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2009年3月29日 (日)

侍ジャパンが連覇した日

月に1回は休日出勤があり、その代休取得も滞りがちであるため、年次有給休暇の残日数はゆとりのある状態が続いています。年休を取って組合業務に集中する日も少なくありませんが、それでも年末には残日数を余らせてしまう現状です。できれば先週火曜日は代休を取得し、ゆっくり自宅で日本と韓国とのWBC決勝をリアルタイムで観戦したいものと思っていました。

残念ながらその日は仕事や組合業務の日程の都合上、とてもそのような希望がかなう日ではありませんでした。さらに残念なことに昼休みに開く職場委員会の日と重なっていました。私からの冒頭挨拶で、職場委員の皆さんへ「WBC決勝が気になる中、貴重な昼休み時間に出席いただき、ありがとうございます」と述べましたが、本当に息が詰まる熱戦が繰り広げられていた最中だったようです。

実は市民課受付前のロビーにはテレビが置いてあります。住民票の交付などをお待ちいただいている市民の皆さんのため、いつも何かしらの番組を流していました。オリンピックなど日本中が注目する番組には必ずチャンネルを合わせ、当然、その日は午前10時からWBCの決勝戦が映し出されていました。ゲームの終盤は、用事を済ませた市民の皆さんも応援していくため、テレビの前は黒山の人だかりだったそうです。

正直なところ昔は、このような人だかりの中に足を止める職員の姿も少なくありませんでした。それが今では、市民課前を通った職員が横目でスコアなどに目を向ける程度となっています。また、自席のパソコンのインターネットから速報を確認することも禁止されています。職務専念義務があり、当たり前な時代になったと言えますが、一方で次のような光景が国権の最高機関では見受けられていました。

24日午後1時すぎに開会した衆院本会議は、WBC決勝のヤマ場と重なったため、産業活力再生特別措置法改正案の質疑では「答弁は短めに」とのヤジが飛び交うなど、終始落ち着かない雰囲気に包まれた。公明党の漆原良夫国対委員長は本会議前に「(マスコミに)狙われるから携帯で見ないように」と党所属議員に注意した。ところが、そうした指示がなかった自民党は、本会議中に携帯をいじってワンセグに見入る議員や、抜け出して議員食堂でテレビ観戦したりする議員が続出。若手が試合経過の伝令役を務める「連係プレー」もあった。【毎日新聞2009年3月25日】

さて、侍ジャパンがWBC連覇の偉業を達成した日、小沢民主党代表の公設第一秘書が政治資金規正法違反の罪で起訴されました。同夜、小沢代表は記者会見を開き、民主党代表を続投する意向を表明しました。小沢代表は「今後、イチロー選手のような役割ができるように頑張っていきたい」と話され、土壇場で決勝打を放ったイチロー選手と同じ「一郎」であることを意識していたようでした。

今回のWBCでイチロー選手は、かつてない不振ぶりでした。「イチローを外すべき」との声が強まる中、原監督は忍耐強く使い続け、その期待に応えたイチロー選手は最高の舞台で最高の結果を出すことができました。小沢代表も現在の逆境に耐えた先に必ず最高の結果、つまり政権交代を成し遂げようとする思いが強くあるため、「イチロー選手のような役割」という言葉が出たものと見ています。

今回の問題に対する私の考えは「小沢代表の秘書逮捕」という記事に綴ったとおりで、基本的に今も変わっていません。続投を表明した記者会見後の世論調査では、小沢代表の辞任を求める意見が多数を占めています。しかし、その中には私のように小沢代表らの不正を前提とした責任追及ではなく、政権交代という大目標のために潔い身の処し方を願う支持者の声も数多く含まれているはずです。

今後、小沢代表をとりまく情勢の厳しさは弱まることなく、ますます強まっていくのかも知れません。そのような中でも民主党の国会議員の方々は、党として決まった方針を一枚岩で受けとめていただきたいものと思っています。党の内部で率直な議論を交わした上、幅広い意見を集約し、一つの結論を出すのが民主的な組織の有り様です。

組織として決まった方向性が自分の考えと異なるからと言って、マスコミなど外部に対して個人的な意見を自由に発言することは慎まなければなりません。代議士会などで党の方針に異を唱える発言ができるのは、健全な組織の姿だと言えます。それでも方針が決まった以降は、個人的には不本意であろうとも党としての考え方をしっかり有権者に発信していくことが大切です。

