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2008年11月29日 (土)

来年5月に始まる裁判員制度

賃金闘争の山場が先週木曜夜だったことを前回記事に書き込みました。その夜は、連合地区協議会が主催した講演会とも重なっていました。「裁判員制度のスタートと労働組合の取組」という演題で、講師に弁護士の五百蔵洋一先生をお招きしていました。五百蔵先生は、企業や労働組合のコンプライアンス問題などでも活躍されている方です。

地区協議会の副議長を務めている私ですが、ぜひ、聞いてみたい内容であったため、その日を楽しみにしていました。この講演会を決めた幹事会の時点で、私の手帳のスケジュールは空いていました。残念なことに後から産別統一闘争の日程が入ってしまった訳ですが、例年のスケジュールを先読みして木曜だけは避けるべきだったと少し反省しています。

直接講演を聞けませんでしたが、入手した資料は非常に分かりやすく、裁判員制度の中味や問題点などが記されていました。さらに昨日から裁判員候補者に選ばれたことを知らせる通知書が発送され、新聞紙面に「裁判員制度」の文字が目立つようになってきました。そのため、今回の記事では、五百蔵先生の資料などをもとに裁判員制度について取り上げてみました。

来年5月に始まる裁判員制度を前に、最高裁は28日、来年分の裁判員候補者名簿に登録された29万5027人(有権者約350人に1人)に、候補者になったことを知らせる「裁判員候補者名簿記載通知書」を発送する。通知書には、候補者に対し、辞退を希望するかどうかを確認する調査票などが同封され、29日以降に届く見込みだ。

ほかに同封されるのは、制度を説明するマンガ冊子やパンフレットなど。調査票では、〈1〉弁護士や自衛官など裁判員になれない職業かどうか〈2〉裁判員を辞退できる70歳以上の人や学生などで辞退希望があるかどうか〈3〉辞退を希望する特定の月があるかどうか--などを調べる。回答用マークシートに記入し、証明書などを添付して返送する。 【読売新聞2008年11月28日】

候補者は選挙人名簿から無作為に抽出されているため、事前に裁判員になれない人などを把握する調査となっています。裁判員になれない職業として、上記の他に三権分立の観点から国会議員や自治体の長があります。ちなみに自衛官は緊急事態への対応を優先する必要性から除外しているそうです。

この裁判員制度は、来年5月21日以降に起訴される刑事事件から始まります。殺人罪、強盗致死傷害罪等、死刑や無期懲役刑を含む重大事件や危険運転致死罪など、国民の関心が高い事件が対象となる予定です。年間で3000件前後を見込み、1事件につき6人の裁判員と1~2人の補充裁判員が選ばれ、3人の職業裁判官とともに公判手続きに参加します。

毎年秋に約30万人の裁判員候補者が選ばれ、対象となる事件が起訴された際、その候補者を対象にくじ引きが行なわれます。選ばれた数十人が裁判所に出向き、裁判官が質問等を行なう選任手続きを経て、最終的に裁判員6人と補充裁判員が決まります。1人で事業を運営している場合や冠婚葬祭など、一定の辞退要件はあるようですが、現時点では必ずしも明確化されていないそうです。

公判の7割は3日以内で終了すると言われていますが、かなり疑問があると五百蔵先生の資料には書かれていました。裁判員制度は第1審のみを対象とし、有罪か無罪か評決し、有罪であれば死刑や懲役の年数までの判決を下すことになります。なお、有罪の多数意見や刑の決定には、最低1人以上の裁判官が含まれなければなりません。

今回導入する裁判員制度は、ヨーロッパに多い参審制度の一種です。それに対し、映画『12人の怒れる男』などで有名な英米の陪審制は、プロである裁判官が加わらず、陪審員のみで有罪か無罪かを決めています。ちなみに陪審制では、刑の量定は裁判官だけで行ないます。なお、裁判員制度においても従来通り公判前手続きは、裁判官、検察官、弁護士が行ない、裁判員は参加しません。

裁判員には日当1万円以内と交通費が支給されますが、法定休暇制度は設けられていません。各企業等の判断に委ねられています。したがって、労働組合の役割として、特別有給休暇制度などの整備が急務であると五百蔵先生は提起されたそうです。また、有給の特別休暇となった場合、日当の取扱いが課題となります。五百蔵先生は「そのまま受け取るべきもの」とのお考えですが、今後、とりわけ公務員に関しては統一的な基準作りが欠かせないはずです。

