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2009年9月26日 (土)

民主党との距離感

前回記事「静かな船出、鳩山内閣」の冒頭で、前々回記事「9・11テロから8年」へのコメントが久しぶりに1週間たっても0件だったことを書きました。前回記事もコメントが少ない傾向となる政治に関する話題でしたが、一転して数多くのコメントをお寄せいただきました。やはり幅広い視点から思いがけないご指摘やご意見に触れられる機会は意義深いことだと考えています。

特に前回は、その思いが顕著となりました。前回記事の冒頭で「鳩山政権の滑り出しの印象は個々人で温度差があるものと思っていますが」と書きましたが、その温度差が本当に個々人で大きく違うことを改めて認識する機会となりました。まずThorさんから川端文科相がシルバーウイーク中の22日を補正予算洗い直し作業の期限とし、最初から連休返上での仕事を求めたことについて、おかしいのではないかとのコメントをいただきました。

それに対し、私からは「歴史的な政権交代直後の時期ですので、文科省職員の皆さんには申し訳ありませんが、やむを得ない事態だと見ています」とお答えしていました。私どもの自治体に照らしても、緊急に仕上げなくてはならない事務作業が発生した場合、予定外の休日出勤が強いられる時もあります。私自身の経験としても大規模なOAシステム導入の際、年末年始にも出勤したことがありました。

さらに来年5月、新庁舎への移転に伴い大半の職員が「ゴールデンウイークはないもの」と覚悟していますが、この点についても仕方ないものと受けとめています。つまり一過性の緊急を要する任務が課せられること自体、頭から否定できないものと考えています。一方で、言うまでもありませんが、これからも休日や所定内の勤務時間を無視した職務命令が続くような場合は、それこそ労働組合の出番だろうと思っています。

長時間残業の常態化や「サービス残業」は決して容認できるものではありません。当該の組合が声を上げられないのであれば、連合として新政権に申し入れるぐらいの課題だと認識しています。そのような声が直接届いたのかどうか分かりませんが、連合組織内議員である川端文科相は22日の省内ヒアリングの冒頭、事務次官らに対して次のように陳謝した話が報道されました。

川端文科相は「一刻の猶予も許されないという思いの中で、少し配慮が足りなかった」と頭を下げ、「別途、家族と過ごせるようにしてほしい」と代休取得を指示したそうです。このように配慮が不足した点は、すぐ反省する姿勢も大事な点だろうと思っています。今後、マニフェストの実現も重要ですが、よりいっそう幅広い声を謙虚に受けとめていく姿勢も民主党には求められているはずです。

しかし、この謝罪についてもThorさんからは「霞ヶ関の慢性的な人員不足の中で、現実に代休を取れるとお思いでしょうか? そもそも、霞ヶ関は年次休暇の消化率も低調なので、代休が加わっても、非常に無意味なのですが。しかも、これから先もあれこれと通常業務に加えて、民主党政権の追加業務も見込まれる中で、どう休ませるつもりなのかが不思議です。正直な所、マスメディアと国民向けのポーズ、民主党のアピールにしか見えません」とのご指摘を受けています。

連休返上の問題は民主党政権を評価する象徴的な話として取り上げられているものと理解していますが、他にも国会質問などにおける民主党議員の配慮のなさが取り沙汰されていました。とは言え、政権交代以降、民主党の大臣らが私自身としては「思ったより」淡々と官僚の方々と接している印象を抱き、そのことを「静かな船出」と表現し、自分なりの感想を綴ったのが前回の記事でした。

繰り返しになりますが、その思いは本当に個々人での温度差が大きいようでした。前回記事のコメント欄では、あっしまった!さんからも鳩山内閣に対する辛口なコメントが続きました。阿久根市長の手法に対する評価などについて、ほぼ見方が一致できるお二人と民主党絡みの話になると、大きくすれ違うこともやむを得ないものと思っています。

そのような中、やはりコメント欄では常連のKさんから「Thorはんは、ブログ主はんと似た様な属性やったんとちゃうかったっけ?せやけど民主党に対する評価はずいぶん違うやんか。これはなんで?」という質問を受けていました。もともとThorさんと私は民主党に対する基本的な評価が違っていました。このあたりは民主党の政策の幅広さが起因していますが、Thorさんは「特に労働者が民主党を支持しているということも無いような気もします」とも述べられています。

