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2009年1月17日 (土)

もう少しワークシェアリングの話

組合の委員長になってから人前で挨拶する機会が増えています。おかげ様で大勢の人を前にしても上がることはありません。それでも事前に話す内容を整理して臨まないと言いたかったことをもらしたり、後から「こう言えば良かった」などと悔やむ時があります。さらに話が広がってしまい、長い挨拶となる心配もありました。

水曜夜の新春旗びらきでの主催者挨拶は、久しぶりに事前に話す内容を整理しないまま壇上に立ちました。昼休みにも組合四役の打ち合わせがあったり、ゆっくり整理する時間を取れなかったせいですが、懇親の場だという気楽さも手伝っていました。乾杯までの時間短縮を率先するため、目安とした時間は守れたようですが、「ああ言えば良かった」などと少し反省点が残る挨拶内容となりました。

さて、前回の記事は「ワークシェアリングの可能性と懸念点」でした。同じテーマで記事を続ける際、「Part2」を使う場合もありましたが、最近は「もう少し〇〇の話」というタイトル名を好むようになっています。今回もそのパターンの記事タイトルとし、もう少しワークシェアリングの話題を掘り下げてみます。

木曜には連合と日本経団連が首脳会談を開き、2009春闘がスタートしました。連合は「景気回復のためには個人消費の活性化が必要」との認識のもと、8年ぶりにベースアップ要求を打ち出しました。経団連側は経営環境が悪化している中、一律の賃上げはできないことを強調しています。一方で、深刻な雇用情勢の悪化を受け、雇用の安定に労使が協力する姿勢を示した「共同宣言」も採択しました。

また、今春闘ではワークシェアリングが主要な課題となる見込みでした。経団連の御手洗会長は「選択肢の一つ」と前向きな姿勢を示していますが、連合側は賃下げへの警戒感を強めていました。同時に経営側にも実現性や効果を疑問視する声があるようです。そのためなのか、木曜の首脳会談では直接的な議題とならなかったことが報道されています。

前回記事で、ワークシェアリングに向けた「政労使合意」が進まなかった背景を書きました。その他の理由として、経営側は労務管理の難しさをあげていました。組合側としても賃下げに結びつくため、何が何でも導入しようとする意気込みが不足していたことも確かです。しかし、組合員の雇用や生活を守ることが労働組合の主目的である関係上、ワークシェアリングが広がらなかったことや派遣切りの問題を「連合の責任」と批判する声には正直なところ違和感があります。

先週日曜のサンデープロジェクトで、田原総一朗さんが「一番悪いのは連合だ。連合が正社員ばかり守っていたからだ」とまで言い切っていたのには驚きました。それに対し、民主党の鳩山幹事長はその言葉に憤ることもなく、「これからはパートや派遣なども面倒を見ていく連合に仕立て上げなければ」とまったく言葉足らずで、いっそう誤解を与えかねない発言にとどまっています。

朝日新聞の星編集委員からは連合だけの責任ではないとの趣旨の発言があり、共産党の市田書記局長は「連合の肩を持つ訳ではないけど」などと少しフォロー気味の意見も続きました。とは言え、何年も前から連合が非正規雇用の課題に力を注いできていること、前回記事で紹介した2002年の「ワークシェアリングに関する政労使合意」のことなど、出演していた人たちの認識は明らかに不足していたようです。

自治労の出身である社民党の重野幹事長も同じ番組に出ていましたが、田原さんの連合批判に対して反論を加えることはありませんでした。定額給付金と社民党が提案している定額減税との違いを説明した時も不明瞭で、自民党の細田幹事長からは「訳が分からない」と切り捨てられていました。やはりテレビ討論の中で、存在感を発揮していくためには場慣れが必要なのだろうと感じています。

いずれにしてもワークシェアリングの問題をはじめ、連合の方針や日頃の活動が適確に伝え切れていない証左なのだろうと思います。これまで連合は数多くの中小零細企業などの労働組合づくりを支援してきています。注目を浴びた年越し派遣村へも連合のスタッフである労働相談員を派遣していました。せめて支持協力関係がある政党の幹事長らには、実際の連合の活動などを充分理解していただきたいものです。

前回記事の最後に書きましたが、ワークシェアリングを私どもの自治体にも引き付けて考えてみます。昨年7月に「最適な選択肢の行政改革とは?」という記事で、図書館などを民間に委ねる計画があり、その是非について議論していることをお伝えしました。私自身の問題意識は「直営責任と格差是正」で綴ったとおりですが、非常勤職員制度の活用は自治体業務のワークシェアリングの一つだと見ることができます。

