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2009年6月28日 (日)

ネット議論への雑感

水曜の午後、Yahoo!のトップページに掲げられた「ブログ市長VS阿久根市職労」という読売新聞のニュースの関連として、このブログの記事「もう少し阿久根市長の話」が市長への疑問の声として紹介されていました。そのため、アクセス数が夕方から急増し、最終的にその日のアクセス数は10510件、訪問者数が7192人となりました。

アクセス数の大幅増で「大喜び」したり、ことさらアクセスアップにこだわっている訳ではありませんが、やはり多くの人に訪れていただけることは正直嬉しいものです。ネット上にサイトを開設している人は皆、大なり小なりアクセス数は気になるものと思います。特に当ブログは不特定多数の人たちに公務員側の言い分を発信する必要性を意識し、個人の判断と責任でネット上に開設してきました。したがって、より多くの人たちに閲覧いただき、たくさんのコメントを頂戴できることは本望なことでした。

当然、数の多さに比例し、公務員に対する手厳しいコメントが増えることも覚悟しています。もともと竹原市長を支持する声、支持されるであろう社会的な雰囲気が広がっていることも痛感しています。私たち公務員は時代情勢の変化の中で、正すべき襟は即座に正さなければなりません。しかし、民間で働く人も公務員も、正規も非正規雇用も、その区分に関係なく、守るべきものが数多くあるものと考えています。

そのような問題意識を持ち、300近い記事を重ねてきました。幅広い視点や立場からの率直な声を伺える貴重な場として、また、誤解や先入観による批判は少しでも拭えることを願い、このコメント欄を通して本当に多くの皆さんと議論を交わしてきました。本来、管理人の立場から一つ一つ丁寧にお答えすることが少しでも心証を高められるのかも知れませんが、能力的にも時間的にも自分自身の限界をわきまえているところです。

その上で、いつも述べていることですが、すべてのコメントを読ませていただき、様々な考えを巡らす機会としています。そして、自分自身が「なるほど」と思ったことなどは、日常の業務や組合活動の中で活かしたり、改めるように努めています。加えて、コメント欄で個別に充分お応えできていない現状ですが、皆さんから頂戴したご意見などに対し、私なりの考え方を新たに投稿する記事本文を通して綴るように心がけてきました。

また、大多数の人たちが匿名によるコメント投稿となる「掲示板」的な場として、様々な議論に触れられることを歓迎しています。その匿名の利点は、飾らない本音の議論ができることだと思っています。遠慮のない言葉や誹謗中傷の応酬となるリスク、「諸刃の剣」的な側面がつきまといますが、おかげ様で殺伐とした雰囲気になることが極めて少なく、これまで続けてくることができました。

一方で、匿名で発信できるということは、立場などの成りすましや都合良く情報を操作することも可能となります。それはそれでモラルの問題となりますが、このようなネット上の私的な場では特に何か問われるものではありません。したがって、誰がどのような立場で書いたかは、それほど大きな問題ではなく、その人が書き込んでいる言葉、つまり内容がどのように他の閲覧者の皆さんの共感を呼ぶのか、真偽が判断されていくのかどうかだと考えています。

なお、このブログの管理人である私自身は、プロフィール欄に記しているような立場を明らかにしています。政治家やタレントなど著名人は自分の名前を売るのが本業であり、間違いなく実名で運営しています。一般の人たちが運営する場合は、実名を伏せてハンドルネームで発信していることが大半です。当ブログも後者であり、管理人名を「OTSU」としていますが、私どもの組合員の皆さんらに対しては実名での発信と変わらない位置付けとなっています。

勤めている自治体名も伏せていますが、記事の中に出てくる地名などから簡単に特定できてしまうはずです。必ずしも隠し通さなければならない訳ではありませんが、個人の責任によるブログ運営の一般的なセオリーにそったものですのでご理解ください。ある掲示板で「自治労組合のしかも委員長というお気楽な立場だからできる行為であって、なんとまあ、立派なことをやってくださること!おなじこと、民間会社の現役組合委員長の立場でやってみたらいい、それならその勇気認めますわ」とのご意見を目にしました。

自治労組合の委員長だからブログを運営できるような見方も意外でしたが、民間組合の委員長だとできないような話にも首をかしげています。当たり前なことですが、個人情報など守秘義務にかかわる内容をブログに書き込んだり、自分の組織の信用を失墜させるような記事を投稿した場合、公務員でも民間会社でも許されるものではありません。したがって、このブログの中で具体的な主張を展開する時など、前述したような留意点を絶対失念しないように注意しています。

その掲示板で、もう一つ残念な指摘を受けていました。「下記ニュースの上の部分だけ見ただけで即、別記事に飛びました。じっくり読むだけの時間が惜しい。つきあってられません」と述べながら「いきなり大学教授の意見等と2名ほど先に引っ張り出してきて方向を示した上で自分の意見を述べだすあたり、極めて権威的で姑息な論理展開やってますね。思考方法がよく分かる」と批判を加えられている点が気になりました。

