やその組合側の言い分を発信してきました。とりわけ自治労への手厳しい見方がインターネットを通して散見できますが、思い込みや事実誤認による批判だけは避けて欲しいものと願っていました。したがって、客観的な議論の土台を築くためにも多面的な情報の発信が欠かせないものと考えています。

再び、そのような思いについて今回の記事で取り上げようと考えたのは、民主党の小沢元代表が検察審査会の議決によって強制起訴される報道に接した時です。定められた制度に基づき示された結論ですので、そのことに対して不当だと批判するつもりはありません。審査会委員11人の平均年齢が30.9歳という極端な偏りも、くじ引きによる偶然だろうと信じています。しかし、その11人の委員がどの程度、多面的な情報をもとに判断されたのかは非常に興味がある点でした。

これまで当ブログで何回か紹介している「永田町異聞」の「検察審の欠陥をさらした小沢強制起訴議決」や「検察審議決の重大な欠陥を無視するマスメディア」という最近の記事のような事実関係を押さえるだけでも、違った結論の出る可能性が高まることも否定できません。そもそも検察は贈収賄という本丸をめざし、政治資金収支報告の不備を虚偽記載として捜査に切り込んでいました。さらに検察は自ら描いたシナリオに対し、世論の追い風を得ようとして数々の情報をリークしていたことが明らかです。その結果、小沢元代表が「何か不正を働いている」というイメージを作り出すことに成功していました。

その検察も大阪地検特捜部の証拠品捏造問題で、捜査手法などに対する信頼が失墜しています。このような検察の体質が明らかになっていますが、これまでマスコミは検察情報を鵜呑みにした論調で報道を繰り返しがちでした。そのため、全員一致ではなかったようですが、「起訴相当」に至った今回の議決は、マスコミ情報から一つの見方を固めていた委員の多さの表れだったことが想像できます。とは言え、植え付けられた疑念を拭えるような適切な情報発信が、小沢元代表側に不足していたことも指摘しなければなりません。

ちなみに今回記事の主題は、小沢元代表がシロかクロかを扱うものではありません。今後、司法の場でシロクロが争われることになりますので、その行方を関心を持って見守っていくだけです。今回、提起したい問題は多面的な情報の大切さです。言うまでもありませんが、裁判官に対しては多面的な情報を適確に把握され、必ず公正な判決を下されるよう誰もが期待しているはずです。それでも冤罪はなくならず、無実の人が理不尽な処罰を受けてきたケースも決して少なくありません。

新党大地の代表だった鈴木宗男さんの「ムネオ日記」もブックマークし、よく閲覧しているサイトです。先月、斡旋収賄罪の実刑判決が確定していますが、鈴木さんの日記を読み続けていると、この事件も検察の描いたシナリオをもとに作られた構図が感じ取れてしまいます。本人が発する情報や主張ですので慎重に受けとめるべきものなのかも知れませんが、検察への不信が強まっている中、裁判所側の供述重視の判断にも疑問を持つ必要性が生じているのではないでしょうか。

特にその供述内容が真実なのかどうか、検察の言い分がすべて正しいのかどうか、これまで以上に裁判官には多面的な情報をもとにした検証能力が求められていくはずです。もう一つ、違った角度からの情報を得たことで、これまで認識してきた印象が変わった事例を紹介します。やはり最高裁まで争った結果、収賄罪の実刑判決が確定した防衛省の事務次官だった守屋武昌さんに絡むエピソードとなります。

時々、図書館から本を借りています。最近、借りた本の中に守屋さんの著書『「普天間」交渉秘録』がありました。官僚の立場から普天間飛行場の移転問題などを生々しく綴ったドキュメントでした。収賄事件に関しては「便宜を図ったことはない」と一言のみを添え、守屋さんは「防衛が国の重要な問題となり、それを当事者たちがどのように考え、どう対応したかを記録に残したい」と述べ、在日米軍再編や防衛庁省昇格の問題を中心に著した書籍となっていました。

在職中の日記をもとに正確な日時とともに、すべて実名が記された文字通り様々な交渉に関する秘録でした。失うものがなくなった守屋さんだからこそ、ここまで踏み込んだ記述ができたものと思え、たいへん興味深い内容でした。辺野古への移転問題の是非は横に置きながら読み進めましたが、単なる暴露本ではなく、一定の自制心が働いた文章の中から関係した政治家に対する評価も感じ取れていきました。

例えば防衛通と目され、防衛大臣経験者である自民党の石破茂政調会長の評価は決して高くないようでした。「どれだけ我々が沖縄の現地に足を運び、苦労して辺野古の案をまとめたか」というような言葉を石破政調会長から聞いた記憶があります。しかしながら守屋さんの秘録の中では、石破政調会長の存在感は希薄であり、逆にピントの外れた発言を行なう場面などが描かれていました。同様に女性初の防衛大臣を務めた自民党の小池百合子総務会長も、官僚の視点からは厄介な我がままな上司に過ぎなかったようです。

