定期昇給の話
いろいろな意味で、あわただしい日々が続いています。一方で、たいへん意義深い議論が当ブログを通し、精力的に行なうことができています。それでも公務員の働き方や処遇のあり方について、もっと深めた議論を求められている方々にとって、まだまだ消化不良であろうと思っています。その中で、横道にそれた内容で恐縮でしたが、前回記事「鳩山首相の軽率な発言」は、自分にとっての労力や気力の面からも「箸休め」ようなものでした。
しかし、思いがけない厳しい批判の声がmobileSEさんから寄せられました。同じように感じる方々も多数いらっしゃるのでしょうから、そのような反発があり得ることを認識する機会となっていました。このような反応を想像できなかった感度の鈍さを省みながら、常々述べてきた点ですが、ネット上に書き込むことによって幅広い意見を伺える貴重さを改めて感じ取っています。
mobileSEさんからは連合と民主党との関係性など、様々な問題提起が示されていました。ぜひ、全体的な内容は前回記事のコメント欄をご覧ください。その他にも前回記事のコメント欄では、複数の方々による興味深い議論が続きました。いろいろ論点は広がっていましたが、その議論などを踏まえ、今回の記事では定期昇給の話に絞って掘り下げてみるつもりです。
鳩山首相の定期昇給に絡む発言に対する評価が、世論の中で枝分かれしていく可能性があることは分かりました。しかし、そのように思わない労働者の声が多いことも間違いありません。ベースアップは無理でも「せめて定期昇給は実施して欲しい」という願いが強ければ、やはり違和感が生じる発言だったはずです。
また、鳩山首相の発言が軽率かどうかの話ですが、私は軽率だったと思っています。「連合の考えとすれば理解できる。ただ、経済状況はそう簡単ではない。経営者にとってみて、簡単に昇給できるという状況ではないと思う。しかし、内需拡大の側面からも、ぜひ、経営者側にも努力いただきたい」と一言添えるだけでも、連合側の印象は大きく違ったものと思っています。
前回の記事タイトルで、問題視した発言が計算され、強い信念を持って鳩山首相が発信しているのであれば「軽率」という形容詞を使っていません。そもそも鳩山首相をはじめ、オールマイティーに物事のすべてを把握できる人物は稀であろうと思っています。「実は真意は違った」という釈明につながるのは、鳩山首相にとっても、民主党にとっても好ましくないものと感じています。
したがって、状況に応じ、支援した組織としての責任を果たすためにも、伝えていくべきことは伝えていくことが重要です。その際、連合の「ゴリ押し」や「横槍」と見られないような節度を持った距離感を意識しながら、同時に労働者の問題は「連合が支えている政権だから安心」という評価を幅広く得られていくための情報発信が求められているはずです。
このような個人的な問題意識を前置きとしながら、話題となった定期昇給の位置付けや現状などを今回の記事でまとめてみます。かなり前の記事「八代尚宏教授の発言 Part2」で、八代教授の著書「雇用改革の時代」の中の記述を紹介したことがあります。日本的雇用慣行の柱である定期昇給などについて、「企業が労働者の長期雇用を保障するのは温情ではなく、企業の教育訓練投資の成果である熟練労働者を重視したものであり、年功賃金と退職金制度は熟練労働者を企業に縛りつける仕組みである」と述べていました。
労働組合の立場からは、生活給という位置付けで定期昇給をとらえ、子どもの教育費など人生の支出が増える時期に比例して賃金が上がる年功給を合理的なものだと考えていました。スキルアップと生活の変化に対応しながら、働く側にとっては安心して将来の生活設計を描け、経営側にとっては帰属意識の高い人材の安定的な確保や企業内教育を通じた労働生産性の向上がはかれ、双方のメリットがこのような仕組みを支えてきました。
ちなみにベースアップとは賃金水準の引き上げであり、賃金表全体の数字が書き換えられます。定期昇給とは先輩に追いつくための個人別賃金の上昇であり、賃金表において上位の水準への移動となります。つまり勤続年数や年齢を重ねることによって、その賃金表に基づき一定の額が定期的に上がる仕組みでした。一方で、中小企業の約半数は賃金表がなく、定期昇給制度が確立していません。
連合に結集する労働組合の中でも、春闘を通して新年度からの昇給額を決める組合も少なくないようです。そのため、連合は今春闘において「最低限、賃金カーブの維持」という統一的な要求表現としていました。このような実態もありますが、基本的には官民問わず、定期昇給は日本特有の終身雇用制度を支える基礎だったことに間違いありません。
しかしながら1990年代以降、年功序列的な賃金体系を見直す動きが相次ぎ、定期昇給自体を廃止する大手企業も少なくありませんでした。企業が熾烈な国際的な競争に勝ち抜くため、人件費抑制の一環として年功給が見直され始めたと言えます。さらに成果主義の広がりとともに日本型の雇用慣行を大きく改める企業も急増していました。なお、今春闘で連合は、年功給を改めて重視していく立場からも定期昇給の実施を強く求めているようです。
いずれにしても公務員賃金は情勢適応の原則があり、そのような社会的な変化に呼応しなければなりません。しかし、民間でも決して年功給そのものが例外となっていない中、公務員の賃金表は引き続き年功序列を基本としています。その上で、50歳代の一定年齢での昇給停止などの見直しが取り入れられてきました。
「公務員の賃金は高い」と言われがちですが、この年功給を重視した体系も一つの要因となっています。特に地方自治体では職員数抑制の行政改革が進む中、新規採用が手控えられてきました。その結果、年功給の上位に位置付く高齢層の割合が高まり、よりいっそう平均賃金の額として「高い」という印象を与えているものと思います。
このような情勢の中、人事委員会勧告に基づく賃金水準の引き下げが続く一方、各自治体では賃金表の独自な見直しも進められていました。私どもの市でも昨年3月、賃金表の大きな見直しについて労使合意しました。最高号給額(月額給料)の引き下げとともに賃金上昇カーブを全体的に改めました。ちなみに比較的人数の多い非現業主任職の最高支給額は434,3000円から402,300円へ改めました。
その際、現行の支給額が新たな賃金表の最高額を上回っていた場合、現給を保障していくことで決着しました。その結果、役職が上がらない限り、職員の多くは50歳になる前から退職まで昇給しない賃金体系となりました。組合役員の立場からすれば誇れる話ではありませんが、mobileSEさんのように「下がった訳でもないでしょう」という辛口な見方も残ります。また、「それまでがもらいすぎ」「見直した後の額だって恵まれている」というような声も示されるのかも知れません。
大幅に見直した昨年の4月以降、東京都人事委員会勧告を基本に今年1月から平均△0.35%、この4月から昨年の交渉結果を踏まえ、さらに△0.24%の賃金引き下げを受け入れています。実は昨年の決着の際、毎年1月1日現在の類似団体8市の平均値を基準に見直していくことを確認していました。私どもの市だけ三多摩他市と比べて低水準とならない歯止めをかけたものと言えますが、賃金交渉が受動的になりがちな点などを総括しています。
定期昇給の話から私どもの市の現況などに触れてみました。当たり前なことですが、今春闘の争点となっている定期昇給の凍結は、年齢層を問わず賃金水準が据え置かれることになります。官民問わず全体的な状況として、高齢層の賃金は抑制気味であり、定昇が頭打ちの場合もあり得ます。その一方で高齢層の賃金は、ある程度の水準まで到達しているという見方もできるため、定昇の一律ストップは若年層への影響が大きくなるものと考えています。
mobileSEさんから「労組というところは若手の待遇すら人質にして、頑なに年寄りの待遇を確保するのだなと思う訳ですよ」という批判的な意見が寄せられていました。「労組は悪」という決め付けが感じられる残念な言われ方でしたが、基本的な前提として前述したような問題意識を抱えている中での「定期昇給の凍結は若年層の賃金も一律に抑制してしまいます。そのような意味合いからも、定期昇給の実施は必要であるものと考えています」という思いだったことを改めて強調させていただきます。
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コメント
この記事の趣旨は、定期昇給の合理性ということでしょうか。
日本経済が右肩上がりであれば、ベースアップも、定期昇給も維持できるのでしょうが、そうもいかなくなってきたと。企業の場合であれば、
内部留保を取り崩してそれに当てるべきだという議論も出てくるのでしょうが、自治体の場合は?
