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2008年11月29日 (土)

来年5月に始まる裁判員制度

賃金闘争の山場が先週木曜夜だったことを前回記事に書き込みました。その夜は、連合地区協議会が主催した講演会とも重なっていました。「裁判員制度のスタートと労働組合の取組」という演題で、講師に弁護士の五百蔵洋一先生をお招きしていました。五百蔵先生は、企業や労働組合のコンプライアンス問題などでも活躍されている方です。

地区協議会の副議長を務めている私ですが、ぜひ、聞いてみたい内容であったため、その日を楽しみにしていました。この講演会を決めた幹事会の時点で、私の手帳のスケジュールは空いていました。残念なことに後から産別統一闘争の日程が入ってしまった訳ですが、例年のスケジュールを先読みして木曜だけは避けるべきだったと少し反省しています。

直接講演を聞けませんでしたが、入手した資料は非常に分かりやすく、裁判員制度の中味や問題点などが記されていました。さらに昨日から裁判員候補者に選ばれたことを知らせる通知書が発送され、新聞紙面に「裁判員制度」の文字が目立つようになってきました。そのため、今回の記事では、五百蔵先生の資料などをもとに裁判員制度について取り上げてみました。

来年5月に始まる裁判員制度を前に、最高裁は28日、来年分の裁判員候補者名簿に登録された29万5027人(有権者約350人に1人)に、候補者になったことを知らせる「裁判員候補者名簿記載通知書」を発送する。通知書には、候補者に対し、辞退を希望するかどうかを確認する調査票などが同封され、29日以降に届く見込みだ。

ほかに同封されるのは、制度を説明するマンガ冊子やパンフレットなど。調査票では、〈1〉弁護士や自衛官など裁判員になれない職業かどうか〈2〉裁判員を辞退できる70歳以上の人や学生などで辞退希望があるかどうか〈3〉辞退を希望する特定の月があるかどうか--などを調べる。回答用マークシートに記入し、証明書などを添付して返送する。 【読売新聞2008年11月28日】

候補者は選挙人名簿から無作為に抽出されているため、事前に裁判員になれない人などを把握する調査となっています。裁判員になれない職業として、上記の他に三権分立の観点から国会議員や自治体の長があります。ちなみに自衛官は緊急事態への対応を優先する必要性から除外しているそうです。

この裁判員制度は、来年5月21日以降に起訴される刑事事件から始まります。殺人罪、強盗致死傷害罪等、死刑や無期懲役刑を含む重大事件や危険運転致死罪など、国民の関心が高い事件が対象となる予定です。年間で3000件前後を見込み、1事件につき6人の裁判員と1~2人の補充裁判員が選ばれ、3人の職業裁判官とともに公判手続きに参加します。

毎年秋に約30万人の裁判員候補者が選ばれ、対象となる事件が起訴された際、その候補者を対象にくじ引きが行なわれます。選ばれた数十人が裁判所に出向き、裁判官が質問等を行なう選任手続きを経て、最終的に裁判員6人と補充裁判員が決まります。1人で事業を運営している場合や冠婚葬祭など、一定の辞退要件はあるようですが、現時点では必ずしも明確化されていないそうです。

公判の7割は3日以内で終了すると言われていますが、かなり疑問があると五百蔵先生の資料には書かれていました。裁判員制度は第1審のみを対象とし、有罪か無罪か評決し、有罪であれば死刑や懲役の年数までの判決を下すことになります。なお、有罪の多数意見や刑の決定には、最低1人以上の裁判官が含まれなければなりません。

今回導入する裁判員制度は、ヨーロッパに多い参審制度の一種です。それに対し、映画『12人の怒れる男』などで有名な英米の陪審制は、プロである裁判官が加わらず、陪審員のみで有罪か無罪かを決めています。ちなみに陪審制では、刑の量定は裁判官だけで行ないます。なお、裁判員制度においても従来通り公判前手続きは、裁判官、検察官、弁護士が行ない、裁判員は参加しません。