そのような基本線が守れないと組織としての「バラバラ感」が際立ち、民主党へ吹き始めた逆風のダメージが増幅していく恐れもあります。マスコミを通して自己アピールしたい下心があるような方はいらっしゃらないものと思いますが、党そのものの結束力が問われている重要な局面だろうと思います。いずれにしても政権交代を悲願としている小沢代表は、この逆風が民主党への致命傷になるものと判断した場合、しかるべき決断を下す場面も想定しているのではないでしょうか。

最後に、侍ジャパンが連覇を決めた日は、私どもの市の議会最終日でした。新年度会計予算案などが可決された後、新しい議長が選出されました。その新議長は私どもの組合出身の推薦議員であり、日頃からきめ細かい連携をはかれる大先輩でした。民主党系会派の代表ですが、滅多にない全議員から信任を得られた選挙結果だったと聞いています。組合にとって厳しい情勢が続く中、たいへん心強く感じる市議会議長就任という朗報でした。

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2009年3月21日 (土)

農水省の「ヤミ専従」疑惑

昼休みを告げるチャイムが鳴ると、市庁舎地下にある食堂は途端に長い行列を作ります。誰でも利用できる食堂ですが、職員の利用が圧倒的に多いため、少し出遅れるだけで5分以上待たされることになります。チャイムと同時に仕事を区切れない職場の皆さんには「申し訳ないな」と思いながらも、できる限り足早に食堂へ急ぐのが私の日課となっていました。

組合の役員を務めているため、何年も前から昼休みは組合業務を遂行する貴重な時間でした。そのため、その5分の待ち時間を惜しむのが体に染みついていました。また、車で通勤していますが、突然の渋滞などに対応できるよう余裕を持ち、毎朝8時頃には役所へ着くように心がけています。その始業時までの30分も、組合業務に充てられる貴重な時間となっています。

かなり昔は、私どもの役所でも勤務時間内の組合活動が非常に幅を持って、労使慣行として認められていました。その当時も条例に定められていた時間内活動は労使交渉に限られていたはずですが、交渉のための準備行為という解釈が広がっていたようです。社会保険庁で厳しい批判を受けた「ヤミ専従」のような極端な問題も、この解釈の延長線上にあったものと見ています。

制限速度40キロの道路を41キロで走れば道路交通法の違反です。「50キロまではOK」という話は取り締まり上の現実的な運用として、実際にその通りなのかも知れません。しかし、1キロオーバーでも違反だと問われれば、不本意でも返す言葉がない点も押さえなくてはなりません。それでも法律の適用に関し、マージャンの遊び方やパチンコの景品買取システムなど社会通念上の幅があることも確かです。

この「社会通念」という幅は、時代とともに変化していきます。「ナントカ還元水」で注目を集めた事務所費の問題も、追及された国会議員の本音は「今までは許されていた」「皆が同じようにやっている」というようなものだったはずです。誤解を受けないよう強調させていただきますが、決められたルールは厳格に守るべきことが当然であり、「ここまでは許される範囲」などとの勝手な解釈は言語道断だと考えています。その上でルールの運用に対して、ある程度の幅やノリシロも必要だろうと思っています。

住民基本台帳法では「転入をした日から14日以内に届け出なければならない」と記され、正当な理由がなく守れなかった場合は5万円以下の過料に処されます。しかし、この規定を厳格に適用している自治体はないはずであり、6か月を過ぎたケースに対して簡易裁判所へ通知しているのが概ね現状ではないでしょうか。この幅は自治体にとっても裁判所にとっても現実的な実務遂行上の対応であり、かつ社会通念上も認められてきた範囲だとも言えます。

前置き的な話が長くなりましたが、勤務時間内の組合活動の問題も時代とともに大きく変わってきたものと思っています。もう一度、強調させていただきますが、「ヤミ専従」のような存在が昔は許されていたと述べるものではありません。違法なものは今も昔も違法であり、駄目なものは駄目であったことに変わりありません。

しかしながら幅に対する解釈問題として、労使関係の中で「ヤミ専従」的な存在も暗黙の了解としてきた場合があったのかも知れません。言うまでもなく公務員に対する厳しい視線が強まる中、「ヤミ専従」は絶対許されるものではないはずです。仮にかつて存在していたとしても、過去の遺物となっているものと思っていました。