基金は条例で定めるところの目的がありますから、職員の定昇維持のために取り崩すわけにはいかないでしょう。
となると、住民の福祉に直結する予算とパイの奪い合いになってきませんか? その場合、定昇維持に税金等の公金を振り向ける方が、
職員士気向上により、長期的に見て、より住民福祉に資するということを、説得力ある理屈で説明する必要があると思います。
記事の趣旨を取り違えていたとしたら、失礼。
投稿: BIBI | 2010年3月 8日 (月) 20時13分
「OTSU」氏 と役所所属の方々
※今回は批判する方向でなく、条件を教えて貰いつつ淡々と知ってる範囲の職場を比較してみようかと思っています。
今回の記事の前提条件が今ひとつ理解できないので質問なのですが、貴役所の賃金表は1級から6級まであり、それぞれ号数により賃金が定められていたと思います。そして事務職における役職名は下から、
主事 主任 主査 係長 課長 次長 部長
でしたでしょうか。これらの種別とそれぞれがどの級に属するのか不明なので教えて頂けると助かります。
自力で調べてみても、これらの役職名の他に「副主幹」だの「主幹」だの「補佐」だのが出てきて複雑な上に、それらに「困難」とか形容詞が付くこともあるみたいで、調べるより聞いた方が早いかなと・・思ったのです。
まぁ、自分で調べろとか言われそうですがw
聞いた方が楽そうなので、たまには素直に聞いてみようかと・・。
投稿: mobileSE | 2010年3月 8日 (月) 21時08分
BIBIさん、mobileSEさん、コメントありがとうございました。
この記事は文字通り「定期昇給」をキーワードに思いつくままに話を進めてみました。今春闘における定昇重視の背景、BIBIさんがご指摘されたような定昇の合理性、企業の人件費削減に利用されがちな定昇廃止の動き、私どもの自治体も含めて進められている賃金表の見直しなど、様々な話題を盛り込んでいました。強いて訴えたかった点を問われれば、やはり年功給の体系は大事、それでも情勢適応の原則や財政状況の厳しさを踏まえ、各自治体では労使協議を通して一定の見直しを進めている現状について触れてみました。
mobileSEさんからのお尋ねですが、級の数は自治体によって若干異なります。私どもの市では、非現業職員の行政職給料表(1)は6級制で、現業職員の行政職給料表(2)は3級制です。1~2級は係員(主事)、3級は主任、4級は係長・主査、5級は課長・主幹、6級は部長・参事となっています。次長については、部署によって少し違いがあり、議会事務局長は部長職、その次長は課長職となります。一方で、選挙管理委員会と監査委員会の事務局長は課長職、次長は係長職と位置付けられています。
なお、課長補佐職や統括係長職はなく、東京都などと比べれば、シンプルな職層だと言えます。また、参考までに昨年3月に見直した際、最も低い給料月額となる高卒初任給は138,000円でした。このような数字を示すことで評価は分かれるものと思いますが、ますます年功給の印象が強まるのではないでしょうか。
投稿: OTSU | 2010年3月 8日 (月) 21時46分
※「終身的長期雇用と定期昇給は、最強の社会保障だ」という説もあって、そうした説を全否定は出来ないと考えている私にとっては、現状の政府の規模(施策分野ごとの支出の内訳とGDP比)&国民負担率や債務残高のGDP比を考えると、定期昇給は、社会の安定の維持・階層の固定化を回避する一つの手段としても意義があるように思います。
※給与表の等級と肩書きの対応では、「本庁の係長=支所の課長=同じ級」というような例もありますから、肩書きだけで等級を推量するのは難しいかも知れませんしね。
投稿: あっしまった! | 2010年3月 8日 (月) 22時54分
>mobileSE さま
>主事 主任 主査 係長 課長 次長 部長
>でしたでしょうか。これらの種別とそれぞれがどの級に属するのか不明なので教えて頂けると助かります。
うちでは、8級構成です。
主事:1級
主任:2級
主査:3級
係長:4級
課長:5級
部長:6級
(もっと上):7~8級
だいたい、こんなもんです。
もっと上、というのは、局長と、局長と部長の間の職位です。
投稿: イール | 2010年3月 9日 (火) 00時37分
追伸です。
役職名と、適用給料表の級は、
大抵「初任給、昇給、昇格規則」という名称の規則のうち、
級別職務表などという別表にて規定しているところが多いです。
投稿: イール | 2010年3月 9日 (火) 00時44分
国の機関に勤務する者(組合員ではありません)ですが、先月からの公務員の処遇に関する議論について、正直な感想は納得する部分と容認できない部分があります。
ただ、現在の国の財政状況は無駄使い云々よりも完全な歳入不足であることをきちんと国民に説明する必要があると思います。法人税を下げたこと、所得税の累進を緩和した影響が出ているのですが、
だからといって今更上げる訳にも行かない状況があります。このような状況を打破するためには、冷静な議論と信頼された内閣が必要と思われますが、現状ではどちらもないのが悲劇です。
現状を打破するには国民(公務員を含む)の相当の覚悟が求められています。公務員の定期昇給どころの問題ですまない状況になっていることはかなりの人が気がついているのではないでしょうか。
投稿: takutaku | 2010年3月 9日 (火) 01時29分
あっしまった!さん、イールさん、takutakuさん、おはようございます。コメントありがとうございました。
確かに財源の問題は重要ですが、人勧以上の独自な削減などを行なう場合は最低限、労使で充分話し合って決めることが不可欠だと考えています。したがって、昨年末、阿久根市の竹原市長のように定昇停止を一方的に決める手法は論外だと思っています。
ちなみに最近、また竹原市長は全国的に注目されていました。気に入らないマスコミが議場の傍聴席にいるからという理由で、本会議をボイコットしていました。その報道を耳にした組合員から「ブログで阿久根市長のことは書かないのですか」と尋ねられましたが、指摘したい点は以前の記事で書き尽くしているものと思っています。一つの話題として取り上げるかも知れませんが、「今のところ予定はありません」と答えていたところでした。
投稿: OTSU | 2010年3月 9日 (火) 08時16分
「OTSU」氏 と役所所属の方々
コメントに返信ありがとうございました。今回はコメントの都合上、出来るだけシンプルにしたいので対象を市町村役場として、「OTSU」氏の意見で強引にまとめると
1級:主事(事務員) 2級:主事 3級:主任 4級:係長・主査
5級:課長・主幹 6級:部長
となり、上段が一般職で、下段が管理職となる認識で良いのかなと思います。
※イール氏の例の場合、市町村より上級官庁の場合という様に読めました。すなわち上級官庁の係長が地方に来ると課長扱いになるという感じの違いかなと・・。
ここまでで感じることは、(私が知っている)民間と比較して職級が少ない割に職名が多いという事ですね。(あくまでも私の知る)民間では職級は最低10ランクくらいあり、それに対して職名は相当少ないです。例えば、
一般1級~一般3級:ヒラ(職名無し)
一般4級~一般5級:主任
熟練1級~熟練2級:係長
熟練3級~熟練4級:課長
熟練5級:部長
の様になり、管理職は熟練3級より上となります。