正直なところ私自身もスタートしたばかりの新政権ですが、注文を付けたい点がない訳ではありません。民主党の手法などについて、すべて「是」と見ている訳ではありませんが、逆にすべて「非」と見るような政党だとは思っていません。私自身のとらえ方は「新政権への期待と要望」で記したとおりですが、民主党のマニフェストをすべて実現させようとした場合、いろいろ問題点が生じる懸念も抱えています。

まだ船出した直後の鳩山政権に対し、好意的に見れるのか、厳しい批判の目で見るのか、個々人の民主党との心情的な距離感によって左右されているはずです。当たり前な話ですが、連合や自治労が民主党を応援しているからと言って、その構成員すべてが民主党を支持している訳ではありません。先ほど述べたとおり私自身も、民主党の方針に全面的に従う必要性がある立場ではありません。

それでも私どもの組合員の皆さんに対し、民主党への支持を強く訴えてきた責任者であることも重く受けとめています。そのような経緯もある中、望んでいた政権交代ですので、現時点では至らない点を指摘するよりも前向きな点を評価していこうと考えています。加えて、もう少し政権全体の働きぶりを見守った上で、評価していくことの大事さも感じているところです。

その上で、どうしても民主党に改めてほしい問題が生じた際は、支持協力関係のある連合を通し、直接物申していくことが重要です。その具体例を思い出した時、現在の前原国交相の苦闘ぶりがオーバーラップしてきました。4年前、前原国交相が代表に就任した直後、公務員組合を切り捨てようとする発言が繰り返されていました。直前の総選挙戦で懸命に応援していた労働組合側に冷や水を浴びせるものであり、私が所属する連合三多摩は「前原民主党代表と語る会」を開き、その真意をただす機会を設けました。

その会で、前原国交相からは「脱労組の言葉は使っていない。小選挙区で勝つためには労組だけにこだわっていては勝てないとの趣旨での発言だった。今まで通りの応援があることを前提であり、不愉快な思いを与えていたとしたら率直にお詫び申し上げたい」と謝罪の言葉が示されました。また、前原国交相は訪中直前に「中国脅威論」という発言を行ない、期待していた中国側の要人と会談できなくなる結果を招いた時もありました。

前原国交相は「中国の軍事力を脅威」と言っただけで、軽率な発言ではなく、信念に基づいたものだと弁明されていました。今回、八ッ場ダム建設中止の問題に際しても、なぜ、地元との話し合いの前に「撤回はあり得ない」と言い切ってしまったのでしょうか。建設中止を反対する住民からすれば、「結論ありき」の態度では意見交換会が単なる「アリバイ作り」だと見えてしまうのも仕方ないことです。

結局のところ地元の同意がない限り、強行しないと表明できるのならば、「マニフェストに掲げた民主党の方針は建設中止だが、地元の皆さんにもご理解いただけるよう充分話し合っていきたい」と述べるだけで良かったのではないでしょうか。前原国交相が非常に誠実で正直な人物であることは間違いありません。ただ発する言葉の重みをもう少し慎重に考え、相手側がどのように受けとめるのか、想像できるようになってほしいものと願っています。

話が横道にそれ、いつものことながら長い記事となって恐縮です。これからも機会があれば当ブログの中で、民主党に対する要望などを綴っていこうと考えています。合わせて今後も、必要に応じて民主党への不満や注文について、自治労や連合を通し、もしくは地元選出の代議士や都議会議員に対して直接訴えていくつもりです。

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2009年9月19日 (土)

静かな船出、鳩山内閣

水曜日に発足した鳩山内閣の支持率は、各報道機関の調査によると軒並70%を超えています。小泉政権発足直後の数字には及びませんが、細川連立政権の発足時に肩を並べる高いものとなっています。308議席獲得という選挙戦での圧勝をはじめ、このように国民から高い支持を得ている内閣に対し、各省庁の受けとめ方は淡々としたものであり、これまでの方向性と180度異なる政策判断にも謙虚に従う姿勢を示しているようです。

ところで前回の記事は「9・11テロから8年」でしたが、コメントが1件も寄せられない1週間となりました。もともと政治的な話題に対するコメントは少ない傾向がありましたが、まったく寄せられなかった記事は久しぶりなことでした。コメント欄で活発な議論が交わされる記事は、ある意味で日々内容を更新しているブログと同じような鮮度を保つことができています。そのため、週1回しか新規記事を投稿しない当ブログへ、おかげ様で毎日多くの人に訪れていただいていました。