裁判員制度を導入する最大の理由は、国民の司法に対する参加や関心を深めるためだと言われています。しかし、この制度に対し、「素人の国民を裁判に参加させたという単なるアリバイ作りにしかならない」「民事事件こそ庶民感覚が必要なのに、なぜ、刑事事件に限るのか」など根強い批判の声があることも確かです。実際に始まってから大騒ぎとなった後期高齢者医療制度の二の舞となる懸念が充分あり得るのかも知れません。

最後に、たいへん厳しい守秘義務に触れてみます。偶然くじで選ばれた一般人が罰則を伴う重い守秘義務を負わされる問題について、五百蔵先生は指摘されていました。事件に対する自分の意見を評議以外の場で述べることが禁じられています。相手が家族であっても同様であり、他人を裁くことで重い精神的負担を受けた人が、その心情を誰にも吐露することができないというのは過酷であると訴えられています。

また、罰則がないとは言え、350人に1人の割合で届く「裁判員候補者名簿記載通知書」を受け取った候補者本人が、そのことを不特定多数の人に明らかすることも禁じられています。家族、親類、一定の範囲の職場の人たちや行きつけの飲食店の主人らに明かすことは認められていますが、他の客の耳に入るような会話には注意しなければなりません。当然、ブログへの掲載などは論外であり、私自身に届いているかどうかなど、絶対に明かせないことをお伝えします。

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2008年11月22日 (土)

保育園が倒産

民間の労働組合は春闘に取り組み、新しい年度の賃金の額を決めていきます。公務員賃金はその結果である民間相場を人事院などが調査し、公民格差を是正するための改定率を勧告する運びとなります。今年はベア見送りの人事院勧告(対国家公務員)でしたが、東京都人事委員会は賃金水準の改定率△0.09%のマイナス勧告となっていました。

私どもの自治体は都人勧を基本としながら労使交渉の上、配分など詳細を決定します。その交渉の山場が木曜の夜でした。賃金表の最高号給額の引き下げ提案の取扱いが大きな争点となり、決着したのは日付が変わった深夜3時近くでした。その後、交渉結果を報告する組合ニュースの作成などがあり、さすがに疲れ切って、金曜日は有給休暇を取らせていただきました。

さて、組合事務所にあった『AERA』(2008年11月17日号)の記事で、「親会社倒産で行き場を失う子どもたち 杜撰な業者選びで保育園が同時破綻 待機児の多い首都圏を中心に保育園や学童保育所を展開していた企業が倒産。民営化による企業参入が進む中、子育て世代に与えた不安は大きい」という見出しが目に入りました。

賃金闘争を終えた金曜の朝には、読売新聞から「保育所経営見極め困難 突然の閉鎖…戸惑う保護者・自治体」という記事を見つけました。両方とも、首都圏を中心に29か所の保育園や学童保育所を経営していたエムケイグループが、経営難を理由に突然11月から全園を閉鎖した問題を取り上げた記事でした。

説明を受けてもすぐには信じられず、ショックのあまり泣き出してしまった。3年も待機してようやく、4月に開園したこの園に入園できたのだから。泣きながら家に電話して、帰宅していた夫を呼び出した。夫はすぐに車でかけつけて事情を聞き、園内から運び出した子どもの着替えなどを憮然とした表情で車に詰め込んでいた。 ~2歳の子どもを認可保育園「上小田中スマイル保育園」に預けていた川崎市高津区の会社員女性(36)~【AERA】

川崎市の女性会社員は、いつものように1歳の長女を認可保育園「溝口スマイル保育園」に迎えに行くと、市の職員から「経営難のため今日でこの保育園は閉鎖になる」などと伝えられ、驚いた。「保育園がなければ仕事に行けない。あまりに突然だったので、何が何だかよくわからなかった」と会社員は話す。【読売新聞】

川崎市によると「溝口スマイル保育園」は、そのまま新しい事業者に引き継がれることになったそうです。他の園の園児も近くに転園するなど、4園に通園していた約70人は保育園に通うことができているようです。しかし、2歳の女児を預ける母親が「4月に入園し、やっと保育園生活に慣れてきたのに周囲の環境が変わり、子どもの精神面への影響が不安」と心配する声を重く受けとめなければなりません。

