「大連立」騒動への所感
最近、よく訪問している「(裏)高崎市職労ニュース」というブログがあります。共通している話題や悩みが多く、いつも興味深く拝見しています。先週金曜日、そのブログの記事の中に「『公務員のためいき』に今週はまったくコメントがついていない。定期大会が終了したという記事ではなかなかコメントがしづらいのかもしれない」と記されているのを目にしました。
そのブログの管理人さんも私のブログを注目くださっているようであり、たいへん光栄なことでした。また、金曜の朝までコメントがゼロだったことを驚かれている記述に対し、そのように見られている照れくささと光栄さを感じました。そもそもブログを開設した頃はコメントが寄せられること自体、稀なことでした。1日のアクセス件数の増加と比例し、おかげ様で寄せられるコメントの数も増えていました。
それでも記事の内容によっては、前回のようにパタッと減る時がありました。訪問者数などが減った訳ではありませんので、記事内容を吟味した上で投稿されている読者の皆さんの心遣いを感じ取っています。なお、記事内容に直接関連しない意見や質問も、当ブログの位置付けや趣旨を踏まえた内容であれば基本的に歓迎しています。前回記事へHIROさんから寄せられたようなお尋ねについても、最新記事のコメント欄を通して意見交換できるのは貴重なことだと考えています。
さて、前々回記事「徒然と、このブログについて」と前回記事「定期大会を終えて…」で、そのタイトル内容から外れた「大連立」騒動の話題に触れました。それだけ自民党と民主党との「大連立」協議、小沢代表の辞意表明から続投までの一連のニュースは衝撃的でした。新聞や雑誌などでも詳しい顛末が掲載され、ある程度の事実関係が分かり始めています。
このブログでその経緯を改めて詳らかにするつもりはありません。あえて騒動という表現を使っていますが、今回の記事で「大連立」に対する個人的な感想や見解を述べさせていただきます。ちなみに当ブログで、政治的な話題を取り上げると違和感や嫌悪感を示される方が時折りいらっしゃいます。「もっと職場内に限った組合活動に専念すべき」「公務員が政治に手を染めるべきではない」などの思いが背景にあるため、そのように感じられるのかも知れません。
もともと「公務員のためいき」は一個人の責任による運営ですので、特に話題の設定に制約を加える必要はありません。とは言え、プロフィール欄でも記しているとおり公務員側の言い分や組合の立場について発信していくことを主な目的としています。したがって、そのような趣旨の範疇での記事を中心に今まで投稿を重ねてきました。回りくどい説明となりましたが、その範疇に「大連立」騒動も入ることになります。
私どもの組合は自治労に加盟しています。自治労は連合の中で、主要な役割を担う産別組合です。連合は「民主党を基軸にした政権交代と二大政党的体制の確立をめざす」政治方針を掲げています。このような縦軸の関係に基づき、私どもの組合も具体的な選挙闘争において民主党の候補者を推薦することが多くなっています。
決してトップダウン的な指示を受け、主体的な判断を加えずに従っているものではありません。確かに民主党に対して様々な注文はあります。しかし、生活者の視点を重視し、働く者の声に耳を傾ける民主党に政権を取ってほしいものと本気で願っています。だからこそ、このブログで今までも民主党に関する話題を取り上げ、組合員の皆さんと問題意識などを少しでも共有できるように努めてきました。
以上のような立場を踏まえ、この間の「大連立」騒動に対する個人的な所感を示させていただきます。小沢代表は自衛隊の海外派遣に対する原則を確立できる絶好の機会と判断し、「大連立」協議に魅力を感じたようです。そして、政権に参加することによって、民主党の目玉政策を実現させ、次の総選挙が有利となる見通しを立てていたことも本心だったようです。
しかし、7月の参議院選挙で示された自民党政治を拒んだ民意などをどのように考えていたのか、その点については致命的な思慮不足だったと言わざるを得ません。さらに小選挙区制のまま、自民党と民主党の与党候補者同士が争う構図を小沢代表は描いていたようですが、違和感は拭えません。有権者に対し、適切な選択肢を与えることができるのかどうか、「大連立」のもとでは選挙制度の形骸化を招きかねません。
したがって、民主党役員会が「大連立」構想を全員一致で拒否したことは賢明な判断だったと思っています。その後、逆ギレ的な辞意表明を示した小沢代表の態度、続投を求めた民主党内の事情、慰留が功を奏して辞意を翻した小沢代表の決断、民主党への好感度を高める話は皆無だと言えます。いずれにしても、たいへんな騒ぎになってしまったため、小沢代表と民主党に対するダメージははかり知れません。