裁判員には日当1万円以内と交通費が支給されますが、法定休暇制度は設けられていません。各企業等の判断に委ねられています。したがって、労働組合の役割として、特別有給休暇制度などの整備が急務であると五百蔵先生は提起されたそうです。また、有給の特別休暇となった場合、日当の取扱いが課題となります。五百蔵先生は「そのまま受け取るべきもの」とのお考えですが、今後、とりわけ公務員に関しては統一的な基準作りが欠かせないはずです。

裁判員制度を導入する最大の理由は、国民の司法に対する参加や関心を深めるためだと言われています。しかし、この制度に対し、「素人の国民を裁判に参加させたという単なるアリバイ作りにしかならない」「民事事件こそ庶民感覚が必要なのに、なぜ、刑事事件に限るのか」など根強い批判の声があることも確かです。実際に始まってから大騒ぎとなった後期高齢者医療制度の二の舞となる懸念が充分あり得るのかも知れません。

最後に、たいへん厳しい守秘義務に触れてみます。偶然くじで選ばれた一般人が罰則を伴う重い守秘義務を負わされる問題について、五百蔵先生は指摘されていました。事件に対する自分の意見を評議以外の場で述べることが禁じられています。相手が家族であっても同様であり、他人を裁くことで重い精神的負担を受けた人が、その心情を誰にも吐露することができないというのは過酷であると訴えられています。

また、罰則がないとは言え、350人に1人の割合で届く「裁判員候補者名簿記載通知書」を受け取った候補者本人が、そのことを不特定多数の人に明らかすることも禁じられています。家族、親類、一定の範囲の職場の人たちや行きつけの飲食店の主人らに明かすことは認められていますが、他の客の耳に入るような会話には注意しなければなりません。当然、ブログへの掲載などは論外であり、私自身に届いているかどうかなど、絶対に明かせないことをお伝えします。

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コメント

裁判員制度については多くの問題点が指摘されているところです。
そのため、組合員を募って「裁判員制度を考える」自主研究グループを立ち上げたいと思い立ちました。その活動に対しての組合からの支援をお願いしようと思い、来たる臨時大会に議案を提案したいと思いました。大会の場で突然出したら、執行部や議長が戸惑ってはと思い、3日前に執行部に議案を提出しました。
議会でも議員立法があるように代議員でも発議できると思ったからです。
さっそくその日の執行委員会で議論になったそうですが、結論は「議案提出権は執行部にしかない。代議員に議案提出権はない。認められるのは執行部案に対する対案、修正案、補強案のみである」という驚くべき見解でした。さらに「自主研究グループの広報物を組合の広報物と同等に扱えというのは傲慢だ」ということで、不愉快感が露骨に示されたそうです(これは誤解であり、書記長が承認したものに限定しています)。
 大会では代議員から議事運営委員を選出し、その委員からなる議事運営委員会が、議案として取り上げるべきかどうか、あるいは議長が代議員全員に「議案として取り上げて良いか」と諮って、議案にするかどうか決めるものと思っていましたが、どうなんでしょうか。
準備していた議案は次のとおりです。
<議案>○○市職労自主研究グループ助成要綱を別紙のとおり定める。
<提案理由>来年5月21日より裁判員制度がスタートしますが、各界各層から次のような多くの問題点が出されており、制度そのものが憲法違反であり、直ちに廃止すべきだという市民運動もあっています。
(以下、省略しますが、「改善すべき点がないというわけではありません」という日弁連会長声明、裁判員制度反対を掲げた高山俊吉氏が日弁連の会長選挙で4割を越えた得票率を得たことを報ずる新聞記事、「しばらく凍結するなり、もう一度細かいところを考え直すという発想があってもいい」という民主党鳩山幹事長の記者会見、「実施の延期も含め、場合によっては裁判員法等の改正も視野にいれつつ、慎重に再検討すべきではないかと考える」社民党の見解、「再検討をして実施の延期を求める」日本共産党市田忠義書記局長の記者会見、その他、大学教授や元裁判官の疑問の声、さらには「裁判員制度はいらない!大運動」呼びかけ人などを紹介しました。)
 現時点で分かっている裁判員制度の問題点を大まかに整理すると以下のとおりです。
(1) 「市民参加」のイメージとは裏腹に、異常に罰則がきびしいこと。
(2) 例外はあるが志願制でなく国民総動員の発想であり、国民の権利が脅かされていること。
(3) 裁判員法のことを知れば知るほど拒否反応が増していること。
(4) 法案提出から可決決定までわずか2ヶ月であり、その間マスコミ、特にテレビ局はあまり内容について触れてこなかったこと。
(5) 冤罪が減るよりも、拙速審理により増大する危険が多いと指摘されていること。
(6) 国民への世論調査がずさんであったり、最高裁の広報費支出に疑惑がもたれているなど不透明な部分が多く、にもかかわらず裁判員制度の制度設計で指導的役割を果たした竹崎博充東京高裁長官を異例(48人ぶり)の最高裁長官に抜擢するなど国の姿勢が強引であること。
(7) 現在の司法のあり方を肯定する国の主張と日弁連・マスコミの理解との間にずれがあること。
(8) 様々な意味において憲法違反の疑いがあること。
(9) すでに社民、共産の両党から来年5月21日の施行に関して反対の意見や声明が出されていること。
(10)今年2月に行なわれた日弁連の会長選挙において、裁判員制度反対の意思表示をしている高山俊吉氏が43%の得票を果たしていること。
(11) 報道各社が現在に至ってもこの制度の矛盾を積極的に取り上げようとしないこと。