このブログの記事「最適な選択肢の行政改革とは?」で触れましたが、私どもの市立保育園を民営化する具体的な提案が示されています。したがって、今回の「保育園倒産」のニュースは決して他人事ではありません。また、これまで当ブログでは保育園に関する内容をいくつか取り上げてきました。「保育園民営化の問題点」「保育園民営化に賠償命令」などがあります。

保育園をコスト論で見ていくことの問題点、ひいては保育の質の低下への懸念を訴えてきました。しかし、それらの記事の中で、正直なところ自治体から委ねられた保育園がつぶれる事態は、あまり想定していませんでした。今回のニュースに接した時、9月に開いた「小さな政府」を考える講演会で、講師の山家悠紀夫さんが最後の方で話された言葉を思い浮かべました。

山家さんは公共サービスの担い手が行政府であることのメリットとして、継続性や万が一の時の保障面の問題が大きいと説かれていました。公共サービスの提供を民間会社へ完全に委ねた時、その会社がつぶれた場合、住民の皆さんに多大な迷惑をかけてしまいます。行政側にノウハウやマンパワーなどが残っていなければ、取り返しのつかない最悪な事態となります。

また、事故などで住民側へ賠償が必要な際、責任を負うべき民間会社が倒産した場合、行政が単純に肩代わりできないことも充分考えられます。財政破綻した夕張市の例があり、さらに今後、自治体財政健全化法によって市町村の「倒産」も増えていくのかも知れません。それでも一般的な見方として、直営サービスへの安心感は極端に低下しないものと思っています。

誤解がないように必ず申し添えることですが、民間に任せると住民サービスが低下する、安心ではないと決め付ける話ではありません。仕組みとしての問題点やリスクなどを提起し、公共サービスにおける適切な官と民の関係をさぐるための議論材料として綴らせていただいています。その上で、エムケイグループの経営破綻は、いみじくも山家さんの懸念を立証した実例となりました。

そのエムケイグループに対して川崎市は、約1億1200万円の補助金を支払っていました。民間に任せてコストを削減したつもりが、短期間で撤退されたため、1億円もの税金がムダになったことになります。当然ながら園を運営する事業者の財務状況は事前に審査されていましたが、「エムケイグループの財務に関して特に問題は見つからなかった」と言われています。

ある自治体の担当者は「民間企業は、保育園の運営以外に違う事業を行なっている場合も多い。資金繰りの悪化による突然の経営難などを把握することは難しい」と明かしています。それにもかかわらず、自治体の財政難や多様な保育ニーズへの対応を謳い文句に公立保育園の民営化が進んでいます。2008年4月1日現在、私立の認可保育園数が1万1581か所となり、初めて公立を上回ったそうです。

読売新聞の記事の最後には、東洋大学の教授である森田明美さん(児童福祉学)の「民営化が急速に進み、安定した経営や保育の質の確保という面で、十分に力のない事業者が増えるリスクは高まっている。参入後も、経営状態を見極めるしくみが必要。行政は、事業者や保育所と意思疎通を図り、きめ細かい指導や情報収集を続けていくことが求められる」との意見が掲げられていました。

『AERA』の記事は、ジャーナリストの猪熊弘子さんが書かれていました。双子を含む4児の母親で、弱い立場にある子どもたちを守っていきたいという思いから保育や教育などをテーマに講演や執筆活動を続けられている方でした。最後に、猪熊さんが『AERA』の記事の結びとした言葉をそのまま紹介させていただきます。

この状況を、倒産した園に預けた親の「自己責任」だというつもりなのか。保育園は子どものための施設であり、本来、行政の責任で運営されるべきものだ。公的保育の責任を放棄し、安易に企業の参入を許すやり方が、むしろ子育て不安を増幅させている。世界的な企業でも一夜で倒産する時代。子どもたちの安定した生活を守るために、保育への企業参入を見直すべき時期に来ているのではないだろうか。

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2008年11月15日 (土)

批判続出の定額給付金

金曜の夜、私どもの組合の定期大会が開かれました。ほぼ昨年と同じ350人ほどの出席があり、保育園職場からは民営化提案に反対する意見表明などが示されました。全体的な流れとして、代議員制の大会への移行が進んでいます。しかし、私どもの組合は全員参加型の大会にこだわり、1人でも多くの方の出席が得られるよう努めています。