各業務における繁閑の実態や職務の特性などを精査し、常勤職員の配置数や位置付けを見直す一方、短時間勤務の非常勤職員を多数採用する方向性は雇用創出の面からも意義深いことではないでしょうか。市民サービスに対して直営責任を果たしながら、雇用に対しても自治体が直接的な責任を果たす構図にもなり得ます。その際、繰り返し述べてきたことですが、均等待遇の原則を重視しながら自治体内の「格差是正」に最大限努めていかなければなりません。

このような趣旨のもと、私どもの組合は非常勤職員の皆さんの組合加入を積極的に呼びかけ、様々な労働条件の改善に向けて日常的に交渉を重ねています。そのため、常勤職員の数は大幅に減っていますが、10年以上前から組合員数の約1500人という数字は変わらないまま推移しています。ちなみに自治労らの強い要請に応えるかたちで、人事院が非常勤職員給与ガイドラインを取りまとめる動きなども出てきています。

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コメント

正直、あの番組はひどかったですね・・(彼が御手洗氏やウシオ会長と交友が深いのもありますが)
「年越し派遣村」は私たちの労組も参加してましたが、連合、全労連が珍しく共同で行動してましたね。
労組の末端にいる私にとっては連合、全労連の路線の違いははっきりいって「労働者の団結」を阻害するもの
以外なにものでもないのですが・・・(民主党に陳情しても「全労連系だから」と門前払いされるのも
悲しいものが正直あります。意見交換や共同で行動できるものは立場の違いを乗り越える必要があるとおもいますが・・)
また、マスコミのずるいところは「小さな政府歓迎」といいながら、地方出先が廃止されると「なんで廃止するんですか」と
いった「結論がわかっていながら最初はそれは言わない」ところでしょう。
今回の「派遣切り」等の問題も自分たちの取材の材料が増えたくらいの認識でしょうか。
ひどい内容のものや相変わらずの精神論(選らばなければ仕事はある等)のものが多く、他人事のように聞こえるものも
多いように感じます。
非常勤職員の労組加入は私たちの職場でも大きな課題となっています。(アンケート、意見集約等で組織化にはいたってませんが・・・)


投稿: ためいきばかり | 2009年1月17日 (土) 22時37分

ためいきばかりさん、おはようございます。コメントありがとうございました。

今朝、テレビでは「新報道2001」の中で、派遣会社の経営者や学者らが「派遣切り」の問題の議論を交わしていました。ある出演者からは「もっとチャレンジ精神が必要」などのような「自己責任論」が出ていました。

最近、遅ればせながら湯浅誠さんの『反貧困』を購入しました。非常に分かりやすく、いろいろな意味で触発される著書でした。ぜひ、その出演者らにも読んで欲しい内容だったものと思っています。次回以降、この本の内容を受けとめた記事を予定しています。

これからも貴重な情報交換等につながる、ためいきばかりさんからのコメントを楽しみにしています。よろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2009年1月18日 (日) 08時36分

元旦の「朝まで生テレビ」で、ワークシェアリングの話をしていても、自分達も、ワークシェアリングをやって収入を削るとは言わない。自分達は安全パイで、労働者達だけでワークシェアリングをすればいいと言っているだけにしか聞こえてこなかった気がしました。大村議員もハローワークで仕事も住むところも、一時金も与えます。と自信満々に言っていたせいで、ハローワークは、大変な事になっているではないか!何でもハローワークでやれる訳ではありませんから、そこのところを考えて発言してもらいたい!ハローワークに来ている、派遣切りにあった人達に関しては、ハローワークを派遣会社と同じシステムだと思って来ている人達が多く、長い時間居座る人達がいるから、普通に仕事探しに来ている利用者が困っている。それに、これだけ多くの人達がハローワークに仕事探しに来ているのに、検索機を減らしているのは理解できない。ハローワークに来て、どんな状態なのかを見て把握してもらいたい。2時間や3時間待ちの状態だし、1人の利用者に対して4~6時間も掛けて対応している時もある。他にも利用者が紹介を待っているから臨機応変に動けないものか?企業では考えられない対応の悪さが最近目立っている。厚生労働省も、ちゃんと対応を考えてもらいたい。

投稿: 赤い彗星 | 2009年2月14日 (土) 18時51分

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