当然、自分自身の言動が正しく、それぞれの人物評も個人的な距離感や関係性の中から語られていることを踏まえなければなりません。そのように割り引いたとしても、私自身の守屋さんに対する評価は少なからず変わりました。防衛省に長く君臨し、利権をむさぼっていた「悪人」としか思っていませんでしたが、守屋さんの職務に対する熱心さや使命感がヒシヒシと伝わり、それまで抱いていた印象を変えざるを得ない機会となっていました。

今回、具体的な事例を示しながら、多面的な情報について考えてみました。つまり自分自身の体験上、仮にマスコミ情報だけで判断していた場合、小沢元代表の強制起訴は当たり前、鈴木さんや守屋さんは「悪人」というイメージを固定していたものと思っています。真実がどうなのか言い切れるものではありませんが、インターネットや書籍から多面的な情報を得たため、違った視点でそれぞれの人物を評価できるようになっていました。そして、冒頭に述べた意味合いから、このような点の意義を見出しているところでした。

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2010年10月 3日 (日)

減り続けている現業職場

先週の日曜、私どもの組合の現業評議会が中心となり、給食展という催しをターミナル駅近くのホールで開きました。安全でおいしい給食をアピールする目的で始めた給食展は今年で3回目となります。今回、初めて市教育委員会からの後援も得て、学校を通じて児童生徒らにPRチラシを配ることもできていました。また、会場の立地条件の良さもあり、親子連れを中心に600人を超す来場者で賑わい、試食の予約受付もあっという間に締め切られるほどでした。

これまで給食の課題では「学校給食への安全責任」「学校給食のあり方、検討開始」「メタボリック症候群と学校給食の役割」などの記事を綴っていました。中学校給食は導入の時点から民間委託でしたが、小学校給食は自校方式とセンター方式の2通りに分かれながらも市が直接運営していました。今後、老朽化したセンターの建て替えに伴い、新しい共同調理場がPFI(「行政のアウトソーシング」参照)方式で建設されます。

その際、調理業務は直営にすべきと組合側から主張してきましたが、残念ながら昨年末の交渉でその願いは実現できない決着を受け入れていました。とは言え、自校方式の小学校や保育園の調理業務は今後も市が直営責任を果たしていきます。また、運営が民間かどうかにかかわらず、給食の意義や安全面の重要性に変わりはありません。このような現場の職員一人ひとりの思いを託し、市民の皆さんに広く呼びかけた給食展を一昨年から始めていました。

さて、前回記事「非正規公務員の課題 Part2」へのコメント欄は閑古鳥が鳴く一方、少し前の記事「混迷を深める阿久根市の夏」のコメント欄には連日多くのご意見が寄せられていました。主に投稿者同士の意見交換が続き、管理人である私も一閲覧者となって、その議論の行方を見守らせていただきました。どうしても個々人の視点や基本的な発想の出発点が異なるようであり、同じ事例を論じていても意見が真っ向から対立しがちな傾向をたどっていました。

しかしながら皆さん、できる限り冷静な議論に努めていただき、荒々しい場にはならず、たいへん感謝しています。私自身は実生活に極力負担をかけないよう週1回の記事本文の更新に集中しているため、コメント欄での議論に参加することは必要最低限にとどめていました。自分なりに思うところがあっても、なるべく中途半端な参戦は控えるようにしていました。したがって、その議論の流れを踏まえた内容、つまり阿久根市に関する話題を今回の記事で取り上げることも考えました。

それでも今回は冒頭に示した給食展について触れる予定でしたので、表題のような内容につなげることとしました。いずれにしても阿久根市の動きは、ずっと注目しているところですので、近いうちに必ず取り上げるつもりです。ちなみに今回の記事のテーマは各自治体が共通して抱える悩みと言えますので、公務員を巡る各論から総論に広がった論点にもなり得るものと思っています。

1989年に連合が発足した際、自治労の中から約20万人が新たに結成した自治労連へ流れました。それでも当時の自治労は100万人の組合員数を擁し、連合内で最大の産別組織として目されてきました。現在では109万人まで組織拡大を果たしているUIゼンセン同盟にその座を譲っています。一方の自治労は2000年を境に減少が始まり、90万人を割り込む現状となっています。

自治労も公共民間サービスに従事する皆さんなどの組織化に力を注いできましたが、職員数の抑制やアウトソーシングによる減少幅のほうが大きく上回る経過をたどっていました。清掃、学校用務、調理などの職場に働く職員が現業又は技能労務職と呼ばれます。この10年間で自治労の組織人員は10万人以上減少している訳ですが、そのうちの多くが現業職の組合員でした。

その背景として、地方財政の厳しさがあり、行革の柱が人件費削減に置かれがちな現状を指摘しなければなりません。削減の手法としては民間委託の推進など業務のアウトソーシングが主流となり、清掃や調理などの現業職場を対象としやすい実情がありました。本来、民間会社のマージンが発生するため、委託が経費節減に直結する仕組みは疑問視すべき問題だろうと考えています。

しかしながら悩ましい現実として、公務員と民間労働者の賃金水準の差が委託の推進イコール財政の健全化につながっていく構図となっていました。もともと端的に言えば、公務員賃金の水準は民間相場の反映です。それにもかかわらず「公務員の給与は高い」と見ている方々が圧倒的に増え、実際に高い側面があることも否めません。なぜ、そのような見られ方となるのか、いろいろ理由があげられます。⇒参照記事(公務員批判への「答え」は?