冒頭でお伝えした7192人の大半の方々は、記事の内容全体をお読みいただくことなく、通り過ぎて行かれたものと思っています。それはそれで仕方ない話ですが、「読まなくても言いたいことは予想付きます」と批判されてしまうのは非常に残念な話でした。大学教授の意見の紹介も別に「権威」を押し付ける意図はまったくなく、単に多様な見方があることの頭出しにすぎません。

要するに竹原市長の手法を批判する者は「悪」、自治労組合の委員長など「悪の権化」のような短絡的な決め付け方をされている点が引っかかりました。ネット上での議論に限らず、実生活の中でも初めから論争相手を「色眼鏡」で見てしまうと正確な判断ができなくなる場合もあります。話題となった著書の感想をもとに投稿した“「バカの壁」を踏まえた論点整理”という以前の記事を思い出しているところです。

いずれにしてもインターネットの普及によって、本来、知ることができなかった個々人の本心をブログなどを通して把握できるようになっています。そのことの善し悪しについて評価は分かれますが、今のところ私自身はポジティブにとらえています。これまで忌憚のない意見交換ができるネット上での利点を受けとめながら、このブログのコメント欄を通して「公務員」に関する議論を数多く重ねてきました。

「年収が高すぎる」「クビにならないという安定分を収入から引くべき」「ローリスク・ハイリターンはおかしい」「働いていない公務員が多い」など、同じような批判の声が寄せられてきました。特に飲酒運転社会保険庁の問題、今回の阿久根市長に絡む記事のようにアクセス数が急増した際、初めて訪問された方々が投げかけていく批判の数々でした。とにかくネット上であるからこそ、聞くことができる率直な意見や指摘だと受けとめてきました。

また、そのような声に対し、説明や反論をできる点もブログの長所だと思っています。しかし、そのような文章も批判されている方々にお読みいただかなければ意味がなく、公務員や自治労への思い込みが強い方々との「溝」を埋める言葉も簡単に見つかるものではありません。幸いなことに当ブログは公務員以外の多くの方々にも継続して注目いただき、合わせて感情が先走らない貴重な議論を交わせる場となっています。

そのため今回、阿久根市の問題から広がっている「公務員」批判のコメントを受けとめ、過去の記事をおさらいするような内容を綴ろうと考えていました。たいへん恐縮ながら前置き的な話が長くなりすぎたため、その内容の記事に関しては次回以降に送らせていただきます。それでも今回の前置き的な話も、お伝えしたかった内容であり、ご容赦ください。ちなみに「99%の公務員は貧乏だ!」という特集記事が載った『宝島』8月号を読み始めたところですので、その内容も参考にしながら次回記事に取り組む予定です。

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2009年6月21日 (日)

もう少し阿久根市長の話 Part2

阿久根市の竹原市長に関する話題を取り上げた記事を投稿した以降、日々のアクセス件数が一回り増えています。これまで1日1000件を超える日は稀でしたが、最近、アクセス数1000件超の日が続いています。「阿久根市長」絡みのサイトなどからご訪問くださる人たちが増えていることに加え、毎日、たくさんのコメントを頂戴しているおかげだと受けとめています。

そもそも週に1回しか更新しないブログにもかかわらず、これまでも毎日のように訪れてくださる人たちが数多くいらっしゃいました。記事本文そのものの更新は週1回ですが、いつも新規記事に対して必ず幅広い視点から貴重なコメントが複数寄せられるからでした。前回記事「もう少し阿久根市長の話」のコメント欄のように投稿者間での議論が盛り上がった際など、それを楽しみにしたリピーターの皆さんが増え、日々のアクセス数を押し上げていただいるようです。

言うまでもなく最も頻繁に閲覧しているのは当ブログの管理人である私自身ですが、寄せられたコメントに対しては、なるべく早めにレスするように心がけています。それでも前回記事のコメント欄でも記しましたが、立て続けに多くの皆さんからコメントをお寄せいただくと必ずしも個々に対応できなくなっています。とりわけ記事本文や私自身への直接的な問いかけではない場合、たいへん貴重な提起だったとしてもその議論に加わらないことが多くなっている点についてご容赦ください。

また、これまで申し上げてきたことですが、コメント投稿者同士の議論を大いに歓迎しています。そのような議論に触れられることによって、視野を広げ、いろいろ学ぶことができる意義深い機会となっています。聞き慣れない言葉などに接すると、すかさずネットや電子辞書で調べることが習慣化しています。そして、自分の考えと相反する主張やご意見に対しても、じっくり吟味し、頭の中で自問自答を繰り返しています。

つまり記事本文を通して自分なりの問題提起、それに対する賛否両論のコメントがあり、その声を踏まえて翌週の新規記事を投稿するというサイクルが定着しています。テーマによっては単発で終わる記事も少なくありませんが、阿久根市の問題のように重要な論争となっていた場合、同じ記事タイトルで「Part4」まで重ねた時がありました。ちなみに「Part4」まで続けた記事タイトルは「公務員は働いていない!?」でした。

