公共サービス基本法が成立
このブログのプロバイダーはココログですが、アクセス解析機能が比較的充実しています。時間ごとの件数などはもちろん、どのような経路から訪問いただいているのか一目瞭然です。これまでアクセス数は1日500から800件ぐらいの幅で推移し、コメント欄での議論が白熱した際や2ちゃんねるのスレッドにURLがはられた時などは1000件を超えていました。
おかげ様で訪問者の約半数はブックマークされている常連の皆さんです。その他、Googleなどの検索機能を利用し、訪れる人たちも少なくありません。例えば今、Googleで「自治体財政健全化法」と検索した場合、43万7千件中の1番目に「公務員のためいき」の以前の記事が示されています。その人たちがリピーターになる比率は高くないのでしょうが、検索サイトのトップページに掲げられる記事数の多さは一つの励みとなっています。
最近、「公共サービス基本法」という検索ワードから訪れる人が急増していました。昨年2月に投稿した「公共サービス基本法」という記事に対し、この1か月で1400人を超える訪問がありました。それ以前の3か月間では300人程度でしたので、極端に増えた検索ワードだと言えます。その理由はきわめて明白でした。今国会で公共サービス基本法が成立したからです。
公共サービス基本法案は4月28日の衆議院総務委員会で、民主党、社民党、国民新党、自民党、公明党から議員立法として共同提案され、全会派賛成のもと同日衆議院を通過していました。その後、5月12日の参議院総務委員会で審議され、翌13日の本会議で可決・成立していました。公布後、6か月以内に施行される運びとなっています。
マスコミでは大きく取り上げられない地味な法案でしたが、このような国会での動きがあり、「公共サービス基本法」に興味を示し、インターネットで検索する人たちが急増していたようです。この基本法の成立に向けては、自治労も結集する公務労協が中心となって340万筆を集めた署名活動などに取り組んできました。そのような経緯があるため、2007年5月には「発進!公共サービス最適化計画」という記事も投稿していました。
昨年2月の記事の中でも紹介しましたが、この課題においては民主党のネクスト総務大臣である原口一博衆議院議員と公務労協が緊密な連携をはかっていました。今回、原口議員を中心とした民主党が先導した法案だったと思いますが、共同提案から全会一致での採択に至った点は、公共サービスの重要性は党派を超えた共通課題であることが再認識できた意義深い機会となり得ています。
基本法は、国民が安心して暮らすことのできる社会の実現に寄与することを目的とし、国民が日常生活及び社会生活を円滑に営むために必要な基本的な需要を公共サービスと再定義しながら、公共サービスに関する国民の権利を定めています。また、国及び地方公共団体の責務を明らかにした上で、官民を問わず公共サービスに従事する者の適正な労働条件の確保と労働環境の整備に関し、必要な施策を講じるよう求めています。
1980年代以降、世界を席巻した「小さな政府」を掲げた新自由主義が、「市場の失敗」による世界的な金融・経済危機そして極限を超える格差の拡大と貧困の増加を招き、社会的公正と国民の安心・安全を確保する公共サービスの基盤を中破している現状に対し、法案の成立により、効率と競争最優先から公正と連帯を重んじる社会の実現へと転換し、働きがいのある人間的な労働を中心とする「ともに生きる社会」の創造とそれを支える公共サービスの実現をはかるための基盤が形成されたものと評価できる。
上記は、法案の成立した日に公務労協が発した見解の一部です。また、今後も連合の「STOP!THE格差社会」キャンペーンに結集しながら、基本法の趣旨を具体的に活かせるよう取り組んでいくことを表明しています。同時に公務公共サービスに従事する労働組合として社会的な責任と役割を強め、信頼回復をはかっていく決意を示していました。
確かに基本法は、あくまでも理念を定めたものであり、その目的を達成するための各種施策の実現が重視されていきます。総論では全会一致となっていますが、今後、各論となる法改正などの議論の際には、その立場や視点の違いから激しい対立も見込まれています。したがって、基本法成立は大きな到達点ですが、これからも公務労協としての運動の質や方向性が、いっそう問われていくものと思っていました。
その意味で、5月27日に公務労協が河村官房長官へ提出した要請書(公共サービスの再構築と拡充及び雇用・貧困対策に関する要請について)はタイムリーな位置付けとなり、内容も具体化が欠かせない重要な施策の数々ではないでしょうか。最後に、公務労協が政府へ要請した内容を紹介し、公務員組合がどのような問題意識を持っているのか垣間見ていただく一端とさせていただきます。
- 国民が安心して暮らすことのできる社会の実現に寄与することを目的とする「公共サービス基本法」(2009年5月13日成立)の趣旨に基づき、国民が日常生活及び社会生活を円滑に営むために必要な基本的需要を満たす等、同法に基づく具体的な施策等を措置すること。
- 国及び自治体の直接雇用対策については、短期・低賃金の臨時的職員の雇用ではなく、国の定員削減計画及び自治体の集中改革プランを一時凍結し、常勤職員の採用を前倒しすること。
- 母子自立支援員、婦人相談員、家庭相談員について、非常勤職員を原則とする規定を見直すための法令改正や通知の見直しを行うこと。
- 非常勤職員等の雇用安定と均等待遇を実現するため、本格的な短時間公務員制度を創設すること。
- 急増する生活保護受給者に対応するため、生活保護制度の運用及び制度の改善を早急に実施すること。特に、生活保護国庫負担金の確保及び自治体への早期交付を実施するとともに、ケースワーカーの十分な配置と事務費を確保するため、地方交付税の改善をはじめ必要な財源措置を実施すること。
- 自治体の母子寡婦福祉貸付金制度等の拡充をはかること。また、生活福祉資金、特に離職者支援資金及び緊急小口資金の改善をはかること。
- 就学援助制度、奨学金などの教育支援対策の拡充を行うこと。また、先進諸国並みに、家計基盤の弱い家庭への子どもに係る給付の拡充をはかること。
- 失業者・低所得者層に対する住宅保障として、公営住宅等の積極活用と入居要件の緩和、家賃軽減対策措置を実施すること。また、現在、入居者がなく空き室となっている国家公務員宿舎についても積極活用すること。
| 固定リンク
| コメント (27)
| トラックバック (0)
最近のコメント