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2008年3月 2日 (日)

自治体財政健全化法

ブログの記事を作成するにあたって、一番労力を省けるのは他のサイトに掲げられた文章を貼り付ける場合です。その際は、必ず自分の文章との区分けを明確にし、その引用元を明らかにしなければなりません。また、あくまでも引用した文章は自分の記事の中での参考資料程度にとどめなくてはならず、雑誌や他人のブログなどの記事を全文掲載すると著作権法違反に問われかねません。

ちなみに当ブログは引用した文章をゴシック体(太字)としていますが、携帯電話からの閲覧は字体が一種類のみであるため、少し分かりづらくなっているようです。意外に思うかも知れませんが、労力がかかるのは前回記事(脱「構造改革」宣言)の中にあったような書籍の文章を紹介する場合です。引用した文章を勝手に改ざんすると著作権法に触れるため、テニヲハも間違わないよう本を見ながら一字一句を書き込むのは結構手間取る作業でした。

さて、金曜の夜、自治労都本部が主催した「自治体財政健全化法」の学習会に出席しました。一度じっくり勉強したいテーマの一つであり、直前に団体交渉が入って少し遅れましたが、あやふやな知識を整理できる貴重な機会となりました。講師は地方自治総合研究所菅原敏夫さんでした。菅原さんは東京自治研究センターの出身で、私どもの組合の学習会の講師としても何回かお招きしたことがある方です。

地方公共団体の財政の健全化に関する法律、つまり財政健全化法は昨年の6月15日に参議院本会議で可決成立し、6月22日に公布されています。健全化の指標となる実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率などは、各自治体の19年度決算の内容から適用されます。各比率の数字は自治体内の監査を経て、今年の9月頃の議会に報告され、広く公表されることになります。

各指標の算出式の分母は、すべて標準財政規模が基本となります。ちなみに標準財政規模とは、市税、地方交付税などの一般財源をベースにした標準的な財政規模を示す指標です。実質赤字比率の分子は、一般会計の実質赤字額となります。連結実質赤字比率は、国民健康保険や下水道事業などの特別会計の赤字も含んで計算されます。実質公債費比率は公債費の割合、将来負担比率は将来的に負担すべき債務の割合を示すものです。

将来負担すべき債務として、自治体職員全員が一斉に退職した場合の退職金総額も想定されるそうです。それぞれの指標ごとに基準が設けられ、早期健全化基準を超えると早期健全化団体となります。さらに悪化した財政再生基準を超えると従来の財政再建団体にあたる財政再生団体となります。一昨年、財政破綻した夕張市が財政再建団体の指定を受け、住民の皆さんが多大な負担を被っています。

19年度決算に基づく各指標の数字の公表は20年度から始まりますが、早期健全化団体の指定は20年度決算からの適用となります。つまり赤字が要注意ラインを超えた自治体は、21年度から財政健全化計画の策定が義務付けられます。どうも文字ばかりの説明では分かりづらいものと思います。鳥取県のホームページが図解入りで見やすく解説されていました。リンクをはりましたので、参考にしてください。

そもそも夕張市の破綻が公表される以前から地方分権改革の仕上げの制度として、再生型の破綻法制の議論が重ねられていたそうです。地方の累積債務の増大やその不透明さなどが問題視され、破綻する前段階で早期是正するための法整備の必要性が求められていました。この法律の施行に伴い、住民側が自治体財政を注視しやすくなり、監査委員会と議会の責任と役割が高まる機会となり得ます。

言うまでもなく自治体自身が財政規律を高め、否が応でもイエローカードが出されないような行財政改革を進めざるを得なくなります。確かに評価すべき点も多い法律だと思いますが、講師の菅原さんからはいくつか懸念点が示されました。財政再生団体となるレッドカードの基準につながらない指標ですが、菅原さんは将来負担比率の決め方の曖昧さを指摘しています。

また、自治体病院など公営企業に対し、資金不足比率の指標が新たに適用されることになりました。イエローカードでの健全化計画の策定は同じですが、レッドカードとなった場合、再建制度がない問題を菅原さんは指摘されています。つまり赤字の規模が一定の線を越えると今後、民間へ譲渡するか、廃止するか、たいへん厳しい選択肢しか残されていません。