さて、2回にわたった竹原市長絡みの記事に対し、本当に多くの皆さんから様々なご意見を頂戴しました。その中で、組合事務所の使用許可の問題が適切なのかどうか重要なポイントでしたので、踏み込んだ議論を交わさせていただきました。ただ阿久根市に関する情報すべてを把握していなかったのにもかかわらず、自分の市の例などから判断していた点があったことを反省しています。

皆さんから詳しい情報やご指摘をいただいた中、今後、許可に関する手続き面の妥当性などについては仮処分が認められるのかどうか推移を見守りたいと考えています。一方で、最も私自身が問題視している点は、竹原市長の組合つぶしを企図したような「不当労働行為」的な手法でした。さらにその背景にある竹原市長の自治労に対する先入観や偏見が気になっていました。

今回、皆さんから寄せられた内容すべてを踏まえた新規記事となり得ませんが、議論の土台となる認識を少しでも近付けるためにも、自治労への先入観や偏見の真偽などを正させていただきます。竹原市長のブログ「阿久根時事報」の中では、たびたび自治労を敵視した記述が出てきます。不勉強なのか、計算されたものなのか、その意図を決め付けられませんが、「日教組はガン、日教組をぶっ壊せ」と発言して閣僚を辞任した中山前国交相に似た雰囲気を感じています。(参考記事「解散・総選挙は間近?!」)

最近の「阿久根時事報」の中で、竹原市長が発している言葉を紹介します。「多くの議員を組合の思惑通り動かすことができる。議長のあいさつ等の他、議案も職員が作る。ほとんどが職員の手の中にある」(2009/06/12)「自治労は労働貴族というよりも、公共組織内に巣食う謀略組織に見える」(2009/06/16)というものがあり、前者は議員の皆さんに対しても失礼な言葉だと思います。

支持協力関係を結んでいる議員と組合が緊密な連携をはかることについて、特に非難されるべきものではありません。その結果、議員が組合を擁護する行動を取ったとしても、組合の思惑通りに動いた訳ではなく、議員自身がその是非を判断したからに過ぎません。なお、以前投稿した「政治方針確立の難しさ」や「地公法第36条と政治活動」という記事があり、組合が政治活動に取り組む必要性や法的に許されている点などを当ブログで訴えてきました。

議長のあいさつを議会事務局の職員が作ることが多いのかも知れませんが、議長本人が嫌ならば拒否すべき慣行に過ぎません。議案も職員が作るという指摘は、市側が提案する内容でしたら当たり前な事務に過ぎないものと思っていますが、仮に職員がボトムアップで発案した条例の多さを指しているのでしたら、果たしてそれが問題なのでしょうか。とにかく職員が市役所を牛耳っているような印象を操作する文章だと思わざるを得ません。

後者の「謀略組織に見える」という言葉などは、市長という立場の人がネット上で発信することに大きな疑問を持っています。この言葉に限らず「阿久根時事報」には竹原市長の思い込みによる組合や議員批判の内容が随所に見受けられています。Thorさんからご紹介いただいたブログ「きょうも歩く」の記事「田舎の改革派政治家のむきだしの乱暴さ」の中で、「問題市長は、市職員組合や自治労に対して、背任組織などと言いがかりをつけている。これは、名誉毀損に当たるのではないか」と書かれていますが、本当にその通りだと思います。

しかし、たいへん残念ながら、このような竹原市長の言葉が阿久根市民の皆さんをはじめ、多くの人が共感を持って迎えている現状を認めなければなりません。今回の記事に対しても多くの人から反論や批判が加えられるのかも知れません。それでも自治労組合側の言葉も発しなければ、その認識の「溝」は絶対埋まることはありません。批判されることも覚悟で、今回も長くなっている記事の結論的な主張を述べさせていただきます。

「自治労は市民の税金をより多く自分たちの為に使う事を目的にしている」との言葉は、賃金闘争などを指しているのだろうと思われます。労働組合の役割として組合員の生活の維持向上に努めることは、ある意味で当たり前です。その賃金の原資が税金であるため、「税金にたかる」ような見方を竹原市長が率先して煽ってきたことに対し、強い違和感を覚えています。

念のため、申し添えなければなりませんが、ここでは阿久根市職員の賃金水準の是非を問うものではありません。決して論点のすり替えではなく、まずは法令遵守や社会通念に照らして竹原市長の手法の是非を判断すべきものと考えています。そして、当たり前な労使関係が整った後、労使交渉を尽くした結果、場合によっては大胆な賃金水準の見直しを組合側も受け入れるのではないでしょうか。

