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2008年6月21日 (土)

市の事業をNPOが点検

金曜の読売新聞朝刊の地域版の頁を開くと「町田市事業 NPOが点検」という見出しが目に入りました。朝は出かける支度に忙しく、詳しく読まないまま記事のことは忘れていました。その夜、私どもの組合の先輩である自治労都本部委員長から電話があり、その新聞記事に関しての話題が出て、改めて朝刊を読み直す切っかけを得ました。

今後、私どもの市へも影響を受けそうな動きであり、貴重な情報を充分把握しないまま見過ごすところでした。先輩からの電話に感謝しながら今回、当ブログの題材として取り上げてみました。その記事によると町田市は、NPOが点検する必要性を判断し、点検によって示された評価は「来年度予算に反映」とも記されていました。

町田市は、市の事業が本当に必要かどうかについての評価を、政策提言をしているNPO「構想日本」(千代田区、加藤秀樹代表)に委託した。NPOの評価は、来年度の予算編成に反映させる。7月26日には、点検作業が市文化交流センターで公開される。同NPOに委託するのは都内の自治体では初の試み。石阪丈一市長が19日の定例記者会見で明らかにした。

今回の特徴は、市と利害関係がない第三者が評価すること。担当するのは、NPOが派遣する自治体職員や学識経験者ら20人。市内部や議会のチェックでは、「税金支出が法的に問題ないか」がポイントとなるが、今回は「必要性があるか」「必要なら、市で行うべきか、民間に任せられないか」「効率的に行われているか」といった視点で事業のあり方を考える。

石阪市長は「市内部の点検では、言いにくいことも、第三者機関なら、ズバリと言ってくれる利点がある」と導入の狙いを話す。評価の対象とするのは、負担額が大きい道路補修や街路樹整備、廃棄物処理、公園、図書館管理など34事業。評価者は、市担当者からの事業説明、質疑応答を通し、1事業30分程度で点検する。時間は午前9時から午後5時まで。

同NPOへの評価委託費は70万円。石阪市長は「2、3年に1回くらいのペースでやりたい」と話す。同NPOは2003年度から、横浜市や浜松市など約20市町で点検を実施している。財政的に苦しい自治体からの依頼が多く、不要事業の大幅見直しなど、厳しい提言で、自治体の財政再建を後押ししている。(2008年6月20日読売新聞)

以上が読売新聞に掲載されていた記事の全文です。委託先のNPO「構想日本」とは、「日本を生き生きした魅力ある国にしたい」という思いで政策を作り、その政策の実現するための活動を行っている非営利団体で、 1997年から活動しているそうです。詳しい活動内容や運営メンバーなどは、リンク先のホームページでご確認ください。

「構想日本」の活動理念などは高邁な雰囲気が感じ取れ、第三者機関から事業の客観的な評価を受ける町田市の姿勢も評価しなければなりません。ただ1事業30分程度でのヒアリングで判断されるとしたら問題であり、各事業の細かい背景や内容をどこまで熟知した上で一定の結論が示されるのか、非常に大事なポイントだろうと思っています。

例えば私どもの市では、市立図書館を指定管理者へ移行する計画があります。それに対して当ブログの記事を通し、様々な問題点を提起してきました。「図書館に管理者制度」「図書館に管理者制度 Part2」「図書館の役割と可能性」で訴えてきましたが、当該の図書館職員からすれば、もっともっと言いたいことがあるはずです。このように一つ一つの事業に対し、幅広い見方や評価があり得ることを常に意識しなければなりません。

また、日頃「運動」とは縁遠かった市民の皆さんが指定管理者の動きを心配し、「図書館を考える会」を立ち上げていました。この6月市議会へは「考える会」から「指定管理者導入に対する市の検討は不充分で、時間をかけて検討してほしい」と要望した陳情が出されていました。諮問機関の図書館協議会や運営に携わるボランティアらにも意見を聞いてほしいと記された陳情でした。

この陳情は文教委員会で採択された後、市議会最終日の本会議でも15対14の僅差で採択されました。今後、労使交渉の場でも徹底的な議論を重ねていく中、「慎重に検討すべき」との市議会の意思は、たいへん心強い追い風だと受けとめています。とにかく多様な声を踏まえ、多面的な検討を加えることは、市の事業の適切な方向性を判断する上で欠かせない手間ヒマだと思っています。

今後、NPOなど第三者機関が市の事業を評価する手法は、一気に広まっていくのかも知れません。しかしながら最終的な結論を導き出す過程は、市民の皆さんからの多様な声を吸い上げ、より慎重に検討していくことが肝要ではないでしょうか。一度、踏み出すと簡単に後戻りできないのが行政の習性であり、しみじみとそのように考えています。