※各名称は適当ですし、職級も更に細かく別けられているところもあります。企業毎に色々と名称があり、まとめられないので強引に書きました。また、一部で階級名と職名がゴッチャになっていますが気にしないで下さいw
民間の場合、成果に応じて細かく給与に差を付ける必要があるので職級は必然的に細かくなる様です。また最近は組織のフラット化と称して職名が付く人が少なくなる傾向がありますので、例えば1係10名の係が3つで課、その課を3つで部とした構成の場合
部長:1名 次長:1名
課長:3名
係長:9名 主任:18名
ヒラ:63名
の計95名くらいの構成が標準でしょうかね。ちょっと平均年齢が上の組織でも主任クラスが3名程度というくらいで、官民を比較すると職名付きが少ないのが民間の特徴になるかと思います。
※本来的に組織のフラット化とは役員数の削減を指すはずなのですが、どうも安易に中間管理職を削ったところが多いため、こんな事になっていますね。
そして、また役所所属の皆さんに質問になって恐縮ですが役所の場合で先の例の様に、1係10名の係が3つで課、その課を3つで部とした構成の場合に各役職は何名くらいになるでしょうか。代表的な例として教えて頂けると助かります。さらに「OTSU」氏には追加で質問なのですが、今回記事で数値の上がった主任とは3級職員の事でしょうか。
※次回以降は、ちょっと強引な比較になると思いますがご容赦下さいませ。
そして「OTSU」氏
>組合員から「ブログで阿久根市長のことは書かないのですか」と尋ねられましたが、
>(中略)「今のところ予定はありません」と答えていたところでした。
件の市長についての私自身の認識は「過去の人」となっており既に論議の対象外なのですが、新聞記事等をみると暴走に加速が掛っており最近は議会や委員会すら無視する様になったそうです。そしてここまでなら放っておけとなるのですが、今日の新聞では市長の意に沿わずに降格された職員を「職員研修」と称して、市長支持派が多く集まる「市民懇談会」に強制的に出席させるそうです。これは私の個人的な考えですが「リンチ」に相当するものになり得ると判断します。
※市長独断の人事程度ならば勝手にしなさいと思うし、それぞれが納得できないのならば司直に判断を委ねれば良い訳で、それについては組合の出番なんぞ有りませんと思うのですが・・これは話が全く異なる事例と思います。
もちろん「OTSU」氏が属する組合には直接関係の無い事例ですが、これに対しては(声を大にして)触れるべきと思いますが如何でしょうか(私の持論では公務員は政治的に中立であるべきだし、職員組合は一切の政治活動をするべきではありませんが、それとこれとは話が別で、これに関しては政治活動とは思いません)。
理不尽な扱いから職員の身を守れない職員組合に存在意義はありません。また、こちらのブログは件の市長の後援会サイト管理者を始め阿久根市に関係する人も多少は見ている様ですので、是非取り上げるべきです。
そこら辺の政治活動やらデモ活動なんかより、今回の件で全国の職員組合から手を差し出す事の方がよっぽど重要な活動だと思いますよ。
※またキャラが違う・・でもキチンと声を出すべき事例と思いますので、考えの違いを無視して支援する次第です。もっと冷静に見た方がいい?・・これも感情的とか極論になるのですかね?・・・・。
投稿: mobileSE | 2010年3月 9日 (火) 17時44分
「BIBI」氏 ※引用を少し略させて貰います。
>(前略)住民の福祉に直結する予算とパイの奪い合いになってきませんか?
>定昇維持に税金等の公金を振り向ける方が、より住民福祉に資するということを、
>説得力ある理屈で説明する必要があると思います。
ちょっと確認なのですが、過去バブル景気の時に民間の多くが社員に利益を配分した際にも、税収が堅調だから職員に臨時ボーナスを出しましょうとはならなかったというのを踏まえた上で仰ってますよね。それを判った上で説明を求めるのと、知らずに説明を求めるのでは質が異なると思いますので念のため確認です。
私の場合は、それらを踏まえた上で敢えて日頃から年寄りの給与を下げろと言っているので、こっちの方が性質が悪いかも知れませんけど・・。
また、詳しい人がいれば聞きたいのですが、私は職員給与を下げる事により現状の制度では別な問題を生む可能性もあると思っています。例えば、職員給与は起債が認められていませんが、人件費を1000万円削りそれを箱物に回されたならば起債率90%として9000万の負債が増える結果は有り得るのかなと・・。
そういう意味で、削減した人件費をどのように使うか事前にキチンと論議しておかないと、結果として負の遺産ばかりが残るという事になるのではないかと憂慮しています(素人考えです。突っ込みお待ちします)。
ですから「住民負担の世代間の公平を確保するための調整」と称して起債を推奨する役所の変な風潮から、過大なサービスを要求する住民の変な意識まで全体的にメスを入れながらでないと、この話は正しい方向に進まないのではないかと思います。
※しかし現状の自治体財政をみれば、とにかく「人件費を減らさないとね」となるのですが・・。だからと言って下げた分で変な使い方をされたら職員も辛いでしょう。そして地方では未だに土建屋議員の勢力が強いので、変な使い方をされる可能性が高いと思うのです。
もちろん「BIBI」氏の指摘の様に職員の給与と住民の福祉でパイの奪い合いになっている事実もあり、現在の景気状況では氏の理屈が大勢を占めると思いますが、別の見方もあるという事で・・。
「takutaku」氏 ※引用を少し略させて貰います。
>現在の国の財政状況は無駄使い云々よりも完全な歳入不足である
>(中略)だからといって今更上げる訳にも行かない状況があります。
過去90年代の後半頃に多くの大企業で本社機能を海外へ移す事を本気で検討した時期がありました。私の知る事例でもSONYなどは本社の米国移転へ秒読みの状況まで計画を進めていました。結局この計画は色々な理由で立ち消えた様ですが、この様に企業はメリットが無いと判断すれば国すら簡単に乗り換えることが出来るという事でしょう。
ですから国家間の競争の結果として「小さな政府」となることは、日本が資本主義の中で生きる以上は変える事の出来ないことなのだろうと思います。
>現状を打破するには国民(公務員を含む)の相当の覚悟が求められています。
だから、上記は当たり前の事として全ての人が受け止めなければなりませんという事ですね。でも、気がついていても気がつかない振りをする人や、それに騙されている人が多数でもあり頭が痛い状況です。もう頭の中がお花畑の人が日本全国津々浦々という状況で末期的と思いますが、議論は諦めずに続けなければなりませんという事でしょう。
一番注意すべきは、深く考えずに法人税さえ上げれば全て解決とする世論が強まる事で、これだけは避けるべきではないかと思います。
※キャラが違い過ぎて何を言ってるか支離滅裂かも知れません。どなたの意見に対しても批判しているつもりは無いので、ご容赦を・・。
投稿: mobileSE | 2010年3月 9日 (火) 19時28分
mobileSEさん、いつもご訪問ありがとうございます。
まず質問にお答えします。係長と係員1人だけの係もあれば、20人近く係員がいる係もあります。課も5人程度から50人以上と大きな開きがあります。大きな課は、やはり出先施設を抱える市民課、保育課、図書館などです。また、記事本文で例示した主任職は、ご指摘のとおり3級職員です。