4人に1人弱とは言え、これだけの人数の組合員の皆さんが一堂に会し、議論できる場はたいへん貴重だと考えています。その思いは昨年の記事「定期大会を終えて…」でも綴らせていただきました。ちなみに前日に開票された組合役員の信任投票では、自己最高となる96.9%という高率で引き続き執行委員長に選任されました。ありがとうございました。

さて、世界的な金融恐慌を受け、10月に発表した追加経済対策の柱だった「生活支援定額給付金」の問題が迷走しています。総額2兆円規模での実施が決まっていますが、麻生首相は当初「全世帯」に給付すると表明し、「4人家族で6万円程度」と説明しました。その後の与党内の調整により、1人あたり12,000円、2009年1月1日時点での年齢が18歳以下と65歳以上の人に8,000円加算する案となっています。

それに対し、与謝野経済財政相が所得制限の必要性を訴える一方、中川財務・金融相は「事務が煩雑になり、年度内支給ができなくなる」という理由から所得制限に反対していました。「選挙目当てのばらまきだ」との批判を意識し、与党内からも「高額所得者への給付に制限を設けるべき」との声が高まっていきました。

一時、法的には所得制限を設けず、高額所得者には辞退を促すという情けない案も浮上していました。結局、もっと驚き、あきれ果ててしまう政府・与党による結論が示されました。支給の窓口となる区市町村に給付制限を設けるかどうか、設ける場合の所得の額などについて、自治体の裁量とする非常に無責任な「丸投げ」という結論(?)でした。

給付金の支給は、金融機関の個人口座に振り込む方式と現金手渡しする両案が検討されています。市区町村は住民基本台帳に基づき、世帯全員の名前や支給額を記載した通知書を世帯主に郵送することになります。支給業務にかかる残業代などの全額が国費で負担される予定ですが、繁忙期となる年度末に余計な負担を強いられる市区町村側の不満の声が広まっています。

神奈川県の松沢知事は「2兆円のばらまきは天下の愚策」と切り捨て、「制限を市町村に決めさせるというが、こんなの政策じゃない。間違ったことには地方からやめるべきだと、はっきり言うべきだ」と公然と批判しています。横浜市の中田市長は「経済対策として2兆円全部をこっちに考えさせてくれた方が、よほどヒットする」とし、さらに「住民基本台帳ネットワークを使って国が通知文を発送し、口座に振り込めばいい」とも述べているようです。

所得制限の問題などについて、麻生首相は「地方分権というんだから各市町村で決められたらいい」と身勝手に解釈しています。国が一方的に決め、拒否権のない定額給付金事務の押し付けが「地方分権」と呼べるはずはありません。総務大臣の経験があるのにもかかわらず、麻生首相の認識や思慮が不足した言葉にも批判が集まっています。

なお、大半の市区町村は所得制限を設けない方向で検討に入る見込みです。仮に設ける場合、所得の下限だけは1,800万円と決まっています。必要経費(給与所得控除)を差し引いた額が所得となりますので、年間の給与収入金額に換算すると2,074万円です。確定申告が必要となる年収2,000万円を所得制限の目安にしたものと見られています。

もともと公明党と自民党で合意した政策は定額減税でした。1998年に今回と同じ2兆円規模で実施され、納税者本人1人29,000円、扶養家族1人につき14,500円が減税されました。しかしながら定額減税の場合、税金を納めていない所得の低い世帯には恩恵が及ばないため、景気刺激への即効性も期待しながら給付金方式に変更したと言われています。

1999年の地域振興券は7,000億円の予算規模で、15歳以下の子どもがいる家庭と老齢福祉年金受給者らに対し、1人あたり2万円の支給でした。地域振興券の時の市区町村の負担も半端ではありませんでしたが、今回の定額給付金は全世帯を対象とするため、比較にならない窓口での混乱などが危惧されています。

全国市長会の会長である秋田市の佐竹市長は「秋田市の場合、1か月で配ると1日に4千人から5千人が市役所に訪れる。物理的にどうしようもない。職員が他のことは何もできない」と述べ、混乱が避けられない見通しを示しています。そのため、佐竹市長は申請期間について、「最低でも半年は必要である」とも主張されています。