ところで竹原市長は自衛隊の出身であり、自治労の平和方針や運動に批判的な立場だろうと推察しています。とは言え、イデオロギー面が先走った好き嫌いから「自治労は阿久根から出ていってもらう」と攻撃しているようでしたら、市職員の使用者として不適切な動機であり、そのような短絡的な発想は毛頭ないものと信じています。しかしながら竹原市長自身、労使関係における使用者である側面をどこまで自覚されているのかどうか甚だ疑問です。

住民から選挙で信任を得た政治家である面が強いことを重く受けとめなければなりませんが、職員に対する使用者責任を無視されてしまうとそれはそれで大きな問題だと考えています。その2面性があることを竹原市長には、ぜひ、思い出して欲しいものと願っています。このブログを通した議論の際も、その2面性の問題が今までも、これからも個々人で見方が分かれていく重要な論点だろうと受けとめています。

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2009年6月14日 (日)

もう少し阿久根市長の話

毎年、元旦に投稿している年賀状バージョンの記事の中で、当ブログのアクセス数などについて詳しく触れてきました。今年の記事(希望の「変」となる2009年に!)で示していましたが、これまで1日あたりのアクセス数の最高は昨年9月8日の1546件でした。また、最近の記事「公共サービス基本法が成立」の冒頭でも述べたところですが、特別な理由があった時など1000件を超える日は少なくありませんでした。

それでも1546件は簡単に超えないのだろうと思っていました。それが先週金曜日、6月12日、あっさり今までの記録を塗り替えました。4572件、訪問者3133人は、ともに過去最高の数字となりました。今回の特別な理由は、Yahooニュースの関連サイト紹介の中で、このブログの記事が掲げられたことによるものでした。そのニュースは西日本新聞の「阿久根市長 市職労に庁舎退去命令」であり、今回の記事に絡む内容ですので全文を紹介します。

鹿児島県阿久根市の竹原信一市長(50)は11日、市職員労働組合(落正志委員長、約200人)に対し、市庁舎内にある事務所の無料使用許可を取り消し、1カ月以内の退去を命じた。市職労はこれに反発し、許可取り消しの無効を求める仮処分申請も視野に入れて対抗する方針。

市と市職労は同日、団体交渉する予定だったが、竹原市長が求めた交渉場面の市民公開を市職労側が拒んだため中止に。これを受け市長は、許可取り消しと退去命令を断行。市は市職労に「許可条件に疑義が生じたため」を理由とする許可取り消しの文書を出した。また、事務所の入り口に7月11日までの退去を命じる通告書を張った。

市職労側は、自治労県本部の幹部を交えて対応を協議。市長に取り消し理由の具体的説明を求める文書の提出や、仮処分申請を視野に冷静に行動することを確認した。竹原市長は「今までの行動が背任行為」と市職労の在り方を批判し、退去を命じた理由を「市民の負担で便宜供与する必要はない」と語った。

一方、落委員長は「(市長の言う)疑義とは何か、全く分からない。組合つぶし以外の何ものでもなく闘っていく。現実的には司法に訴えるしかないだろう」と話した。仮に市職労が仮処分申請して認められた場合、明け渡しを求めて市が提訴するには、地方自治法に基づき市議会(定数16)の議決が必要。ただ議会は少数与党のため、否決する公算が大きい。

市職労事務所は市役所別館にあり、広さ約50平方メートル。市職労は毎年度、1年間の無料使用契約を市と結んでおり、本年度も4月1日付で竹原市長名の許可を得ていた。同日夕、市長を支持する市民約40人が市職労事務所前で「自治労は阿久根から出て行け」などのプラカードを掲げて、「公共財産の私物化は許さないぞ」と気勢を上げる一幕もあった。【西日本新聞2009年6月12日】

前回が「ブログで有名な阿久根市長」でしたが、関連としてリンクされたのは「労働組合はいらない?」という記事でした。以前にもYahooニュースで当ブログの他の記事が掲げられた時もありましたが、これほど急激なアクセス増にはつながっていませんでした。それほど阿久根市長の話題に注目が集まっている証拠であり、加えて「労働組合はいらない?」というタイトルも目を引いたのかも知れません。

リンクされていたその記事だけチラッと見られて通り過ぎた人たちが圧倒多数だろうと思っていますが、最新の記事も含めてジックリお読みくださった人も少なくないようです。そのような中、初めてコメントをお寄せくださった人たちがいらっしゃいました。はるさんが竹原市長の考えに賛同できないと表明される一方、さつま通信さんは竹原市長をとても好意的に評価されていました。

さつま通信さんからは「一般のマスコミの情報だけでは、阿久根市長を勘違いされる方も多いと思いますので、私が比較的公正に報道されていると思う阿久根市長に関する記事や動画を紹介したいと思います」とし、次の2点のサイトを紹介していただきました。日経ビジネスオンラインの記事(ブログ市長の「切ない」思い)とYouTube(竹原・阿久根市長の本音に迫る!)によるインタビュー映像でした。