ご紹介いただいた阿久根市の「職員研修」の話は初耳でした。確かに私もmobileSEさんと同じような懸念が否めません。どのような位置付けなのか、より正確な情報を集めなければなりませんが、公開「リンチ」のような場だった場合、それこそ組合の出番だろうと思っています。詳しい状況が把握でき、必要とあれば久しぶりに阿久根市の話題を当ブログでも取り上げてみるつもりです。
投稿: OTSU | 2010年3月 9日 (火) 21時22分
#某地方公共団体首長による、特殊研修の件ですが、
職員団体としては、「迂闊に動いて、(法的妥当性は別として)免職辞令の交付者を増やすことにならないよう、上部団体と相談するなど対応を慎重に検討中」という話が、(出所を忘れましたが)一部報道ではあったようです。
投稿: あっしまった! | 2010年3月 9日 (火) 21時58分
あっしまった!さん、コメントありがとうございます。
ネットで検索し、そのニュースが見つかりました。今日、報道された話だったことが分かりました。ご指摘のとおり「慎重に協議している」ようです。参考までにニュースの全文を貼り付けてみました。
>阿久根市長、対立職員らに異例の出席命令 市長派懇談会
asahi.com 2010年3月9日11時34分
http://www.asahi.com/politics/update/0309/SEB201003090006.html
鹿児島県阿久根市の竹原信一市長が、降格人事で不服を申し立てた職員や市職員労働組合の幹部職員ら8人に、市の主催する市民懇談会に出席するよう命じたことが9日、わかった。「職員研修の一環」との位置づけだが、過去の懇談会は市長支持者の参加が多かったことから、反市長派の市議から「職員の糾弾が目的ではないか」と懸念の声が上がっている。
出席を命じられたのは、昨年4月1日付の人事異動は降格処分だと市の公平委員会に不服を申し立て、同委員会が2月、降格人事を取り消す判定を出した50代の男性職員3人と、市職労の役員4人を含む計8人。竹原市長と市職労は、組合事務所の使用問題などをめぐって対立状態にある。
命令は8日付の文書で出された。市民懇談会は、市長が呼び掛けて定期的に開いている会合で、14日午後6時から市民会館で開かれる。関係者によると、8人は「市民の声を行政に生かすため」との理由で出席を求められたという。これまでの懇談会は総務課の職員が出席しており、同課以外の職員の出席は異例。反市長派の市議の一人は「竹原市長の支持者が多い会合なので職員らが糾弾されるのではないか」と懸念する。
阿久根市職労を支援している自治労県本部は対応を検討中。高橋誠書記次長は「また職員のクビが切られかねないので慎重に協議している」と話している。竹原市長は1月の仕事始め式で「命令に従わない職員はやめてもらう」と訓示。強権的な色合いを強めている。
投稿: OTSU | 2010年3月 9日 (火) 22時21分
>mobileSE さま
うちの団体は、それほどフラット化が進んでいないため、
1係で8人だと「多い」と感じます。
組織の形態は、メリットデメリットがありますので、
どの形態が最も最適なのかは、よく分からないんですが、
ただ、フラット化が進み、管理職+中間管理職が減ると、
その位置に立つ人は、非常に能力が優れた職員でないと、
十分な成果が得られない、職務を全うできないのではないかと危惧します。
また、3課で1部というのは、ちょっと「少ない」とも感じました。
なくはないですが、3課で1部を構成する部署は、そんなにはないです。
うちは、また特に多い方なので、9課程度で1部を構成しています。
多すぎるので、部内での意識あわせがはかりづらいです。
投稿: イール | 2010年3月 9日 (火) 23時26分
いつの間にか「・」が一つ増えていた「むかし民間、今・・」です。しばらく
ROMに徹しようと思いましたが・・・・一言。
阿久根市の管理職は何をしているのでしょうね。記事を読む限りではひたすら
首をすくめてYesマンになっている様で情けない限りです。
あと免職辞令が交付されて何が問題なのかも理解できません。堂々と筋を通し
て免職されるのならば、どんどん免職されて胸を張って戦えば良いと思うのす
けど。
見ていると行政に携わる者としての覚悟というか気概がなく、この市長にして
この職員ありなのかなと思います。
私のようなペーペーでも、例えば今日退職辞令を受けたとしても月曜には別の
会社で働ける程度の能力と準備は絶えず持っていますけどね。(当然大企業は
望めませんが、ある程度の企業に何時でも正社員で入れる準備はしています)
行政に携わる者は常に「どすを呑む」くらいの覚悟で居りなさいと思うのです
が。(それ無くして市民対応など満足に出来るわけもないでしょうに)
投稿: むかし民間、今・・ | 2010年3月10日 (水) 07時56分
イールさん、むかし民間、今・・さん、おはようございます。いつもご訪問ありがとうございます。
昨夜のmobileSEさんへのお答えで、私どもの市における部の構成について漏らしていましたので、追加で補足させていただきます。やはり議会事務局のように1課1部のところから教育部のような7課以上の部まで幅があります。平均的には5前後です。
それぞれ業務の分野別な区分けをするため、このような差が出てきます。つまり一つの部に対し、課はいくつまでという明確な基準を定めていません。昨夜レスした課や係に関しても同様です。このような点は中央の官庁でも同じであろうものと見ています。
むかし民間、今・・さんのご指摘のように阿久根市の管理職の皆さん、現在どのように考えているのでしょうか。嵐が過ぎ去ることをひたすら待っている状態なのでしょうか。いずれにしても驚くべき事態の連続であるものと思っています。
投稿: OTSU | 2010年3月10日 (水) 08時02分
むかし民間、今・・さんの
>私のようなペーペーでも、例えば今日退職辞令を受けたとしても月曜には別の
>会社で働ける程度の能力と準備は絶えず持っていますけどね。
という発言、心から「カッコイイ」と思います。公務員の理想ですね。
多くの公務員は(私が知っている限定ですが)、公務員職場しか知らないために、この職場を放り出されたら食っていけないと思って、「免職」という言葉以上に怖いものがない状況だと思います。組合役員として連合主催の会合に出席する度、民間組合の方々の言動を見て、「したたかだな」(悪い意味で言えば「腹黒いな」)と感じることが多いのですが、その腹のくくり方の違いなのでしょうね。
私は阿久根市とは真反対の寒い地域に住んでいますが、片田舎という意味では共通していると思っています。そういう地域に住んでいれば、公務員を免職になった人間につぶしがきく職場はまず考えられなく、さりとて裸一貫で都会に出て行く勇気もないと。この職場にしがみつく以外に食っていく方法は考えられないんですね。
でも、それでも現状を打破するためには言わなければいけないときには声を上げるんですけどね。(ダブルスタンダードかもしれませんが、そういう職場で発言力を強め、かつ言っても処分されないためには、日頃の処理している業務量がものを言います。)
管理職が日和見的なのは、片田舎の行政にいればそれはもう常識で、一つクレームが付けば、次からは率先してそれ以上のことをやろうとする人々です。(公務員の酒気帯びが出れば、酒気帯び運転で検挙=即懲戒免職、金曜日以外の飲み会禁止、訓辞で9時以降の飲酒禁止を呼びかけるetc.)
