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2008年1月26日 (土)

千円札の重み

滞納整理事務の手引書の中に慫慂という用語が出てきます。初めから「しょうよう」と平仮名で書かれています。要するに税金を納めていただくよう働きかける意味です。催告や差押などの言葉は職場内で頻繁に飛び交いますが、「今日は慫慂に頑張った」と話す職員はいません。研修の時、たまに講師が使う程度の業界用語でした。

その慫慂のため、滞納者の自宅へ電話をかけたり、直接訪ねていく仕事が私たち徴税吏員の役割です。納期が過ぎていることを忘れている住民の方も多く、まずは直接接触を持つことが収納率向上の第一歩となります。ちなみに粘り強く催告や交渉を重ねながらも自主納付に至らなかった場合、預金口座の差押などの滞納処分を執行することになります。

異動して間もない頃、年配の滞納者の自宅へ電話催告を行ないました。納期が過ぎている税金の額は千円でした。「お忘れでは」と尋ねたところ「分かってますが、年金が支給されてから」との答えをいただきました。自分自身の浅はかさを恥じ、年金で生計を支えている人たちが、いかに千円を切り詰めながら暮らしているのか垣間見た瞬間でした。

1期あたりの住民税の額が千円だとすれば、手にする年金の支給額も多くないことを想像すべきでした。家計への収入が年金だけの人たちにとっての千円札の重みを痛感し、思慮不足の自分を厳しく反省する貴重な機会となりました。前回記事「もう少し税金の話」で記しましたが、老年者控除の廃止に伴い、年金に課税される人たちが大幅に増えました。

その人たちは18年度から非課税だった税金を納めるようになり、さらに19年度、定率減税廃止のタイミングとも重なったため、前年度より税額が格段に増えています。それでも19年度までは老年者非課税措置廃止に伴う経過措置期間でした。したがって、20年度から減額措置がなくなり、またしても実質的な増税を強いられることになります。

そして、今年4月から後期高齢者医療制度が始まります。75歳以上の後期高齢者のみを対象とした医療制度です。これまで家族に扶養されていた人は保険料の負担がありませんでした。新たな制度では加入者全員が保険料を負担することになり、原則として年金から天引されます。その保険料の額は、制度の運営主体となる都道府県単位に設けられた広域連合が決めることになります。

当初、厚生労働省は1人あたりの年間平均保険料を77,400円と試算していました。しかし、東京都の広域連合は約102,000円、大阪では101,449円との試算結果が示されています。なお、急激な負担増を緩和するため、4月から9月まで保険料を免除し、10月から来年3月まで9割減額することが制度発足直前に決まったようです。

この制度に対する批判の声が強まっていたためですが、75歳以上の人たちに保険料を負担させる制度の基本姿勢が変わった訳ではありません。千円札どころか1円の重みを実感されている年金生活者の皆さんが少なくないはずです。そのような人たちに対しても情け容赦なく、これからも年々、税金や保険料の負担が増えていきます。

介護保険制度も同様ですが、真正面から税金を高くすることができないため、迂回した負担増の側面が後期高齢者医療制度にもあります。少子高齢社会を迎え、何か手を打たなければならない切迫した局面であることも確かです。しかしながら制度の継ぎはぎ的な広げ方は、行政コストの肥大化を招きかねません。

また、年金保険料や道路特定財源につきまとう問題ですが、「本来の目的から外れた使い方が多い」との批判を受けています。職員の福利厚生や官舎に要する経費などが象徴的に取り上げられがちです。それらは普通に考えるならば、一般財源から賄うべき性格の類いであることは間違いありません。

それにもかかわらず、いろいろな理屈を付けて保険料やガソリン税の一部が一般財源の肩代わりを担わされてきました。一般財源そのものが厳しい財政状況となり、ますます特定財源への依存度が高まっている現状です。このような手法は国民からの不信を招き、決して好ましいものではありません。加えて、その省庁で働く職員までも肩身が狭くなるような見られ方に対し、少なからず切なさを感じています。

いつものことながら話が広がり、論点も拡散しがちです。もともと「雑談放談」のブログですので、ご容赦ください。いずれにしても今後、税金や保険料の負担が増えていく人たちへ慫慂する際、千円札の重みを受けとめながら丁寧な接し方に努めていくつもりです。