コメント欄でもお答えしましたが、前回記事を書き込むにあたって話題となっているブログ「阿久根時事報」などを閲覧し、可能な限り竹原市長や阿久根市職労のことは調べていました。その上で、竹原市長の行き過ぎた手法に懸念を抱き、とりわけ組合事務所の退去問題を厳しく批判する立場に至っています。今回、改めて記事本文を通し、私なりの問題意識を示させていただきます。

まずネット上から入手した情報として、この問題に対する専門家の声をご紹介します。石橋洋・熊本大学法科大学院教授(労働法)は「市庁舎の維持管理に関する権限は市長にあり、地方公務員法にも職員組合事務所の規定はない。しかし長年、庁舎の一部使用を認めてきた訳だから業務上の必要性を示すことなく、一方的に退去要請するのは問題ではないか」としています。

平井一臣・鹿児島大学教授(日本政治学)も「労働者の権利にかかわることであり、市長は労働組合と話し合って結論を見出すべきだ。今まで認められてきたのになぜダメなのかを組合側に説明しなければならない。その上で双方で条件面などを交渉するべきだろう。市役所内に労組があるのは合意があればかまわない」と述べています。

以上のように専門家も竹原市長の手法に疑義を示す中、この4月に組合への使用許可を文書で正式に認めながら「自分は承知していなかった。印を押していない」という理屈は身勝手なゴリ押しでしかありません。代決や専決の規程があり、組織のトップがすべて目を通すことは通常あり得ません。組織として許可したものを強引に覆そうとする姿勢は絶対許されないはずです。

前回記事のコメント欄で、公務員きらいさんから「経費援助の例外が認められているからと それに甘んじていいものか? 自主性を重んじるなら極力相手からの援助を避けるべきではないのか?」とのご意見をいただきました。さつま通信さんは「庁舎外で職員組合の活動をすることまで禁止したわけではありません。庁舎の中でしか組合活動ができないような職員組合なら、もともと必要性があったかどうかも私は疑問に思います」と述べられていました。

有償への変更や庁舎外に組合事務所を構えた場合、組合財政へ大きな影響を及ぼします。組合事務所が庁舎から遠く離れた場合は、組合役員や組合員の移動時間などの負担も生じます。組合活動へのダメージははかり知れませんが、さつま通信さんらのような意見が住民の皆さんの多数であれば重く受けとめ、真剣に移転を検討しなければならないのかも知れません。

それでも常識的に考えれば、次回の更新時期までに解決すべき課題であったはずです。しかし、使用を許可した期間中にもかかわらず、わずか1か月の猶予のみで退去を迫る姿勢は、あまりに乱暴だと言わざるを得ません。加えて、竹原市長は「有償でも認めない」とし、「自治労(組合)は阿久根から出ていってもらう」とまで公な場で発言しています。ここまで露骨に挑発し、条件面などの交渉の余地まで拒絶した姿勢は、組合の弱体化や組合つぶしを企図していることが明白です。

nanashiさんからご指摘がありましたが、確かに非現業の公務員に対しては不当労働行為制度が確立していません。その前提として「公」の使用者が法律で禁止されている行為は犯さない、そのような考え方があるからだと聞いています。しかし、竹原市長の行為は労働組合法に基づく「不当労働行為」かどうか以前の問題として憲法第28条、公務員にも認められている団結権の侵害だと厳しく批判せざるを得ません。

地方公務員法上では「職員団体」となっていますが、ILO87号条約(結社の自由及び団結権の保護に関する条約)などに照らせば、公務員の組合も「労働組合」であることは間違いありません。したがって、このような横暴を許すようであれば、自治労の組合は「労働組合」だと名乗れなくなる事態ではないでしょうか。さらに使用者の身勝手な思惑で組合が理不尽な苛めを受ける、このような行為は阿久根市職労や自治労だけの問題ではなく、官民問わず労働組合全体に影響を与えかねない「不当労働行為」だと受けとめています。

あっしまった!さんら公務員ではない人たちも、法令遵守の面から竹原市長の行為に疑問を投げかけられています。紹介した西日本新聞の報道のとおり組合事務所の問題で、阿久根市職労は許可取り消しの無効を求める仮処分申請の検討を始めたようです。今後、司法の立場から竹原市長の行為が行き過ぎたものなのかどうか浮き彫りになっていくものと思っています。

今回の記事もたいへん長くなって恐縮ですが、もう少し続けさせていただきます。竹原市長の問題、特に組合事務所退去の問題では、少し気負いすぎた言葉が目立っているかも知れません。その理由として私自身の印象となりますが、阿久根市職労が自治労の中で突出した「強さ」を持っていた訳ではなく、ごくごく平均的な組合であるように見受けられていたからでした。したがって、本当に「対岸の火事」ではない身近な切迫感を抱いています。

