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2010年1月10日 (日)

約束を踏まえた先に広がる可能性

いつも次回記事をどのような内容とするのか、それに伴う題材の取り上げ方などは早めに決まります。題材が決まれば、記事本文を書き始めます。何回かお伝えしたことがありましたが、書き進めているうちに内容が合わなくなり、途中で記事タイトルを変更したことが数多くありました。また、本文を書き終えてから記事タイトルを決めるまでに悩む時も少なくありませんでした。

これまで記事タイトルを付けるのには苦労するほうでしたが、今回は珍しいケースでした。どのような内容とするのか決めた段階で、新規記事のタイトルを思い浮かべていました。少し長いものとなりましたが、この「約束を踏まえた先に広がる可能性」というタイトルにそって、私なりの問題意識などを綴らせていただきます。あくまでも個人的な立場での主張であり、世の中には多様な考え方がある中の一つだと受けとめてくだされば幸いです。

まず「約束を踏まえた」という表現は、「約束を守った」という言葉とイコールとは考えていません。場合によって守れないこともあるのが約束です。しかし、約束を交わしている事実の重さを忘れず、相手方と接していく必要性が最低限のマナーだと思っています。よくある身近な例として、人と約束した時間に間に合いそうにない際、事前に連絡できるかどうかで相手方の心証は大きく変わります。

どうしても事前に連絡できなかった場合、お詫びした上で相手方に納得いただけるような事情を説明できれば、信頼関係が大きく損ねることもないはずです。約束そのものを忘れ、すっぽかしてしまった場合、相手からの信用が落ちるのは免れません。それでも誠意を尽くして謝罪すれば、その1回の落ち度をもって信頼関係がすべて崩れる訳ではないものと思います。それに対し、約束を破った非を認めず、居直るような態度を示した場合、その人は誰からも信用されなくなるのではないでしょうか。

つい最近、テレビ番組を見ていた時、「へーっ」と感じたことがありました。いつも宝くじを友人に頼んで買ってもらっている人の話でした。お金も後払いが多く、いつものように電話で購入を先に依頼したところ、その宝くじ100万円が当選しました。大喜びし、友人に連絡すると何と「買い忘れた」という返事でした。番組では、その当選金を友人が肩代わりする義務を負うかどうかという問題が示されていました。

答えは、最高100万円まで肩代わりする義務を負うというものでした。口約束であり、さらに購入代金も受け取っていないのにもかかわらず、申込と承諾という契約関係が成立しているからでした。このようなケースも、事後の対応しだいで人間関係にヒビが入るのか、円満に解決できるのかどうか、お互いの信頼感や誠意ある態度が大きく左右していくのではないでしょうか。いずれにしても約束を交わすという重さについて、改めて実感する事例でした。

言うまでもなく、約束は様々な当事者間で結ばれます。国家間の約束が外交の問題となります。鳩山政権が抱えている重要な課題として、普天間基地移設の問題があります。軍事基地の評価の問題は横に置いた上での話となりますが、通常、外交約束が国内の約束よりも優先されなければなりません。しかし、普天間基地の県外移設は総選挙戦を通し、沖縄県民の皆さんと約束し、連立政権を発足する際に与党間での約束となっている事実も絶対軽視できません。

この場合、どちらかの約束が守れなくなります。冒頭でも述べましたが、場合によって守れなくなる約束もあります。普天間基地移設の問題は、そのケースに当てはまるはずです。アメリカとの約束を優先すれば、国内向けの約束を破る結果となります。したがって、鳩山首相らは相反する約束があることを踏まえ、それぞれの関係性を充分配慮しながら対応する必要性が求められていました。

アメリカ政府との関係で言えば、政権交代という非常に大きな国内事情の変更があったことを訴え、まず交渉のテーブルに着いてもらうことが重要でした。その際、「辺野古への移設の約束は白紙」と日本側が先に述べてしまうのは適切ではありません。あくまでもアメリカとの約束は生きている中で、改めて交渉の席に着くことを依頼しているのが日本の立場だからです。

「こちらの事情が変わったので、これまでの約束は白紙です」と一方的に伝える行為は、とても「約束を踏まえた」誠意ある対応ではありません。それこそ信頼関係を損ねる切っかけとなりかねません。「これまでの約束は承知していますが、ぜひ、変更に向けた交渉に応じてください」という姿勢が欠かせないはずです。決してアメリカ相手だからへりくだる話ではなく、どこの国との関係でも当たり前に心がけるべき基本だろうと考えています。