それが数年前、社会保険庁で取り沙汰されたことに違和感を持ちました。つい先日は、読売新聞の朝刊第1面に「ヤミ専従」の文字が大きく掲げられました。農水省の職員で構成する全農林労働組合における「ヤミ専従」の疑惑でした。さらに農水省側が意図的な調査によって「ヤミ専従」隠しを行なったとの報道内容でした。

農林水産省が昨年4月、国家公務員法で禁じられている労働組合のヤミ専従調査を行い、全国の地方農政局などから職員計142人に疑いがあるとの報告を受けていたことが分かった。その後、同省は組合側に確認調査の日付を教えるなどし、当日、無許可で組合活動をする職員が「ゼロ」になるまで調査を繰り返した。省を挙げた事実上のヤミ専従隠しとみられ、石破農相は読売新聞の取材に「確認作業に問題があった」と認め、142人の調査をやり直すよう関係部局に指示した。

調査は昨年3月に匿名の通報があったことがきっかけで、秘書課が全国46の地方農政局・事務所などに対し、組合幹部全1395人について4月1日の勤務実態を照会。その結果、通常の業務をしていた職員は1人もおらず、全員が同日中に何らかの組合活動をしていたことが判明した。このうち事前に許可を得ていた職員は17人だけ。1236人は「事前の許可がなくても認められる範囲の内容」などと見なされたが、142人はヤミ専従の疑いがあると報告された。

報告がまとまった直後の同月4日、松島浩道秘書課長が、同省職員で作る全農林労働組合(組合員数約1万9000人)の書記長に会い、確認調査を行うと伝えた。それを踏まえ、秘書課は9日付で142人の勤務状況を報告するよう求めた。この調査でも、17農政事務所から計48人がヤミ専従であるとの報告があった。このため秘書課は21日、全農林に23日に再度の調査を行うことを伝えるとともに、対象者の氏名や具体的な調査方法までも明かした。

その結果、48人は調査日に全員が自席で勤務していたり、「短期専従許可」を取ったりしていたという。読売新聞の取材に、複数の農政事務所幹部が「正直に回答したが、本省の調査はヤミ専従の隠匿が目的だったと思う」と語った。社会保険庁でのヤミ専従発覚を受け、総務省が昨年5月に全省庁に報告を求めた際、農水省は1人もいなかったと回答していた。【読売新聞2009年3月15日】

その後、読売新聞は連日のように追跡記事を重ね、木曜夕刊には再び「処分職員の賞与穴埋め」という見出しの記事を第1面のトップに持ってきました。確かに注視すべき問題ですが、ここまで大きく取り上げていくニュースなのかどうかは少し疑問に感じています。本題と離れていきますので、これ以上触れませんが、他紙に比べて読売新聞の力の入れ方は半端ではないようです。

農水省の弱腰について、「霞が関最強組合」に配慮した、省内では「組合が怖いあまり、国民への説明責任を放棄した」と自省の声があがっているなどと書かれています。どうも社会保険庁における労使関係と同じような構図だったように見受けられます。つまり組合側が圧倒的に強く、当局側としては改めたいと考えている問題を提案もできず、様々な「既得権」が温存されてきたのかも知れません。

過去の遺物となるべき「ヤミ専従」の問題が今、批判の対象となる事態は非常に残念な話です。疑いの段階とは言え、「現場にはヤミ専従が悪いという感覚はない」と明かす農水省の地方事務所幹部の声も載っていました。連合に結集している組合同士ですが、産別が異なり日頃のお付き合いがない関係です。そのため、ブログを通した物言いで誠に失礼ながら、これまでの組合側の認識の甘さなども厳しく総括し、改めるべき点は直ちに改めていくことが急務だろうと思っています。

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2009年3月14日 (土)

憂慮すべき“お役所蟹工船”

木曜の夜、組合交渉は明け方まで断続的に続きました。結局、一睡もできない徹夜明けの朝を迎えることとなりました。それでも一定の決着がはかれれば、少しは疲れも癒されるのですが、最終的な解決に至らず週を越えた継続協議となっています。自治労都本部統一の春闘指標は確認できましたが、単組独自の課題である増員要求や減員提案に対する是非をめぐり、労使交渉は平行線をたどりました。