それに対し、先入観から自治労を敵視しているような竹原市長にとって、阿久根市職労は「市議会と結託し、たいへん強い力を持ち、住民の敵である」存在に映っているようです。新聞折込で阿久根市民の皆さんへ配布したチラシの内容は、そのように決め付けられている阿久根市職労の戸惑いや残念さがにじみ出たものでした。

最後に、「阿久根時事報」に掲げられていたチラシの文章をそのまま転載しますが、竹原市長は「このチラシで激しく世間ずれした意識をもっている事がわかる。市民とは身分が違うからだろう」とご自身のブログで記されていました。今回の記事をお読みいただいた人たちの中でも、とらえ方は様々に枝分かれしていくものと思います。「部外者が実情を知らずに書いている」「公務員目線で、民間の厳しさが分かっていない」など批判も多く寄せられるかも知れません。そのような声も真摯に受けとめさせていただきながら、コメント欄を通した建設的な議論につなげられれば誠に幸です。

現在,市役所・職員に関する様々な情報が流れていますが,今回,事実を報告させていただき,市民の皆様に少しでもご理解いただければと思います。まず初めに皆様にお伝えしたいのは,私たち職員は,決して市民・地域を犠牲にし,自分たちさえよければという意識は持っておりません。市を悪くしようと思い市役所に入る職員など誰一人としておりません。

それぞれの職員が地元に残り,微力ながら我がふるさと発展への一助になればと,大きな夢と熱意を持ち,市役所に入ったことは事実です。地域経済や雇用情勢が急速に悪化する中,私たちは日々の業務を通じ現在の厳しい状況を理解し,自分たちに何ができるのかを日々考えながら働いています。しかし,残念ながら有効な地域振興策を打ち出せてきたとは思っていません。

また,地域行政にたずさわる市職員として,地域行事への参加や地域組織への加入・活動への積極的な支援などを実践していることを皆様の地域の市職員を見ていただければご理解していただけると思います。ただ,市民の皆様がそのことに満足されているかと言えば,そうでないことも十分承知しております。しかし,私たちは,何のために市役所に入ったのか,しっかりとした自覚と責任を再認識し,市民の皆様と一緒に汗をかき,知恵を出し合い活気あふれる地域をつくるため,今後も努力していきます。

最後に,今回このような形で,思いを伝えさせていただくことになりましたことを残念に思いますが,現在,流れている私たちに関する情報について,若干の誤りがあるようですので,今後は正確な情報を随時発信させていただき,私たちの思いと真実を少しずつご理解していただければ幸いです。今回は,裏面の情報について,ご報告させていただきたいと思います。

今回の4月号市報については,すでにご覧になられた方もいらっしゃると思います。その中の「市長コラム」で「平成19年度に正規職員の人件費に約24億円もかけました」と記載されています。しかし,この記載には,誤解を生む要素があります。この約24億円の内訳は,市長・副市長・教育長,医師,そして,職員の給与,さらに雇用主の義務的経費である社会保険料(共済費)を含むものです。また,「総人件費」は,職員が直接受け取る総額ではありません。

ご覧になられた市民の方から,正規職員だけで24億円もという厳しいご指摘を受けましたが,正規職員のみの人件費ではありません。さらにこの数字は,平成19年度の数字であり,近年,団塊の世代の職員が退職し,さらに職員採用の減や約3パーセントの給与カットにより,平成20年度総人件費については,大幅に下がりました。また,今年3月末も20名以上の職員が退職し,平成21年度人件費についてもさらに大幅に下がることは明らかです。

今回,市長がどのような考えで掲載されたのかは,私たちにもわかりません。また,この「市長コラム」については,市長独自のものであり,他のものが指摘や修正をすることもできない状況です。このような状況の中で,まず私たちが考えたことは,とにかく市民の皆様に本当のことを知ってもらいたいということです。市報という公平かつ真実を伝えなければならない市発行の機関紙において,このような状況になったことを非常に残念に思い,また不安にも感じます。皆様は,このような状況をどう思われますか?

最後に市民の皆様におかれましては,すでに市役所・職員に対する様々な感情があられるかと思います。しかし,そのことについて,私たちは,反発するつもりはありません。ただ真実を伝えたいという意味で発行させていただくことに,何卒ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。

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2009年6月 7日 (日)

ブログで有名な阿久根市長

ブログを続けている利点の一つとして、幅広い視点からの率直な声を伺える機会となっていることが真っ先にあげられます。個人の立場からの発信とは言え、地方公務員、その労働組合の役員として正直な気持ちを当ブログへ託してきました。その立場からの主張がどれだけ共感を持って迎えられるのか、逆にどれほどの反発を受けるのか、匿名性が担保された場であるからこそ、忌憚のない数多くのご意見に触れられる貴重な機会となっていました。

公務員に対する手厳しいコメントは数え切れないほど寄せられていましたが、そのような声が多数あることを認識した上で、日常的な職務や組合活動を進められる意義は大きいものと思っています。組織の内側からの情報や同じ立場の人たちとの接触が大半を占めた場合、とりまく情勢などを客観視できにくくなるのかも知れません。「夏季一時金減額の動き」で記したような感覚のズレを自分としては大事にしたいものと考えています。