そして、菅原さんが最も懸念されていたのは、各基準すべての分母となる標準財政規模が地方交付税の多寡で大きく左右される点でした。その地方交付税は総務省が所管しているため、地方分権の流れに逆行し、ますます国の関与が強まる問題点を訴えられていました。地方交付税が減額されると標準財政規模が小さくなり、赤字の規模が変わらなくても実質赤字比率などの数字は上昇することになります。

国の胸三寸で、恣意的に自治体を健全化又は再生団体に陥れることもできてしまいます。そのような理不尽なことはないものと信じたいところですが、在日米軍再編に伴う岩国基地への空母艦載機部隊移転問題での露骨な「アメとムチ」を見過ごせません。反対を貫いていた井原前市長の時には市庁舎建設補助金35億円をカットするなど、なりふり構わず不当な圧力を加えていました。

いずれにしても財政健全化法は、人件費の削減や公共サービスのアウトソーシングをいっそう加速させる大きな動機付けとなっていくはずです。この制度の趣旨を全否定する立場ではありませんが、前々回記事「公共サービス基本法」などで問題提起してきた視点も大切にしながら適切な自治体のあり方を改めて模索していこうと考えています。

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コメント

私が最初に目にしたのは、平成18年1月12日の「第1回 地方分権21世紀ビジョン懇談会」の議事録だったように記憶しています。それ以前の論議は知りませんが、表に出てきたのはこれが最初だったと思います。

第1回 地方分権21世紀ビジョン懇談会」

http://www.soumu.go.jp/menu_03/shingi_kenkyu/kenkyu/pdf/060112_1_03.pdf

当時は「破産法制」もしくは「破綻法制」と言っていましたので、その危険に何時も晒されている自治体に住んでいることもあった、なんとなく興味があって毎回議事録には目を通していました。

だけど、「財政健全化計画の策定」にどのくらい国が介入してくるのかよく判らないし、確かに「将来負担率」の算出の仕方もよく解りませんね。これまで納得のいく説明を聞いたことがありません・・・でも、新手の「隠れ借金」の手口もすぐに開発されると思います^^

投稿: ニン麻呂 | 2008年3月 4日 (火) 01時04分

ニン麻呂さん、おはようございます。コメントありがとうございました。
私が参加した学習会の中でも、ご指摘のとおり議論の開始は2006年1月12日の地方分権21世紀ビジョン懇談会からだと伺いました。以前からこの問題について熟知されていたニン麻呂さんと比べ、付け焼刃な知識での記事投稿に少々気恥ずかしさも感じています。
とにかくこの法律が自治体のため、住民のためのものになることを願っています。国からの自治体統制の強化につながらないことを切に願っているところです。

投稿: OTSU | 2008年3月 4日 (火) 07時19分

私は、OTSUさんが懸念されるように、この法律が結果的に自治体のため、住民のためのものになるかどうかは別にして、国からの自治体統制の強化につながると予測しています。

「自治体財政健全化法」というのは多くの地方自治体にとってこれからかなり重要な意味を持つと思います。もう少しこれについて様々な立場の方からのコメントがあると期待していたのですが・・・・・

投稿: ニン麻呂 | 2008年3月 7日 (金) 09時52分

ニン麻呂さん、コメントありがとうございました。
アクセス件数に大きな変動はありませんので、やはりコメントしやすいテーマとそうでないものと分かれるようです。財政健全化法は地味な部類であることは確かでした。
今後の自治体統制の強化は私もその通りだと思っています。国も深刻な財政状況の中、自治体の面倒を見れないとの発想からスタートしている法律だとも感じています。それでも自治体が財政破綻した場合、住民の皆さんへ多大な負担をかけてしまいます。この法律がその一歩手前で自治体財政を立ち直らせる切っかけにつながれば、住民のための法改正だったと評価できるものと考えています。
本当にそのような趣旨が前面に出ていくのならばの話ですが…?

投稿: OTSU | 2008年3月 7日 (金) 21時05分

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