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2007年11月25日 (日)

もう少し政治の話

木曜の朝、今期の賃金・一時金闘争が大筋で決着しました。昨年「予想外に難航した賃金交渉」という記事を投稿しましたが、今回は事前の予想通り非常に厳しい闘争を強いられました。東京都人事委員会の勧告内容(月例給△0.07%、一時金0.05月引き上げ)を基本とする一方、最大の争点は地域給の取扱いでした。最終的な交渉で、何とか月例給の引き下げ(△0.9%)に見合った地域手当の引き上げ(1%)を確認できました。

結局、一睡もしないまま朝を迎えることになりました。その日の午後は連合地区協議会絡みの会議が立て続き、さらに無謀にも会議が終わってからの懇親会にも顔を出してきました。幸い帰りのバスで寝過ごすこともなく、無事(?)帰宅することができました。たいへんハードな日程をこなし、夜、泥のように眠れたのは言うまでもありません。

さて、前回記事で「大連立」騒動に対する個人的な所感を述べさせていただきました。いろいろ横道にそれながら長々と記しましたが、まだまだ言い添えたい点がありました。素人の政治批評的な話など面白くないかとは思いますが、お時間が許される場合はもう少しだけお付き合いください。

かつての労働組合は総評系が社会党、同盟系が民社党を支持していました。1989年に現在の連合が発足しましたが、組合ごとに従来の枠組みのままの政党支持が続いていました。1996年に民主党が誕生し、社会党の議員の多くが民主党へ結集しました。民社党に所属していた議員は新進党を経て、新進党が解散した1998年に民主党へ合流しています。

このような政界再編の結果、幸にも連合内での政党支持問題は基本的に一本化されたことになります。もともと総評系と同盟系の組合の政治的なスタンスは、それぞれが支持してきた政党の差異と同様に一定の距離がありました。今でもその距離が残っている実情に変わりありませんが、国政選挙戦においては連合内が一致結束できるようになっています。

昔から労働組合は団結が重視されています。その意味で、政治方針の問題が不団結の要因にならず、さらに支持政党との関係においても一枚岩である方が好ましいことは確かです。労働者の声を国政へ適確に届けるためにも、現状のような連合と民主党との関係は意義あるものと考えています。

ちなみに私どもの地元から選出されている民主党の衆議院議員は長島昭久さんです。機会があるたび、「民主党は労働組合との関係が緊密であることを強みにしてほしい」と訴えさせていただいてます。それに対し、長島さんの答えはオランダのダッチ・モデルやイギリス労働党のブレア前首相のエピソードを示した肯定的な対応でした。

小沢代表が率いる民主党の中には多士済々な政治的立場の議員が揃っています。安全保障面の課題などでは右から左までの幅広さが民主党のウイークポイントだと指摘される場合もあります。例えば長島さんがテレビで集団的自衛権の問題などを発言した際、確かに自民党議員との違いが分かりづらくなります。しかし、政権選択イコール政党選択のための判断材料を比べた場合、民主党と自民党の違いは明確であると思っています。

小泉政権が強力に推し進めてきた市場主義経済と構造改革路線、大企業など強い者をより強くし、「格差」はやむをえないものと考え、とにかく国としての力を高める新自由主義的な発想を持っているのが自民党です。それに対し、国民一人ひとりを大事にし、公平配分を重視していこうと考えているのが民主党だと受けとめています。

新テロ法案などの対応に関しては単に賛成反対の違いではなく、民主党が反対している背景や理念にも着目すべきものと思っています。民主党のホームページで「民主党はなぜ自衛隊の給油継続活動に反対なのか」分かりやすく説明されています。要するに憲法の平和主義をどのように意識するのか、アメリカの要請に対しても駄目なものは駄目と言える関係を築けるのかどうか、そのような根幹的な違いが両党にはあるものと見ています。

7月の参議院選挙は以上のような選択肢のもとで行なわれ、自民党の路線が否定され、民主党の示した方向性が多くの国民から評価を得られた構図だったはずです。それにもかかわらず、参議院での与野党逆転を「ネジレ国会」と呼び、法案が成立しにくくなっている点を憂慮する声も聞こえています。

だから「大連立」との発想は問題であり、国民の民意をくみ取るものではありません。議席数を減らすことが必至である福田首相は早期解散に及び腰です。しかし、「ネジレ国会」解消のためには一刻も早く総選挙を行なうべきだと考えています。当然、民主党が過半数を獲得すれば、その時点でスッキリ「ネジレ」は解消できます。

一方、自民党の議席数が民主党を上回った場合、その結果を民主党は真摯に受け入れなければなりません。自民党の路線にブレーキや軌道修正をかけるため、参議院選挙で民主党が勝利したのも民意でした。仮に総選挙で自民党に力及ばなかった場合は、その民意を重く受けとめ、対決路線から政策協議路線に潔く転じるべきだろうと思っています。

したがって、福田首相もそのようなメリットを自覚し、早期の解散に踏み切るべきではないでしょうか。政権から下野するリスクはありますが、解散総選挙は「ネジレ」国会解消のための特効薬であることに間違いありません。いずれにしても与野党のガチンコ対決がないまま、「大連立」に走ることは筋違いだと言わざるを得ませんでした。