だから組合がなければいけないわけで、ここでがんばらないと組合の存在意義がなくなると思うのは私も同感です。並べるべきではないことは百も承知で言いますが、米軍基地問題よりも、職場の職員を守る方が労働組合としては百倍重要だと思っています。
投稿: Na | 2010年3月10日 (水) 10時04分
某地方公共団体の話ですけど、命題を、
#法廷で、”自身の職務執行(職権行使)について、日本国の司法権は及ばない”という主旨の主張をする(思考様式を有する)首長相手に何が出来るか?
とすると、果たして何が出来るか、現実的には悩ましい問題で、妙案を得るのは難しいと思えます。(悩
選挙という政治的正当性を有している相手であり、今の政治体制下では”民意で選ばれた首長は、民意によってのみ解職できる。”という原則もありますし。
”相手が公務員”となると、世間一般の姿勢も報道姿勢も、(例えば障害者問題の場合と比して)積極的に援護してくれる訳では無いでしょうし。
”全体主義とは民主主義の負の側面が、極大化した政治体制だ。”という言説を目にした事がありますけど、然もありなんですね。
ナポレオンやヒトラーだって、民主的手続に則って法令を改正することによって、独裁的体制を確立した訳ですけど、議会や司法に対して”out of 眼中”な相手というのは、いろいろな意味で難儀&物騒な話だなと。
投稿: あっしまった! | 2010年3月10日 (水) 14時28分
「OTSU」氏 と役所所属の方々
コメントに返信ありがとうございました。みなさんの意見でまたまた強引にまとめると、仮に100人程度で構成される部を想定した場合の内訳は、
役所の代表的な人員構成としては6人程度の係が3つで課となり、それが5つ集まって部となる感じになるのかと思います(かなり強引な過程ですけど・・)。そうすると職名の構成は、
部長:1名 次長:1名
課長:5名 主幹:5名
係長:15名 主査:15名
主任:30名
主事:30名
の計102名くらいになるのかなと考えますがどうでしょう。この時、今までの経験上で各課1名程度の主幹は居たし、主査も係に1名は居たので追加しています(訂正や突っ込みお待ちします)。
先日、民間で同程度の組織サンプルとして出したものが、
部長:1名 次長:1名
課長:3名
係長:9名 主任:18名
ヒラ:63名
の計95名くらいの構成でしたので、どうにも役所という所は役職付きが多くなる傾向があるのかなと思われます。
そしてこれらから感じたのは、今回の記事で数値が出された「3級職員」とは該当人数が比較的多いとは書かれておりましたが、実は組織の中では平均より少し下に位置する職員になるのかなと思います。
※多分違う所もあると思うので、修正指示をお願いします。
>ただ、フラット化が進み、管理職+中間管理職が減ると、
>その位置に立つ人は、非常に能力が優れた職員でないと、
>十分な成果が得られない、職務を全うできないのではないかと危惧します。
この部分は確かに大きな問題になっています。ご指摘のとおり管理職や中間管理職にも負荷が掛っているのは確かなのですが、それよりも管理職の中で負荷が吸収しきれていない事の方が問題になっています。
どういう事かというと、管理者の能力不足による安易なマネジメントから無理な要求が各職場で蔓延しており、それがヒラの作業員に降りかかっているのが現状です。結果として一番能力が求められるのがヒラの社員になっていたり・・・・、そして職場が要求するレベルに付いて来られない社員は即座に排除される事になります。その為、社員は常に限界に近い負荷を掛けられているので、ますます他人に対し厳しく接する様になるし、足を引っ張る者に対して自然と排除の理論になる訳です。
これが甘い世界で働く者(特に公務員)に対する拒否感に繋がる一つの原因でしょう。
※また頂いた意見を見て話を先に進めていきたいと思います。
投稿: mobileSE | 2010年3月10日 (水) 18時16分
阿久根市近隣出身の知人から(身内の方は市内在住だそうです)いろいろ聞いていますが、市長の暴走ぶりはすごいですね。
私の職場では「事業仕分け」で廃止が決定された施設が、「地方自治体の強い要請」(政治的な要請であったことはいうまでも
ありませんが・・・・)で別の制度で再スタートとなるそうです。コロコロ方針がかわるので、現場は振り回されており、
先が思いやられます。(民主党が政策運営がうまくいかなくなった場合、現場に「八つ当たり」してくることは覚悟していますが・・・)
阿久根市長のような行政運営や政治手法をもちいる首長や議員は、国や地方の財政悪化が好転しないかぎり今後も増え続けるような気がします。
給与面については、私個人としては「子どもは一人」、「家は買わない」(転勤が多いこともありますが)、「ひたすら節約」するなどして厳しい状況を乗り切るしかないかなと考えています。(子ども手当をもらっても給与が減っては先の計画などできないものです。)
投稿: ためいきばかり | 2010年3月10日 (水) 21時41分
Naさん、あっしまった!さん、mobileSEさん、ためいきばかりさん、コメントありがとうございます。
毎日、阿久根市の話題は尽きないようですが、取り急ぎmobileSEさんの質問にお答えします。mobileSEさんが標準的な規模の部の例示に対して、私どもの役所では次のような構成となります。
部長が1名(この場合次長はいません)、課長又は主幹が5名、係長又は主査が15名、主任及び主事が60名(職場によって主任と主事の比率は多様です)となります。3級職が「平均より少し下」という意味を正確に理解できていないかも知れませんが、係長の下に位置付き、係長までをライン職とすれば、主任はスタッフ職と呼べます。
mobileSEさんの職場環境の厳しさが伝わってきますが、「これが甘い世界で働く者(特に公務員)に対する拒否感に繋がる一つの原因でしょう」については、とても短い言葉では論評できそうにありません。これまでの記事をお読みくださっているmobileSEさんには、ある程度お分かりいただけるものと思っています。
投稿: OTSU | 2010年3月10日 (水) 23時28分
「あっしまった!」氏
>阿久根市長のような行政運営や政治手法をもちいる首長や議員は、
>国や地方の財政悪化が好転しないかぎり今後も増え続けるような気がします。
ご指摘のとおり、これから類似の首長が増え続ける事は避けて通れないと思います。そして自爆テロのごとく振る舞う首長の下とはいえ、職員が行った事に対し「首長の指示通りにしました」と言っても免罪にはならないでしょう。ですから今回の事例であっても職員にも免職覚悟で筋を通す強さが求められるだろうと思います。
※実際、今回答弁を拒否した課長職は、半年程度後に誕生するであろう新首長の下には居られなくなるでしょう。
私自身もかつて組織の中で解雇を常に覚悟しながら足掻いた時期がありました。その事を後押ししてくれたのは自分のスキルに対する自信と、今日解雇されたとしても2年は暮らせるという蓄えでした。これからの時代を生きるには、公務員といえどもこれくらいの準備がないと駄目なのでしょうね。