前回のように動きのないブログでは、さすがに週末になると普段よりアクセス数は少なめとなっていました。アクセス数の多さはブログを続けていく励みの一つですが、決してアクセスアップを目的に記事を投稿している訳ではありません。また、一般的な傾向として平日に比べ、休日の方がインターネットを利用される人の数は減るようです。つまり当ブログへのアクセス数も、休日は平日の半分程度となっています。

したがって、シルバーウイークの初日となる土曜日、アクセスやコメントの数は意識せず、今回も政治的な話題を綴らせていただきます。すでに冒頭でも触れたとおり鳩山新政権が滑り出し、自民党の総裁選も昨日告示され、政治に関する旬な話題があふれています。いろいろ書きたい内容が頭に浮かびますが、散漫な記事とならないためにも、ある程度ポイントを絞って「公務員のためいき」なりのアプローチに努めてみるつもりです。

記事のタイトルを「静かな船出、鳩山内閣」としましたが、人によって受けとめ方は様々かも知れません。私自身の印象として、とりわけ官僚との関係性において「静かさ」を感じています。「嵐の前の静けさ」とも言えますが、今のところ官僚側の従順さが目立つのと合わせ、新政権の閣僚側も淡々とした接し方に努めているようです。過去、外務省と田中大臣、長野県庁と田中知事など、就任当初から官僚と政治家の対立が激化した事例も少なくありません。

幸いにも政権全体でそのような対決劇が繰り広げられる事態は杞憂だったようです。各大臣が大胆な方針転換に向けた強い指示を矢継ぎ早に示し、各省庁で官僚抜きの政務三役会議が新設されるなど、着々と「脱官僚」政治が歩み出しています。その一方で、鳩山首相をはじめ、各閣僚が職員の誇りを傷つけないような気配りに努め、それぞれの能力を充分発揮できるような前向きの関係性の構築などについて語りかけています。

野党時代は強い口調で官僚に迫らないと物事を動かしづらかったはずであり、政権与党となった今は、民主党の各大臣が威圧的になる必要性のなくなった力関係を示しています。その意味では省庁のトップとなる政治家に対し、部下となる官僚との常識的な関係性がスタートした風景なのだろうと思っています。民主党の農業政策を真っ向から否定した農水事務次官の続投を赤松大臣が決めましたが、適切な判断だったのではないでしょうか。

少し前まで鳩山首相らは「局長クラス以上に辞表を提出してもらい、民主党が考えている政策を遂行してくれるかどうかを確かめたい。それくらい大胆なことをやらないと官僚の手のひらに乗ってしまう」と述べていました。民主党政権が実現した場合、中央省庁の局長級以上の幹部にいったん辞表を提出させ、民主党の方針に賛成する官僚のみを引き続き採用する基本方針を掲げていました。

政権交代が現実味を帯びてきた時、この日本では馴染まない手法であるものと判断したようです。この判断をはじめ、民主党政権の実現に戦々恐々としていた官僚の皆さんは滑り出しの時点での動きに対し、少し胸を撫で下ろしているのではないでしょうか。これからどのような展開が待っているのか分かりませんが、やはり長期的な政策を円滑に遂行するためには政治家と省庁職員との信頼関係も重要な要素であるはずです。

続いて、私たち自治労組合員にとって、心強い新閣僚の人事について触れます。原口総務大臣は、民主党のネクスト総務大臣を務めていたため、公務労協と緊密な連携をはかりながら公共サービス基本法の成立に力を注がれていました。2回ほど直接お話を伺う機会がありましたが、政党と労働組合の分断、民と公の分断、正規と非正規雇用の分断に乗らないという3つのドクトリン(約束)の紹介など、たいへん勇気付けられたことを覚えています。

公務員制度改革も担当する仙谷由人行政刷新大臣は自治労協力国会議員団長です。今年4月に自治労が舛添前厚労大臣へ「社保庁職員の雇用確保と年金記録問題に関する申し入れ」を提出する際の橋渡し役まで担っていただいています。組閣の直前までその仙谷大臣が厚労大臣の予定だった話も聞こえていますが、それはそれで心強い人事だったろうと思います。

