9・11テロから8年
このブログは管理人である私をはじめ、基本的に実名は出さない書き方を続けています。その理由については「ブログでの議論で願うこと」や「ネット議論への雑感」の中でも明らかにしてきました。一方、プロフィール欄に記してあるとおり「よくマスコミなどに顔を出されている有名人や政治家の方は、特に名前をふせることはしていません」という扱いを決めていました。
ご自分の名前を知ってもらうことが大事な政治家の方々に対しては、地方議会も含めて特にふせる必要がないのかも知れません。それでも今まで実名での記述は国会議員に限ってきました。地元選挙区の衆議院議員は長島昭久さんですが、よくテレビに出ているという意味でも有名な方ですので基本にそった扱いでした。
また、自治労本部委員長や連合会長らは例外として、労働組合関係者も基本的に実名をふせてきました。何回か当ブログで紹介してきましたが、連合政治センターの事務局長は私どもの組合の元委員長です。ここまで肩書を明らかにすれば、実名をふせる意味はあまりないのかも知れません。それでも今回の記事の中では、これまで通り元委員長と呼ばせていただきます。
その元委員長は民主党の小沢代表代行の全国行脚に同行する役割を担っていました。したがって、いろいろ貴重な話を元委員長から伺えることが少なくありません。先週土曜日、前回記事「新政権への期待と要望」の中で記したような感想をもらしていた時、「なるほど」と思った会話がありました。「もっと選挙区で候補者を出していれば、もっと民主党の議席は増えたのでは?」という質問を元委員長に投げかけました。
社民党や国民新党の候補者が自民党に敗れた選挙区の多さを意識した質問でしたが、元委員長の答えは明確なものでした。「それは違う。社民党と国民新党との選挙協力があったからこそ、ここまで勝てた」という話でした。この認識は小沢代表代行と共通したものであり、3党の連立協議における民主党の謙虚さの背景が別な角度から垣間見れた話題だったと言えます。
連合の側から政権交代に向けて尽力されてきた元委員長は、この10月でその役職を退任します。たいへんな時期の激務、改めてお疲れ様でした。記事タイトルと異なる内容が長くなって恐縮ですが、その元委員長も当ブログを注目くださっています。5月にお会いした時、ある本を元委員長から渡され、「機会があったらブログで取り上げてみてよ」と頼まれていました。その書籍のタイトルは『9.11テロ疑惑国会追及 オバマ米国は変われるか』というものでした。
編著者である民主党参議院議員の藤田幸久さんから直接薦められ、読んでみた元委員長は何か感じることがあったようでした。そのため、私にも薦め、さらにブログを通して多くの人に知ってもらいたいものと考えたようです。本を渡された時、私自身としては「陰謀論ですか」と今一つ気乗りしない正直な反応を示していました。
元委員長が「とにかく一度、読んでみてよ」と強く推されるため、その本をお借りし、すぐ読み始めていました。米国を震撼させた9・11同時多発テロから8年、これまで数々の「陰謀論」が話題になっていることだけは知っていました。しかし、じっくり書籍などを読むことはなく、読む必要もない噂話の類いだと決め付けてきました。今回、薦められた本を読み、簡単に「陰謀論」だと切り捨てられない多くの謎があることを初めて認識しました。
誤解がないように申し添えなければなりませんが、私自身はもちろん、元委員長も、編著者である藤田さんも「陰謀論」をそのまま肯定している訳ではありません。個々人の温度差はあるのでしょうが、不可解な疑問や様々な疑惑があることを受けとめた上、9・11テロを多面的に検証する必要性を感じ取っている立場だろうと思っています。
なお、今回の記事は、9・11テロにおける疑惑の内容を大きく取り上げるものではありません。とは言え、どのような点が疑問視されているのか、その本の中に書かれている内容について少しだけ紹介させていただきます。まず米政府の「9・11委員会報告書」に対し、各国首脳、外交官、軍人、パイロット、消防士、建築家、科学者、生存者、被害者家族、目撃者、FBI・CIA職員など、多様な視点から1200に及ぶ疑問の声が集められていました。
- 報告書をまとめたケイン元ニュージャージー州知事とハミルトン元下院議員が「CIAや連邦航空局などが多くの情報を隠蔽した」と報告書の信頼性を自ら否定している。