「OTSU」氏
>mobileSEさんの職場環境の厳しさが伝わってきますが、「これが甘い世界で
>働く者(特に公務員)に対する拒否感に繋がる一つの原因でしょう」については、
>とても短い言葉では論評できそうにありません。
私も先日述べた様な労働環境には色々思うところがあり、現状を変えたいという思いから独立して今に至ります。ですので、私どもの職場環境という話ではないです。
私自身の考えで組織のフラット化や成果主義を始めとする競争原理を否定はしませんが、年功序列から成果主義への変化の過程で行きすぎた部分があったとも思っており、自分の組織はどこに着地させるべきかを常に思案しています。
※以前の職場の競争は壮絶の一言に尽きます。2度と経験したいとは私でも思いませんね。
もちろん公務員職場を始めとする旧態依然とした能力の差に係わらず一律な年功序列制にも疑問を持っており、おそらく何処かこの中間あたりに適切な位置というものが有るのだろうと思っています。
※公務員職場への成果主義導入が遅々として進まない内に周回遅れとなり、今や年功序列が時代を先取りという感じすらしますが・・・・
また職級制もその必要性は認めていますが、民間の様に10以上に細かく分かれた上に昇級するのに他を蹴落とす様な競争を強いる事がどうしても必要なのか、また組織としての競争力を保ちつつ個人間の過度な競争を避ける事は出来ないのか常々考えています。
民間における個人間の競争とは、極端な例では個人別の年間評価がA、B、C1、C2、D、Eと6段階に分かれるとして、それぞれ職員を上位からA10%以内、B20%以内、C1C2各30%程度、D10%程度(Eは休職等)に別ける基準があり、昇級するにはAを2年連続またはB以上を4年連続またはC1以上を6年連続で取らなければならないというものです。となれば、個人はそれぞれB以上に入るために互いに蹴落とし合戦にもなる訳です。これでグループの連帯とかチームワークと言ってもなかなか望めないですよね。
※大体において組織が絶対的に期待する社員がおり、A評価は大抵の場合その社員に固定されますので、多くはB評価の取り合いになります。そして早い者は35歳前後で管理職となりますが、競争に勝てない者は35歳になっても入社時の級のままという事になります。
給与も仮に支給額30万円とすれば、その内訳は基本給10万円、過去の成果加算10万円、昨年の成果給10万円の様になります。基本給は職級で決まり年齢はほとんど関係有りません。過去の成果加算は5年程度の積み上げでAAAAAと来れば2万円×5年で10万円。BBBBBと来れば1.5万円×5年で7万5千円とかになります。そしてDだと5千円程度でEだと0です。昨年の成果加算も同様でA10万B8万からD2万E0となる訳です。
ですから同じ級であっても過去6年AAAAAAで来れば3級昇級して給与は30万円ですが、同じ級の人が仮にDDDDDDとなれば昇級は無く、給与は14万5千円となります。この様な評価になれば大抵の場合6年を待たず退職していくのですが・・。そして平均的なC1を6年だと1級昇級し給与は22万円です。
※数字は何の根拠もない適当ですので、細かい数字に対する突っ込みはご容赦下さい。
そして問題点は色々制度的には用意されているのですが、事実上評価の透明性に疑問が常に残り、そして意義を唱えたくても唱える事が許されないという事ですね。
※この評価に意義を唱えると大抵の場合、組織から自動的に弾き出されます。またA評価が固定される傾向が強いため少数の者は上にあがりますが、結果として中間が居なくなります。
長々と書きましたが言いたい事は、組織としての競争力を保つためには個人間の競争は絶対的に必要ですが、それではどこまで競争させれば適切なのかという部分で悩みは大きいという感じです。それでも年功序列だけでは組織の競争力は間違いなく望めません。実際、公務員組織が民間と競争して勝てる分野は無いでしょう(公権力を使われれば負けますけど・・)。これらのバランスを取るのは本当に難しいと思います。
投稿: mobileSE | 2010年3月12日 (金) 18時36分
mobileSEさん、コメントありがとうございました。
その厳しい職場環境を「是」としているように受けとめてしまい、たいへん失礼致しました。「何処かこの中間あたりに適切な位置というものが有るのだろうと思っています」というご意見、基本的な問題意識として私もその通りだと感じています。その上で、ベターな組織や人事制度について、これまでの記事の中でも「自問自答」的な内容を綴ってきました。
2008年3月29日(土) ベストは見出せない人事制度
http://otsu.cocolog-nifty.com/tameiki/2008/03/post_ec6f.html
投稿: OTSU | 2010年3月12日 (金) 21時35分
>mobileSEさん
部分的にレスしますが、
>それでも年功序列だけでは組織の競争力は間違いなく望めません。
>実際、公務員組織が民間と競争して勝てる分野は無いでしょう(公権力を使われれば負けますけど・・)。
>これらのバランスを取るのは本当に難しいと思います。
というのは、事実に基づかないと思われます。
過去、職業紹介に関して、市場化テストが行われた実績では、同じ条件で、3年に渡り、ハローワークが民間に対して勝ち続けました。
しかも、質・量ともにハローワークが優位という結論でした。
結果的に、民間開放に熱心だった規制改革会議の目論見は外れてしまいました。
さらに、業界からは、クリームスキミングをしたい(美味しい顧客だけ相手にしたい)という本音が漏れて、各方面で顰蹙を買う始末でした。
(参考)
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/post_6614.html
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/post-0a83.html
分野によると思いますが、年功序列であるから、組織の競争力が落ちると言うのは、短絡的であると思います。
実際問題、一昔前には、日本企業の大半は年功序列でしたが、その頃既に評価主義や競争主義を取り入れていた欧米先進企業に対して、互角以上の勝負をしてきた訳です。
投稿: Thor | 2010年3月13日 (土) 07時42分
確かに、職業紹介の官民競争の結果は”官”が優れていたという結果が残ったのですが、
(もしかしたらそうであったが故に?)”事実上の黒歴史”みたいな部分がありましたね。
大きく報道されることも無かったですし。
(世間的には”報道されない=事実が存在しない”という公式が、当てはまる事例だったかも。)
”民”の側の本音が垣間見えて、却って”そうであるが故に、官の関与が必要”という主張の説得力が高まったという側面もありましたし。
でも、今度は”官と民”でなくて、”地方移管と国直轄”の構図に移行してるような気がしないでもないような。