このようなダイナミックな攻守交替が政権交代の醍醐味ですが、一方で、私たち自治労側は今まで以上に大局観を磨かなければならず、いっそう責任ある対応が迫られていくものと考えています。これまでの信頼関係がある中で、原口大臣や仙谷大臣が理不尽な強権を振りかざすことはないはずです。しかし、そのことが自治労などの既得権を守るためだけの「ためらい」だと国民の皆さんから見なされてしまった場合、民主党政権の足を引っ張る事態につながりかねません。

したがって、政権交代が現実のものとなった今、ますます公務員組合側は既得権を守るための「抵抗勢力」と見られないよう適確な情報発信に力を注ぐ必要があります。また、改めるべき点は即座に改めながら、先入観や誤解に基づく批判は払拭できるよう丁寧な説明責任や情報宣伝が求められています。「政権と労働組合との強い信頼関係があるからこそ、大胆で効果的な改革ができる」と誇示するような覚悟も欠かせないものと受けとめています。

最後に、民主党のマニフェストに掲げられた国家公務員の総人件費2割削減について、「国家公務員と明記したことに自治労の影響力を感じてほしい」という発言を耳にしました。まったく不適切で、残念なとらえ方だと感じています。この言葉だけ取れば、公務員以外の皆さんからの反感はもちろん、同じ問題意識を共有すべき国家公務員の皆さんからも反発を招くものと危惧しています。

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2009年9月12日 (土)

9・11テロから8年

このブログは管理人である私をはじめ、基本的に実名は出さない書き方を続けています。その理由については「ブログでの議論で願うこと」や「ネット議論への雑感」の中でも明らかにしてきました。一方、プロフィール欄に記してあるとおり「よくマスコミなどに顔を出されている有名人や政治家の方は、特に名前をふせることはしていません」という扱いを決めていました。

ご自分の名前を知ってもらうことが大事な政治家の方々に対しては、地方議会も含めて特にふせる必要がないのかも知れません。それでも今まで実名での記述は国会議員に限ってきました。地元選挙区の衆議院議員は長島昭久さんですが、よくテレビに出ているという意味でも有名な方ですので基本にそった扱いでした。

また、自治労本部委員長や連合会長らは例外として、労働組合関係者も基本的に実名をふせてきました。何回か当ブログで紹介してきましたが、連合政治センターの事務局長は私どもの組合の元委員長です。ここまで肩書を明らかにすれば、実名をふせる意味はあまりないのかも知れません。それでも今回の記事の中では、これまで通り元委員長と呼ばせていただきます。

その元委員長は民主党の小沢代表代行の全国行脚に同行する役割を担っていました。したがって、いろいろ貴重な話を元委員長から伺えることが少なくありません。先週土曜日、前回記事「新政権への期待と要望」の中で記したような感想をもらしていた時、「なるほど」と思った会話がありました。「もっと選挙区で候補者を出していれば、もっと民主党の議席は増えたのでは?」という質問を元委員長に投げかけました。

社民党や国民新党の候補者が自民党に敗れた選挙区の多さを意識した質問でしたが、元委員長の答えは明確なものでした。「それは違う。社民党と国民新党との選挙協力があったからこそ、ここまで勝てた」という話でした。この認識は小沢代表代行と共通したものであり、3党の連立協議における民主党の謙虚さの背景が別な角度から垣間見れた話題だったと言えます。

連合の側から政権交代に向けて尽力されてきた元委員長は、この10月でその役職を退任します。たいへんな時期の激務、改めてお疲れ様でした。記事タイトルと異なる内容が長くなって恐縮ですが、その元委員長も当ブログを注目くださっています。5月にお会いした時、ある本を元委員長から渡され、「機会があったらブログで取り上げてみてよ」と頼まれていました。その書籍のタイトルは『9.11テロ疑惑国会追及 オバマ米国は変われるか』というものでした。

編著者である民主党参議院議員の藤田幸久さんから直接薦められ、読んでみた元委員長は何か感じることがあったようでした。そのため、私にも薦め、さらにブログを通して多くの人に知ってもらいたいものと考えたようです。本を渡された時、私自身としては「陰謀論ですか」と今一つ気乗りしない正直な反応を示していました。