  1. 労働基本権制約の代償機能として置かれている人事院は、同種同等の原則を踏まえ、企業規模50人以上かつ事業所規模50人以上の民間会社の実態を年に1回調査して官民較差の是正を勧告しています。この「50人以上」の調査に対する賛否があるようですが、現行のシステムは同種同等の原則を重視していました。
  2. 公務員の賃金は国や他の自治体職員との均衡をはかるように求められています。その調整機能として地域給制度の導入がありましたが、各地域の地場賃金の水準をストレートに反映しない仕組みであることは確かでした。
  3. 年功給が強い賃金表であり、高年齢層の年収は必然的に高い水準となっていました。加えて、全国的には新規職員の採用を手控えている現状があり、職員の平均年齢の上昇とともに平均年収は高くなる傾向がありました。
  4. 生計を支えなければならない非正規労働者が社会全体で急増しています。その方々から見れば、正規公務員の年収は「高すぎる」水準だろうと思います。一方で、前々回記事「非正規公務員の課題」の中で示したとおり非常勤職員の年収は極めて低い水準です。このような「格差」の問題を解決しない限り、正規公務員の賃金は常に羨望や批判の対象となっていくものと自覚しています。
  5. 同じ自治体に働く職員として、各業務に対する責任の重さに差異はないという考え方のもと、現業と非現業の賃金水準に大きな差を付けていないのが通例でした。しかしながら民間における類似業務の賃金水準と比べた場合、上記4点の理由と重なりながら、とりわけ現業公務員の年収は突出しているという見られ方が強まっていました。

以上の5点は、公務員賃金が置かれた現状を記したものです。今後、公務員制度改革の行方によっては、これまでの賃金決定システムが大きく変わっていく可能性もあります。最低限、労使交渉に基づき決めていくシステムの確立が欠かせませんが、労働組合の立場からは現行水準を大幅に引き下げる方向性を簡単に是認できるものではありません。当然、現業職の賃金水準に対しても同様です。

「かつては安月給の代名詞だった役所職員の給料」という言葉を組合役員OBから聞くことがあります。高度経済成長期より前の話ですが、いつのまにか前述したように公務員賃金は高水準と見られるようになっていました。社会全体の賃金水準が底上げされ、再び公務員賃金が平均と見られるようになることを理想視しています。しかし、残念ながらその逆に向かう平均化はあっても、非正規労働者も含め、全体的に引き上げていく道筋は容易ではないものと思っています。

その困難さにひるみ、既存の労働組合が社会全体の底上げをめざす姿勢を崩すようでは問題です。一方で、自治労としては減り続けている現業職場の課題にも立ち向かっていかなければなりません。やはり待遇に見合った職務のあり方と合わせ、そのことを住民の皆さんに認知してもらうための努力が重視されていくものと考えています。このことは現業、非現業問わず重要な課題ですが、特に現業職の場合は単純労務職という位置付けの転換が求められていました。

木曜夜には現業評議会の主催した学習会があり、H市職員組合の委員長から現業職場の今後に向けた提起を受けました。より住民に近い職員の立場を活かし、現場サービス拡充の重要性が説かれました。H市における一例として、高齢者の健康や安否確認を目的とした「ふれあい収集サービス」が紹介されました。つい先日も現業職員の訪問によって、倒れていた単身高齢者の早期発見につながり、一命を取り留めることができたそうです。

私たち公務員の賃金水準が高いのかどうか取り沙汰されがちですが、組合役員の立場からは現状を起点に物事を考えていく責任があります。一方で、財政破綻は絶対避けなければならないため、適確に情勢を把握していく必要性も認識しています。その上で、今回の記事で綴ってきたような問題意識を抱えていることについて、ぜひ、ご理解いただければ幸いです。最後に、自治労全体の「現業労働者の取り組み」方針となっている一文を掲げ、結びとさせていただきます。

  • 現業(現場)活性化を推進し、職場において誇りを持って働くことができ、社会的に必要とされる仕事としての「職の確立」をめざします。
  • 現業職場における臨時・非常勤等職員、委託労働者の組織化の取り組みを進め、賃金・労働条件改善を実現し、社会全体の底上げを実現します。
  • 災害に強い社会、地域での資源循環を前提とした持続可能な社会の実現にむけ、現業職種間の連携を強化し、地域づくりに果たす現業の役割を拡大します。

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