普天間基地移設の問題そのものは様々な論点の広がりが予想されますが、今回、約束を踏まえるという趣旨での事例として取り上げています。つまり約束を守れなくなることがあっても、その約束を交わしてきた経緯などを踏まえ、相手方に接していく大切さを提起させていただいています。政党と国民との間の約束がマニフェストですが、こちらもすべて守れるものとは考えていません。守ろうとする努力や熱意が伝わり、守れなかった場合の説明責任が果たされれば、大半の国民は納得していくのではないでしょうか。

国家権力の制限を約束するのが憲法、国民の行動を縛る約束が法律、このように広義にとらえれば、私たちの生活は約束の積み重ねの上に成り立っています。「法律は所詮道具であって、最終的に守るべき物の順番の内にも入らない」などという言葉は論外であり、法律や条例などの内容に不満があったとしても、遵守することが大原則となります。その上で、必要であれば改めていく手続きに努めることが常識的な姿です。自分の気に食わないルールは守らない、もしくは勝手に変えてしまうような行為は言語道断な話です。

基本的に約束は守ることが必要、しかし、守れなくなった場合、約束を踏まえた上で相手方と話し合っていくことが求められています。様々な約束を無視し、一方的な判断で物事を押し進めていった場合、根深い不信や軋轢が生じかねません。一時的なスピード感はあるのかも知れませんが、対立や混乱が続いた場合、結果として大きな遠回りになるのではないでしょうか。今回、抽象的な内容が多く恐縮ですが、約束を踏まえた先にこそ、新たな可能性が広がっていることを綴らせていただきました。

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コメント

> OTSUさん

今回の記事で言いたいことは十分理解できるもので、その方向性について特に
反論すべきところは無いと思っています。

ただ、私は基本的に政権が変わっても、各種施策の継続性はある程度担保され
るのが筋だろうと考えているのですが、今の民主党政権は前政権の施策(約束)
を持ち出してみたり、或いは一方的に破棄したりと個々に統一感の無い対応が
目に付きます。
果たして守るのか破棄するのか、どっちなんだと思う日々で、今の政権には納
得出来ない部分が非常に多くなっています。基本的に行動が思いつきで、国民
(と官僚)が振り回されている感が強いです。

確かに、今の日本は初めての政権交代を体験している最中ですので、継続され
るべき約束事の混乱もある程度は許容されなければなりません。しかし現政権
のやり様を傍から見ていると、自分に都合の良い様に守ったり破棄したりして
いるようにも感じています。それぞれの事情は有るのでしょうが、やはり皆が
納得できる説明力は必要でしょう。

これらが説明されないならば、政権が変わるたびに都合よく約束事を解釈でき
るという前例が出来てしまいます。そしてこの例を地方自治体に当てはめると、
首長が変わればそれまでの労使合意は無効。後は何をやってもOKとの論調も
成り立つことになります。まぁ、これは既に各所で行われつつある様で、これ
からの流行になるのかも知れませんが・・。

投稿: むかし民間、今・・ | 2010年1月10日 (日) 23時43分

むかし民間、今・・さん、さっそくコメントありがとうございました。

現政権はもちろん、首長が変わった時なども含め、それまでの約束は踏まえるべきだと思っています。その基本線が軽視された場合、むかし民間、今・・さんが指摘されるようなご都合主義となる恐れもあります。確かに鳩山政権、懸命さは伝わってきますが、説明力の拙さなどを私も心配しています。

投稿: OTSU | 2010年1月11日 (月) 00時17分

今回の記事を読み、最近何気なく気になったことをコメントとして投稿します。なにぶん予備知識が足りなく、また見聞のみで裏付けが無い部分もありますので、もし誤り等が有れば指摘でも修正でも受け付けたいと思います。

一つ目はある知人(同僚の意)の話
新年に貴方の役所に挨拶回りに伺ったら、大勢の出入業者に加えて腕に腕章を巻いた組合役員らしき一団が、各職場に挨拶回りをしていたとのこと。話を聞いて、この中に「OTSU」氏が居たのかなと思うのと同時に、業務時間中に挨拶回りをするなら当然無給休暇にしてるよね?と疑問に思ったですが、実際はどうなんでしょうね。有給休暇も倫理的に問題有りと思う状況で、まさか職務免除(でしたっけ?)じゃないですよね。もし役員の挨拶回りと関係ないのでしたらお詫びしてこの件は取下げします。