元委員長が「とにかく一度、読んでみてよ」と強く推されるため、その本をお借りし、すぐ読み始めていました。米国を震撼させた9・11同時多発テロから8年、これまで数々の「陰謀論」が話題になっていることだけは知っていました。しかし、じっくり書籍などを読むことはなく、読む必要もない噂話の類いだと決め付けてきました。今回、薦められた本を読み、簡単に「陰謀論」だと切り捨てられない多くの謎があることを初めて認識しました。

誤解がないように申し添えなければなりませんが、私自身はもちろん、元委員長も、編著者である藤田さんも「陰謀論」をそのまま肯定している訳ではありません。個々人の温度差はあるのでしょうが、不可解な疑問や様々な疑惑があることを受けとめた上、9・11テロを多面的に検証する必要性を感じ取っている立場だろうと思っています。

なお、今回の記事は、9・11テロにおける疑惑の内容を大きく取り上げるものではありません。とは言え、どのような点が疑問視されているのか、その本の中に書かれている内容について少しだけ紹介させていただきます。まず米政府の「9・11委員会報告書」に対し、各国首脳、外交官、軍人、パイロット、消防士、建築家、科学者、生存者、被害者家族、目撃者、FBI・CIA職員など、多様な視点から1200に及ぶ疑問の声が集められていました。

  1. 報告書をまとめたケイン元ニュージャージー州知事とハミルトン元下院議員が「CIAや連邦航空局などが多くの情報を隠蔽した」と報告書の信頼性を自ら否定している。
  2. FBIはビン・ラディンの9・11テロへの関与を断定できず、容疑者を正規に起訴していない。
  3. FBIがハイジャック犯として公表した19人のうち8人が生存とBBCなどが報道している。
  4. 4機の航空機の乗客名簿、フライトレコーダーなどの一部しか公開されず、4機の残骸も、強固なタービンエンジンまでもほとんど残っていない。
  5. ペンタゴンに突入したとされる大型旅客機の映像も、突入した後の映像もなく、建物の中にも前庭にも機体の残骸や遺体の写真がほとんどない。
  6. 飛行機が突入していない47階建ての世界貿易センター第7ビルが、小規模な火災によって、真空状態で落とし穴に吸い込まれるような6・5秒という超高速で倒壊した。
  7. 9・11テロの数日前、事件で大損害を受けた航空会社に対する大量のプットオプション買いや、金や石油市場の不可解な売買が行われたとヴェルテケ・ドイツ連邦銀行総裁が証言した。

繰り返しになりますが、上記のような疑惑の真偽を論じる立場ではなく、その力量も到底ありません。藤田さんは「2008年の大統領選挙でオバマ大統領に圧倒的勝利を与えた最大の功労者は、あのおかしな戦争と、100年に一度の金融危機を生んだブッシュ大統領であるとも言われる。世界に不幸をもたらしたブッシュのアメリカを変えるためには、その原点である9・11を直視し、検証することが不可欠である」と述べていますが、そのような視点にはうなづけるものがあります。

また、藤田さんは2008日1月10日の参議院外交防衛委員会で福田総理に対して「アルカイダの犯行とした根拠」などを質問していました。その質問の背景として、政府が「テロとの戦争は他人事ではない」と答弁する一方、犠牲となった邦人24人の犯罪捜査は「米国任せ」という姿勢への矛盾の追及などがありました。

アフガニスタンとイラクでの戦争において当事国の一つとなっている日本にとって、9・11テロの真相追及は確かに「他人事」ではありません。さらに物事を多面的に見る大切さを意識していくのならば、いわゆる「陰謀論」などに対しても真意を探った上で価値判断する必要性を感じ取る機会となっていました。

元委員長から薦められた本は、このように興味深い内容であり、数日で読み終えていました。しかし、当ブログの記事として取り上げる場合、さすがに唐突の感は否めないため、この時期まで投稿のタイミングを見計らってきました。昨夜はテレビで、2006年に封切りされた映画『ワールド・トレード・センター』を観て、9・11テロ被害の凄まじさに触れました。

一方で、2人の警官を救出した後につぶやいた元海兵隊のカーンズの言葉が引っかかりました。「これから兵士が必要になる。報復のために。見てろ」というものでした。「悲劇の中に差し込んだ希望の光…、支え合って生きること」という映画の宣伝文句が変質してしまうセリフだったものと思います。その当時のアメリカ人の気持ちを代弁する言葉だったのでしょうが、昨日の追悼式典でのオバマ大統領の挨拶は米国の「変化」の兆しも見て取れます。