 裁判員制度は基本的人権に関わることであり、これを無関心にあるいは無批判に裁判所が進めるとおりに黙って見過ごすことは、基本的人権の侵害を許してしまうことになりかねません。ついては、裁判員制度について、組合員の英知を結集して、問題点を研究する必要があると考えています。そのため、組合の支援をお願い致したく、自主研究グループ助成要綱の制定を提案するものであります。
○○市職労自主研究グループ助成要綱
(目的)
第1条 この要綱は、組合員が主体となって任意に構成する自主研究グループの活動に対 し助成を行うことにより、自主研究活動を促し、組合員の組合活動への参画意識を高め、 研究成果を組合の活動に反映させ、組合活動の活性化に資することを目的とする。
(対象)
第2条 次の要件を備えるグループで、様式1の申請書により執行委員会の承認を受けた グループを助成の対象とする。
(1)他の団体から助成を受けない自主的なグループであること。
(2)代表者が組合員であること。
(3)3名以上で構成し、かつ過半数を組合員で構成していること。
(4)希望する組合員が自由に参加できるものであること。
(支援)
第3条 助成は次に掲げるもので、執行委員会の書記長もしくは書記次長が承認したものとし、金銭的助成は行わないものとする。
(1)研究活動に要する場所(書記局会議室、市労連会議室など)を提供すること。
(2)研究活動の広報に要する印刷機、コピー機を使用させ、用紙を提供すること。ただし、広報物には「○○市職労自主研究グループ」である旨を明記しなければならない。
(3)研究活動の広報物を、市職労が発行する広報物と同様の取り扱いをすること。
(4)研究活動の広報を、市職労が発行する広報物に掲載すること。
(執行委員会への提案)
第4条 助成の対象となるグループは、研究成果の発表会や講師・パネラーを招聘しての講演会・学習会・シンポジュームなどの開催を市職労として取り組むよう、執行委員会 に提案することができる。その場合、執行委員会はその提案について真摯に検討しなければならない。
(要綱の改廃)
第5条 この要綱の改廃は、執行委員会が決定し、中央委員会もしくは大会で承認を得るものとする。
(その他)
第6条 この要綱に定めるもののほか、必要な事項は執行委員会が定める。
付 則
 この要綱は、執行委員会で精査のうえ、必要な修正を行い、次回の中央委員会に提案し、承認を得た日から施行する。

投稿: 自治労傘下の一組合員 | 2008年12月 3日 (水) 00時27分

自治労傘下の一組合員さん、おはようございます。

組合規約の作りや運用は、各組合で異なる場合も多いと思いますので、その点についての是非は見合わさせていただきます。ちなみに私ども組合でも、大会に参加した組合員は「発言し、採択に加わる権利」があるとされ、議案提出権の具体的な記載はありません。なお、個人的見解ですが、自治労傘下の一組合員さんが今回提案を希望した要綱について、そのまま補強案の形で出されれば、実質的な議論の対象とすべきものと受けとめています。