二つ目は、とある知人(知っている人間の意≠友人・同僚)のご意見
ある新年の会合で地元経済の話になり、この人は経済のパイを小さくしない様に自衛隊の体制維持も求めていくという意見を出されたのですが、それ以前の別な会合では反戦・反基地の推進を挙げ、自衛隊基地もの即時撤去みたいな事を言われていたのですね。そして、これを指摘したところ返ってきた答えが「戦争の訓練を止めさせ、地域清掃等のボランティアに専念させる選択肢もある」とのこと。あまりに自分勝手な意見と解釈に新年早々呆れ返らされたところです。
この人は市の正規職員でおそらく組合員ですよ。「あんたら自分勝手もええ加減にせえよ」といったところですね。


こういう事を身近で見聞きするとですね、市民側も勝手になっても良いのかなと思いまして、もう労使交渉の約束事も一切合切無効にして、民意に基づいた適正な職員待遇に勝手にしてしまえと考えてしまいます。双方勝手で辻褄も合いますしね。

そうして日本に係わらず現在の労働組合の活動を見ていると、その存在意義を疑いたくなる事例が多くあります。日本航空は法的整理が決まりましたが、あれは労働組合が会社を潰したと評価すべき事例で、もう労働組合における自分勝手の極致なんだろうと思います。アカ組合などと揶揄されてましたよね。
そして各国のフラッグシップキャリアでも同様の事が起こっており、全社一丸となって耐えなければならないこの時期に(待遇が悪い訳でも無いのに)ストの話題が目白押しで、この状況では近いうちに全部破綻する事が目に見えています。

ただし、この例の様に民間であれば会社の破綻という結末で、労働組合の自分勝手さも精算されるのですが、倒産のない公務員組合ではいつになれば精算されるのか、もっと社会的に問題視すべきだと思います。最低限、公務員に対しては結社の自由について更なる制限を加えるべきですね。


ここから蛇足です。
三つ目はある知人(友人の意)の話
この方は大手メーカー系のソフト会社に勤めておりますが、去年は労使交渉の末に定期昇給が凍結されたそうです。その際には組合からの通知もあったとのこと。そして今年は労使交渉も通知もなく定期昇給がなかったそうです。民間では僅か1年で定期昇給が無い事が当たり前になったのかと思う事例でした。民間が不況で喘ぐ中「OTSU」氏の職場では定期昇給はあったのですかね?(このメーカーは私の元職場なので色々と思うところがあります。このシステムではいずれ限界が来ると思い有志で独立しましたが、果たして正解だったのかと思う例でもあります。)

四つ目は自分の話です。
独立したといっても当然楽に儲かることはありません。特に近年は価格引き下げのため、同業他社は開発部門を中国やインド等に出して人件費を削減し、現調要員のみ日本人社員にして対応しているところが少なくないようです。それに対して、うちは社員の総意で現調SEを含む全員の給与抑制を行い開発部門を日本に残しています。これには幾つか目的が有るのですが、結果として社員の雇用を維持出来ています。


上記の例は、会社にとって大切なのは何か、社員にとって大切なのは何かを見失わなければ、労働組合は不要という実例です。うちは労働組合がなくても社員の雇用は残せました。対して労働組合がある職場なのに外国人労働者や非正規労働者に置き換え、特定少数(主に年寄り)の利権を守り正社員の数を減らしている会社も多くあります。
これらより個人的には労働組合がない方が正社員の数は維持出来たのでは無いかと疑念を持っています。日航の例を挙げるまでもなく、労働組合は社員全員を守るのではなく守る対象を明確に絞っているのは疑いの無い事実ですからね。そして現在の多くの労働組合(貴方の組合も含めて)は、その活動の方向性を見失い、何が大切なのかを全く理解されていませんよと申しておきます。

投稿: mobileSE | 2010年1月12日 (火) 18時00分

mobileSEさん、コメントありがとうございました。

新年に腕章を巻いた組合役員らしき一団が、各職場に挨拶回りをしていたという話そのものが、私どもの役所では思い当たりません。どのような集団を見たのか、逆にお尋ねしたいものです。

自衛隊の話も、どのような場面でのやり取りなのか想像できません。ただ組合員一人ひとり様々な考え方を持っているのでしょうから、そのような個人的な意見を述べる場合もあるのかも知れません。仮にそのような意見を一組合員が述べていたとしても、組織や公務員全体の意見と決め付けて批判される姿勢はいかがなものでしょうか。

日本航空の労働組合の問題も示されましたが、ちょうど『沈まぬ太陽』を読み終えたところです。「アカ組合」と非難され続けた主人公の忸怩だる思いと重なり合うご意見でした。次回以降の記事で、日航の問題を取り上げてみようと考えていたところでした。