投稿: あっしまった! | 2010年3月13日 (土) 11時26分
>あっしまった!さん
>(もしかしたらそうであったが故に?)”事実上の黒歴史”みたいな部分がありましたね。
>大きく報道されることも無かったですし。
>(世間的には”報道されない=事実が存在しない”という公式が、当てはまる事例だったかも。)
そうなんですよね。
鳴り物入りの市場化テストで数少ない実施例の一つなのに、記憶に残るような報道がありませんでした。
逆の結果だったら、マスコミは喜び勇んで、大々的に報道したと思うのですが・・・。
投稿: Thor | 2010年3月13日 (土) 13時19分
「Thor」氏
>過去、職業紹介に関して、市場化テストが行われた実績では、同じ条件で、
>3年に渡り、ハローワークが民間に対して勝ち続けました。
>しかも、質・量ともにハローワークが優位という結論でした。
なるほど、その事例で来ましたか・・。
なんと言いますか・・・・、市場化テストというのは元々利益の見込めない事業に対し半ば無理やり民間のノウハウを投入することにより、少しでもビジネスモデルの転換が望めないかを確認するというものなので、勝ったとか負けたとかの話では無いと思いますが・・。
本来的に公務員が携わる事業には営利を目的としないものが多数あり、とうぜんこれらの事業が黒字になる事はあり得ないのは皆が承知していることです。ただ、それを理解した上でも「公務員諸氏が各事業で赤字は当然」とし、一方的に多大なコストが掛かる事態に「本当にそうなのか」と多数の国民が疑問に思ったから、このテストが行われています。
つまり、あなた方の仕事ぶりが各所で疑われた訳で、テストでは官が携わる方が明らかに優位な事業に、ノウハウの無い民間が入ってきているのですから、官が優勢な結果を出して当たり前な事なのです。ですから、市場化テストを持ち出して民間に勝ったなどというのは「恥」以外の何者でもないと思うのですが・・。
特にハローワークには、民間が常々扱う「優良求職者」など皆無で、大抵の場合「就職困難度が高い求職者」な訳ですから、民間の職業斡旋のビジネスモデルが成り立つ訳はありません。なにせ最も肝心な「提供した価値に対してどのような収益モデルで対価を得るか」という部分がすっぽり抜けているのですから。そして同じ条件と言いますが、リクルートの場合で使えた人員コストは官と比較して4割以上少なかったと言われています(コスト3割減で入札+利益率)。
そして他の分野でも市場化テストは行われており、いくつかの分野では官と比較して概ね2割から3割のコストカットが可能とされたものもありました(特に旧社会保険庁での事業で顕著)。
最初に戻りますが市場化テストは元々利益の見込めない事業で、かつ官が携わる方が明らかに優位な事業で行われています。その結果、少なくない事例で民間の方がコスト的に有利とされた事には、巷でよく言われる「官は非効率なことばかりやっている」という裏付けにもなっており、公務員諸氏はもっとこの結果に危機感を持つべきと思いますよ。
そして全く同じ条件で民間経験を持つ従事者と公務員経験しか持たない従事者が業務効率を競ったならば、民間経験を持つ従事者が負けることは無いと申し添えておきます。但し、ハローワークに通うような人罪で比較しないで下さいねw
※条件には当然頭の中身も一緒という事も入るわけです。大抵の場合、雇用対策等で官の事業にお邪魔する人の頭の中身はね・・・・、対して公務員になる人材は基本スペックが高い人が多いのです。それを無駄使いしているだけで・・。
※これについては現在進行形で、日本年金機構で人材テストが行われている様なものですから、3から5年でどっちの論が優勢か一定の結論が出ると思っています。
>分野によると思いますが、年功序列であるから、組織の競争力が落ちると言うのは、
>短絡的であると思います。
>実際問題、一昔前には、日本企業の大半は年功序列でしたが、その頃既に
>評価主義や競争主義を取り入れていた欧米先進企業に対して、
>互角以上の勝負をしてきた訳です。
そうですね。当時の1ドル200円以上という円ドル相場物で、競争力にゲタを履かせた状態ならば良い勝負をしていましたね。そして85年以降、徐々に競争力を失い1ドル100円を切った95年頃で、ほぼ完全に民間の年功序列は崩壊したと思っています(85年当時でも海外旅行者から、向こうでは1ドル100円くらいの感覚だったと聞かされたものです)。
年功序列に伴う終身雇用と定期昇給は「あっしまった!」氏も仰っておりますが、ある意味で「最強の社会保障」であると私も思います。民間だからといって、これらを好んで変えてきた訳ではないのです。競争力を失い、このままでは食えないから変わるしかなかったのです。この部分を間違うと話しになりませんよ。
先の市場化テストの事例もそうでしたが、よっぽどゲタを履かせてもらうのがお好きな様ですね。お役人らしくて好ましいです。
追記、
昔は何処でも同じものが作れるという商品のみを、人件費の安い海外で生産し競争力を確保するという考えが主流でした。しかし、今は特定企業しか作れない高付加価値商品の生産まで海外にシフトしていく時代です。先日この事例の一つをテレビで見て、そら恐ろしくなりました。
さらなる人件費削減など望めない(したくもない)状況の中で、これらをどうすれば日本に戻せるのか、こちらの方こそあらゆるテストをしなければならないと思います。
また、市場化テストの様な考え方は、何でも民間へシフトすれば良いという風潮の中、事業に必要な質的側面を将来に渡り担保出来るのかという命題の検証にこそ使われるべきです。世界中で小さな政府という考え方そのものが破綻している例もあるのですから。
そして好ましい着地点を探す手法は幾つあっても良いものと思います。
投稿: mobileSE | 2010年3月13日 (土) 22時27分
>mobileSEさん
長々とした言い訳ですね。
>特にハローワークには、民間が常々扱う「優良求職者」など皆無で、大抵の場合「就職困難度が高い求職者」な訳ですから、民間の職業斡旋のビジネスモデルが成り立つ訳はありません。
結局、クリームスキミングしてるだけじゃないですか。
投稿: Thor | 2010年3月14日 (日) 04時48分
>mobileSEさん
>なんと言いますか・・・・、市場化テストというのは元々利益の見込めない事業に対し半ば無理やり民間のノウハウを投入することにより、
>少しでもビジネスモデルの転換が望めないかを確認するというものなので、勝ったとか負けたとかの話では無いと思いますが・・。
全然、違います。事実認識がまた間違っています。
そもそも、規制改革会議が市場化テストを行うのは、民間の方が優れた事業の担い手となり得る可能性があると判断して行うのであって、普通に事業体としての競争相手です。
また、民間も職業紹介業務の経験がある事業者が入って来ているので、ノウハウ云々は負け惜しみにもなりませんし、3年間もやっておいて、その言い訳は成り立ちません。
まさか、10年やらないと成長できませんか?