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2008年1月20日 (日)

もう少し税金の話

このブログのカテゴリーは「日記・コラム・つぶやき」としています。始めた頃は主張したい内容が山積し、ブログの面白さにもはまったため、ほぼ毎日更新していました。それが週2、3回となり、一昨年の夏頃から日記と言うよりも「週記」と呼ぶペースとなっていました。組合活動を身近に感じてもらうこともブログを開設した目的の一つとしていますので、日記に近かった当時は様々なイベントの報告記事も多数綴ってきました。

インターネット上で発信できるブログは、紙ベースの組合ニュースとは比較できない速報性を活用できます。例えば2年前、組合主催の「新春旗びらき」を報告した記事があります。多少(?)酔って帰宅したにもかかわらず、その夜のうちに新規記事として投稿しました。翌朝、いつも当ブログを注目くださっている方から、その素早さに感心していただいたことがありました。ちなみに取り組みの趣旨や内容の大半は、事前に書き込んでいたことを正直に明かした話も思い出しています。

恒例行事である「新春旗びらき」が先週水曜夜に開かれ、金曜には休暇を取って昼から退職者会の新年会に参加し、夜には連合三多摩の「新春の集い」に顔を出していました。火曜と木曜の夜には収納担当全員が残り、一斉に電話催告を行なっています。さらに早く帰れば帰れるのにプラスαの懇親にも努めてしまう行動パターンは相変わらずでした。さすがに昨日の土曜は疲れ切って、頭の中に霞がかかった一日となっていました。

さて、前回の記事は「収納現場から見た税源移譲」でした。納税課の現役職員ですが、税金全体の知識を網羅したエキスパートではありません。少しでも多くの知識を身につけたいと思っていますが、幅広い税目があり、常に法改正が続いている中、道のりは険しく遠いものと痛感しています。それでも自分自身の勉強の意味合いをこめ、今回も税金に関する話題を当ブログで取り上げさせていただきます。

特に最近、ガソリン税の暫定税率の問題が焦点化されています。与野党が正面から対決する案件となり、連日マスコミが大きく扱っています。現在、1リットルあたりのガソリン代には国税である揮発油税48.6円と地方道路税5.2円が含まれ、その税金に対して消費税までかかっています。1974年に道路整備を急ぐ政策的な目的から税率を上乗せし、これまで5年ごとに延長を重ねてきました。

租税特別措置を続けるための税制改正関連法案が3月末までに成立しない場合、揮発油税24.3円と地方道路税0.8円の上乗せ分が認められず、ガソリン代1リットルあたり25.1円安くなる計算です。消費税も含めれば約26円の値下げとなります。その他の道路特定財源の中で、自動車取得税、自動車重量税、軽油引取税が同じように暫定税率のまま現在に至っています。

今回、参議院の勢力が与野党逆転していたため、このように注目を浴びることになりました。大事な問題に対して国民の関心が高まった意味で、「ネジレ国会」の意義深さがあるのではないでしょうか。国会の場で、民主党はガソリン代の高騰に苦しむ国民の切実な声を追い風とし、ガソリン値下げ隊などを結成して暫定税率の撤廃を求めています。

一方、政府与党は参議院の構図が長期にわたることを見込み、今まで5年ごとの見直しだった暫定税率を今回は10年間維持する法案の成立をめざしています。また、ガソリン税の暫定税率廃止に伴い約2兆円の税収減を試算し、必要な道路建設や整備が滞るなどのマイナス面を強調しています。

さらに租税特措法改正案は中小企業向けの優遇措置なども含まれたものであり、期限切れを迎えた場合、道路だけではない幅広い国民生活への影響が出ることも訴えています。加えて自動車取得税と軽油引取税は地方税であるため、各自治体(都道府県)の財政に約9千億円の穴があくことも声高に宣伝しています。

町村官房長官は「地球温暖化対策でエネルギー価格は環境税を課してでも上げなければならないと世界中で言っている最中に、これを下げるという選択が国際的に認められるのか」と述べ、環境対策の観点からも税率維持に固執する姿勢を示しています。分からない理屈ではありませんが、ここまで抵抗する自民党の必死さには疑問符を付けざるを得ません。