また、私自身も今回の記事を書いた動機として、裁判員制度は大きな問題をはらんでいるものと思っています。したがって、そのような自主研究グループの話があった場合、組合としても応援できればとも考えています。

投稿: OTSU | 2008年12月 3日 (水) 07時28分

裁判員制度について、現時点で指摘されている問題点には、概ね同意できます。
あと、私の立ち位置としては、どちらかと言えば「導入反対派」です。

ただこの問題は、法案提出から採決までは速かった印象はありますが、「全会一致で可決」されたという事実は、否定することが出来ないだろうと思います。
法案作成段階に於いて有識者会議における検討が行われたのですが、当該会議に於いて制度導入にもっとも積極的に関与し、
制度設計の素案の作成を含め制度創設の大きな推進力となった若干名の委員の一人が、「連合の当時の副会長・現会長」であった事実は、
労組における議論の前提として確認される必要があると思います。

また、現在巷間で指摘されているような問題については、制度導入の検討段階に於いて現場の司法関係者や司法機関関係から、
法案審議過程に於いて最高裁判所からも正式に、懸念と慎重意見が提起されていました。
もっともその様な問題意識や提起は、「被害者救済」の国民世論(という空気)及び空気の情勢に寄与した報道組織の活躍によって、
「守旧派」・「既得権益を守るために反対する」等、今で言う「抵抗勢力(当時斯様な言葉は使われなかった。)」扱いして責められたり、
今でこそ放送される街頭での消極意見はおそらく編集の過程に於いて切り外され、あらゆる意味で全く無視されてきた経緯もあります。

ところで、裁判員裁判法も公布から施行まで数年の準備期間が設けられていました。
法律の成立若しくは法律案の策定過程に於いて、問題を提起するような報道を行わず、寧ろ問題点の指摘や慎重意見を安易に「抵抗勢力扱い」して葬った報道機関。
昨今の状況はそうした報道に乗っかって、真剣に考えてこなかった当時の国民世論(という空気)の必然的な帰結であっただろうと思います。
当時の世論調査でも賛成意見が大きかったという印象も持っていますし。
現行憲法(政治体制)の下において主権を持つ国民総体の過去の選択の結果として、主権を持つ責任として裁判員裁判法に向き合おうと思っています。

慎重意見を繰り返しても、耳を貸して貰えなかったことについて「自業自得」という声が一部関係者からでてますし、
「当時あんな扱いしておいて、今更・・・」という諦観にも似た心情になる元来の反対派の方も居られます。
一応私も初期の段階(高木氏のレポートが有識者会議に提出された頃)から、一貫して反対の立場に立って来たので、この辺りの一部専門家の感情については同情的です。
連合の内部での意思統一も「導入賛成」でまとまっているものと、高木氏の活躍ぶりを拝見して思っていましたし。

報道機関に対しては、後期高齢者医療制度の時もそうだったのですが、事前にわかっていながら、国会等の取材を随時していながら、
或いは衆議院HPに議案が掲載されているにも拘わらず、施行直前若しくは直後になってから大騒ぎして煽り立てて関係当局
(この件では行政機関及び司法機関)を責め立てる報道姿勢については、少々納得できない部分があります。
「あなた方報道機関は今はそう言うけど、過去に何を言ってきたよ!(怒)」って感じぃ。。。

投稿: あっしまった! | 2008年12月 3日 (水) 12時57分

長文の連投失礼いたします。m(__)m
先刻の投稿にやや筆の誤り・意図の説明不足があったと思われるので、お詫びと補足を致します。

※先の投稿の冒頭中「法案作成前段階での連合副会長(現会長)の役割」に触れましたが、より正確には「法案作成に至る前段階」と言うべきで、具体的には平成11年7月より2年間時限立法により設置されていた「司法制度改革審議会」の場において、という意味でありますから、ご諒解いただければと存じます。

※当該の投稿に当たって、連合副会長(現会長)の役割について触れているのは、労組が迂闊に反対論を掲げた場合(反対意見を表明する事自体には反対致しません。)、その文言によっては「貴団体の総元締めが推進したのを棚に上げて」的な批判が生ずる可能性を述べたものです。