労使それぞれの見方に隔たりが大きく、改めて各職場の実情を把握し合いながら協議を促進していくことになります。次は水曜夜が大きな交渉の山場となる予定であり、組合要求の前進のために週明け大事な日々が続いていきます。このように人員配置の問題は労使協議の対象としていますが、ここ数年、常勤職員の増配置は抑制傾向をたどっています。

その一方、臨時・非常勤職員の採用が増え、すべて嘱託職員に切り替わった職場もありました。このような経緯の中、私どもの組合は恒常的な業務を担う嘱託職員の皆さんの組合への加入にも力を注いできました。常勤職員と比べ、待遇が劣る嘱託組合員の課題は多岐にわたり、日常的に労使協議を重ねながら労働条件の底上げをめざしています。

しかしながら制度面での壁などがあり、均等待遇の原則を貫けているのかどうか問われれば、常勤職員との「格差」は歴然としています。このような現状は当市に限った問題ではなく、『AERA』3月2日号に「広がる“お役所蟹工船” 保育園でも病院でも清掃業務でも」という記事が掲載されていました。その記事のリードには、このように書かれていました。

第2氷河期で再び復活する公務員人気。だが、その公共サービスの現場にも雇用不安が広がる。際限なき自治体の歳出削減は人件費に向かう。非正規と民営化で“お役所蟹工船”の世界が広がる。

取り上げられていたのは、まず和歌山県橋本市の非正規職員であるAさん(29歳)の事例でした。Aさんは、ごみの収集や仕分け業務に従事しています。月給が15万8千円、勤務時間は8時30分から17時15分です。クレーム処理と書類作成以外、正規と非正規との仕事に違いがないと書かれていました。契約は1年更新で、継続雇用を前提とした昇給制度がなく、同じ年齢の正規職員の年収が420万円であることも記されていました。

都内の保育園で働く非常勤職員のBさん(35歳)の手取りは月額10万円、そこから給食費5千円が取られ、交通費と7万5千円の家賃を払ったら何も残らない厳しさでした。静岡県の市民病院の看護ヘルパーであるCさん(52歳)の年収は250万円、「正規職員の補助」として採用されながら実際の業務内容は正規とほぼ同じ、やはり雇用契約は1年単位で常に「雇い止め」の不安にさらされているそうです。

今や自治体が直接雇用している職員のうち4人に1人以上が非正規で、内訳は保育士や学校給食員が多くなっています。自治体政策に詳しい福島大学の今井照教授は「退職者の補充を臨時・非常勤職員で穴埋めしたため、同じ業務内容でも大きな賃金格差が出てしまう」と語り、1990年代後半から強まっている行政改革を受け、“お役所蟹工船”というべき事態が全国に広がったと指摘しています。

私どもの組合と同様、自治労全体でも非正規雇用の待遇改善をめざし、非常勤職員の皆さんらの組織化などを重点課題としています。しかし、地方公務員法上の臨時・非常勤は、あくまでも補助的な業務を担うという位置付けであり、正規との差を大胆に縮められるところまで至っていません。非常勤職員の存在なくして自治体業務が成り立たない現状にもかかわらず、適用される法と実態が乖離しているものと見られています。

さらに『AERA』の誌面では、学校給食や保育園などの民間委託化の問題が取り上げられていました。その市場規模は2009年度に5兆円を超える見込みです。法政大学の武藤博己教授は「自治体財政の悪化と2001年からの小泉構造改革を受けて、公共サービスの充実化ではなく低価格のための民間委託が進行してしまった」と語っています。

市場参入を狙う企業も多く、一般競争入札となればギリギリの低価格で受注するケースが増えています。当然、事業費の削減は従業員の賃金に跳ね返ります。埼玉県下水道公社から委託されている電気関連の保守点検会社に働くDさん(40歳)の年収は310万円ですが、会社への委託費用そのものは年々削られているそうです。

埼玉県越谷市のリイサクル施設でも2006年度から運営業務が随意契約(特定業者との契約)から事実上の指名競争入札となり、働く社員の月収が31万円から21万円に下げられた事例が記されていました。加えて、1年契約で翌年の受注が保証されていないと従業員を正規で抱えるリスクが大きいため、ここでも非正規への置き換えが進みがちとなります。