車を利用する圧倒多数の人たちは、ガソリン代が安いのに越したことはありません。その思いを政党は軽視すべきではないものと思いますが、値下げかどうかだけの「木を見せて森を見せない政治」とならないように願っています。当然、廃止に伴う財源の問題は深刻です。しかしながら重要な論点は、暫定税率が34年も続いていることや、目的税の使途が拡大解釈されて既得権的な財源となっていることです。

後者は道路特定財源そのものの問題でもあり、この機会に税制全体を通した論議を深める必要性も感じています。そもそも小渕元首相が「恒久的減税」と称した定率減税は、8年足らずで今年度から廃止されました。2005年からは65歳以上の公的年金等控除が縮小され、50万円の老年者控除が廃止されました。

その結果、税金の支払い義務の発生した年金受給者が急増し、同時に所得税が年金から源泉徴収されるようになりました。なお、住民税は普通徴収となるため、その不満の声を数多くの年配の皆さんから直接耳にしてきました。市に訴えられても仕方のない話ですが、少しでも不満のハケ口になれればと思いながら休日訪問した時など、じっくりお話を伺ってきました。

国も自治体も財政が厳しい状況です。少子高齢社会に突入し、社会保障費の問題などが山積しています。その中で、どうも税金は取りやすいところ、あまり目立たないところの制度改正で、急場をしのいでいるように見えます。国政の場で消費税の引き上げ論議がタブー視されている点は、決して好ましい状態ではないものと思っています。

言われるまでもなく、その議論を本格化させる前提として、私たち地方公務員も率先し、既存の行政のあり方を見直していく姿勢が重要であるものと考えています。そして、言うまでもなく、政治家が国民から信頼される政治を築くことが最も重要であるはずです。ぜひ、民主党に対しては党利党略と見られることのない国民本位の政治への転換を切望しています。

かなり昔ですが、オランダに長年暮らしている方と会話を交わす機会がありました。「高い税金に不満はありませんか?」との私の問いかけに対し、「たいへんだけれど、確実に私たちの福祉に使われるという信頼感がありますから…」との言葉が心に強く刻まれています。

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2008年1月13日 (日)

収納現場から見た税源移譲

ブログを続けていて良かったことの一つとして、不確かな知識や情報を整理する機会となっている点です。やはりインターネット上に文章を残すためには、たとえ個人的なサイトであっても偽った内容の記述は避けなければなりません。したがって、今回のタイトルのような記事を書き込む場合も、いろいろな資料に改めて目を通しています。

それでも思い違いやケアレスミスも時々あり、その誤りをコメント欄でご指摘いただいたことが何回かありました。このように誤った情報が適宜訂正できるのもブログの良さだと思っています。また、発信者と読み手側との相互交流できる機能があるからこそ、投稿した記事の内容に予想外の広がりや厚みを加えていける趣深さがあります。

さて、昨年4月に納税課へ人事異動しました。必然的に税金に関するニュースが気になり始めていました。特に最近、税金の徴収に苦労している自治体の実情を取り上げた報道がよく目に入っていました。自分自身の関心の度合いが高まったからだけではなく、実際に新聞やテレビで扱う数が以前より増えているようです。

異動した後、このブログで「ふるさと納税と三位一体改革」という記事を綴り、住民税の大幅負担増による滞納者が増える懸念を表しました。残念ながらその通りの状況となり、昨年末にはNHKのクローズアップ現代で「“税金”滞納2兆円~苦悩する地方自治体~」と題した次のような内容の番組が放送されました。

福祉や教育、ゴミ処理や公営住宅の運営…。地域に根ざした行政サービスの財源である地方税の滞納が慢性化し、今、全国各地の自治体の頭を悩ませている。その額、およそ2兆円。滞納の背景には、地方経済の疲弊による貧困の拡大やバブルの後遺症、そしてモラルの崩壊などがあるという。

