新たな人事評価制度
珍しいパターンですが、最新記事「市の事業をNPOが点検」へのコメントは少なく、その前の記事「公務員賃金の決められ方」に多くのコメントが寄せられた1週間でした。やはり橋下知事と大阪府の組合との労使交渉が注目を集めた時期だったため、公務員の組合役員が運営しているブログへ一言物申したい方が少なくなかったようです。
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さて、昨日の土曜、自治労都本部組織集会に参加してきました。以前の記事「公共サービス基本法」でも取り上げましたが、今回も民主党「次の内閣」総務大臣の原口一博さんからお話を伺う機会を得ました。講演のタイトルはその時と同様でしたが、興味深い新たなエピソードが豊富に添えられ、よりいっそう熱のこもった原口さんの語りを聞かせていただきました。
その他、人事院勧告期に向けた取り組みの提起など、朝から夕方まで盛りだくさんな内容の集会でした。日々変化し、多岐にわたる情報や情勢を整理する上で、このような集会は貴重な機会となっています。今回の記事では、自治労本部労働局の方から報告を受けた公務員の新たな人事評価制度について掘り下げてみます。
先日閉じた第169回通常国会の終盤、国家公務員制度改革基本法が成立しました。中央省庁の人事管理の一元化が盛り込まれるなど、「省益」優先の縦割り行政や天下りの解消に向けた一歩を踏み出したとの評価もあります。一方で今後、官僚の巻き返しによって骨抜きにされる懸念が否めないとも言われています。
自治労本部役員の方からは、公務員に対する新たな人事評価制度の課題を中心に話していただきました。理念法の位置付けとなる国家公務員制度改革基本法の中では「能力及び実績に応じた処遇を徹底するとともに、仕事と生活の調和を図ることができる環境を整備し、及び男女共同参画社会の形成に資すること」と記されました。
この基本法に先がけ、昨年7月6日に公布された国家公務員法の一部改正で「能力及び実績に基づく人事管理」が明文化されていました。公布の日から2年以内の施行が定められているため、来年4月又は7月には施行される見通しです。同じ内容が盛り込まれた地方公務員法及び独立行政法人法の一部を改正する法律案は、昨年5月29日に閣議決定されていますが、現時点では国会での趣旨説明にも至っていないそうです。
焦点化されていた国家公務員の制度論議の区切りがついたため、次の臨時国会あたりで一気に成立する可能性が高まっています。そのような情勢を踏まえ、組織集会の中での重要なテーマの一つとなっていました。これまで「職員の給与は、その官職の職務と責任に応じてこれをなす」とし、公務員給与は職務給の原則を根本基準としていました。
成績主義の原則もありましたが、競争試験によって選抜されたことをもって能力は一律とみなされる仕組みだったと言えます。年齢や学歴区分等に応じた初任給格付けがあり、それ以降、長期間病気などで休まない限り、1年ごとに定期昇給できるのが基本でした。給料表は、部長、課長、係長などの職層に応じた等級に分かれ、昇任することによって支給される給与の額が枝分かれしていく仕組みでした。
つまり採用された後の個々人の能力の差は問わず、さらに係長としての職務はこの水準、課長はこの水準と定めた給料が支給されています。このような仕組みは「頑張っても頑張らなくても、同じ給料ならば楽をしよう」と考える職員が多く出そうな見方をされがちです。そのような職員は稀な存在だと思っていますが、頑張り方に対する個人差もあり、相対的な面から「働かない職員」が出てくるのも確かです。
いずれにしても今後の制度見直しでは、能力及び実績に基づく人事管理が徹底化されていくことになります。昇任にあたっては、職員の人事評価と能力の実証が求められます。また、日常的な職務の遂行にあたり、職員が発揮した能力や業績を評価し、昇給額や一時金の額に差がつけられていきます。1年間で1号給の昇給幅だった額が4分割された給料表への変更は、査定給制度の導入が前提であることは言うまでもありません。
地方公務員の制度変更までに少し時間があるかも知れませんが、このような大きな流れを拒むことは簡単ではありません。避けられない課題だとしたら、いかに公平公正な人事評価制度を確立できるかが重要なポイントだろうと考えています。公務における評価のあり方、最近目立ち始めた「脱成果主義の動き」などを充分検証し、組合としても人事当局へ率直な問題提起を行ない、ベターな人事制度をめざしていきます。
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