定期大会を終えて…
水曜の夜、私どもの組合の定期大会が開かれました。大会は「組合の最高決議機関であって、全組合員で構成する」と規約で定められています。したがって、年に1回開く定期大会は組合員全員の出席を呼びかけ、いつも1,500人近く収容できる市役所に隣接した市民会館の大ホールで催してきました。
大会と呼ばれるその会議の成立要件は構成員の3分の2以上の出席ですが、委任状の提出をもって何とか成立している現状です。今回、組合員数1,497人中356人の出席で、委任状提出は907人でした。組合員全体から見て4人に1人弱の出席率ですが、かろうじて昨年より出席者数を増やすことができました。
全組合員対象の大会を続けている組合が少なくなっています。出席者数が減少していく実情を受けとめ、代議員制に切り替える組合が増えているようです。組織の意思決定のあり方として、代議員制を否定する立場ではありません。私どもの組合も出席者数が激減するようならば、代議員制を検討する必要性に迫られるものと思っています。
356人という現状に満足している訳ではありませんが、300人を割り込み出した時がデッドラインだと以前から考えていました。つまり会場に足を運ぶ組合員数が2割にも及ばなくなった場合、組織としての意思決定のあり方が問われかねません。出席者数を伸ばす努力は重ねていきますが、現状を直視した上での対応も決して疎かにできません。
以上のようなモノサシの中で、今回も及第点に達することができ、さらに来年の大会に向けては一人でも多くの組合員に出席いただけるよう努めていきます。ちなみに3年先、新庁舎へ移転する予定です。新庁舎の周辺には千人規模のホールはなく、改めて会場の場所を選択する問題があります。その際、合わせて代議員制などの検討も必要だろうと考えています。
市民会館の大ホールの2階は使わないようにしていますが、それでも約千人の座席があり、出席人数の割合を考えれば確かにガランとした雰囲気です。しかし、300人以上の組合員が一堂に会する場は貴重であり、毎年、本当に中味のある率直な議論を交わすことができています。翌日には「いい大会でしたね」との感想もいただき、たいへん意義深い場になっているものと感じています。
いわゆるヤラセやサクラは一切なく、必ず多くの組合員から質問や要望が示されています。それも執行部の足を引っ張るような意見は皆無に近く、非常に建設的な提起が多いことも有難いことでした。今回、指定管理者制度や複線型人事異動制度に対する組合の見解などが問われました。
全体的に共通する思いとして、諸課題に対して組合のチェック機能を高めて欲しいとの叱咤激励となる意見が多かったものと受けとめています。実は様々な場面で、このように組合員の皆さんから組合の役割に対する期待の高まりを感じる時が増えていました。一方で、そのような期待に力強く応えていくためには執行部体制の充実が欠かせません。
組合の役割や存在が大事だと考えていても、担う役員がいなければ組合は潰れてしまいます。ここ数年、残念ながら執行委員12名の定数が埋まらず、この1年間は欠員が4名まで広がっていました。今回、喜ばしいことに新たな執行委員の顔ぶれが増え、欠員を1名までに戻すことができました。何とかジリ貧状態に歯止めをかけたことになりましたが、それでも今後、ある程度職域からの輪番制による選出方式も検討する必要があるのかも知れません。
大会前日に開票された組合役員の信任投票(投票率94.66%)では、全体的に昨年を上回る信任率を得ることができています。私自身も引き続き執行委員長に立候補し、昨年より1.9%増の92.2%、役員18名中最上位の結果で信任をいただきました。「○」を投じてくださった皆さん、ありがとうございました。また、「○」を託せない組合員の皆さんの思いも斟酌しながら丁寧な活動に努めていくつもりです。
いずれにしても「今の組合は物分りが良すぎる」などの声が聞こえてくる中、大会への出席者数や信任率の上昇は大きな励みとなっています。いわゆる「既得権」的な労使課題の見直しが続く中、「正すべき襟は正し、主張すべきは主張する」という方向性に対し、一定の理解が得られているものと解釈させていただいています。
組合が結成され、今年で60年目を迎えていました。途中で臨時大会もあったため、今回が第62回目の大会でした。このような歴史を重ねる中、今まで産別や地域の中で要職に就く先輩たちが少なくありませんでした。今回の大会で選出した特別執行委員のお二人も、たいへんな重責を担っています。一人は先日、自治労都本部で最も重い責任を負う役職となり、もう一人は連合本部の政治担当副事務局長として小沢代表の全国行脚の大半に同行した方でした。