さて、前回記事「公共サービス基本法が成立」のコメント欄で、阿久根市の竹原信一市長の話題が取り上げられていました。たいへん重要な問題をはらんでいたため、新規記事の中で自分自身のとらえ方を掘り下げる約束でした。話題となっている竹原市長は、自らが運営している「阿久根時事報」という日記を選挙告示後も更新、市職員の人件費明細を公開、市議会議員の不人気投票をそのサイトで呼びかけるなど「ブログ市長」として注目を浴びていました。

昨年8月に初当選した以降、竹原市長は市議会との対決姿勢を強め、3月に市長不信任案が可決された際は議会を解散させていました。その選挙で定数16名のうち市長派の当選は6名にとどまり、2回目の不信任案も可決される事態となり、竹原市長は失職していました。5月に行なわれた阿久根市長選挙は、竹原市長が8449票、対立候補が7887票という接戦でしたが、再び竹原市長が市政のトップに戻る結果となりました。

2度にわたる市長不信任案可決に伴う鹿児島県阿久根市の出直し市長選が31日投開票され、ブログなどで議会や市職員を批判し「ブログ市長」と呼ばれた前市長の竹原信一氏(50)が、反竹原派の市議らが擁立した新人で元国土交通省職員の田中勇一氏(56)を破り、再選を果たした。1日の選管告示で市長に復帰する。2期目も議会攻撃などを続けるとみられ、市の混乱は今後も続きそうだ。

竹原氏は選挙中も「仕事内容に見合わず、市民に比べて給与が高過ぎる」と市職員を批判し、争点化を図った。人件費を削減し給食費を無料化するなどと訴えた。過激な言動には批判もあったが、改革が遅れがちな議会や市職員への不満を幅広く取り込む形になった。これに対し、田中氏は「ビジョンなき改革は、破壊に過ぎない」と竹原氏の市政運営を批判。混乱が続く市政の正常化を訴えたが、出馬表明が今年4月と出遅れたこともあり、浸透できなかった。

選挙中「市民が議会と市役所を監視できる環境を整備する」などと訴えた竹原氏に、反竹原市議らは反発を一層強めていた。議会は反竹原派の市議が過半数を占めており、今後も市長と議会の衝突が予想される。投票率は82.59%で、前回を7.09ポイント上回った。当日有権者数は1万9876人だった。

再選を決めた竹原前市長は午後9時半すぎ、事務所で支持者と万歳三唱。記者団に2期目の抱負を聞かれると、笑顔は消え「市長という職が続くだけ。特別な感慨はない。責任者はあくまで市民の皆さん」と、淡々と語った。市職員に対しては「自治労は阿久根から出ていってもらう」と容赦なく攻撃した。50代の男性市職員は「大変なことになった。やりたい放題の独裁になってしまう。市政に具体的な弊害が出てからしか、有権者は選択の誤りに気づかないだろう」。【毎日新聞2009年5月31日

前回記事のコメント欄の中では、Oさんが竹原市長の姿勢を強く支持した問題提起を重ね、それに対する反論の声が複数の人から続く議論をたどっていました。当ブログを訪れているのは公務員以外の人たちも大勢いらっしゃいます。反論に加わったKさん、Aさんらは公務員ではない立場から竹原市長の強引な手法などを批判されていました。

議会や職員を敵視する市政運営に対して賛否両論がある中、再選された結果をもって竹原市長の手法が信任されたという見方も強まっています。そのため、ためいきばかりさんらが竹原市長の進め方を「独善的」などと批判した際、Oさんは「阿久根市民の良識を愚弄するのですか」と反論されていました。1票でも上回り、勝利した候補者に全権が委任され、有権者からの信任を得られたとアピールできる構図は選挙結果のシビアな点です。

しかし、そのように短絡的に判断されてしまうことに対し、正直なところ危うさを感じています。竹原市長は「人件費を削減し、給食費を無料化」などと訴えていますが、最近、公約実現のための財源捻出の裏付けとして公務員の人件費が標的にされがちです。橋下府知事らも似た発想であるようですが、その究極の姿として竹原市長の公約があるように見ています。それでも住民受けする大胆な公約を掲げた現職候補だったのにもかかわらず、僅差の結果は竹原市長への評価が拮抗している証だったとも言えます。

竹原市長の考え方を少しでも知るため、昨年8月以降の「阿久根時事報」の記事に目を通してみました。信念を貫く骨っぽさや有言実行する行動力、「市民目線」を強調されている姿勢など住民から支持される点の多さを垣間見ています。一方で、所々「思い込み」の強さに違和感を感じ、地方公務員法第24条の解釈などは身勝手な理屈だと言わざるを得ません。ちなみに給与、勤務時間その他の勤務条件の根本基準を定めた第24条の内容は次のとおりです。