方、税金のことはこれまで国任せにしてきた多くの地方自治体もノウハウや経験不足から徴収が思うように進んでいない。また、「三位一体の改革」により“税源移譲”が行われ、地方税の割合が増えたことも追い打ちをかけている。そうした中、藁にもすがる思いで民間ノウハウを導入する自治体まで現れた。“税金”滞納2兆円をめぐり、今、地方で何が起きているのか。その現状と対策最前線の動きを伝える。(2007年12月20日放送)

三位一体改革による税源移譲と定率減税廃止が重なった結果、人によっては住民税の負担が何倍にも増えています。その増えた分と国税である所得税の減額分は同じとなる制度変更ですが、減税措置の廃止に伴い所得税の負担軽減の実感が打ち消されていました。そのため、昨年6月以降に受けた「なぜ、こんなに住民税が上がったのか」という質問は数え切れない多さです。

所得税は源泉徴収されていても、住民税は給料から天引されない普通徴収となる場合が少なくありません。地方税法で給与所得は特別徴収するものと定められています。しかし、従業員が少ないなどの事情から普通徴収を認め、各事業所に対して必ずしも特別徴収を100%義務付けていません。

住民税が年間24万円だった場合、特別徴収は12分割の月2万円となります。普通徴収は基本的に納期が年4回となり、1期ごとに6万円を納めなくてはなりません。このように普通徴収は現金で納付する重さなどが加わり、特別徴収に比べて滞納者の数が飛躍的に増える傾向です。

さらに所得税はその時点の収入に対しての課税です。一方、住民税は前年1月から12月までの所得に対し、翌年6月に納税通知書が発布されます。自営業の方などで収入に大きな変動があり、減収となった翌年、その1年の時間差は非常に厳しい負担感を生じさせがちです。収入の額より税金が多く取れられることはあり得ないのですが、翌年課税される住民税を意識せず、使い切ってしまうと本当にたいへんなことになります。

以上のように住民税は、所得税に比べて集めにくい仕組みとなっています。もう一つ、決して「国任せ」にしてきた訳ではありませんが、確かにノウハウや経験は国より自治体の方が圧倒的に不足しています。国税庁という専門組織を持つ国に比べ、5年程度で異動する事務系職員が徴税吏員となる区市町村との間では、マンパワーや組織力の差は歴然としています。

また、クローズアップ現代で映し出された話として、小さな町や村では滞納者と職員が顔見知りであるため、強制執行となる差押処分などがためらいがちになる実態もあるそうです。いずれにしても滞納者の増加は自治体の歳入減に直結します。もともと厳しい財政状況の中、大半の自治体が住民税の収納率低下に悲鳴を上げています。

そもそも三位一体改革によって、地方交付税5兆円減、補助金や交付金4兆円減に対し、税源移譲は3兆円にとどまっています。自治体側から見れば、結局のところ三位一体改革は国の財政負担の軽減化が主目的だったと言わざるを得ません。その希少な3兆円そのものも収納率を落とし、大きく目減りさせる事態は絶対避けなければなりません。

マスコミ報道で、収納課の新設や差押品のネットオークションへの挑戦など、各自治体が様々な工夫や努力を重ねている姿も知り得ています。制度や条件の厳しさなどを四の五の言うよりも、私たち収納現場の職員は与えられた職務に全力を注いでいます。収納率の向上が自治体財政へ寄与することはもちろん、圧倒多数である納税者との公平公正さが高まる大切さを受けとめ、日々の業務に向かっています。

昨年の同時期に比べ、収納率が落ち気味であることは私どもの市も例外ではありません。したがって、昨年より早い時期から組織としての集中的な対策を立てつつあります。その中で、一本でも多く電話をかけ、一軒でも多く訪問するように努め、とにかく一人でも多くの方との接触をはかっていこうと考えています。

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2008年1月 6日 (日)

公務員の勤務時間短縮へ

お正月とは、いつまでを指すのでしょうか。ウィキペディアなどで調べてみると「正月」そのものが本来1月の別名で、一般的には1月1日から1月3日までの「三が日」を指したり、松飾りのある「松の内」を指すことが多いと書かれていました。「松の内」自体、元々は元旦から15日までだったものが、現在は7日までを呼ぶことが多くなっているそうです。また、1月20日を骨正月と呼ぶ地域(主に西日本)もあり、改めて期間の定義の幅広さがよく分かりました。