※当該の投稿に当たって、連合副会長(当時)が連合副会長の立場として審議会委員に任命されたのか?個人の立場で任命されたのか?申し訳ないですがそれは存じ上げずに書きました。ただ、委員名簿には肩書を含めてで明記されていましたから、例え実態が高木氏の私見であったとしても、外部から連合を代表して意見を述べた(連合という組織の共通見解として意見を述べた)という解釈が為される可能性は皆無ではないと思います。

※私は、連合という組織体・自治労という組織体が、労働組合や職員団体の連合体であるという事実は十分に承知いたしており、課題によっては連合体内部でも構成団体の間に様々な立場の違いがあることは十分に存じ上げておりますが、それなりの多数の方が「一体・一個の存在」と一括りに解釈なさる可能性もあると考えて、敢えて先刻の投稿を差し上げました。

※念のために付け加えますが、管理人様始め各労組や職員団体の方の反対意見や懸念の表明が現時点に於いて表明される事について、そのこと自体を責めるつもりは毛頭ございません。ただ連合としては経緯に鑑みると言い難いのではないかな?と思いますが。どちらかと言えば、報道機関の在り方に対する宜しくない心証&制度創設の経緯について、その頃から反対論しそれなりに発信はされてきた(広汎には届かなかった・関心を持って貰えなかった)という事実について、「報道されないことは存在していない」という公式が、一定程度の多数の有権者の間で成立すると見込まれる現状に鑑み、閲覧者各位への事実のお知らせという立ち位置で書きました。

投稿: あっしまった! | 2008年12月 3日 (水) 17時51分

あっしまった!さんは「少々納得できない」ですか。冷静ですねぇ。
私は少々どころではなく「非常に納得できない」ですし、マスコミのやり方にはいつも憤慨させられます。

裁判員制度が導入される前は、陪審員制度が導入されている他国と比べて「日本は遅れている!」と批判し、導入されるとなったら「導入すると色々問題が起こる!」と批判する。
本当にいい加減だなぁと思います。
両方に共通するのは、お役所批判ですが、このようにいい加減で安易なお役所批判を繰り返すばかりで、マスコミはいったいこの国をどうしたいのか。
マトモな議論を行わずとにかく社会不安だけ煽って制度を右往左往させ、併せて役所を叩き続けてこの国の国力を下げたいのか、それとも楽して視聴率・部数を稼げる手段ということしか考えていないのか。
どちらであっても非常に自分勝手な目的です。

それにしても、仮にも民主主義を掲げる国でありながら、あっしまった!さんが指摘するように、制度を考える大切な時期に考えるべきことを考ない。
安易なお役所批判で考えた気になり、何か正しいことを言った気になる。
その結果、後になって問題点が噴出するわけですが、そこでもまた安易なお役所批判で正しい対応をした気になる。
結果、問題点と成長しない国民だけがいつまでも残る。
これがこの国の民主主義であるとすれば、民主主義の健全な発展のために報道の自由やら知る権利やらを行使するマスコミというのは、本当に健全な発展に貢献しているのでしょうか。
なにやらこの国の民主主義を劣化させているだけのような気がします。

投稿: 黙考人 | 2008年12月 3日 (水) 19時06分

あっしまった!さん、黙考人さん、コメントありがとうございます。

お二人のコメントは、いつも本当に参考となります。拙い知識や見聞で書き込んでいるブログを補強いただき、たいへん感謝しています。

あっしまった!さんからご指摘いただいた有識者会議へ高木会長は連合を代表して参加していたものと思います。当初、裁判員制度も理念や総論を単純に否定できなかったものと見ています。この点は、マスコミに対しても言えることなのかも知れません。

やはり法案審議の段階で、多様な角度から検証できる議会の勢力図や議員の多様さが欠かせないのだろうと感じています。合わせて私もマスコミには、多面的な報道に磨きをかけて欲しいものと強く願っているところです。