それでも騒動直後の世論調査で、民主党の支持率が下がらなかった結果も出ています。結局、まだまだ簡単に民主党を見限れない私のような支持者が数多くいるのだろうと見ています。とにかく「覆水盆に返らず」の故事もありますが、あまり後ろ向きになりすぎず、今後、党として至らない点は反省しながら地力が高まっていくことを心底期待しています。
たいへん長々と書き込んできましたが、言い足りない点が多く残されている気もしています。また機会がありましたら民主党に関する話題を取り上げさせていただく予定です。最後に一言。「大連立」を党首会談で独断即決しなかった点、部下に説得されて辞意を撤回した点、一昔前の小沢代表では考えられない「変わりぶり」だと評価する声に少しだけ頷いたところでした。
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コメント
otsu様 当ブログの紹介ありがとうございました。
さて、コメント欄の多さは政治ネタ、制度ネタのようではありますが、東京で見る民主党と群馬でみる民主党では大きく異なるようです。
昔から組合は政党支持であったと思いますが、今比例区では政党支持、選挙区では政党支持といいながらも『候補者本人を見る』という立場がより明確になってきているのかもしれません。
小選挙区になってから、衆議院選挙において労組側は一貫して現首相とたたかってきました。
民主党の候補者を支持し、選挙を戦ってきましたが、選挙のやり方自体毎回異なり、大きく組合側の選挙方法も変わってきました。
一貫して同じことは組合員への周知ではなかったかとも思いますが、これもまた時代によって変わってきたのも事実です。
時代の変遷期に、組合側の選挙における具体的戦術があまり変わらず、組合員側の意識が変化してきている。
また、総評、同盟といった時代の選挙に力のあった組合の組織人数が大きく変化してきている。
いま、組合として組織人員が確保できているのは、その当時選挙にあまり携わってきていなかった組合の方ではないかと錯覚してしまう部分もあります。
そんな中で、小沢代表のとった方法について、大連立についても議論をするような状況に群馬ではないというのが事実です。
まず、民主党群馬県連の保守系といわれる人と組合系といわれる人がどのように手打ちができるか。
正直、『無理』と思ってしまいます。
いずれにしても、自分の支持者を言うこと聞かないから『非難』するようでは、お互いのためにならないのではないでしょうか。内々でのけんかならどこの組織にでもありますが、それをマスコミなどを使って、外向きのけんかにしてしまいましたから修復は果たしてできるのでしょうか。
投稿: ある市職労委員長 | 2007年11月19日 (月) 10時06分
ある市職労委員長さん、コメントありがとうございました。また、TBによる後づけの報告で申し訳ありませんでした。
一昔前に比べ、ますます組合運動の中での選挙闘争が難しくなっています。その点の地域差はないように感じています。その中でも、いろいろ深刻な地域事情を抱えているようであり、今回のコメントからそのたいへんさを垣間見させていただきました。
お互い悩ましいことが多い情勢ですが、前向きに頑張っていけたらと思っています。ぜひ、これからもよろしくお願いします。
投稿: OTSU | 2007年11月19日 (月) 21時53分
大阪市長選では民主党は報道機関に市労連は解同と共に勝手連だとコメントしています。
連合からも表向きには支援を控えるよう要請されているようでは、身内から集票力は期待しても口を出して欲しくない存在のようです。
民主党はおろか連合もKYの自治労とは一線を引きたいのでしょう。
投稿: 大衆 | 2007年11月20日 (火) 09時00分
大衆さん、コメントありがとうございます。
市職員の厚遇問題が取り沙汰された中、幅広い層の支持を得るためには残念ながらその報道のとおりだったようです。ただ大衆さんが言われるようなKYかどうかは疑問です。
いずれにしても自治労の至らない点は改めた上で、組合員が自治労に所属していることを誇れる適切なPRも必要だろうと常々考えています。つまり自治労のことを充分理解いただかないまま、ネガティプなイメージが先行している懸念を抱いています。このブログがその一助につながるのか、「やっぱり自治労は!」と思われていくのか分かりません。それでも自分なりの言葉で、これからも地道に発信していくつもりです。
投稿: OTSU | 2007年11月20日 (火) 21時06分
時効に掛かり確実に消えてしまった年金について報道されております。
こちらにも申請主義を標榜される無責任な公務員が常連にいます。
消えた年金についての議論を経たOTSUさんの主張やこれまでの自治労のコメントを見る限り、「やっぱり自治労は!」になります。
「至らない点」を何時どれだけ改めるんでしょうね?