労働者の生活を脅かしている実態について、越谷市の担当者は「市としては最低賃金を下回るなどの法令違反がなければ、指導することはできない」と困惑気味に話されています。入札デフレスパイラルが起きても、現在の社会状況では競争入札を随意契約に戻すのは市民の理解を得にくい、そのように『AERA』の記事は続きます。また、労働者の一定賃金を保証した上での入札制度は、現行法上では難しいとまで書かれていました。

一方で、北海道えりも町が地域雇用を最優先し、車両運行、施設管理、給食調理、清掃業務などを5年という複数年での一括契約としました。東京都国分寺市でも可燃ごみの収集業務を5年間の複数年契約とするなど、行政コストを抑えつつ、そこで働く人たちの雇用や賃金を守りながらサービスの質を担保しようとする動きも出始めています。

前述した武藤教授は「政策入札」制度を提唱されていますが、数年前から自治労は「自治体公契約条例」制定の運動を進めています。もともと入札制度は価格が中心でした。特に労務提供型の委託契約は2002年まで「最低制限価格制度」さえありませんでした。1999年に地方自治法施行令が改正され、価格とその他の要素を総合的に判断できる「総合評価方式」の導入が可能となりました。

それらの経緯を踏まえ、自治労は人権、環境、福祉、公正労働、男女平等参画、障がい者雇用など社会的価値を落札基準に盛り込んだ公契約条例の普及をめざしてきました。とりわけ公正労働基準の遵守などが入札の条件となることによって、委託労働者の待遇改善につながることを期待しています。いずれにしても憂慮すべき“お役所蟹工船”という現状に対し、少しでもその改善がはかれるよう組合役員の立場から努力しなければならないとの思いを新たにした『AEAR』の記事でした。

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2009年3月 8日 (日)

小沢代表の秘書逮捕

西松建設のダミーとされた政治団体からの献金問題で、3月3日に東京地検特捜部は小沢民主党代表の第1秘書を政治資金規正法違反容疑で逮捕しました。逮捕された大久保隆規秘書は、小沢代表の資金管理団体「陸山会」の会計責任者も務めていました。容疑は、西松建設による献金と知りながら2つの政治団体(「新政治問題研究会」と「未来産業研究会」、ともに2006年に解散)からの寄附であるものと政治資金収支報告書に虚偽記載した疑いでした。

これまで当ブログで、民主党への支持を明らかにし、さらに小沢代表の「党首力」に期待した記事などを書き込んできました。そのような一支援者の立場から今回の問題に対し、現時点での思いを綴らせていただきます。大久保秘書が逮捕された以降、マスコミやインターネット上に様々な情報が流れています。注意深く見守ってきましたが、いったい何が正しく、何が正しくないのか簡単に判断できないものと思っています。その意味で、今回の記事をまとめながら自分自身の頭の中を整理する機会とも位置付けています。

政治資金規正法とは、政治資金による政治腐敗の防止をはかるため、1948年に議員立法によって成立した法律でした。この法律では、政治資金の流れを国民に公開して、政治活動の公正と公明を確保し、民主政治が健全に発達することを目的としています。そのために法律の名称も「規制」ではなく、「規正」としているそうです。制定された当時、戦後の混乱期で政治的腐敗行為が続出していました。そのような時代背景に後押しされた法律であるため、ロッキード事件やリクルート事件など政治資金にまつわる不信感が高まるたびに改正されていきました。

1994年の改正で、政党助成制度の導入と合わせ、企業・団体からの寄附の対象を政党(政党支部を含む)、政治資金団体、資金管理団体に限られました。その後、1999年に企業・団体からの寄附は政党に限り、資金管理団体への献金は禁止されました。今回の大久保秘書逮捕は、この点に違反したという嫌疑内容でした。実際は企業献金なのに政治団体からのものとして報告書を虚偽記載した、もしくはその事実を知っていて受領したという容疑です。

これまで政治資金規正法の虚偽記載は「形式犯」とみなされ、いきなり逮捕に至った今回のような事態は異例なことでした。「形式犯」とは、書類の提出忘れなど結果的に法律違反となってしまった場合でも、悪質の度合いが低い事例を指します。本来、虚偽記載だけであれば、行政指導にとどまる程度の違反だと言われていました。したがって、検察側は最低限、2つの政治団体を西松建設のダミーであるものと大久保秘書が認識していた確証を持って逮捕に踏み切ったのだろうと見られています。