投稿: OTSU | 2008年12月 3日 (水) 20時54分

> 黙考人 様

いつもご投稿には敬服申し上げつつ拝読し、勉強させていただいております。m(__)m
仰ることは御正論で、同じように思います。実は報道の傾向にはかなりいらだっております。
ただ、黙考人様の様に上手く文書化できず、感情のままの殴り書きになりそうで、そのような不躾な投稿で管理人様にご迷惑が及んではと思い、先刻のような表現に致しました。
従って、黙考人様のご投稿は「まさしく、我が意を得たりっ!」と感じた次第です。

私の感覚として「TVは報道媒体の中で、理性ではなく感情や直感に訴求する事に最も長けた媒体である」と日常のなかで感じています。
例えば特定の情報系報道系番組を年間を通して細かく検討すると、同一の主題について伝えてることが矛盾してるという事は日常茶飯事で特盛りな状況だと思います。
しかし先に申し上げた特性により、その都度「対象に対するどちらかというと負の感情」が強く印象に残ったり、「正しいことをしているつもりで結果的に自分の首を絞めてる、しかし気づかない」という状況が、サブリミナルとは言いませんが、無自覚のうちに蓄積されてしまうという側面はあるかも知れないという危うさは感じます。

> 管理人 様

書いて良いのかどうか迷ったのですが、実は現行の裁判員制度の骨格は当該諮問会議の中にあって、事実上高木氏&確か法律系の教授職だった委員のお二人の発案に由来し、お二人が議論を先導・牽引した結果に由来します。
勿論法案を起案したのは、当該審議会の答申を受けた法務官僚ですが、答申がそのまま反映された結果(この事自体は当該審議会設置の根拠法の立法主旨や規定に基づいて当然の措置です。)、究極的には審議会その中でも高木氏が直接の導入発案者かつ議論の先導者の一人になります。
もっとも当時の世論(という空気や報道の論調)の総体的傾向として、「犯罪の結果に比して刑罰が軽すぎる、被害者の立場が余りにも軽く、無視されている」などと刑事訴訟制度に対する不満が高まった時期であって、そうした雰囲気の中で「司法への国民参加」という標語が幅広く受け入れられたという時代背景も、審議会の答申が現在の法制度に結びつく形にまとめ上げられる原動力になった(要するに審議会として、高木氏ほか主導の制度案を答申に盛り込むことを是認した)という側面は、無視は出来ません。
だからと言って、高木氏やその出身母体である連合を構成する団体を責めるつもりはありません。結果として審議会の名前において答申されたのですし、当時の世情もあったのですから。この点は繰り返し強調させてください。
ただ、事情を知っている者からすると連合を構成する団体のみな様には、このような歴史的経緯はご諒解いただきたいと、現時点で反対姿勢を表明される事自体に異議はありませんし私も反対論者ですが、思う次第であります。くどくどと失礼いたしました。m(__)m

投稿: あっしまった! | 2008年12月 3日 (水) 22時27分

直近の投稿の用語の誤りを懺悔します。。。管理人様宛の先頭部分について以下の通りです。
×当該諮問会議
○当該審議会

なお、本日分の私の投稿本文中に登場する所謂「会議」は、如何なる用語の使い方(有識者会議とか。)をしていても、全て「司法制度改革審議会」であり、委員は全て同審議会の委員を指しております。他にも用語の不統一がある可能性があるので、お詫びの上で、以上のような申し開きをさせて下さい。(恥)m(__)m

投稿: あっしまった! | 2008年12月 3日 (水) 22時34分

いよいよ裁判員制度がスタートしますが、マスコミの姿勢には正直いつもあきれているので今回もまたかといった気分です。
行政側が「圧倒的に強い」とされる国賠法の裁判では裁判員制度は導入されないなど問題点もあります。
今後、裁判員にもとめられる姿勢は「法の正義を貫く」ことができるのかということが重要ではないかと思います。
マスコミ等にあおられることなく偏見などで判断することがないように常に心がけておきたいですね。
昨年、NHKスペシャルでパール判事が取り上げられていましたが、法律(国際法)と証拠に基づく「反対意見書」として
さまざまな圧力に屈することなく「勝者の裁判」を全面否定したことは、今日にいたるまでさまざまな立場の方が研究されており
最近、論壇でも議論が起きていました。「時が熱狂と偏見とをやわらげた暁には、また理性が虚偽からその仮面を剥ぎ取った暁にはそのときにこそ正義の女神はその秤を平衡に保ちながら過去の賞罰の多くに、その所を変えることを要求するであろう」。
この言葉は、「正しい裁をするべきだ」という問いかけを私たちにしていると思うのです。
裁判員制度が今後どうなるかは不安要素のたくさんありますが、議論を続けてよりよい制度にすることが求められていると
思います。