- FBIはビン・ラディンの9・11テロへの関与を断定できず、容疑者を正規に起訴していない。
- FBIがハイジャック犯として公表した19人のうち8人が生存とBBCなどが報道している。
- 4機の航空機の乗客名簿、フライトレコーダーなどの一部しか公開されず、4機の残骸も、強固なタービンエンジンまでもほとんど残っていない。
- ペンタゴンに突入したとされる大型旅客機の映像も、突入した後の映像もなく、建物の中にも前庭にも機体の残骸や遺体の写真がほとんどない。
- 飛行機が突入していない47階建ての世界貿易センター第7ビルが、小規模な火災によって、真空状態で落とし穴に吸い込まれるような6・5秒という超高速で倒壊した。
- 9・11テロの数日前、事件で大損害を受けた航空会社に対する大量のプットオプション買いや、金や石油市場の不可解な売買が行われたとヴェルテケ・ドイツ連邦銀行総裁が証言した。
繰り返しになりますが、上記のような疑惑の真偽を論じる立場ではなく、その力量も到底ありません。藤田さんは「2008年の大統領選挙でオバマ大統領に圧倒的勝利を与えた最大の功労者は、あのおかしな戦争と、100年に一度の金融危機を生んだブッシュ大統領であるとも言われる。世界に不幸をもたらしたブッシュのアメリカを変えるためには、その原点である9・11を直視し、検証することが不可欠である」と述べていますが、そのような視点にはうなづけるものがあります。
また、藤田さんは2008日1月10日の参議院外交防衛委員会で福田総理に対して「アルカイダの犯行とした根拠」などを質問していました。その質問の背景として、政府が「テロとの戦争は他人事ではない」と答弁する一方、犠牲となった邦人24人の犯罪捜査は「米国任せ」という姿勢への矛盾の追及などがありました。
アフガニスタンとイラクでの戦争において当事国の一つとなっている日本にとって、9・11テロの真相追及は確かに「他人事」ではありません。さらに物事を多面的に見る大切さを意識していくのならば、いわゆる「陰謀論」などに対しても真意を探った上で価値判断する必要性を感じ取る機会となっていました。
元委員長から薦められた本は、このように興味深い内容であり、数日で読み終えていました。しかし、当ブログの記事として取り上げる場合、さすがに唐突の感は否めないため、この時期まで投稿のタイミングを見計らってきました。昨夜はテレビで、2006年に封切りされた映画『ワールド・トレード・センター』を観て、9・11テロ被害の凄まじさに触れました。
一方で、2人の警官を救出した後につぶやいた元海兵隊のカーンズの言葉が引っかかりました。「これから兵士が必要になる。報復のために。見てろ」というものでした。「悲劇の中に差し込んだ希望の光…、支え合って生きること」という映画の宣伝文句が変質してしまうセリフだったものと思います。その当時のアメリカ人の気持ちを代弁する言葉だったのでしょうが、昨日の追悼式典でのオバマ大統領の挨拶は米国の「変化」の兆しも見て取れます。
オバマ大統領は「アル・カーイダと過激派の追跡で、ひるむことは決してない」と述べる一方、「この日の真の精神を確認したい。それは破壊の欲望でなく、守り、奉仕し、築き上げる力だ」と国民に呼びかけました。憎しみの連鎖を招く武力によって平和は築けない、そのような思いがオバマ大統領の心の中にも脈々と育まれていることを強く期待し、長くなった記事の結びとさせていただきます。
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コメント
陰謀論は止めといた方がいいと思いますよ。少なくとも傍観しといた方がいい。
kikulog という大阪大学の先生がやっているブログ(同名の別のブログもあるので注意)があって、そこで9.11も含めた陰謀論を批判してます。参考になさったらどうですか。
投稿: ケイジ | 2009年9月25日 (金) 10時00分
ケイジさん、コメントありがとうございました。
ここは少し誤解されたかも知れません。あくまでも「陰謀論」を前提にした記事ではなかったつもりです。不可解な疑問などが残されていることを中心に記し、アフガニスタンとイラク戦争の原点となった9・11テロを見つめ直す機会としたものでした。
投稿: OTSU | 2009年9月25日 (金) 21時30分