さらに検察は、贈収賄事件まで広げられる証拠を得ているのではないかとも囁かれています。しかし、このような話は、すべて現段階では憶測の域を出ないことに注意しなければなりません。その一方で、マスコミからは最近、「関係者によると」という枕詞がついた報道が目立っています。この「関係者によると」が検察からのリークなのかどうか分かりませんが、報道された後に検察から「そのような事実はない」と打ち消されたとしても「大久保容疑者クロ」の印象が先行するアンフェアな側面も見過ごせません。⇒参考記事きっこのブログ(「関係者」という透明人間

そもそもマスコミでは大きく扱われていませんが、この献金問題の枠組みは1995年頃に大久保秘書の前任者(2000年に退職)が取り仕切り、続いてきた経緯があります。また、その前任者は小沢代表と袂を分かち、次回の衆議院選挙では小沢代表の対立候補として岩手4区から自民党公認で立候補を予定しているそうです。時効によって容疑の対象外となるためなのかも知れませんが、前任者である高橋嘉信元衆議院議員の名前に関し、大半のマスコミ報道の中からは目にすることがありません。

当初、小沢代表は4日に開いた記者会見で「政治的にも法律的にも、非常に不公正な国家権力、検察権力の行使だ」と言い切り、検察を厳しく批判する立場を取りました。人一倍、政治資金規正法の遵守に心がけ、1円から収支報告の透明性に努めてきた自負があったため「何らやましいことはない」と強調した上、感情をあらわにした表明となったのではないでしょうか。

民主党執行部側も小沢代表の言葉を全面的に信じ、鳩山幹事長らは「国策捜査の雰囲気」などと党全体で検察を非難する動きを見せました。その後、「自民党への波及はない」ともらした政府高官、警察庁長官だった漆間官房副長官ですが、捜査の中立性や公平性に疑念をもたらす発言であることは確かです。二階経産相の関連政治団体への捜査方針も示され始めましたが、漆間副長官の発言が取り沙汰されてしまったため、予定外の広げ方となったとの見方もあながち否定できません。

民主党政権樹立後の急激な変化に抵抗感を持った検察官僚の思惑や、アメリカが絡んだ国際的な陰謀論など様々な噂を耳にします。しかし、当事者である小沢代表や民主党が「国策捜査だ」と反論している姿には強い違和感を抱きました。もともと西松建設が海外で捻出した裏金を不正に国内へ持ち込んだ事件の関連で、その延長線上に浮上した献金問題でした。そのため、現場の前線で事件捜査にあたる地検特捜部が「国策捜査」を意識してきた可能性はないものと見ています。

一方で、週刊誌に「予算成立の見通しがつくまで待て」という指示が出ていたと書かれていましたが、今回の逮捕が現場の判断だけで突き進んでいないことも明らかです。その際、検察上層部がゴーサインを出した背景に深いものがあるのかどうかは分かりません。その中で大物政治家も例外としない、いわゆる検察権力を誇示する一つの機会だと考えたことは想定できる話だろうと思っています。

いずれにしても「なぜ、この時期に?」「なぜ、この容疑で逮捕?」「なぜ、自分の秘書だけ?」等々、小沢代表や民主党執行部の言い分も理解できない訳ではありません。しかしながら過去に公設秘書の給与問題などで、少し前までは「永田町の常識」だった解釈も法律違反に問われることとなり、実刑判決に至った事件もありました。今回の容疑が起訴に向かうのか、裁判で争う事件となり、有罪となるのか無罪となるのか簡単には見通せません。

それでも自分の第1秘書が法律違反の嫌疑をかけられた段階で、その事実は真摯に受けとめるべきものと思っていました。金曜日あたりから小沢代表も落ち着いた様子を取り戻し、検察批判のトーンは弱めていたようでした。今後、代表を辞任するのかどうかは、ご自身や民主党として判断すべき問題ですが、まったくの濡れ衣だと考えている以上、すみやかに受け入れられるものではないはずです。

とは言え、今後の世論調査の結果は、小沢代表や民主党にとって決して歓迎すべき数字とはならないような風向きです。かつて年金未納期間があった点を重く受けとめ、いったん引き受けていた民主党代表の座を辞退したのも小沢代表でした。たいへん不本意なことでしょうが、政権交代を悲願としている小沢代表だからこそ、今回も大胆で潔い身の処し方をアピールして欲しいものと願っています。

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