投稿: ためいきばかり | 2008年12月 3日 (水) 22時47分

あっしまった!さん、ためいきばかりさん、コメントありがとうございました。

このまま裁判員制度はスタートするのかも知れませんが、残された半年、遅ればせながら国民的な議論が高まっていくことは必要なことだろうと思っています。

あっしまった!さん、たびたびのご指摘改めてありがとうございます。確かに連合会長の件は加盟する組合として、そのような点を押さえた上で議論提起するのかどうかは大事な点でした。経緯については改めて留意していこうと考えています。

投稿: OTSU | 2008年12月 4日 (木) 03時57分

> 管理人様宛

主旨をご了解いただいたようで、ありがとうございました。m(__)m
この経緯の問題は、構成団体としての視点であっても、連合体としての視点であっても、それぞれを基準に対外的にも対内的にも、留意なされるべき論点と思われますので、敢えてくどくどと(しつこくと言うべき?)書かせていただきました。
私の投稿意図に反して、お気を悪くなされたようでしたら、深くお詫び申し上げる次第です。m(__)m

投稿: あっしまった! | 2008年12月 4日 (木) 13時54分

あっしまった!さん、まったく気を悪くするようなことはありませんでしたので、ご心配無用です。それ以上に今回のようなご指摘は本当に有難いことだと思っています。

投稿: OTSU | 2008年12月 5日 (金) 00時10分

 OTSUさん、大変お久し振りです。
 やはり国民全般にとってかなりの関心事ですね。
 そういえば、数年前、NHKスペシャルでドラマ仕立ての裁判員制度の特集 -確か、三浦友和が演じる、企業の役員が主人公だった- を見た事があります。
 あまりダラダラ書きませんが、少なくとも私個人は、裁判員をやっても良いと思っています。
 もちろん、その間の生活が保障される事が前提ですし、何より私にその資質があるかどうかが問題なのですけれどね。

 ところで、いま大騒ぎになっている例の元厚生事務次官宅を襲撃した連続殺人事件ですけれど、やはり裁判員制度の対象になるのでしょうか。
 一部の人も触れているようですが、この数年の刑事事件 -に限らず、政治でも経済でも- TVの取り上げ方はどうしてもおかしいとしか思えません。どうおかしいのかうまくいえないのが悔しいですが、なんだかジャーナリズムがエンターテイメント化してしまっているというか、これらの重大な出来事と、芸能人のホレタハレタごときが同一レベルで語られる事自体間違っています。報道に関わっている人々はなんとも思わないのでしょうか?
 裁判員制度からは少し外れますが、こういう凶悪事件とか、政治や経済の問題そのものよりも、娯楽との境界があいまいになりつつある事件報道の方が、よっぽど日本を重大な危機に陥れるような気がしてなりません。それがなければ、この制度も案外うまくいくように思っています。私は制度とか、裁判員とかより、周りが問題と思います。

投稿: 菊池 正人k | 2008年12月 5日 (金) 21時06分

菊池正人さん、お久しぶりです。コメントありがとうございました。
確かに今のマスコミは「ワイドショー」的な事件報道や横並びの傾向が強く、限られた情報で判断せざるを得ない素人の裁判員はその影響を受けやすいものと思います。ご指摘のとおり裁判員制度の導入にかかわらず、そのあたりの改善が必要であるものと私も感じています。
なお、小泉容疑者は近いうちに必ず起訴されるはずですので、裁判員制度の対象とはならない見通しです。