多くの方は年末年始休暇が明ければ、お正月気分も終わりだと思うのかも知れません。あるいは年賀状をやり取りしている間は、お正月が続いている気持ちになり得るのかも知れません。その場合、遅くとも年賀ハガキは、お年玉抽選日の15日頃までに出すのが目安でした。ちなみに今年の抽選日は例年より半月近く遅い1月27日です。郵政民営化の初年度であり、1枚でも多く年賀ハガキを販売するための変更なのでしょうか。

記事タイトルと異なる前置きが長くなるのは当ブログの習性であり、ご容赦ください。実は今回、記事の更新は来週に見送り、年賀状バージョンと称した「2008年、転換の年へ」をもう1週間トップページに掲げて置こうか少し迷いました。休日に比べて閲覧者数の多い平日が金曜1日だけだったこともあり、決して手を抜こうと考えた訳ではありません(笑)。

そのため、お正月の期間について参考までに調べてみました。その期間のとらえ方は様々であることも分かりましたが、やはり年賀状バージョンのトップページは7日頃までが適当だろうと思い返したところでした。ちょうど大晦日の朝刊に載った新聞記事を気に留めていましたので、その内容を中心に書き進めることにしました。

人事院は2009年から、国家公務員の1日の勤務時間を8時間から7時間45分に短縮する方針を固めた。民間企業の労働時間が短くなっているのに合わせた対応で、8時間労働を定めた「一般職職員勤務時間休暇法」の改正を来年夏の人事院勧告に盛り込む。国家公務員の時短は、完全週休2日制を導入した1992年以来となる。

民間企業の労働時間は労働基準法で「1週間40時間、1日8時間を超えて労働させてはならない」と定められている。だが、各企業が就業規則などで定める所定労働時間は、週休2日制の浸透などで時短の機運が広がったことで、この法定労働時間より短くなっている。人事院の04~07年の調査では、各年とも1日平均7時間45分程度だった。人事院は08年にも改めて調査したうえで勧告する予定だが、時短の傾向は変わらないと見ている。(読売新聞2007年12月31日)

この記事を目にして、公務員にとって久しぶりの朗報だと思った方は多いのではないでしょうか。当ブログのバックナンバー「休息時間の廃止」で記しましたが、公務員固有の制度だった休息時間の見直しが進んでいました。その結果、思いがけないところへ大きな影響を与えていました。

それまで休憩時間45分に休息時間15分を合わせ、昼休みを60分としていた役所が多くありました。休息時間の廃止によって昼休みが45分となり、役所の職員が外へ出て昼食をとる機会が激減し、周辺の商店街の売り上げに深刻な影響を与えていました。次のような新聞報道があるほどでした。

かつて当たり前のようにあった公務員の有給休息時間が廃止され、街の飲食店が悲鳴を上げている。多くの自治体職員の昼休みが短縮され、外で昼食をとる職員が減ったためだ。岩手県は今年7月、昼休みを45分から1時間に戻し、終業時間を15分遅くした。青森県でも地元商店街の要請を受け、昨年6月に改正したばかりの条例の再改正を念頭に、昼休みの実態調査に乗り出した。(産経新聞2007年10月29日)

したがって、今回の人事院の調査結果は、周辺の商店街の皆さんにとっても歓迎すべきニュースだろうと思います。ただ規模の小さい企業ほど労働時間の長い傾向があり、公務員の時短を進めれば、こうした企業との「格差」が生じかねないと読売新聞の記事には書き加えられていました。さらに公務員の労働時間短縮に対し、実質的な時間当たりの給与引き上げになるとの批判が出る可能性もあると書かれ、その記事は結ばれていました。

中立的な機関である人事院の客観的な調査結果に対し、どうも読売新聞は異論を唱えているように感じました。公務員の処遇が突出していては当然問題です。ここ数年、その問題意識を踏まえ、各自治体で数多くの見直しがはかられてきました。それに対し、見直しのテンポの遅さなどを批判される場合があり、もっともっと公務員の労働条件を切り下げるべきとの声も時折り聞こえてきます。