加えて、莫大な経費と手間をかけながらも、経済効果は限定的である見方が強まっています。国内総生産(GDP)の押し上げ効果は0.1~0.2%と試算するエコノミストが多いようです。大手百貨店幹部の「社会保障や教育などの構造的な問題に取り組み、将来不安をなくすことこそ、消費喚起につながる」との意見に強く共感できます。

千葉県の堂本知事は「中小企業対策や福祉施策などで、(財源を)移転してくれた方が、経済効果はある」と発言しています。また、耐震補強の必要な公立小中学校の校舎は5万棟近くあります。2兆円の半分の1兆円で、その全部の工事に取りかかれるそうです。一時的な給付金のばらまきよりも、子どもたちの安全を守り、同時に公共事業による景気対策となり得る有意義な税金の使い方の一つではないでしょうか。

現金が支給されることを喜ばない人は少ないはずですが、朝日新聞の調査によると63%の人が「不要な政策」だと答えています。あまりにも底の浅い政策のお粗末さを国民が見透かしている結果だと言えます。今後、実際に支給するためには関連法案の審議などが必要とされています。これほど不評で、問題が多い定額給付金に関しては改めて国会で充分な議論を交わし、適切な判断が下されることを期待しています。

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2008年11月 8日 (土)

ブログでの議論で願うこと

アメリカ大統領選は、民主党のオバマ候補が共和党のマケイン候補を大差で破る結果となりました。史上初のアフリカ系アメリカ人として、オバマ候補は来年1月20日に第44代大統領に就任します。世界的な金融危機を引き起こし、泥沼化した「テロとの戦い」に突き進んだブッシュ路線との明確な「チェンジ」が強く支持されたものと見られています。この選択が日本はもちろん、世界全体がより良い方向へ「チェンジ」する歴史的転換点となることを切望しています。

さて、総務省情報通信政策研究所が実施した「ブログの実態に関する調査研究」によると2008年1月現在で、国内のブログ開設数は約1,690万、記事総数は約13億5,000万件に上るそうです。『ブログ論壇の誕生』(文春新書)という書籍を読みましたが、これまで「公論」の場はマスメディアや一握りの知識人のものであったことが書かれていました。

それがインターネットの普及によって、社会的地位に関係なく参加でき、さらにタブー視してきた社会問題に関しても積極的な議論が行なわれるようになっています。その巨大な議論の場を著者は「ブログ論壇」と称し、その可能性や問題点を綴られていました。問題点の一つとして、ブログを通した議論は匿名同士で行なわれる場合が多く、個人に対する誹謗中傷や「荒らし」の起きやすさがあげられていました。

ちなみにブログの運営方法は個々の管理人の判断によって様々なものがあります。政治家やタレントなど著名人は自分の名前を売るのが本業であり、間違いなく実名で運営しています。一般の人たちが運営する場合は、実名を伏せてハンドルネームで発信していることが大半です。当ブログも後者であり、管理人OTSUとしていますが、私どもの組合員の皆さんらに対しては実名での発信と変わらない位置付けとなっています。

勤めている自治体名も伏せていますが、記事の中に出てくる地名などから簡単に特定できてしまうはずです。必ずしも隠し通さなければならない訳ではありませんが、個人の責任によるブログ運営の一般的なセオリーにそったものですのでご理解ください。まったくの余談ですが、この伏せ方について「『めぞん一刻』に出てくる響子さんの亡き夫である惣一郎さんの(最後まで謎だった)顔のようですね」と言われたことがありました。

コメントやトラックバックを一切受け付けないブログも少なくありません。コメント投稿に際し、管理人の承認制としているブログもあります。この「公務員のためいき」は不特定多数の方々へ発信し、どなたでも即時にコメント投稿できる設定としています。私自身、公務員やその組合に対する批判や率直な意見を聞けることは、非常に貴重なことだととらえています。

そのような声があることを意識せず、やみくもに日常的な運動を進めることよりも、耳に痛い話も適確に把握した上で臨んでいく大切さを感じています。寄せられたコメントに対しては、極力一つ一つ誠意を持ってお答えするように努めています。そのことによって、公務員側の言い分が少しでも理解いただけた場合、ブログを開設して本当に良かったと思える時でした。

したがって、多くの方から気軽にコメントを頂戴できるよう投稿の際、メールアドレスは不要としています。しかし、プロフィール欄にも記していますが、名前だけは必ず記入くださるようお願いしています。ある程度コメント内容にも責任を持っていただくためですが、主として議論を交わしやすくする理由からでした。

