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2007年11月 3日 (土)

徒然と、このブログについて

驚きました。木曜と金曜、2夜続けて「えっ!」という出来事に接しました。中日対日本ハムの日本シリーズ第5戦、完全試合までアウト3つとしていた山井投手を交代させた落合監督の判断、本当に驚きました。昨夜は自民党と民主党との連立協議のニュースが駆けめぐり、前夜以上に驚き、あ然としました。

山井投手の交代は「まめをつぶし、いっぱいいっぱいだった」などの舞台裏の事情もあり、世間の反応は賛否が拮抗しているようです。連立の話は、その夜のうちに役員会を開いた民主党が連立政権への参加を拒否しましたが、至極真っ当な判断だったと思っています。

一方、福田首相との党首会談で即決せず、提案を持ち帰った小沢代表の思惑がよく分かりません。さらに自民党内には「小沢氏側から連立参加を持ちかけた」と指摘する声も出ているようです。こちらの話も党首会談の舞台裏などが徐々に明らかになるのかも知れませんが、とても賛否が拮抗するような世論となり得ないはずです。

ここで民主党が自民党と手を組んでしまったら参議院選挙で示された民意はどうなったのでしょうか。政権交代をめざすと言ってきた民主党の大義や説明責任はどうするつもりだったのでしょうか。政権与党に対するチェック機能を高め、政党が緊張感を持ちながら切磋琢磨しなければならない小選挙区制において「大連立」の発想自体、選挙制度の形骸化を招きかねません。

予想外のニュースに出くわしたため、予定外の前置きが入りました。さて、前回記事「木を見せて森を見せない政治」に対し、様々な切り口から幅広い内容のコメントをいただきました。また、私の表現力の拙さから主張したかった趣旨が適確に伝え切れていないことも反省しています。

ken314さんからご指摘がありましたが、談合の温床につながったり、満足に働かず高額な給料や退職金を受け取る天下りを決して認めている訳ではありません。それでも「天下りや特殊法人を全廃する」とした掛け声が先行していく動きには違和感を抱いています。税金の無駄使いをなくすのは言うまでもなく、その上で公務員が国民のために全力で職務を遂行できる制度をどう築くかが「森」の議論だと考えています。

不正や犯罪に対しての大小を訴え、小さな不正は見逃し、巨悪の追及に専念すべきとの趣旨の記事ではありませんでした。当然、社会保険庁の怠慢や年金保険料の横領問題を矮小化するための「木」や「森」の話ではありません。のぶさんの「納税者がそれぞれ目の前の理不尽なことから公にするのが、この国を立ち直らせる手段だと思う」とのご意見も基本的にその通りだと感じています。

masaさんから厳しい言葉で社会保険庁の労働組合(自治労国費評議会)を批判するコメントが寄せられました。OA化の進歩など社会情勢の変化に対応し、すみやかに改めるべき労使確認事項も多かったように見ています。そのような点は労使で率直に反省し、批判されてもやむを得ないものと考えています。しかし、国費評議会が「社会保障事業に巣食う経済ヤクザ」だったとの言葉は容認できるものではありません。

私の思いは以前の記事「年金記録問題と労組の責任」などで記したとおりです。そして、年金保険料に群がったとの意味では、多くの政治家にも責任の一端があったようです。温水プール付きのペアーレ(社会保険健康センター)や1施設約200億円のグリーンピア(大規模年金保養基地)が、政治家の強引な口利きによって全国各地に建てられました。

少し話が横道にそれますが、和歌山県にあったグリーピア南紀の跡地問題で、自民党の二階俊博代議士と香港の請負業者であるボアオとの不透明な関係も取り沙汰されています。社民党代議士の保坂展人さんのブログ「どこどこ日記」で、民主党提出の「年金流用禁止法案」を審議した参議院厚生労働委員会の質疑も垣間見ることができます。

その中で、舛添厚労相は「国がいちいち口を出すことはできない。これは那智勝浦町という独立した自治体の問題だ」と逃げ腰の答弁に終始しているようです。保険料横領問題で「盗人は最後の一人まで牢屋に入ってもらう」と繰り返し、「市町村がやらないなら社会保険庁長官の名前で告発する」と高圧的に主張した舛添厚労相の発言とは思えない消極さです。

長々と綴ってきましたが、私自身、物事に対して多様な見方があることを当たり前だと思っています。そのため、当ブログでは結論的な主張を押し付ける書き方は慎んでいるつもりです。それでも私の考え方が特に中立的なものではないため、相反する考えをお持ちの方からすれば、今回の記事も含め、不愉快に感じる内容が少なくないかも知れません。

