UFO論議から思うこと
朝起きてパソコンを立ち上げ、出勤の支度をしながらメールなどのチェックを行なっています。このブログへコメントが寄せられている場合、なるべく朝のうちにお答えするようにしています。夜、遅い時間にコメントを投稿される方が多く、素早いレスのためには朝の時間が最適です。
特に12月は忘年会などで酔って帰る日が多く、そのタイミングで書き込まないと間隔を開けすぎてしまう心配がありました。それでも前々回記事「平和憲法と防衛利権問題 Part2」へ寄せられたKEIさんのようなコメントに対しては、とても短い時間では答え切れない難しいものもあります。そのような時、返答が遅くなることをご容赦ください。
さて最近、UFO(未確認飛行物体)の話題が新聞紙面に踊っています。それも永田町など政治家の発言が面白おかしく伝えられています。もともとは民主党の山根隆治参院議員が「UFOの情報収集と確認作業は喫緊の課題」とした質問主意書を提出し、その答弁を閣議決定したのが発端でした。
「これまで存在を確認していない」と答弁書の内容を決めたようですが、その後の記者会見で町村官房長官が「個人的には、UFOは絶対いると思っている」と述べたことにより、閣内不一致などと新聞の笑いを取る見出しになっていました。それからもマスコミの記者はUFOの存在について福田首相や渡海文部科学相らをはじめ、手当たりしだい尋ねまくっているようでした。
問われれば答えるのが大人の対応であり、私見を述べている政治家を責められません。しかし、石破防衛相が真面目な顔で「ゴジラやモスラがやってきたら災害派遣だが、UFO襲来だとどうか」と記者会見で述べ、自衛隊によるUFO対処のあり方を問題提起したニュースに接した時は、さすがにあきれ果てました。
石破防衛相は「UFOは外国というカテゴリーに入らないので領空侵犯とするのは難しい。攻撃してくれば、防衛出動になるが、仲良くしようと言ってきたら我が国への武力攻撃にならない」との見方を披露し、「(UFOが)存在しないと断定する根拠がない以上、私自身どうなるか考えたい」と語ったそうです。
いみじくも軍事オタクと呼ばれている石破防衛相らしい記者会見だった模様です。テレビに映った表情は真剣そのものでしたが、記者に対して笑いを取るためのジョークだったのでしょうか。それでも今回のような報道がされれば、薬害C型肝炎訴訟など国民の生死に直面した問題が取り沙汰されている中、KY(空気が読めない)な閣僚だと言わざるを得ません。
さすがに自民党内からも閣僚のUFO論議に対し、苦言を呈する声が出始めていました。二階総務会長は「いい加減にした方がいい。政治には(他に)対応しなければいけないことがたくさんある」と述べたようで、まったくその通りだと思っています。この感覚が国民の多数を占めているのではないでしょうか。
論議に火をつけた山根参院議員も予想外の話題の広がりに戸惑い、ご自身のホームページで「UFO問題ばかり取り組んでいるような印象をもたれ易いが、必ずしもそうではない。あくまでも国民の暮らしに重点を置いた活動をしていることを敢えてこの際この場で付言させて頂きたい」と釈明されていました。
KYと言えば、舛添厚生労働相が薬害肝炎訴訟の和解協議に際し、「これが政治決断の案だ。ベストを尽くした」と胸を張っていた姿勢も五十歩百歩です。舛添厚労相は原告団に対して「みんなを救う」と明言し、大きな期待感を持たせていたようです。しかしながら結果は「命に線引きしないでほしい」という原告団の願いをくみ取れない修正案であり、和解交渉は決裂しました。
「閣僚の職を賭す覚悟で調整した」という舛添厚労相の言葉に偽りはないのかも知れません。しかし、先走って実現の見通しが立っていないことを豪語し、結局のところ約束を守れないパターンは年金記録の公約問題と同じでした。さらに「なぜ、原告団は分かってくれないのか」と逆ギレする傲慢ぶりも相変わらずであり、調整能力のお粗末ぶりと合わせ、与党内からの評価も急落しているようです。
ここで最近、石破防衛相が発した言葉をご紹介します。先週、イージス艦からのミサイル迎撃実験が行なわれました。このミサイルは1発約20億円だそうです。このような費用の問題を記者会見で尋ねられた石破防衛相は「人の命はお金に替えられない」と答えました。ミサイル迎撃実験の評価を横に置いて考えれば、石破防衛相のその発言を誰も否定できません。
しかし、本当に「人の命」の重みを真摯に受けとめる内閣だったならば、薬害肝炎訴訟の和解交渉も別な展開を見せたのかも知れません。前首相に比べ、安定感が評価されていた福田首相自身、前内閣による年金記録の公約問題に対して「覚えていなかった」などの発言で馬脚をあらわしています。その結果、国民からの内閣支持率も下り坂となっています。
振り返れば福田首相が官房長官時代、小泉初訪朝によって判明した拉致被害者の安否を家族へ伝える際、無事だった被害者の家族のみ別室に集めました。「皆が一緒にいる場所で」とお願いした蓮池さんの母親に対し、「黙って聞きなさい、あなた方の家族は生きているのだから」と制したのは有名な話です。家族会全体の思いを適確につかめず、喜ぶものと決め付けていた福田首相の浅薄さが際立った一場面でした。
UFO論議の話題から福田内閣への評価まで広げてみました。ザブタイトルのとおり「雑談放談」的なブログであることをご理解ください。また、私自身、このように自民党政権に対して批判的な意見を抱いています。政権が代われば、すべて理想的な政治となるのかどうか断定できませんが、現状より好転する可能性や期待を秘めていることは確かだろうと思っています。
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コメント
お邪魔します。久しぶりにコメントさせていただきます。
石破防衛相の発言は,私のブログでも取り上げましたが,閣僚,ましてや防衛相の発言としては全く不適切だと思います。
防衛相のそんな発言を認めてしまっては,1兆円のMDでもまだまだ不十分と言われているのですから,防衛費は青天井になってしまいます。
私は日本人の「ウェット」なところは基本的に好きですが,そこを利用しようとするこのような卑怯な言い分を認めてはならないと思います。
投稿: WontBeLong | 2007年12月23日 (日) 02時20分
WontBeLongさん、おはようございます。コメントとTBありがとうございました。
本当に必要な予算ならば、どのように高額でも納得できます。それが曖昧なままの「正論」にはご指摘のとおり説得力が乏しいものと思っています。
投稿: OTSU | 2007年12月23日 (日) 05時28分