空気を読める公務員は自治労とは関わりたくないので組織率も低くなっているんでしょうけど、理解を得られない主張はカルト的な匂いもします。
投稿: 大衆 | 2007年11月20日 (火) 22時58分
大衆さん、おはようございます。
そのように見られる溝が簡単に埋まらないことを重く受けとめ、一歩一歩努力していこうと考えています。
投稿: OTSU | 2007年11月21日 (水) 06時48分
今回の大連立騒動には批判の声が多いですね。
今回の大連立騒動は確かに唐突な印象が否めません。しかし。仮定の話ですが、与党・野党とも次期総選挙で過半数に至らない場合、あり得る話かなとは思っています。
読売新聞が引き合いに出したドイツの大連立の場合では、連邦議会選挙で、キリスト教民主同盟・キリスト教社会同盟(CDU/CSU)+自由民主党(FDP)の右派野党陣営と、ドイツ社会民主党(SDP)+緑の党のシュレーダー政権での与党陣営、のどちらも過半数に至らず、左翼党を外した各党間の駆け引きが不調に終わったため、CDU/CSUとSDPの連立に至ったという経過があります。
しかし、当然のごとく基本政策が異なりますし、また副首相として入閣したSDP前党首のミュンテフェーリング氏が辞意を表明しているなど、先行きに不透明感も見られるようになってきました。(ただ、SDPが野党に回った場合でも、ドイツでの内閣不信任案の可決には、次の首相候補がセットでないとできない規定がある(建設的不信任)ので、倒閣は難しいのかな?)
仮に、自民党と民主党の組み合わせでしか衆議院の過半数を制することができない場合であっても、今回のような「密室」での決着はすべきでないと思っています。
立法と行政が固く結びついた議院内閣制のもとでは、与党に対して非常に強い権限が、国民から託されることになります。ただ、国民にとって議院内閣制で託す権限は自分たちが幸福になる手段であって、政党の自己防衛のためではありません。
民主党が政権交代を目指すことは当然であると考えていますが、それをやることで何をするのかが国民から厳しく問われていると思います。私自身は総選挙後は開かれた場で話し合いを行うことを前提に、その政策の実現のために連立政権を組む相手を、今から選別して排除しなくてもいいのかなとは思います。
(追記)
>申請主義を標榜される無責任な公務員が常連にいます。
なんてコメントがありますが、「立川市民」氏に「日本の行政制度はほぼ例外なく『申請主義』ですから、制度を使う側は当然よく勉強しなければなりません。」と書いた私のことを指しているんでしょうか?仮にそうだとしたら、前の「立川市民」氏のように、文章を読めない(BY?)人なのでしょうかね。「『申請主義』は使う側が制度を理解していなければならない(挙証責任がこちらにある)ので、職業として従事している人ですら大変なものですが、一般の住民はそういうわけではありませんから、サポートが必要であることは当然であると考えています。」-と書き込んだのも私なんですけどね。
投稿: Unvollendete | 2007年11月21日 (水) 23時33分
上のコメントをしてから気づきました。ドイツ社会民主党はドイツ語で"Sozialdemokratische Partei Deutschlands"となりますので、略称はSPDでした。失礼しました。
投稿: Unvollendete | 2007年11月21日 (水) 23時39分
Unvollendeteさん、おはようございます。
大連立について、ドイツの例示のご紹介ありがとうございました。
ちなみに私どもの組合の賃金闘争、ようやく先ほど決着できました。結局、一睡もできないまま朝を迎えることになりました。余計な話で、失礼致しました。
投稿: OTSU | 2007年11月22日 (木) 07時26分
Unvollendeteさん
挙証責任を果たさず放置している税金泥棒が多いということですよ。
投稿: 大衆 | 2007年11月27日 (火) 14時00分