一方で、自分自身の考えが絶対正しく、他者からの批判意見に耳をふさぐタイプでもないつもりです。そのため、このブログへの幅広い視点からのご意見を歓迎し、厳しいご指摘を受けた時も謙虚に受けとめながら自問自答する貴重な機会だと考えています。とは言え、感情面が先走った言葉や単なる誹謗中傷のコメントに対しては、棘を含んだレスで応じた場合も時折りありました。

また、公務員やその労働組合を頭から批判する立場でのコメントが寄せられた時は、これまでの経験上、少なからず嫌な予感がしています。お互い平行線をたどる議論、「メビウスの帯」状態となるような終わりのない対話を危惧してしまいがちでした。たいへん失礼ながら前回記事へのmasaさんのコメントがそのような印象を受けました。

加えて、短い文章のコメント欄では言葉足らずとなる恐れがあり、誤解を招いたり、充分真意が伝わらない懸念もあります。そのため、masaさんのコメントへのレスは、バックナンバーの「5千万件の年金記録漏れ」から続く一連の記事、そのコメント欄での数多くの議論をお読みいただくことのご紹介にとどめました。しかし、masaさんのようなお怒りに対し、丁寧に対応していくことが当ブログの目的の一つですので、その丁寧さに欠けたレスであったことを反省し、今回の記事本文につなげています。

masaさんのコメントに絡み、私の気持ちを適確に語っていただいたコメントをken314さんから頂戴しました。このようなフォローをいただけることは本当に感謝の思いで一杯です。特にken314さんは「心が折れました」と初めは批判気味のコメントをくださった方でした。その後、コメント欄での対話を通し、ある程度、お互いの距離感が縮んだ方の一人だと思っています。このような関係を築けることが当ブログを続けていく励みの一つでした。

最後に、週一の更新ペースとしているため、一つの記事に話題を盛り込みすぎている時があります。前置きだけで、標準的(?)なブログの長さになっている場合があるかも知れません。その一方で、東京都人事委員会の勧告や公務員への労働協約権付与の問題など、このブログで取り上げたい内容が数多くありながら時機を逸してしまいがちです。

この「公務員のためいき」を開設したのは一昨年の夏でした。最初の1年間は、組合活動に関するイベントなどを素早くマメにブログの記事としてきました。次の年からは、特段目立った話題がない恒例行事はスルーすることも多くなりました。それでも組合にとって最も重要な会議である定期大会関連の記事は2年続けて投稿してきました。今年も来週11月7日に開かれる定期大会に関しては次回以降の記事で取り上げる予定です。

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コメント

 OTSUさん、お久し振りです。ご無沙汰して申し訳ありません。
 さて、もうご存知の通り、今日夕方、民主党の小沢代表が「連立政権問題」の責任を取って辞表を提出するというというニュースが流れました。
 役員会の判断が不信任に値するからということらしいですけれど、一方で鳩山幹事長を初めとする三役は続投を要請するという事らしいです。いったい党内で何があったのか?
 小沢党首が福田総理との会談の内容を「党に持ち帰った」事についていろいろ憶測が流れているようです。「なんでその場でNOと言わなかったんだ。」という事でしょう。(OTSUさんも同じ考えと見えました。)私は単に、こんな大事な事はYESにしろNOにしろ、いくらなんでも党首一人で即断はできないだろうと考えたからだ思っていたので、それほど大騒ぎする事でもないだろうという気もしていたのですが。
 いずれにしろ、非常に唐突です。安倍前首相辞任の時以上にスッキリしません。小沢党首はもちろん、民主党として、事の次第(特に党の内部で何があったのか)を早急に有権者に説明しないといけないでしょう。
 うーん、それにしても、政治の世界がこんな事ばかりやっていたら、右だ左だ以前に、有権者の政治システム自体への不信をさらに増幅させるばかりでしょう。この件はもう少し様子を見ないといけませんが、ちょっと困ったものですね…というのが正直な今の感想です。

投稿: 菊池 正人 | 2007年11月 4日 (日) 21時21分

菊池正人さん、お久しぶりです。コメントありがとうございました。
私もこのタイミングでの小沢代表の辞意表明の唐突さに驚いています。最近、驚くことが連続(苦笑)しています。
今後、いろいろ真意が明らかになっていくのでしょうが、現時点では安倍前首相の辞任した唐突さと五十歩百歩ではないかと思っています。