出身組合の執行委員の定数が欠けている中、よく「白鳥の水かき」の話をする時がありました。先輩たちの活躍ぶりから足元の組合もしっかりしているように見られがちですが、水面下はバタバタしているとの例えでした。このような戯れ言はさておき、お二人の先輩それぞれが後顧の憂いなく職務に専念でき、よりいっそう組合員の皆さんから信頼を得られる組合活動に頑張っていく決意を新たにしています。
最後に余談となりますが、大会が終わった後に連合副事務局長の先輩に小沢代表の辞意表明の舞台裏を尋ねてみました。事実経過はマスコミ報道で大筋明らかになっていますが、福田首相が「国連決議に基づく自衛隊派遣」を受け入れる判断を下したことで、一気に「大連立」協議へ傾いたことを小沢代表は強調していたそうです。機会がありましたら次回以降、「大連立」騒動の話題を取り上げてみようと考えています。
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コメント
はじめまして。
北海道に住む地方公務員です。
組合では執行委員をしています。
昨晩、労働組合の政治的活動について調べていたところ、
たまたまこのサイトに出会い、思わず熟読してしまいました。
そして、思わずこの昼休みにもアクセスした次第ですが、
それはどうしてもこちらで質問したい事項があったからです。
前述の、調べていた「地方公務員の政治的活動について」です。
国家公務員では、罰則もあり、猿払事件や堀越事件のように違法となることはわかりました。
一方、地方公務員の場合、色々調べましたが、一定の制限はあるものの、「組合活動の一環」としての政治的活動は許されるという見解がほとんどでした。しかし、私は今のところ、地方公務員法第36条は、総体的な地方公務員の政治的中立性を記したものであり、たとえ組合活動を通してでも、本来制限を受けるものではないかと、法解釈上そう思っています。
「地方公務員が、組合活動を通しての、組合員に対する政治的活動であれば許される」といわれる根拠は何なのでしょうか?
サイトによっては、そのような最高裁判決があるように書いてあるものもありましたが、それも、いつのどの判例なのだか、はっきりしません。
個人的に、国家、地方問わず組合活動は直接的な職場労働環境の改善に限定し、公務員の政治的中立性の原則からすると、地方公務員の組合活動を通しての活動であっても、政治的活動はするべきではないと思っています。
※記事への直接的なコメントではなく申し訳ありません。
投稿: HIRO | 2007年11月16日 (金) 12時46分
HIROさん、はじめまして。コメントありがとうございました。貴重な問いかけですので、少し長くなりますが過去の記事で書いた内容などを改めてご紹介し、私なりの見解を示させていただきます。
ご指摘のとおり地方公務員法第36条で、地方公務員は特定の政治的立場に偏らず、中立であることが求められています。ただし、この法律をもって地方公務員の政治活動が一切禁止されている訳ではありません。公職選挙法の規定により、地位利用による選挙運動の禁止や公務員のままで立候補できない点、さらに当該職員が属する区域での選挙運動などが制限されている程度です。
一方で、確かに国家公務員は政治的行為を禁止した国家公務員法第102条、その内容を包括的に委任した人事院規則14-7によって、地方公務員より政治的行為の制限が厳しくなっています。そのため、特定の政党を支持した運動そのものが難しい立場とされています。
例示された猿払事件では、郵政事務官が地区労組協議会の決定に従って日曜日に選挙用ポスターを掲示した行為について、一審と控訴審の無罪判決を破棄して最高裁が有罪判決(最大判昭49・11・6)を下しています。しかし、この判決には4名の裁判官の反対意見があり、学説もほとんど批判的だったようです。
2003年には、都内のマンションで政党機関紙を配った社会保険庁職員の堀越さんが国家公務員法違反(政治活動の禁止)の罪に問われました。東京地裁では「公務員の政治的中立性を著しく損なう行為だ」と有罪判決が言い渡されました。しかし、堀越被告側は控訴し、公務員の政治活動の禁止は違憲と主張しています。
このように公務と完全に離れた国家公務員の政治活動を禁止するのは違憲とする見方があることも確かです。さらに地公法第36条は職員の政治的行為の制限を定めていますが、この規定は労働組合の政治的行為を制限するものではありません。組合が特定の選挙へ向けて、特定の候補者の支持や推薦を決め、組合員へ周知することなどは組合活動の範囲とされています。
また、労働組合の政治活動に関しては、全日本検数協会事件(名古屋高判昭和46年4月10日労民集22巻2号453頁)の判決文で「労働組合がその目的達成に必要な政治活動や社会運動を行なうこと自体は何ら妨げられることではない」と裁判所が述べています。結局、日韓条約に反対した政治ストライキによる解雇は有効とされた裁判でしたが、労働組合の政治活動そのものは肯定された事例でした。