最後に、この記事を書いている時、オーストラリアで11年ぶりに労働党が政権を奪回したニュースに接しました。次の首相に就任する予定の労働党のラッド党首は、イラク駐留豪軍の段階的撤退、ハワード政権が拒否してきた京都議定書の批准を公約に掲げています。つまり対米追従が目立った外交政策の転換が見込まれているようです。ますます福田首相が解散に尻込みしそうなタイミングでのニュースでした。

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2007年11月18日 (日)

「大連立」騒動への所感

最近、よく訪問している「(裏)高崎市職労ニュース」というブログがあります。共通している話題や悩みが多く、いつも興味深く拝見しています。先週金曜日、そのブログの記事の中に「『公務員のためいき』に今週はまったくコメントがついていない。定期大会が終了したという記事ではなかなかコメントがしづらいのかもしれない」と記されているのを目にしました。

そのブログの管理人さんも私のブログを注目くださっているようであり、たいへん光栄なことでした。また、金曜の朝までコメントがゼロだったことを驚かれている記述に対し、そのように見られている照れくささと光栄さを感じました。そもそもブログを開設した頃はコメントが寄せられること自体、稀なことでした。1日のアクセス件数の増加と比例し、おかげ様で寄せられるコメントの数も増えていました。

それでも記事の内容によっては、前回のようにパタッと減る時がありました。訪問者数などが減った訳ではありませんので、記事内容を吟味した上で投稿されている読者の皆さんの心遣いを感じ取っています。なお、記事内容に直接関連しない意見や質問も、当ブログの位置付けや趣旨を踏まえた内容であれば基本的に歓迎しています。前回記事へHIROさんから寄せられたようなお尋ねについても、最新記事のコメント欄を通して意見交換できるのは貴重なことだと考えています。

さて、前々回記事「徒然と、このブログについて」と前回記事「定期大会を終えて…」で、そのタイトル内容から外れた「大連立」騒動の話題に触れました。それだけ自民党と民主党との「大連立」協議、小沢代表の辞意表明から続投までの一連のニュースは衝撃的でした。新聞や雑誌などでも詳しい顛末が掲載され、ある程度の事実関係が分かり始めています。

このブログでその経緯を改めて詳らかにするつもりはありません。あえて騒動という表現を使っていますが、今回の記事で「大連立」に対する個人的な感想や見解を述べさせていただきます。ちなみに当ブログで、政治的な話題を取り上げると違和感や嫌悪感を示される方が時折りいらっしゃいます。「もっと職場内に限った組合活動に専念すべき」「公務員が政治に手を染めるべきではない」などの思いが背景にあるため、そのように感じられるのかも知れません。

もともと「公務員のためいき」は一個人の責任による運営ですので、特に話題の設定に制約を加える必要はありません。とは言え、プロフィール欄でも記しているとおり公務員側の言い分や組合の立場について発信していくことを主な目的としています。したがって、そのような趣旨の範疇での記事を中心に今まで投稿を重ねてきました。回りくどい説明となりましたが、その範疇に「大連立」騒動も入ることになります。

私どもの組合は自治労に加盟しています。自治労は連合の中で、主要な役割を担う産別組合です。連合は「民主党を基軸にした政権交代と二大政党的体制の確立をめざす」政治方針を掲げています。このような縦軸の関係に基づき、私どもの組合も具体的な選挙闘争において民主党の候補者を推薦することが多くなっています。

決してトップダウン的な指示を受け、主体的な判断を加えずに従っているものではありません。確かに民主党に対して様々な注文はあります。しかし、生活者の視点を重視し、働く者の声に耳を傾ける民主党に政権を取ってほしいものと本気で願っています。だからこそ、このブログで今までも民主党に関する話題を取り上げ、組合員の皆さんと問題意識などを少しでも共有できるように努めてきました。

以上のような立場を踏まえ、この間の「大連立」騒動に対する個人的な所感を示させていただきます。小沢代表は自衛隊の海外派遣に対する原則を確立できる絶好の機会と判断し、「大連立」協議に魅力を感じたようです。そして、政権に参加することによって、民主党の目玉政策を実現させ、次の総選挙が有利となる見通しを立てていたことも本心だったようです。

しかし、7月の参議院選挙で示された自民党政治を拒んだ民意などをどのように考えていたのか、その点については致命的な思慮不足だったと言わざるを得ません。さらに小選挙区制のまま、自民党と民主党の与党候補者同士が争う構図を小沢代表は描いていたようですが、違和感は拭えません。有権者に対し、適切な選択肢を与えることができるのかどうか、「大連立」のもとでは選挙制度の形骸化を招きかねません。

したがって、民主党役員会が「大連立」構想を全員一致で拒否したことは賢明な判断だったと思っています。その後、逆ギレ的な辞意表明を示した小沢代表の態度、続投を求めた民主党内の事情、慰留が功を奏して辞意を翻した小沢代表の決断、民主党への好感度を高める話は皆無だと言えます。いずれにしても、たいへんな騒ぎになってしまったため、小沢代表と民主党に対するダメージははかり知れません。