定期昇給の件ですが、昨年度労使合意した決着内容によって、大半の職員が50代になる前に昇給しなくなる制度や水準の見直しを受け入れていました。また、過去の記事で数多く綴ってきましたが、私どもの組合は非常勤職員の皆さんを直接組織化しています。したがって、ここ数年、必然的に非常勤職員制度の改善が組合活動の大きな柱となっています。

「現在の多くの労働組合(貴方の組合も含めて)は、その活動の方向性を見失い、何が大切なのかを全く理解されていませんよ」というご意見は、なぜ、いつもmobileSEさんはそのように決め付けるのか非常に不思議です。今回のご指摘の数々も事実を正確に把握していない中で、思い込みによる批判が多いものと感じているところです。

投稿: OTSU | 2010年1月12日 (火) 22時30分

mobileSEさんの書き込みを読みまして、
以下の文、少し脱線気味ですが、
長文ご容赦ください。

------------------------------------------------------
>この人は市の正規職員でおそらく組合員ですよ。

正規職員=組合員、なんでしょうか?
うちのところでは、案外「非組合員」は多いですよ。
特に、行政事務の部門については、より「非組合員」が多いようです。
もしかしたら、現状、半分にも満たないかもしれません。

少なくとも若い人(30代まで)は、非組合員が過半数を占めてます。
役所の組合は、加入が強制ではありませんので、
うちみたいな所(加入率100%には程遠い)もあるのでは。
------------------------------------------------------
>うちは社員の総意で…

職員の総意が取れる役所でしたら、総意も取れるのでしょうが、
職員が、1,000人、2,000人、…規模ですと、
職員の総意を取ることって、果たしてできるのでしょうか。

となると、組合などのような、
何かの組織を仲介・媒介せざるを得ないんじゃないか、と。

たしかに、
組合幹部の意見と、個々の職員の意見は、
ある時は一致しない、ということもあります。

それを以て、機能不全とするのではなく、
その場合は、組合員として、組合幹部に物申します。
物申すことは、組織として、当たり前の形だと思っています。

#そういうことが言えない組合では、
#機能不全に陥っている状態であると思います。

投稿: イール | 2010年1月13日 (水) 01時01分

>事実を正確に把握していない中で、思い込みによる批判が多いものと感じているところです。
これ、ちょっと違うんじゃないかなと思います。

mobileSEさんのコメント読んでみて、腕章姿の挨拶回りの件はともかく、
他のものについては、私から見ても「そうなんだ」「心当たりあるね」と
思いこそすれ、「そうなの?」と思う部分はありません。

>労働組合は社員全員を守るのではなく守る対象を明確に絞っている
>必然的に非常勤職員制度の改善が組合活動の大きな柱となっています。
このやりとりにも疑問符がいっぱい付いていて、
では何故、自治体職員の年齢構造が極端な逆ピラミッドなのかと
その理由を逆に質問したいと思うのですよ。
結局指摘された通りに、特定少数(主に年寄り)を守るから、
若年層の雇用が出来なかったのが理由じゃないのかと思うのです。

自治体職員の給与をよく見るとですね。一人一人を同一年齢で
官民比較をした場合は、官のほうが精々1,2割程度高いだけで、
それほど大騒ぎする程の差はないです。
公開される給与表だけで比較すれば差はもっと少ないのですが、
この1,2割の差は何で出来ているかと言うと、
民間より役職付きの比率が多いのが原因だったりします。
他の理由では、わたりとかもですね。

このように個人別で見ると差は大して無いのに、先の逆ピラミッドのせいで
それを組織でみると、官と民でとんでもなく収入平均が違ってたりします。
この差がどちらの主張が正しいか証明してくれていると思うんですよね。

先日も別記事のところでコメントに書きましたが、
自治体職員にはもっと職種により給与差を付けてですね、
若年層にも仕事が割り振られる様にワークシェアをして欲しいものです。
特定少数(主に年寄り)の収入を3割下げれば、
1名の非正規を正規職員する原資に十分なり、ひょっとしたら2名も可能かもです。

それよりさらに踏み込んで、こちらの管理人さんの書き込みでは
自治体職員は一生懸命頑張る有能な人ばかりらしいので、
それなら定年を繰り上げて早々に退職して頂いてですね、
子育てが終わった世代は民間にどんどん転身して欲しいと思いますね。
有能なら働き口はいっぱいあるでしょうから。