  1. 職員の給与は、その職務と責任に応ずるものでなければならない。
  2. 前項の規定の趣旨は、できるだけすみやかに達成されなければならない。
  3. 職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならない。
  4. 職員は、他の職員の職を兼ねる場合においても、これに対して給与を受けてはならない。
  5. 職員の勤務時間その他職員の給与以外の勤務条件を定めるに当つては、国及び他の地方公共団体の職員との間に権衡を失しないように適当な考慮が払われなければならない。
  6. 職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は、条例で定める。

竹原市長の主張は「職員の給与は阿久根市議会が条例を作って決めてきた。そもそも、市役所の職員給与を国家公務員に合わせる必要などない。公務員給与が阿久根市の民間事業の従事者との間に激しい格差があるとするならば、過去の市長と市議会が法律に基づくあたりまえの仕事をしてこなかったということだ。今の状況はできるだけすみやかに修正されなければならない」とし、1項から5項の規定は一切無視し、阿久根市の裁量で決められるという解釈でした。

過去に「公務員賃金の決められ方」という記事を綴ってきましたが、竹原市長の思いだけで本来固定費であるべき職員の給与が恣意的に手を付けられることには大きな問題性を感じています。そもそも「条例で定める」という意味合いは、議会の議決を通じて予算上の裏付けをすることであり、条例化することによって労働条件の安定性を確保するという点が主眼だったはずです。

さらに人事院勧告などの役割を無視し、独自な削減を企図する場合は最低限、当該の労働組合との協議や合意形成が欠かせないものと考えています。竹原市長が強弁するような地場賃金と市職員との水準格差を問題視するのならば、決して歓迎すべきことではありませんが、数年前に導入した地域給のような全国的な制度論議を通して見直されるべき課題ではないでしょうか。

とりわけ内需拡大に向けた政策が重視されている中、公務員の賃金を引き下げる方向性ではなく、全体的な水準の底上げをどうはかるかが大切な視点だろうと思っています。加えて、都市部と地方との様々な格差が進み、疲弊している地方経済の活性化に向けて公務員賃金の引き下げが特効薬になり得ないことは言うまでもありません。

誤解がないよう申し添えますが、財政破綻の危機を前にしても「人件費は聖域にすべき」と述べている訳ではありません。労働条件の根幹となる賃金水準を引き下げる場合など、使用者の目線だけで決めるのはフェアではないため、必ず労使交渉を尽くした上で判断すべき課題であるものと考えています。竹原市長の組合軽視の象徴的な発想として、次のような動きも決して見過ごせません。

阿久根市の竹原信一市長は2日、市職員労働組合(落正志委員長、203人)に対し、市庁舎内にある組合事務所の退去に関する団体交渉を申し入れた。落委員長によると、市長側から口頭で伝えられたといい、「まず、事務レベルの事前折衝を求めた。市と契約した事務所を立ち退く根拠もなく、理解に苦しむ」と話した。

市職労は1978年から本庁舎北側の機械棟の1室(50平方メートル)を事務所として使用。市条例に基づく使用料全額免除の契約を、市と毎年度結んでいる。2008年度からは電気、水道代として月1万5000円を支払っている。竹原市長は「長年ただで使っている」として、事務所の追放を出直し市長選の公約の一つに掲げた。1日の会見でも、上部団体の自治労を「市民の税金を不当に使うばかりの背任組織」と批判した。【南日本新聞2009年6月10日

使用者が組合活動を妨害したり、団体交渉を拒否したりすることは不当労働行為となります。相反する言葉のようですが、便宜供与も不当労働行為の一つとして位置付けられ、使用者が組合のために経費を援助することは禁止されています。組合の自主性を損ない、健全な発展と使用者に対する独立性が阻害されると考えられているからです。いずれも使用者に比べて弱者となりがちな組合側を守る目的で、使用者側を規制した法律の一つだと言えます。

経費援助の例外として、勤務時間中の有給での交渉、組合事務所や掲示板の供与などが認められています。この考え方に基づいて自治体の組合も組合事務所などの供与を受けていますが、電気代や電話料金などは組合負担としているのが一般的でした。今回の竹原市長のやり方は、Thorさんも指摘されているとおり「組合つぶし」の目的が明らかであり、不当労働行為として提訴すべき類いの暴挙だろうと思っています。

最後に、私どもの組合にとっても阿久根市の問題は決して「対岸の火事」ではありません。それにもかかわらず、私の情報収集が不足しているだけなのかも知れませんが、自治労本部の存在感の薄さが気になっています。確かに竹原市長の性格などを考慮した場合、抗議電のような行動提起は逆効果だったものと感じています。しかし、阿久根市職労が直面している組合事務所の退去問題に際しては、自治労本部としての見解をマスコミへ表明する、総務省や鹿児島県に対しては真正面から適否をただすような後方支援が求められているのではないでしょうか。

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