投稿: Thor | 2010年3月14日 (日) 04時54分
> そもそも、規制改革会議が市場化テストを行うのは、民間の方が優れた事業
> の担い手となり得る可能性があると判断して行うのであって、普通に事業体
> としての競争相手です。
Thorさんが言う理屈はキチンと市場化テストの評価資料にも書かれていて、そ
れには「透明・中立・公平な競争条件の下、価格とサービスの面でより優れた
主体が落札し、そのサービスを提供していくのが市場化テストである」とあり
ます。確かにそのとおりの様ですが、実際のところこれは建前となって点があ
り、前提条件に疑義を唱える人も少なくありません。
また同じ資料中に「官による従来通りの変化がない公共サービスではなく、民
間との競争を通じて少なくとも効率化への取り組みが高まることが期待できる」
ともあり、実質はmobileSEさんが言う
> なんと言いますか・・・・、市場化テストというのは元々利益の見込めない
> 事業に対し半ば無理やり民間のノウハウを投入することにより、少しでもビ
> ジネスモデルの転換が望めないかを確認するというものなので、勝ったとか
> 負けたとかの話では無いと思いますが・・。
というビジネスモデルの転換という面があるのも否定できないと思います。民
間が携わりきちんと利益が望める事業は、テストなどせずに民営化や委託等が
行われるのですから。
したがって表の建前論のみを持ち出し
> 全然、違います。事実認識がまた間違っています。
と言い切るのには違和感を持ちます。
またmobileSEさんのコメントの後段部分も、建前を廃して読めば事実認識がす
べて間違っているとは思いません。乱暴と思う所は少々ありますけど、参考に
なる考え方も含まれているじゃないですか。
>>分野によると思いますが、年功序列であるから、組織の競争力が落ちると言
>>うのは、短絡的であると思います。(略
> そうですね。当時の1ドル200円以上という円ドル相場物で、競争力にゲ
> タを履かせた状態ならば良い勝負をしていましたね。(略
それとThorさんのコメントに対する上記の回答は、誰が見てもmobileSEさんの
方に理があると思うのですけど、そちらには触れないのですか。
相当以前に私に絡んできた時もそうでしたけど、Thorさんは人のコメントを全
部読まないし、言ってることを理解されてませんね。
コメントの一部だけを恣意的にとり、揚げ足を取るような姿勢は好ましいもの
では無いと指摘させていただきます。ほんとしょうがない人です。
うちもそうですけど、役所にはこういう人って多いのですよね。先はまだまだ
長いです。ほんとに・・・。
投稿: むかし民間、今・・ | 2010年3月14日 (日) 09時24分
>むかし民間、今・・
>私のようなペーペーでも、例えば今日退職辞令を受けたとしても月曜には別の
>会社で働ける程度の能力と準備は絶えず持っていますけどね。(当然大企業は
>望めませんが、ある程度の企業に何時でも正社員で入れる準備はしています)
あなたが辞めて出て行けば良い話で、いちいち目障りです。そもそも外部の人間に務まる職場ではありません。民間経験などと言われても現場が混乱するだけで、普通に邪魔なだけです。
投稿: | 2010年3月14日 (日) 10時20分
職業紹介の市場化テストは、官が良好な成果を収めたという結果を前に、”アレコレ理屈をつけて翌年度。。。”を、手を変え品を変え3年間続けて、結局”民”が良好との結果は得られなかったんですよね。
その辺の経緯を間接的に承知している立場としては、Thor様のご見解に賛同したいかな、私は。
ホントにビジネスモデルの転換が主目的なら、2年目以降について、現実に行われたような展開は辿ってないと思うんだけどなぁ。
ちなみに、厚生労働省関係の市場化テストは、職業紹介だけではないのですが、”官有利”という結果が出たのは職業紹介だけでない様ですねぇ。
中には、”民の側が良いところ取りしても、官の側が良好な結果を残した”ものもあったりもして、その業務に関しては翌年度から、”いいとこ取りせずに参加する事業者募集”で市場化テストを行ったりもしたという。
当時、政権与党で主流だった言説や、規制改革会議のスタンス、参加した”民”の側のスタンスからは、mobileSE 様の仰る市場化テストの位置づけに関しては、全面的に賛同できない部分があるようにも思うし。
> むかし民間、今・・ 様
市場化テストの位置づけ(建前と本音)について、本気で貴殿ご指摘のようにお考えなのですか?
本当に市場化テストが、mobileSE様の仰るような実質と経緯を有していたのなら、職業紹介を巡る市場化テストに関する、今の私のスタンスや評価も違っていたのですけど。もちろん、国家行政組織と地方行政組織とでは、状況も異なるでしょうし、物事の見え方・感じ方は人それぞれなのですけれど。
投稿: あっしまった! | 2010年3月14日 (日) 12時38分
Thorさん、あっしまった!さん、mobileSEさん、むかし民間、今・・さん、いつもご訪問ありがとうございます。
この話題については不勉強でもあり、直接的な問いかけもなかったため、ロムにとどめさせていただいていました。なお、それぞれのご意見が示されるたびに「なるほど」と思っていました。その上で、対立した意見にも耳を傾けながらの議論へのご理解ご協力をよろしくお願いします。
2010年3月14日(日)10時20分に投稿された方は特に上記のような点について、よろしくお願いします。また、意見交換をスムースに行なうため、ぜひ、名前欄の記入についてもご協力ください。
投稿: OTSU | 2010年3月14日 (日) 17時41分
ご趣旨了解です。>管理人様
若干、筆が滑りました。m(__)m > 閲覧者各位
それと、直近の拙投稿第三段落の一部の訂正をお願いします。
正:市場化テストの位置づけに関しては、全面的に’は’賛同できない部分
誤:市場化テストの位置づけに関しては、全面的に賛同できない部分
投稿: あっしまった! | 2010年3月14日 (日) 19時23分
>むかし民間、今・・
反省して謝罪のひと言くらいあるかと思っていれば、論破されて旗色が悪くなったとたんにだんまりですか、無責任極める態度で最低ですね。
途中で入ってきた人間に公共の考え方を理解することは絶対に無理ですので、周りに迷惑を掛けていることを自覚して早く辞めてください。
民間感覚が必要などの言い訳は成り立ちません。
投稿: | 2010年3月20日 (土) 12時27分
>mobileSE
>むかし民間、今・・
あなた達がどう言い訳しても、リーマンショックで市場原理主義の失敗が証明され、昨年の政権交代で新自由主義は完全に敗北しました。
もうあなた達の居場所はどこにもありませんので、正論に潰されて消えてください。存在される事が普通に迷惑です。
投稿: | 2010年3月20日 (土) 12時31分
2010年3月20日(土)12時27分と2010年3月20日(土)12時31分に投稿された方へ、2010年3月14日(日)17時41分にお願いした件について、ぜひ、ご理解ください。さらに意見交換をスムースに行なうため、名前欄は記入されるよう重ねてよろしくお願いします。
投稿: OTSU | 2010年3月20日 (土) 21時48分