しかし、民間比較との結果が平均以下だった場合、それはそれで問題だろうと思っています。以前、社会的な週休2日制の実現に向けて公務員側が先行し、全体的な底上げをはかるための役割を担いました。とりまく情勢が変わっている今、そのような話を簡単に強調できないこともわきまえているつもりです。それでも公正な労働基準を社会的に維持していくためにも、公務員の労働条件が一つの目安として認知されていくことも大事だろうと考えています。

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2008年1月 1日 (火)

2008年、転換の年へ

あけましておめでとうございます。Nezumi_4 

今年もよろしくお願いします。 

年賀状バージョンの記事は今年で3回目となります。2005年8月に「公務員のためいき」を開設してから217タイトル目となりますが、いつも文字ばかりの地味なレイアウトのブログをお届けしています。せめてお正月ぐらいはイラストなどを入れ、少しだけカラフルになるように努めています。

昨年の元旦に投稿した記事の冒頭で、アクセスの累計は12万件超と書いていました。今年は現時点で30万件近くまでアクセス数が伸びています。更新が週1回にもかかわらず昨年1年間で、それ以前1年半の総数を大きく上回ったことになります。社会保険庁をめぐる論議が白熱していた時期、千件を超える日が増え、過去最高の1302件を記録した日もありました。

ココログのアクセス数はページビューであり、訪問された方が過去の記事を複数ご覧いただくとその分だけ件数は増えます。トップページのみで帰られる方が大半ですので、平均すると訪問者の数はアクセス数の半分ぐらいになります。なお、携帯電話から閲覧されている方も多いはずですが、その数はカウントされない機能となっているようです。

あくまでもアクセス数は目安であり、あまり意識しすぎるのも問題ですが、ブログを続けていく上での一つの励みになっていることも確かです。また、インターネット上に公開している限り、一人でも多くの方に訪れていただき、一つでも多くの記事をご覧いただきたいと願う気持ちは各サイトの管理人に共通するものだろうと思っています。

さらにプロフィール欄などで記していますが、公務員に対する厳しい声を謙虚に受けとめながらも主張すべきことは主張する目的を掲げてきました。個人の責任による運営ですが、自治労に所属している市職員労働組合委員長の立場を常に意識しながら投稿を重ねています。開設に至った経緯などは過去の記事「秋、あれから2か月」で綴っていました。

したがって、このブログが多くの方々の目に触れ、率直な議論を交わせることは実際の組合運動を補うための工夫の一つだと考えています。そのため、日常活動の中でも機会を見つけながら組合員の皆さんや知り合いの方々へ当ブログの宣伝を行なってきました。今回も元旦に届く組合機関紙の「年頭にあたり」の追伸として、さり気なく(?)触れさせていただきました。

このような思いを持ち続けている中、昨年末、ぎょうせい出版社の記者から取材を受けました。月刊ガバナンス1月号の連載「自治」サイト探訪で、このブログを取り上げていただきました。他のサイトでの紹介は数多くありましたが、雑誌に紹介されるのは初めての経験でした。それも自治体向けの有名な情報誌へ好意的に掲載いただき、たいへん光栄なことであり、献本の他に自費でも購入しながら周りにPRしています。

その記者の方が特に注目くださったのは、コメント欄での意見交換の中味でした。いつも多くの方から貴重なご意見をいただき、記事本文の拙さが補強され、このブログが厚みを増していくものと思っています。自分自身の考え方が簡単に変わるものではありませんが、多様な視点や立場からのコメントに接することができ、本当に意義深い機会となっています。

さて、今年の十二支はネズミです。真っ先に思い浮かんだのは「大山鳴動してネズミ一匹」でした。不気味な地鳴りがして、大きな山が激しく揺れ動いたので、どんな恐ろしい生き物が現れるのかと思っていたら、出てきたのはネズミ一匹。つまり大げさに騒いだわりに、たいしたことのない結果に終わる意味で使われます。

2008年を象徴する言葉としては不適切な気がしています。「大山鳴動」の始まりを昨年7月の参議院選挙と見立てた場合、今年中に行なわれるはずの総選挙が「ネズミ一匹」では不本意な話です。同様に「窮鼠猫をかむ」も自民党の巻き返しを連想させ、政権交代へ向けたポジティブな引用となり得ません。