私が思う結論としですね、
労働組合というものは、全体を見ずに一部を見て、将来を見ずに今を見て、
己の利を守っているのではないかなと思います。

投稿: いつも疑問符 | 2010年1月13日 (水) 18時02分

イールさん、いつも疑問符さん、コメントありがとうございました。

私どもの組合は、組織化すべき常勤職員の100%近くが加入していますので、組合員である確率が高いものと思います。その上で、昨夜のコメントで記したとおりの話となります。

いつも疑問符さんから先日も同様のご意見をいただきました。再掲の形となりますが、自治体の職員数を考慮し、給料表を一本とし、職種等を問わず運用してきた面がありました。さらに組合の掲げていた賃金に対する考え方が、生活給重視つまり年齢給重視、同一労働同一賃金についても同じ自治体で働く仕事は同一価値であるというものでした。

このような考え方が公務員だけ異質だった訳ではないもの見ています。数十年前は民間企業も、基本は年功序列賃金で、現在のように非正規労働も少なかったはずです。社会全体が変化したため、公務員の賃金制度が目立つようになっていることも否めません。

このような流れを踏まえ、公務員の賃金制度も急激な変化を求められています。今では、どのような小規模な自治体であっても、最低給料表は複数に分かれています。その求められている変化を頭から拒むものではなく、私どもの組合も昨夜のコメントでも記したような制度や水準の見直しなどを受け入れ続けている経緯があります。

「自治体職員は一生懸命頑張る有能な人ばかり」との受けとめ方をどのような記述で感じられているのか分かりませんが、だから早期に退職すべきというご意見には違和感を抱かざるを得ません。いずれにしても、このようなご意見に対し、今回記事の最後に記した私なりの問題意識を持っているところです。

また、mobileSEさんのコメント全体から感じられる「労働組合の存在そのものが悪」というような主張に対し、私はそのように考えていません。したがって、その決定的なとらえ方の相違から生じる問題ですが、私からすれば思い込みによる批判が多いものと感じています。特に思い当たることのない冒頭の事例などがあったため、率直な印象を述べさせていただきました。

投稿: OTSU | 2010年1月13日 (水) 19時34分

管理人さん、皆さん、こんばんは。

私は、ハンドルネームのとおり民間からの転職組で、早や20年近く経ってしまいました。

実のところ、管理人さんには申し訳ないのですが、私はこれまで組合(職員団体)に加入したことはありません。
理由らしい理由もないのですが、(若い時分には)必要性を感じていなかったことや当時の役員の方にあまりよい印象を持っていなかったことなどを思い浮かべています。

こんなことを言っては失礼かとは存じますが、上記のとおり、組合の方に対してあまりよい印象(もっとも、その印象というのも、実に漠然としたものに過ぎないわけでもありますが)を持っていなかった私ですが、ブログを拝見し、管理人さんの真摯なスタンスには、頭が下がる思いです。

このようなネット上の意見交換の場を設けていらっしゃれば、本当にたくさんのご意見が寄せられることと思います。
心地よい意見ばかりであるはずもなく、(誤解や時として悪意を持った)厳しい意見にも数多くぶち当たることでしょう。

これからも、私なりのスタンスで、管理人さんや皆さんのご意見を拝見させていただき、時々感じたことを書き込みさせていただきたいと思います。
とりとめのない話ですみません。

投稿: 元民間 | 2010年1月13日 (水) 20時20分

元民間さん、コメントありがとうございました。

そのように受けとめていただけるとホッとします。厳しい意見を頂戴できることも意義深いことだと思っていますが、決して抵抗力が高まっていく訳ではありません。胸の中に疼きが伴う時も少なくありませんが、鈍くなってしまうのも問題だろうと考えています。

ぜひ、これからも何かお気付きの点がありましたらコメントいただければ幸いですので、よろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2010年1月13日 (水) 22時30分

一つ目の話です。
1月4日の午前中にスーツ姿の5~6名の集団が歩いており、後ろ2名が腕章をしていたとのこと。ただ話を聞いて組合役員と違う可能性も高いと思い、先日の様な書き方になりました。この件については書くべきではなかったです。お詫びします。
ただ一つ、挨拶回りした事実自体が無いのか、それとも腕章姿では無いのかを念の為に確認させて欲しいです。