投稿: OTSU | 2008年12月 5日 (金) 22時06分

お久しぶりです。
裁判員制度ですが、私はやりたくないですね。
米国の陪審員みたいに有罪か無罪かを評決するだけならまだしも、量刑を決めるのには抵抗があります。
ましてや日本の最高刑は死刑ですから、なおのことです。
自分自身は絶対的な死刑廃止論者ではありませんが、やはり人の生死まで踏み込んで決めねばならないとなると躊躇しますよ。
罰金刑とか懲役刑でも3年以内とかのもっと軽微な事件から試行的に導入することはできないのでしょうか?
万が一冤罪だったとしたら、取り返しのつかないところまで行くわけですし、怖いというのが率直な感想です。

投稿: shima | 2008年12月 7日 (日) 10時52分

shimaさん、お久しぶりです。コメントありがとうございます。
国民の中で、死刑廃止に対する是非が大きく分かれています。そのような中で、無作為に選ばれた裁判員がどちらの立場に傾いているかで、判決に影響を及ぼすことは間違いなく、制度の公平さに疑問が広がっていくはずです。このような点も裁判員制度の問題点の一つであるものと見ています。

投稿: OTSU | 2008年12月 7日 (日) 16時02分

 日弁連・会長:宇都宮健児は、「虚偽(詐害行為)は正当な弁護士業務だ」と主張(議決)して、懲戒対象弁護士を擁護し、これを撤回せずに、裁判で争っております。

 弁護士を指導・監督する立場にある宇都宮健児のこの行為は、不法行為を教唆するものであり、国民への背任です。

 表向きは、社会正義の実現(弁護士法1条)を強調しながらも、裏陰では、「虚偽(詐害行為)は正当だ」と指導しているのですから.弁護士トラブルが急増するは当然です。
 
 日弁連・会長:宇都宮健児らは、提訴し、勝訴するための「虚偽は正当だ」との理念を抱き、当然のように実践する人間たちだということでしょう。
 

 そして、組織的な権力を得ている日弁連・会長:宇都宮健児らのこの裏影での卑劣な行為を国民は知ることができず、それをとがめる手段もないのです。

 国民は、日弁連・会長:宇都宮健児らのこの卑劣な事実を知るべきであり、この元凶者たちを排除すべきです。

法曹界に正義はありません。

投稿: 月光 | 2010年12月 3日 (金) 21時51分

月光さん、おはようございます。

ご指摘のお話、詳しい内容が分からないため、踏み込んだレスはできませんがご容赦ください。

投稿: OTSU | 2010年12月 4日 (土) 08時49分

OTSU様 

  投稿を許可して頂いただけでも感謝しています。
  権利者たちは、思いもよらず腐敗しているようです。

投稿: 月光 | 2010年12月 4日 (土) 09時27分

 日弁連・弁護士会らの常軌を逸した主張・事実が多すぎて、すべてを説明しきれませんが、下記に一部を示します。

【判例】:最判昭44・7・8民集23・8・1407.民訴百選3版A35法協88・2・227
  【不当訴訟】
 原告が、被告の権利を害する詐害的意図の下に、被告の訴訟手続に対する関与を妨げ、あるいは虚偽の事実を主張して裁判所を欺網する等の不正な行為を行い、その結果、本来有り得ざる内容の判決を得るは、不法行為を構成する。

 という判例があり、①・懲戒対象弁護士が正に同様の手口で不法行為を行っている(自白証拠等を提出済み)から、懲戒して欲しいと申請したところ、「虚偽(詐害行為)は正当な弁護士業務だ」と3度も国民を愚弄する議決をして門前払いし、懲戒対象弁護士を擁護して何らの懲戒も非難も行わなかったのです。

②・これに対して、裁判手続きをし提訴したところ、「弁護士懲戒制度は、公益のためにあるのであるから、弁護士の不当訴訟で損害・冤罪を被ったからといって、一般国民が提訴する権利などない」と主張しているのです。

 日弁連・弁護士会らは、「【不当訴訟・詐害行為】を防止することは国民の利益(公益)ではなく、虚偽は正当だ.と主張しているのです。

 宇都宮健児及び.日弁連・弁護士会らが、本当に、「虚偽(詐害行為)は正当な弁護士業務だ」と考えているのであれば、これを国民の前でも主張すべきである。

投稿: 月光 | 2010年12月 4日 (土) 12時38分

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