ネット議論への雑感
水曜の午後、Yahoo!のトップページに掲げられた「ブログ市長VS阿久根市職労」という読売新聞のニュースの関連として、このブログの記事「もう少し阿久根市長の話」が市長への疑問の声として紹介されていました。そのため、アクセス数が夕方から急増し、最終的にその日のアクセス数は10510件、訪問者数が7192人となりました。
アクセス数の大幅増で「大喜び」したり、ことさらアクセスアップにこだわっている訳ではありませんが、やはり多くの人に訪れていただけることは正直嬉しいものです。ネット上にサイトを開設している人は皆、大なり小なりアクセス数は気になるものと思います。特に当ブログは不特定多数の人たちに公務員側の言い分を発信する必要性を意識し、個人の判断と責任でネット上に開設してきました。したがって、より多くの人たちに閲覧いただき、たくさんのコメントを頂戴できることは本望なことでした。
当然、数の多さに比例し、公務員に対する手厳しいコメントが増えることも覚悟しています。もともと竹原市長を支持する声、支持されるであろう社会的な雰囲気が広がっていることも痛感しています。私たち公務員は時代情勢の変化の中で、正すべき襟は即座に正さなければなりません。しかし、民間で働く人も公務員も、正規も非正規雇用も、その区分に関係なく、守るべきものが数多くあるものと考えています。
そのような問題意識を持ち、300近い記事を重ねてきました。幅広い視点や立場からの率直な声を伺える貴重な場として、また、誤解や先入観による批判は少しでも拭えることを願い、このコメント欄を通して本当に多くの皆さんと議論を交わしてきました。本来、管理人の立場から一つ一つ丁寧にお答えすることが少しでも心証を高められるのかも知れませんが、能力的にも時間的にも自分自身の限界をわきまえているところです。
その上で、いつも述べていることですが、すべてのコメントを読ませていただき、様々な考えを巡らす機会としています。そして、自分自身が「なるほど」と思ったことなどは、日常の業務や組合活動の中で活かしたり、改めるように努めています。加えて、コメント欄で個別に充分お応えできていない現状ですが、皆さんから頂戴したご意見などに対し、私なりの考え方を新たに投稿する記事本文を通して綴るように心がけてきました。
また、大多数の人たちが匿名によるコメント投稿となる「掲示板」的な場として、様々な議論に触れられることを歓迎しています。その匿名の利点は、飾らない本音の議論ができることだと思っています。遠慮のない言葉や誹謗中傷の応酬となるリスク、「諸刃の剣」的な側面がつきまといますが、おかげ様で殺伐とした雰囲気になることが極めて少なく、これまで続けてくることができました。
一方で、匿名で発信できるということは、立場などの成りすましや都合良く情報を操作することも可能となります。それはそれでモラルの問題となりますが、このようなネット上の私的な場では特に何か問われるものではありません。したがって、誰がどのような立場で書いたかは、それほど大きな問題ではなく、その人が書き込んでいる言葉、つまり内容がどのように他の閲覧者の皆さんの共感を呼ぶのか、真偽が判断されていくのかどうかだと考えています。
なお、このブログの管理人である私自身は、プロフィール欄に記しているような立場を明らかにしています。政治家やタレントなど著名人は自分の名前を売るのが本業であり、間違いなく実名で運営しています。一般の人たちが運営する場合は、実名を伏せてハンドルネームで発信していることが大半です。当ブログも後者であり、管理人名を「OTSU」としていますが、私どもの組合員の皆さんらに対しては実名での発信と変わらない位置付けとなっています。
勤めている自治体名も伏せていますが、記事の中に出てくる地名などから簡単に特定できてしまうはずです。必ずしも隠し通さなければならない訳ではありませんが、個人の責任によるブログ運営の一般的なセオリーにそったものですのでご理解ください。ある掲示板で「自治労組合のしかも委員長というお気楽な立場だからできる行為であって、なんとまあ、立派なことをやってくださること!おなじこと、民間会社の現役組合委員長の立場でやってみたらいい、それならその勇気認めますわ」とのご意見を目にしました。
自治労組合の委員長だからブログを運営できるような見方も意外でしたが、民間組合の委員長だとできないような話にも首をかしげています。当たり前なことですが、個人情報など守秘義務にかかわる内容をブログに書き込んだり、自分の組織の信用を失墜させるような記事を投稿した場合、公務員でも民間会社でも許されるものではありません。したがって、このブログの中で具体的な主張を展開する時など、前述したような留意点を絶対失念しないように注意しています。
その掲示板で、もう一つ残念な指摘を受けていました。「下記ニュースの上の部分だけ見ただけで即、別記事に飛びました。じっくり読むだけの時間が惜しい。つきあってられません」と述べながら「いきなり大学教授の意見等と2名ほど先に引っ張り出してきて方向を示した上で自分の意見を述べだすあたり、極めて権威的で姑息な論理展開やってますね。思考方法がよく分かる」と批判を加えられている点が気になりました。
冒頭でお伝えした7192人の大半の方々は、記事の内容全体をお読みいただくことなく、通り過ぎて行かれたものと思っています。それはそれで仕方ない話ですが、「読まなくても言いたいことは予想付きます」と批判されてしまうのは非常に残念な話でした。大学教授の意見の紹介も別に「権威」を押し付ける意図はまったくなく、単に多様な見方があることの頭出しにすぎません。
要するに竹原市長の手法を批判する者は「悪」、自治労組合の委員長など「悪の権化」のような短絡的な決め付け方をされている点が引っかかりました。ネット上での議論に限らず、実生活の中でも初めから論争相手を「色眼鏡」で見てしまうと正確な判断ができなくなる場合もあります。話題となった著書の感想をもとに投稿した“「バカの壁」を踏まえた論点整理”という以前の記事を思い出しているところです。
いずれにしてもインターネットの普及によって、本来、知ることができなかった個々人の本心をブログなどを通して把握できるようになっています。そのことの善し悪しについて評価は分かれますが、今のところ私自身はポジティブにとらえています。これまで忌憚のない意見交換ができるネット上での利点を受けとめながら、このブログのコメント欄を通して「公務員」に関する議論を数多く重ねてきました。
「年収が高すぎる」「クビにならないという安定分を収入から引くべき」「ローリスク・ハイリターンはおかしい」「働いていない公務員が多い」など、同じような批判の声が寄せられてきました。特に飲酒運転や社会保険庁の問題、今回の阿久根市長に絡む記事のようにアクセス数が急増した際、初めて訪問された方々が投げかけていく批判の数々でした。とにかくネット上であるからこそ、聞くことができる率直な意見や指摘だと受けとめてきました。
また、そのような声に対し、説明や反論をできる点もブログの長所だと思っています。しかし、そのような文章も批判されている方々にお読みいただかなければ意味がなく、公務員や自治労への思い込みが強い方々との「溝」を埋める言葉も簡単に見つかるものではありません。幸いなことに当ブログは公務員以外の多くの方々にも継続して注目いただき、合わせて感情が先走らない貴重な議論を交わせる場となっています。
そのため今回、阿久根市の問題から広がっている「公務員」批判のコメントを受けとめ、過去の記事をおさらいするような内容を綴ろうと考えていました。たいへん恐縮ながら前置き的な話が長くなりすぎたため、その内容の記事に関しては次回以降に送らせていただきます。それでも今回の前置き的な話も、お伝えしたかった内容であり、ご容赦ください。ちなみに「99%の公務員は貧乏だ!」という特集記事が載った『宝島』8月号を読み始めたところですので、その内容も参考にしながら次回記事に取り組む予定です。
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