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コメント

おはようございます。
実は、私の自治体も「構想日本」メンバーによる事業仕分け・事業評価を昨年度より行っています。
ヒアリング・協議の状況は公開で行われましたので、傍聴させていただきましたが、率直な感想は「どうなんだろう?・・・」ていうものでした。
確かに利害関係のない第三者の視点から評価を行うことは過去からの慣例やしがらみを排除することに有効でしょうが、わざわざ遠方からお招きして評価作業をお願いしなくても、本当に職員が公平・公正な視点から客観的に評価すれば内部でも十分可能なことと感じました。
自分たちの能力の無さ、意識の低さを問われているようで、あまりいい気はしませんね。(率直な感想)
しかし、過去の慣行や所管だけのエゴなど等、なかなか断ち切れないのも事実。
利用者、市民の視点からといっても、ニーズは多種多様ですし、難しい問題です。

投稿: shima | 2008年6月23日 (月) 08時27分

昨年、「事業仕分け」についての説明を組合主催で受けました。
私たちの地域では、まったくこのような話は起きていないのですが、神奈川県などではかなり具体的な話になっているように聞いております。実際にこの仕分け作業をした自治体も、それをするにあたっての方法も結構まちまちであり、21世紀に入ってからの取り組みのようですが、その間にいくつかの例を聞くことが出来ました。
組合側主催の学習会ですから、説明者も少しは意識した部分もあるようですが、事業仕分けは基本的に行政が必要であると思った事業についてしっかりと住民説明をする機会を設け、そして住民支持を取り付けるものであると認識しています。
これだけ、公務員批判及び行政に対しての信頼感が薄れている中で、行政としては何が必要なのか、それをしっかりと説明する場として仕分けの場はあるという感じの説明でした。
特に首長が自分の選挙公約であげていた部分の必要性を、この事業仕分けで行った場合「不必要」などとの意見も出ることがあり、最終的に行政の事業としてどのように展開すべきか、また、その必要性はあるのかなども含めての事業点検になるということです。やり方によっては、その自治体が本当にやりたいが、他の自治体ではやっていないといった事業についての強い裏づけにもなったりします。ようは利用の仕方次第といった説明でありました
構造改革特区や市場化テストなど、さまざまな動きがありますが、いかんせんこちらの地域では興味すらない、と思ってしまえるほど静かです。

投稿: ある市職労委員長 | 2008年6月23日 (月) 09時12分

事業仕分けについてはいろいろな評価があると思います。
私が強く感じたことは、本来、あるべき行政サービスの在り方というか、市民ニーズの捉え方、そしてそれらに対する対応の仕方が、担当者、担当職員の意識の違いによって大きく影響を受けることが、再認識させられたことです。
現課は必要として予算措置を行っても実際のニーズがどの程度のものかといった自己評価は皆無。慣例・慣行的に継続している事業は山ほどあります。
内部であっても担当課以外からみたら、「なんでそんなことにいまだに税金を投入しているの?」的な事業というのは、結構あることは事実です。
開始当時は、本当に必要で多くのニーズがあり、当然に議会のチェックも受けて始まった事業でも時代の移り変わり等で、すでにその役目は終息してもそこにはいろいろなしがらみ(既得権等)が定着して、やめるにあたっても大きな抵抗が起きる。
そのことを客観的に整理、説明して理解・了解を取り付けることより安易な継続でお茶を濁す「親方日の丸」的な体質は、現に否定できません。
行政ニーズは複雑多様化しているといわれますが、必ずしもそのすべてを行政サービスとして税金で措置する必要はないのに一番簡単な手法として、陳情や要請があるからと行政が直接手を出してしまう。
他人を動かすより自分が動いたほうが「簡単」というところに安易に答えを持っていこうとする、「できるだけトラブルは避けたい」という行政の弱さが大きく影響しているのでしょう。
「市民協働」という言葉が、よく使われますが、これも財政が苦しくなって、これ以上継続できなくなったような事業を切り捨てるために「錦の御旗」的に使われていることが、多くないでしょうか?
財政状況云々ではなく、本当にこれら事業は市民の手に委ねた方がサービスが充実向上し、費用対効果の期待できるのか。
私たち自治体職員が、それぞれの「エゴ」や「逃げ」からではなく、行政サービスのプロとして真剣に検討し、結論付けることが求められているのではないでしょうか。
とりとめのない話になりましたが、ご勘弁を・・・・。

投稿: shima | 2008年6月23日 (月) 20時09分

shimaさん、ある市職労委員長さん、コメントありがとうございます。

このような情報交換は、いつも貴重なことだと感謝しています。私も自分たちの事務事業の評価は、自分たちで適確に行ない、適切なスクラップ&ビルドを行なえることがベストだと思っています。委託費70万円の支出も不要となり、記事本文でも書きましたが、その事業を誰よりも熟知しているのは当該の職員であるはずだからです。

ぜひ、これからも同じ悩みなどを抱えるお二人からのコメントを楽しみにしています。よろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2008年6月23日 (月) 21時52分

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