時々、冷やかしや「釣り」のようなコメントも寄せられます。常連の方から「そこまで丁寧に答えなくても良いのでは」と助言されることもありましたが、仮に「釣り」だったとしても私なりの言葉でレスに努めてきました。繰り返しになりますが、様々なご意見を伺えるのがブログの利点だと思っていますので、明らかなスパムコメント以外は削除しない方針で続けています。

いつも悩ましいのは飲酒運転事故や社会保険庁の問題など、公務員の不祥事に憤られたコメントが寄せられた時です。最近では、国庫補助金に対する自治体の不正経理問題があります。駄目なものは駄目であり、中途半端な各論の釈明は誤解を招きかねません。当然、同じ公務員として戒めの機会としていかなければなりませんが、直接的な当事者ではない関係上、お答えすべき言葉も限られてきます。⇒参考記事(「公務員」議論のあり方

いずれにしても公務員の話題を中心に投稿しているブログですので、叩かれがちな社会保険庁の問題なども正面から取り上げてきました。都合の悪い題材から意図的に逃げるような考えは毛頭ありません。そのように決意している中、最近の記事「解散・総選挙は間近?!」に対し、「OSU」というハンドルネームを付けた方から数多くのコメントが寄せられました。

日常生活の中でも、相手を侮辱する言葉を発するのが普段通りの方でしたら失礼したことになりますが、「あえて真面目な答えを期待しない意図的な書き方だと判断していますが、このように書き殴りたい人がいることの現状も受けとめていくつもりです。ただ本当に議論を望むのでしたら、名前や記述の仕方など最低限のマナーを守ってください」と答えさせていただきました。

それに対し、私からの願いが半分かなって「OSU」と名乗っていただいたようです。しかし、残念ながら意味が不明瞭な「議論を望んではいないんじゃにかな?」をはじめ、誠実に答える気持ちを失せさせる内容のコメントが続きました。その中で、Thorさんからの「豚に真珠」、つまり「せっかくの誠実な対応も、無益どころかマイナスにしかならない訳です」というコメントが心強い励ましとなりました。

匿名によるコメントは、面と向かった時には伺えない「本音」を引き出せる利点があります。しかし、やはりインターネット上の議論も「公」の場だと思っています。批判意見の内容そのものの厳しさに対しては真摯に受けとめていくつもりですが、ぜひ、誹謗中傷や口汚い言葉使いだけは慎んでいただけるようご協力をよろしくお願いします。さらにお互いの立場や視点を尊重し、違いは違いとして認め合いながら、建設的なブログでの議論が交わせることを理想としています。

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2008年11月 1日 (土)

組合役員を続けている理由

私どもの組合の定期大会は11月14日です。大会を節目に組合役員が改選されるため、一昨日が役員選挙の告示日でした。毎年、この時期は現職の慰留や新たな立候補者探しに奔走しています。これまで「喜怒哀楽、組合役員の改選期」「組合委員長のためいき」「定期大会を終えて…」など、いろいろな悩ましさを綴った記事を投稿してきました。

来期に向け、引き続き私が執行委員長に立候補しますが、書記長の交代など四役人事で動きがあります。金曜の時点で、ほとんどの執行委員の留任を確認でき、新しい方の立候補も得られています。さらに立候補受付の締切時間ぎりぎりまで、何人かの方とお話させていただく予定です。

組合の活動領域は多岐にわたり、それぞれ難しい課題が多い現状です。また、ますます公務員やその組合をとりまく情勢が厳しくなる中、苦しい判断を下さざるを得ない場面も増えています。つまり苦労が多い反面、達成感を得られる時が少なくなっています。それにもかかわらず、プライベートな時間も一定割かれる組合役員への立候補を決意された皆さんに対し、いつも心から感謝しています。

以前、「組合役員になったイキサツ」という記事を書きました。その記事で触れた話ですが、入所当時の私は組合に距離を置こうと考えていました。労働組合の役割などについて、よく分からない中での印象が先行したものでした。それが職場の忘年会で先輩から口説かれ、酔った勢いで青年婦人部(略して青婦部)の幹事を引き受けてしまいました。