十二支にこだわって考えていた時、子、丑、寅…、ネズミは12年間の先頭に数えられる年であることを思い出しました。バブルが崩壊した以降、閉塞感がただよっていた日本経済。小泉元首相の登場により、新自由主義的な構造改革が進められ、深刻な格差社会への突入。戦後レジームからの脱却を唱え、数の力で重要法案の強行採決を続けた安倍内閣の一年。昨年までの12年間、様々な問題をはらんだ年月だったと見ています。

2008年、新たな一回りの最初の年として、様々な課題が好転する転換の年となるよう願いを込めました。とりわけ組合役員の立場からは、「均等待遇」原則のもとに勤労者すべてが報われる社会へ、また、改めて公共サービスのあり方を見直しながら短絡的な「官から民へ」の流れが転換される年となるよう職場や地域で精一杯努力していきます。

新年早々、このような「雑談」的なブログにお付き合いいただき、たいへん恐縮です。先ほども述べたとおりブログの長所は相互交流がはかれる点だと考えています。ぜひ、これからも多くの皆さんのご訪問と合わせ、貴重なコメントをお寄せいただけることを心待ちしています。その際、意見交換をスムースに行なうため、名前欄にハンドルネームだけはご記入ください。また、多様な意見を認め合った真摯な議論へのご理解ご協力をよろしくお願いします。

        ☆新春特別付録☆ 「2007年ブログ記事回想記」 

2回続けると恒例となりますが、今回も2007年に投稿した記事をインデックス代わりに10点ほど並べてみました。改めて皆さんへ紹介したい内容を中心に選び、いわゆる「ベスト10」ではありません。したがって、10点の並びも投稿日順となっています。それぞれ紹介した記事本文へのリンクをはってありますので、のんびりご覧いただければ幸です。

  1. 2007年、しなやかに猪突猛進 ⇒ 今回と同じ年賀状バージョンで、イノシシ年の年頭の思いを綴りました。やはり特別付録として「2006年ブログ記事回想記」も掲げました。
  2. 八代尚宏教授の発言 ⇒ 「正規と非正規雇用の待遇を双方からすり寄せるべき」などとの八代教授の問題提起に対し、Part2までかけて自問自答した記事内容でした。
  3. 労働ダンピング ⇒ 「商品ではない人間のための新しい労働システムを」と訴える弁護士の中野麻美さんの著書と講演をもとにまとめた記事でした。
  4. ふるさと納税と三位一体改革 ⇒ 昨年4月に納税課へ異動し、必然的に税金への関心が高まっていました。そのため、税に関する旬な話題を取り上げました。
  5. 「民間」刑務所がオープン ⇒ 山口県美祢市に完成した全国初のPFI刑務所を取り上げました。その後、現在まで「民間刑務所」という検索ワードは、Googleなどの検索エンジンで当ブログを上位に押し上げています。
  6. 5千万件の年金記録漏れ ⇒ この記事から1か月ほど社会保険庁の問題をめぐり、コメント欄で白熱した議論が続きました。一つの記事に85件ものコメントが寄せられるなど、今回の記事本文で記したとおりアクセス件数も急増した時期でした。
  7. 自治労の思い、あいはらくみこさんへ ⇒ コメント欄が「炎上」気味となり、心配くださる方も増えていました。ブログを休もうと思えば、いつでも休むことができるものと判断し、原点に戻るための「転換」の機会とした新規記事でした。
  8. 逆風を謙虚に受けとめながら200回 ⇒ 200タイトルという節目を記念し、このブログの位置付けや託している思いを改めて訴えさせていただきました。
  9. もう少し政治の話 ⇒ 「大連立」騒動への所感を述べた直前の記事の補足的な内容を綴りました。なぜ、組合が民主党を応援しているのか、端的に書き込んでいます。
  10. 平和憲法と防衛利権問題 ⇒ 防衛省の守屋前次官逮捕を受け、平和憲法に照らした防衛のあり方を問題提起させていただきました。Part2も投稿しましたが、コメント欄で「無防備地区」宣言の問題などで熱い議論が交わされました。 

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