二つ目の話です。
この仕事をしているとですね、良く組合の方に非公式に呼び出されます。そして話をすると、どこに行っても判で押した様に価値観と考え方が一緒で、相当に気が滅入る対応を日々強いられています。
その経験と、労働組合で若手に対する思想教育のような研修を頻繁にしている事を合わせると、一組合員が述べていることを全体の方向と見ても、乱暴ではあるけれど間違いとは言い切れないだろうと思っています。
少なくとも私が見た執行部の方は、ほぼ全員旧社会党の考え方でしたよ。もし違うならば、そちらの執行部で違う価値観の持ち主(例えば自民党支持者の人とか)を紹介して欲しいですね。世間の比率的には6人集まれば1人は居ますので、そうすれば見方も変えられると思います。

三つ目の話です。
50代になる前に昇給しなくなる制度は初耳でした。勉強不足で申し訳なく思います。あと調べれば判ることですが、せっかく水準の見直しを受け入れたと仰って頂いたので、具体的に何%ダウンとしたのか教えてもらえますか。それが我々目線でも下げたと言える水準なら良いのですけれど。

四つ目の話です。
ちょっと方向が違いますが、言うべきことを「いつも疑問符」氏が書いてますし、この部分は論議を期待してはいけない部分なのだろうとも思いますので一言だけ。私は労働組合の存在が悪と思った事はありません。そして公務員事態も敵視してはいません。ただ、労働組合の存在をその本質から外し、政治活動や扇動活動に使用する存在が悪であって許せないだけです。そして、10年20年後の職員と市民の為、本質であるはずの全体と未来を見た活動に注力して下さい。とお願いして今回は筆を置くことにします。

投稿: mobileSE | 2010年1月13日 (水) 23時35分

mobileSEさん、おはようございます。

以前は組合四役揃って理事者への新年の挨拶に伺っていましたが、今は組合を代表して私一人で市長室へ出向いています。腕章を付けることはなく、型通りの挨拶のみです。

私どもの組合の方針や考え方は、当ブログで主張しているような内容です。その方向性についても組合員に押し付けるものではなく、常に「組合はこのように考えています」という手法を心がけています。したがって、ご指摘のような「思想教育」という言葉は当てはまりません。

組合ニュースでの宣伝や学習会なども催しますが、あくまでも組合が発信する情報に接した組合員がどのように判断されるのかどうかだと思っています。そのため、政党支持の問題も含めて、ご本人が明らかにしている範囲内でも様々な考え方の組合員で構成している組織であることは間違いありません。

ちなみに組合方針と異なる考え方をお持ちの方々にとって、学習会などに一定の組合費が使われることに対し、異論があることも受けとめています。この件に関しては、その位置付けなどについて過去の記事で綴っていますので改めてご参照ください。

なお、相手方の了解等の問題がありますが、多様な政党を支持されている組合員のご紹介について、ある程度対応できるはずです。いつでも結構ですので、mobileSEさんが在住されている市役所の代表番号に電話され、組合事務所とお申出ください。昼休み時間に「委員長」あてに連絡いただければ、日時等をお約束できるものと考えています。

昇給停止の問題は個々人で引き下げ額等について異なりますが、賃金表の最終到達水準を数万円の幅で見直しています。今、自宅であるため、細かい数字は示せませんがご容赦ください。なお、当ブログで逐次詳細な報告を行なっていない理由は、以前の記事「襟を正す記載の難しさ」で記しているとおりです。

最後のご指摘「10年20年後の職員と市民の為」に関しては、私もその通りだと思っています。その基本的な方向が一致しながら、必ずしもmobileSEさんと手順などが同一となっていない現状のようです。その「溝」が少しでも埋められるよう今後も努力していくつもりですので、引き続きよろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2010年1月14日 (木) 06時47分

>mobileSEさま

いつも横入りしてすみません。

>三つ目の話です。
>50代になる前に昇給しなくなる制度は初耳でした。勉強不足で申し訳なく思います。あと調べれば判ることですが、せっかく水準の見直しを受け入れたと仰って頂いたので、具体的に何%ダウンとしたのか教えてもらえますか。それが我々目線でも下げたと言える水準なら良いのですけれど。

国家公務員の給与体系が、平成18年度から変更されました。
このとき、昇給の到達点を、
平均4%、最大で7%程度引き下げる俸給表が、設定されました。

平成17年度時点で受けていた俸給月額が、
平均48~49歳以上の職員は、
新給与制度の昇給の最終到達点を超えてしまっている、
(ただし、同一職位で居続けた場合です)
という構造に変わります。