投稿: OTSU | 2007年11月 4日 (日) 22時23分

こんばんは。
かつては私もOTSUさんにさんざん喧嘩売るようなコメント(詰問)を書いて、さぞ心境を逆撫でしたことと存じます。
こちらではご自身が公務員である、という事実を明らかにしている以上、行き場の無い怒りを持った人が、同じように何度も詰問調でコメントを残していくその度に不快感とまでは行かなくとも、無力感とか、平行線の議論に飽き飽きしてきてしまうこともあろうかと思います。
ですが、一人でも多くの人に対して意見表明できる手段をここで持っている、これは何も無いことよりも無限大に大きな意義を持つと思います。
何度も話をしても合意に達することは無い、そういう立場に位置する人々が対峙することは多々あります。しかし喧嘩ではなく、お互いの意見を表明しあい、聴きあうことは可能です。またご自身の立ち位置を変えずに継続することにより、話を聞いてくれる人を増やすことは確実にできます。それを実現しうるこの場を、あまり肩に力入れずに、自然体にて続けていかれることを(大きなお世話とも思いつつも)希望しております。
私自身を例に挙げますと
私は「公務員には絶対にならない」などとOTSUさん他公務員の方にとってはとても不愉快に感じられることであろうことを、平気で今でも思っております。しかしこれは、公務員の方々の存在意義を否定するものでは全く無いし、逆の立場の意見を聞く機会は是非持ち続けたい、このような感じです。
またまたおじゃましました。

投稿: どんちび | 2007年11月 5日 (月) 02時04分

どんちびさん、おはようございます。
コメント欄がギスギスしそうな時、どんちびさんの穏やかコメントで癒されることも多いように感じています。そのため、どんちびさんも初めの頃は詰問調のコメントだったことが忘れがちでした。
ご指摘いただいたような当ブログの意義を忘れず、あまり肩に力を入れず、自然体で今後も続けていきます。これからもご注目ください。よろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2007年11月 5日 (月) 07時20分

お疲れ様です。
素人の読みですが

>さらに自民党内には「小沢氏側から連立参加を持ちかけた」と指摘する声も出ているようです。

これ、当たりだと思いますよ。憶測ですが。
読売が終始書いてましたし、今日の朝日系のTV番組でも流れましたし。

んでまあ、今国会で成立した法案は確かまだゼロ。
そいでもって、政策協議は門前払い、審議は拒否、さりとて法案も出さない。
そりゃ落しどころ模索するんじゃないですか?
既に海外誌ではパブリックエネミー級の扱いされてますし。

果ては(恐らく自民サイドの読み通りの)連立拒否。
与党としては衆議院2/3使ってのゴリ押しの大義名分には十分ですわな。

といいますか、『政権交代』は最終目標じゃなくて只の手段なんですけどね。
そこをこの期に及んで未だに完璧にカン違いしてるように見えますが…。> 民主党執行部
連立拒否なんて条件付きの留任依頼っつうのも相当頭に変な薬キメてないと出てこないですよ。

小沢センセの辞任会見の『今の民主党に政権担当能力は無い』ってのはそこら辺さしてると思いますがねえ。

いずれにせよ、打たれ弱すぎです。

投稿: 勤労戦死 | 2007年11月 5日 (月) 23時56分

勤労戦死さん、おはようございます。
ドイツの「大連立」の例などもあり、今回の連立協議の是非についても確かに賛否が分かれるようです。「大連立」に対する個人的な評価は記事本文で書いたとおりですが、いずれにしても小沢代表の独断専行の手法は相変わらずだった訳であり、たいへん残念に思っています。

投稿: OTSU | 2007年11月 6日 (火) 07時14分

お疲れさまです。
今回の表題を拝見し、OTSUさんまで心が折れてしまったのかといささか心配してしまいました。(いやーっ、安心!)
最近の世の中は、本当に信じられないようなことが現実として起こる・・・。
みんな目先のことしか考えられなくなっているのかな?
もう少し、中長期的に世の中をどうして行くのか考えないと駄目だなと自分自身反省の毎日です。
OTSUさん、これからもがんばってくださいね。

投稿: shima | 2007年11月 6日 (火) 08時20分

shimaさん、コメントありがとうございました。
ご心配いただき恐縮です。少し前は迷った時もありましたが、今はそう簡単にめげないよう吹っ切っています。本当に現実の世界は「まさか?!」が多くなっていますが、あまり一喜一憂せず地道に頑張っていこうと考えています。これからもよろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2007年11月 6日 (火) 23時16分

OTSU様
過分な言葉を頂き恐縮です。
こういうブログを開設していると、どうしても「公務員に対する不満のはけ口」扱いをされてしまうかと思います。また、記事を書く毎に揚げ足を取るようなレスをつけられてしまうこともあり、ストレスが溜まると思います。
ただ、ここは公務員の方の貴重な生の声が聞けるところなので、体を壊さない範囲でブログを続けて頂けると嬉しいです。
まあ、OTSUさんとは政治的な立ち位置等において一致しないところも多々ありますが、これからも互いに是々非々で宜しくお願いします。

投稿: ken314 | 2007年11月13日 (火) 02時18分

ken314さん、おはようございます。
そのように受けとめていただけると本当に心強く感じ、このブログを続けていく励みとなります。また、お気遣いある言葉も含め、ありがとうございました。

投稿: OTSU | 2007年11月13日 (火) 07時15分

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