オバマ大統領は「アル・カーイダと過激派の追跡で、ひるむことは決してない」と述べる一方、「この日の真の精神を確認したい。それは破壊の欲望でなく、守り、奉仕し、築き上げる力だ」と国民に呼びかけました。憎しみの連鎖を招く武力によって平和は築けない、そのような思いがオバマ大統領の心の中にも脈々と育まれていることを強く期待し、長くなった記事の結びとさせていただきます。

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2009年9月 5日 (土)

新政権への期待と要望

先週日曜の衆議院選挙で、民主党は308議席を獲得しました。1党が獲得した数としては過去最高であり、これまでの記録は1986年の衆参ダブル選挙で中曽根自民党が獲得した300議席でした。当時の定数は512、現在は480ですので、今回の民主党の圧勝ぶりが際立っています。日曜午後8時に明らかにした各局の出口調査などによる予想では、320前後の数字が並んでいました。

その場合、自民党の議席数は2桁にとどまる惨敗予想でした。最終的には、森元首相や福田前首相らが大接戦の末、小選挙区で民主党候補を振り切るなど、自民党は119まで議席数を盛り返す底力を発揮していました。さすがに民主党単独で衆議院の3分の2を占める大勝は許さないという民意の絶妙なバランスが働いた選挙結果だったのでしょうか。

前回記事「ネガキャンの中の自治労」のコメント欄で書いた感想ですが、応援していた候補者や政党の勝利は本当に嬉しいものがあります。ただ今の気持ちは、例えが適当かどうか分かりませんが、人事異動の内示が出た後のように感じています。内示前の各職場では、誰が昇格するのか、誰が異動するのか、期待や興味が高まったワクワク感が充満しています。それが内示された後、異動する人たちは新しい仕事への不安感も芽生え、残された人たちはベテランが抜けた穴の心配など、一気に現実に引き戻されていきます。

待ち望んでいた政権交代、これから嬉しさだけではない難しい現実の課題が直面していくはずです。国民から大きな期待を寄せられた民主党国会議員の皆さんの責任の重さは半端ではないため、そのような気持ちをもっと強く感じられているのではないでしょうか。いずれにしても政権交代は目的ではなく、国民の生活を豊かにするための手段であり、そのためのスタートラインに民主党が立ったという見方が適切なのかも知れません。

今月16日には鳩山新政権が発足する運びですが、社民党と国民新党との連立に向けた協議が進められています。外交や安全保障面で民主党と社民党との軋轢が心配されています。しかし、社民党が謙虚さと大局観を忘れず、一方の民主党が次のような認識を持ち続けている限り、乗り越えられていくハードルだろうと思っています。参考までに昨年の秋に投稿した記事「民主党を応援する理由」の内容の一部を紹介させていただきます。

大義のなかったイラク戦争をやみくもに支持した小泉元首相の政治姿勢は厳しく問われなければなりません。そのような過ちを教訓とし、「非は非」と言える日米関係をめざす民主党の方針こそ、国際社会の中で日本の地位を高め、国益にかなうのではないでしょうか。決して米国と不仲になることを望んでいる訳ではありません。米国との同盟関係を過度に強調するリスクへの問題意識があるため、その関係を見つめ直す切っかけとしても非自民政権の誕生を期待しているところです。

小沢代表の外交参謀と目されている山口壮衆議院議員が『サンデー毎日』(10月19号)の誌面で、自民党の外交政策を痛烈に批判しています。アフガン情勢が悪化する中、戦略を誤っている米国の言うままに「テロとの戦い」を大義名分に掲げる麻生首相の間違いを指摘し、小泉元首相が「対米関係さえ良ければ日本の安全保障は大丈夫」とうそぶいたことに対しては、あまりに幼稚であるなどと切り込んでいます。(参考「天木直人のブログ」)

「“戦争をつくる”のではなく“平和をつくる”ことでしかテロはなくならない」と訴える元外交官で、国際政治学博士の肩書も掲げる山口さんの主張に強い共感を覚えています。このような考え方が基盤となっている民主党に対し、「日米同盟重視」一辺倒の自民党との差異は明らかです。今後、政権選択の選挙戦の中で、このような差異を強調していくことも民主党に求められているのではないでしょうか。