係長として定年まで居続けた場合ですが、
平成17年度の時点で48歳程度の人の俸給月額は、
定年退職まで上がることがない、
ということとなりました。

投稿: イール | 2010年1月14日 (木) 21時25分

連投ですみません。

>mobileSE さま

>四つ目の話です。
ちょっと方向が違いますが、言うべきことを「いつも疑問符」氏が書いてますし、この部分は論議を期待してはいけない部分なのだろうとも思いますので一言だけ。私は労働組合の存在が悪と思った事はありません。そして公務員事態も敵視してはいません。ただ、労働組合の存在をその本質から外し、政治活動や扇動活動に使用する存在が悪であって許せないだけです。そして、10年20年後の職員と市民の為、本質であるはずの全体と未来を見た活動に注力して下さい。

私の所属する団体も、
熱心な組合幹部の職員は、とある政党の主張の影響を受けていると感じます。

私は、現在は異なりますが、
かつては、労働組合の青年部の副部長をしていたことがありまして、
その時に、組合幹部の職員より、勧誘を受けました。

ただ、私は、
ある特定の政党の関係者となることは、
平等・公平の原則の観点からは、はずれてしまうことと、
入るなら全部入る、入らないなら全く入らないと、
平等・公平は保てない、との持論(あくまで持論です)から、
断りました。

そんな私ですので、
組合幹部と意見がずれること度々です。
「なんで、そう考えるの?」と、
何度も聞いていて、口癖のようになっています。

mobileSEさんが、話をするたび、常に感じて、
がっかりされている、との書き込みを見て、
うちの団体でも似たような部分があるなぁ、と思った次第です。

>OTSU さま
加入率は100%ですか。
今どき珍しいですね、なんて言うと怒られちゃいますが。
私の団体とは、だいぶ違う環境(組織率)なんだな、と思いました。

投稿: イール | 2010年1月14日 (木) 21時51分

イールさん、おはようございます。いつもコメントありがとうございます。

加入率は100%ではなく、100%近くです。以前は99%超と言い切れましたが、最近は未加入者が2桁を超している現状となっています。

投稿: OTSU | 2010年1月15日 (金) 06時44分

「イール」氏 (一部「OTSU」氏)

三つ目の話について丁寧なご説明ありがとう御座います。平均4%で最大7%ですか、確かに少なくない数字だと思います。但し、民間はさらに数倍の勢いで下がっているようですので評価としては微妙です。そして、書き込みを見る限りこの下げは俸給表の話であって、個人個人は現給が保証されている様に見受けられます。結局下がるのではなく上がらなくなったという話になるのでしょうか。

いつも思うのですが民間は給与は下がります。ですが公務員はいつも現給保証制度により下がらないのですよね。地域給導入の際にもそうだったと聞いています。そして独自削減と称して各自治体が臨時に削減しているものでは一時的に下がるが、それが無くなると保証されている給与までは戻るそうですね。おかしくないですか?

一部の自治体でもとうとう実際に下がるように本来の意味で俸給表に手が付き始めたそうですが、ここできっちり特定少数(主に年寄り)の給与を下げておかなければ、自治体の財政は好転しないし、何より若手の待遇を改善できないと思いますね。

常々思うのですが、公務員給与は若手が安すぎる代わりに年寄りが高すぎます。現在でも多分高卒だと年収200万ちょっと~定年間際の年寄り(除く管理職)で750万強かと思います。仕事の難易度の差がそんなにあるとは到底思えない職種ですので、ハッキリ言えばこの給与差はあり得ないと考えています。仕事で自治体の若手と一緒になるのですけど、ちょっと不憫に思います。

若いときに安月給で苦労して根性がねじ曲がり、年寄りになってやっとあがった給料だからと頑固に固執する現状では救いがありません。今こそ先のない特定少数(主に年寄り)の給料と退職金を思い切って削って、若手の待遇改善の原資にすることを期待しています。


四つ目の話についてですが、なかなか上手に表現できませんが私の考えを書かせてもらいますと、私は法の解釈がどうであろうと公務員の政治的活動と政治に関する意志表明は厳に慎むべきと思っています。これは法による制限がなくとも自粛すべきという考えです。

結局のところ地方公務員は行政の執行者の立場ですので、首長と議会(国家公務員ならば政府と国会)の決定事項を淡々と執行するのが本文であろうと思います。そしてこの淡々と執行するを徹底するならば、労働組合のみならず個人であっても、また業務内と業務外を問わずに、支持政党を表明したり、まして応援したりする行為は本文から外れていることは明白です。ただし投票は妨げるつもりはありません、口に出さずに自主投票(組合は組合員にも支持依頼をしない)で各自の信じるところへ入れて下さいということです。