以上のように法的に問題ないとされた一線を遵守し、私どもの組合も一定の政治活動に取り組んでいます。それでも「国策捜査」という言葉もありましたが、これまで法律適用の恣意的なハードルの上げ下げがあったことも注意しなければなりません。堀越事件でもそのような側面を否定できないようです。
「君子危うきに近寄らず」との言葉もあり、「組合活動は直接的な職場労働環境の改善に限定」という考え方もあり得るのかも知れません。そうした場合、ある面で組合役員の負担も非常に軽減されそうです。とは言え、現時点で組合活動の一部として、政治的な活動が重要であることも間違いなく、単組役員の立場としては悩ましいところです。
投稿: OTSU | 2007年11月16日 (金) 22時01分
政治的活動については、「公務員の地位を利用して」「選挙運動」をやるのが規制の対象であって、組合として候補者を推薦するのは自由です。
地方公務員の組合が政治的活動を支える理由としては、「勤務条件条例主義」のため、どんなに労使交渉を行っても最終的に議会の同意がなければならないためです。私はその意味を積極的にとらえています。
しかし、組合が推薦したからといって、候補者が確実に当選できるものでもなくなっていることは確かです。政治的意識の多様化がすすみ、組合推薦だからといってなかなか結集できていないのは、どこの組織でも同じだと思います。
今年の参院選で「あいはら」さんが50万票とれたのは、逆に言えば自民党が自治労をいじめすぎたおかげであると、率直に見ています。
組合員の皆さんには、自分の自治体で議員がどんな発言をしたか、最近は議事録データベースがあるところが増えているので、チェックしてみると政治的活動も意味があるのだなと考えられると思います。
最後に、管理人さん、定期大会お疲れ様でした。組合員が一致できる運動をつくることは難しいですし、それを心がけることは大変であると思います。これからも無理をなさらず
にがんばってください。
投稿: Unvollendete | 2007年11月17日 (土) 15時39分
Unvollendeteさん、コメントありがとうございます。
直前のコメントの最後が少々主体性のない書き方でしたが、私もUnvollendeteのご意見のとおり組合の政治活動の一面を積極的に評価しています。また、ねぎらいのお言葉、ありがとうございました。
投稿: OTSU | 2007年11月17日 (土) 19時12分
千葉県の自治体で地方公務員をしている者です。
選挙の話でいろいろ検索していたら、こちらにたどり着いたのでコメントさせてください。
「公務員の地位を利用して」「選挙運動」をやるのが規制の対象というお話で、ちょっと気になった点が。というのも、うちの職場では、徴税吏員証を持つ税務課の職員が組合の執行委員を務め、選挙運動をやっているのですが、これはやっぱり公職選挙法に抵触するのでしょうか。
税務課にいる間はそういった活動はさせない方が良いのでしょうけど、うちの職場も執行委員の欠員が目立つため、痛し痒しというか・・・
投稿: chibanese | 2007年11月29日 (木) 19時53分
○上記のコメントに対して
自治労中央本部ホームページのQ&Aはご覧になりましたか。そこに2つ例が載っていますので、ぜひご覧になってください。自治労各県本部でも「政治活動」と「選挙運動」の違いは相談すれば教えてくれると思います。 公選法による縛りが「選挙」についてで、地公法による縛りが「政治活動」についてです。いずれにしても、法律違反しない範囲でできることをやることが基本と考えます。
投稿: Unvollendete | 2007年11月29日 (木) 21時42分
chibaneseさん、ご訪問ありがとうございました。また、 Unvollendeteさん、素早いフォローありがとうございます。
Unvollendeteさんが紹介された自治労顧問弁護士の言葉は次のとおりです。「選挙運動類似行為は、選挙運動ではありませんので、事前運動禁止にも触れませんし、徴税吏員でも行うことができます」と記されています。つまり組合活動の範囲内や選挙運動そのものを行なわない限り問題ないとの解釈です。
一方で、「選挙運動類似行為でも、その行為の時期(告示直前から告示後)や態様から、選挙運動類似行為に名を借りた選挙運動とみなされる場合がありますから、注意が必要です」とも書かれていました。いずれにしも法令順守を大前提にした組合活動に心がけることが大事だと思っています。
投稿: OTSU | 2007年11月29日 (木) 22時12分