そのような無責任なイキサツで組合役員の端くれとなりましたが、まさか執行委員長まで務めることになろうとは夢にも思っていませんでした。とにかく青婦部の幹事を続けることで、いろいろな経験や勉強する機会が増えました。その中で、青婦部の運動の方向性などについて自分なりの疑問を投げかけたり、課題によっては強く共感し、それまでの見方を改めたりしてきました。

青婦部のレクリエーションなどを企画する責任者だった時、どうせ担うのならば、自分自身も楽しめるような発想で取り組みました。社交ダンスを中心としたダンスパーティー、略称ダンパの参加者は年々減っていました。事前にダンス講習会を開いても、新たに社交ダンスを覚えようとする人たちが少ないのが現状でした。そのため、ダンスの時間はなくし、小さなお子さんたちも楽しめる催しに切り替えていきました。

職員家族クリスマスパーティー、略称クリパとし、500人を超える参加者が集まるようになりました。同様に夏は新島に行くイベントが恒例化していましたが、やはり参加者が減っていました。私が担当した際、海から山へ行き先を変えました。サマーイベントと称し、軽井沢や白馬へバスで行って、テニスなどを楽しむ企画としました。このイベントは、かなり前になくなっていますが、クリパは冬の恒例行事として今も続いています。

もともと文章を書くことが好きだったため、青婦部の機関誌『いぶき』の編集にも携わりました。その誌面にフォトストーリーという読み物を創作しました。組合員が様々なキャストを演じ、各シーンを写真に撮って物語の挿絵的に構成したものをフォトストーリーと呼びました。反核のメッセージをこめた話なども、そのような写真がレイアウトされているため、大きな注目を集めることができました。

100頁ほどのボリュームがある雑誌タイプの『いぶき』は年に1回発行できるかどうかのペースでした。そのため、2か月に1回の発行を目標とした20頁程度の『いぶきミニ・ら』の創刊にも関わりました。現在は本誌ともども廃刊となっていますが、新人紹介号は青婦部員以外の方にも人気だったことを思い出します。

このように自由に活動できたことは、先輩たちの寛容さがあったおかげでした。その自分も年数を重ねることにより、ある決断を迫られるようになりました。当時の規約上、青婦部の部長と副部長は執行委員となるように定められていました。青婦部幹事に対しては自分なりの意義を見出し、背伸びしないで続けてきましたが、とても執行委員まで担うつもりはありませんでした。

したがって、ずっと断り続けていましたが、私より後に幹事となった方たちが2年連続で副部長を引き受けていました。私も「もう今年は断れないな、1年間は頑張ろう」と副部長、つまり執行委員となる覚悟を決めました。大ベテランの部長に頼り切った副部長でしたが、その部長が事情で幹事会などに出られなくなり、途中から実質的な部長の役目を負わざるを得なくなりました。

次の任期には部長を担うことになり、この時も「どうせ担うのならば」と決意し、自分なりの問題意識を持った青婦部の運営に努めていきました。つまらない昔話を長々と引っ張り、たいへん申し訳ありません。少し中略気味に話を進めますが、執行委員になったことで初めて団体交渉など労働組合の根幹となる場面に直接関わることになりました。

経営側の発想や判断だけで労働条件の問題が決められた場合、働く者にしわ寄せが行ったり、結果的に住民サービスの低下を招く恐れもあります。一職員の声は小さく、通常では市長や副市長らに届くことはなく、上司である課長にさえ遠慮がちとなるはずです。しかし、その声も組合という組織を通すことによって、労使対等な立場で話し合える対象となり得ます。

この交渉能力の大切さ、つまり組合の存在価値を執行委員になったことで体感することができました。実際、「組合があって本当に良かった」という言葉を数多く聞ける経験を重ねていきました。結論として、組合役員を続けている理由は「組合は大事、なくしてはいけない」と端的に言い切ることができます。だからこそ、これまで組合役員を辞めず、執行委員長まで務めることになりました。

そして、組合の責任や役割を充分に発揮していくためには、日常的な活動を担う執行部の充実が欠かせません。合わせて、外部の団体の運動や方針を最優先し、自分の所属する組合を利用する立場の役員が執行部を占めるようになっては大きな問題だと思っています。当たり前な話ですが、私どもの組合の運動を第一に考える組合員によって執行部を構成する重要さも強く求められています。以上のような趣旨について、ぜひ、組合員の皆さんのご理解をよろしくお願いします。

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