今回の衆院選挙で自治労と日教組は派手に民主党を支援しました。その中で露骨に意志表明をしていたのは間違いのない事実です。実際に民主党は大勝し、その結果この2つの組織は発言力を得ています。これに多くの国民は反発してますけどね。
さて、今は良いですが4年後には揺り戻しで自民党政権に戻る可能性が高いと思われますし、ひょっとしたら再編された政党が政権を持つかも知れません。そこに待ってるのは自治労と日教組に対する明確な報復です。これは確実に起きると思っています。
そのなった場合に、果たして淡々と決められた事を執行できるのかと問えば、今までの自治労と日教組のキャラクターから考えても、執行に支障が出る事は明らかです。

これらより、公務員が政治活動と政治に関する意志表明することは、明らかに市民(国民)全体の利益を損ねる行為になり得ると考えています。また今苦労している若手に対し、将来さらなる負担を背負わせることにもなります。

こちらでは「地公法第36条をもって地方公務員の政治活動が一切禁止されている訳ではない」とか「告示日前ならば日常の政治活動に位置付けられ支援を求めることに問題はない」などと書かれておられます。しかしですね、今度政権を取る側にしてみれば、これは屁理屈ですよ。次回の政権からは確実に叩かれるし、市民(国民)からは確実にそれらが歓迎されるでしょうね。

自分を厳しく律して中立を保てない職員は、市民(国民)から見ても胡散臭くて信用できないのですよ。それくらい自己に厳しい職員を市民(国民)は求めているのだろうと思います。そして、これから支える若手に対しては「お前さんたち、そろそろ騙されてることに気が付きなさい」と思う訳です。

投稿: mobileSE | 2010年1月15日 (金) 23時51分

mobileSEさん、おはようございます。

大半がイールさんへのレスということですので、一言だけ。改めてmobileSEさんの考え方を読ませていただきましたが、今すぐ同意できること、同意できないことが混在しています。このブログの記事すべてを2回お読みいただいたmobileSEさんに対し、子細な説明や改まった反論は余計なことだと思っています。だからこそ、今回のコメントが主にイールさんあてだったのだろうと受けとめています。

投稿: OTSU | 2010年1月16日 (土) 07時08分

>mobileSEさま

給与が下がる、下がらないの話ですが、
公務労働者の下がる、下がらないは、
国家公務員なら、人事院勧告、
地方公務員なら、その団体にある人事委員会の勧告により、
上がるのか下がるのかが勧告されます。

その勧告により、労使間協議を経て、
公務労働者の給与が、上がったり下がったりします。

このとき、
mobileSEさんが指摘されている現給保障者についても、
この勧告の上がり下がりの影響は受けることとなります。

一時的に団体の判断で下がったとしても、
また元に戻る、というのは、
公務労働者の給与水準は、民間との比較によることを原則としているため、
たとえば、ある団体が一時的に全員1割カットしたとしても、
民間の平均水準と比べ、1割のズレが生じてしまうため、
人事委員会により、1割あげるよう勧告されます。

公務労働者の給与水準は、
域内の民間給与水準に左右されますので、
域内の民間が元気を取り戻さない限り、
公務労働者の給与水準は、引き続き下がり続けます。
民間企業の復活を願うばかりです。

勧告の内容ですが、
ここ6-7年の状況しか私は把握していませんけれども、
うちの団体でも、勧告で増額になるようなものはなく、
維持が少々、あとは毎年減額となっています。
-------------------------------------------
公務労働者の思想信条に関しては、
私の個人的な意見としては、
mobileSEさんに近いと思いました。

一方で、
法令に規定されている、限定的な制限を踏まえていれば、
思想信条の自由は保たれたい、
と思っている公務労働者もいると思います。

両者がいることについては、
個人的な意見としては、
まぁ仕方がないかなぁ、とは思います。

#あくまで、「私は、持つべきでない」と、
#個人的に、勝手に思っています。
#それを他の同僚まで押しつけようとは考えていません。

投稿: イール | 2010年1月16日 (土) 11時45分

#また、書き忘れました。
#連投すみません。

民間との給与水準比較が原則、と書きましたが、
これは、まだ健全な団体について、のことで、
「財政再建団体」に陥ると、これまた話は別となります。

北海道夕張市が有名となってしまいましたが、
財政再建団体に転落すると、
非常事態ですので、この原則があてはまらなくなります。

投稿: イール | 2010年1月16日 (土) 12時07分

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