以前投稿した記事を紹介する時、必ずリンクをはるようにしています。それでもクリックして、その記事まで読まれる人は少ないものと見ています。そのため、今回は改めて述べたかった内容について、当時の文章をそのまま掲げさせていただきました。木曜日には小沢代表代行の幹事長就任も決まったようであり、「友愛」外交を打ち出している鳩山代表とともに憲法の平和主義を大事にした政権運営に努めていただけるものと期待しています。

続いて、私たちの生活に直結する個別政策の行方ですが、そもそもマニフェストを金科玉条としがちな選挙のあり方に少なからず疑問を抱いていました。少し前に「『政権交代論』への共感」という記事を綴り、そのコメント欄の中で次のように書き込んでいました。決して手を抜いている訳ではありませんが、後付け的な主張ではない意味も込めて、やはりその時の文章をそのまま掲げさせていただきます。

『政権交代論』の著者である山口教授は「野党の側からマニフェストを示す際には、正確な財源の見積もりは困難である。政権獲得を目指す政党にとって最も重要なことは、こぢんまりした整合性ではなく、現状を批判することと、よりよい社会を提示する構想力である」と問題提起しています。

週刊エコノミスト(2009年5月5日・12日合併号)のインタビューでは「今のマニフェスト運動は英国から移植し、日本型を作る際に偏ってしまった。数値目標財源にこだわり過ぎです。100㍍を10秒台で走ろうとする人と、できるだけ長距離を走ろうとする人を同じスタートラインに立たせて、あなたは何秒か、と聞くようなものです。この議論を突き詰めると政党政治を貧しくし、空洞化させます」と語っています。

マニフェストの母国イギリスにおいては、政党の基本理念がマニフェストに表現されることが第一義で、財源の確保が強調されている訳ではなく、数値目標を過度に強調するのは日本的な誤解であるようです。個人的には、このような考え方に強く共感しています。とは言え、マニフェストの土俵に民主党も乗ってしまったことは間違いありません。今さら大胆な軌道修正は難しい局面であり、残念なことだと思っています。

特に今回の総選挙戦の勝敗を分けた鍵は、マニフェストの優劣だった訳ではない見方が強まっています。自民党政治からの「チェンジ」を願った票の積み重ねが地殻変動を起こし、民主党の勝利につながったものと受けとめています。確かに子ども手当や農業の戸別所得補償制度など、具体的な公約が民主党への支持を広げたことも事実だと思います。一方で、直接的なメリットがないどころか、負担増になる可能性を覚悟した多くの人たちも民主党へ1票を投じているはずです。

つまり個別政策への期待よりも、閉塞感を打開するため、政権選択が大きな判断材料になったものと見ています。以前から民主党の公約だった高速道路の無料化など、簡単に下ろせなかった経緯もあったのでしょうが、正直なところ優先順位の高い政策なのかどうか疑問が残っています。それでも必ず公約の大半は実現に向けて、具体的な検討に入ることが民主党の今後の既定路線です。

仮にマニフェストを軽視した場合、国民との約束を破ることとなり、一気に民主党への批判が強まっていくはずです。したがって、まずは政権公約に掲げた政策の実現に向け、全力を尽くしていくのが当たり前な話だと受けとめています。しかし、著しい歪みや将来への大きな禍根が見込まれた時は、勇気ある撤退や大胆な軌道修正も選択肢に加えて欲しいものと望んでいます。

民主党が期待されているのは、総論としての国民生活の向上であり、明るい未来を切り開くことだと思っています。党としての面子や体裁にこだわり、各論の実現を優先しすぎた結果、逆に国民を不幸せにするような事態は本末転倒なことです。公約を修正する際など、真正面から誠意を尽くして説明責任を果たしていく限り、国民からの信頼も簡単に失墜しないのではないでしょうか。

とにかく生活者の視点を重視した民主党中心の政権には大きな期待を寄せています。その上で、一支持者として現時点での率直な思いを言葉にさせていただきました。最後に一言。自治労に所属する組合役員の立場から見た政権交代について、今回の記事で触れる予定でした。いつものことですが、長々とした記事となってしまったため、別な機会に譲らせていただきます。

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