それでも騒動直後の世論調査で、民主党の支持率が下がらなかった結果も出ています。結局、まだまだ簡単に民主党を見限れない私のような支持者が数多くいるのだろうと見ています。とにかく「覆水盆に返らず」の故事もありますが、あまり後ろ向きになりすぎず、今後、党として至らない点は反省しながら地力が高まっていくことを心底期待しています。

たいへん長々と書き込んできましたが、言い足りない点が多く残されている気もしています。また機会がありましたら民主党に関する話題を取り上げさせていただく予定です。最後に一言。「大連立」を党首会談で独断即決しなかった点、部下に説得されて辞意を撤回した点、一昔前の小沢代表では考えられない「変わりぶり」だと評価する声に少しだけ頷いたところでした。

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2007年11月11日 (日)

定期大会を終えて…

水曜の夜、私どもの組合の定期大会が開かれました。大会は「組合の最高決議機関であって、全組合員で構成する」と規約で定められています。したがって、年に1回開く定期大会は組合員全員の出席を呼びかけ、いつも1,500人近く収容できる市役所に隣接した市民会館の大ホールで催してきました。

大会と呼ばれるその会議の成立要件は構成員の3分の2以上の出席ですが、委任状の提出をもって何とか成立している現状です。今回、組合員数1,497人中356人の出席で、委任状提出は907人でした。組合員全体から見て4人に1人弱の出席率ですが、かろうじて昨年より出席者数を増やすことができました。

全組合員対象の大会を続けている組合が少なくなっています。出席者数が減少していく実情を受けとめ、代議員制に切り替える組合が増えているようです。組織の意思決定のあり方として、代議員制を否定する立場ではありません。私どもの組合も出席者数が激減するようならば、代議員制を検討する必要性に迫られるものと思っています。

356人という現状に満足している訳ではありませんが、300人を割り込み出した時がデッドラインだと以前から考えていました。つまり会場に足を運ぶ組合員数が2割にも及ばなくなった場合、組織としての意思決定のあり方が問われかねません。出席者数を伸ばす努力は重ねていきますが、現状を直視した上での対応も決して疎かにできません。

以上のようなモノサシの中で、今回も及第点に達することができ、さらに来年の大会に向けては一人でも多くの組合員に出席いただけるよう努めていきます。ちなみに3年先、新庁舎へ移転する予定です。新庁舎の周辺には千人規模のホールはなく、改めて会場の場所を選択する問題があります。その際、合わせて代議員制などの検討も必要だろうと考えています。

市民会館の大ホールの2階は使わないようにしていますが、それでも約千人の座席があり、出席人数の割合を考えれば確かにガランとした雰囲気です。しかし、300人以上の組合員が一堂に会する場は貴重であり、毎年、本当に中味のある率直な議論を交わすことができています。翌日には「いい大会でしたね」との感想もいただき、たいへん意義深い場になっているものと感じています。

いわゆるヤラセやサクラは一切なく、必ず多くの組合員から質問や要望が示されています。それも執行部の足を引っ張るような意見は皆無に近く、非常に建設的な提起が多いことも有難いことでした。今回、指定管理者制度や複線型人事異動制度に対する組合の見解などが問われました。

全体的に共通する思いとして、諸課題に対して組合のチェック機能を高めて欲しいとの叱咤激励となる意見が多かったものと受けとめています。実は様々な場面で、このように組合員の皆さんから組合の役割に対する期待の高まりを感じる時が増えていました。一方で、そのような期待に力強く応えていくためには執行部体制の充実が欠かせません。

組合の役割や存在が大事だと考えていても、担う役員がいなければ組合は潰れてしまいます。ここ数年、残念ながら執行委員12名の定数が埋まらず、この1年間は欠員が4名まで広がっていました。今回、喜ばしいことに新たな執行委員の顔ぶれが増え、欠員を1名までに戻すことができました。何とかジリ貧状態に歯止めをかけたことになりましたが、それでも今後、ある程度職域からの輪番制による選出方式も検討する必要があるのかも知れません。

大会前日に開票された組合役員の信任投票(投票率94.66%)では、全体的に昨年を上回る信任率を得ることができています。私自身も引き続き執行委員長に立候補し、昨年より1.9%増の92.2%、役員18名中最上位の結果で信任をいただきました。「○」を投じてくださった皆さん、ありがとうございました。また、「○」を託せない組合員の皆さんの思いも斟酌しながら丁寧な活動に努めていくつもりです。

いずれにしても「今の組合は物分りが良すぎる」などの声が聞こえてくる中、大会への出席者数や信任率の上昇は大きな励みとなっています。いわゆる「既得権」的な労使課題の見直しが続く中、「正すべき襟は正し、主張すべきは主張する」という方向性に対し、一定の理解が得られているものと解釈させていただいています。

組合が結成され、今年で60年目を迎えていました。途中で臨時大会もあったため、今回が第62回目の大会でした。このような歴史を重ねる中、今まで産別や地域の中で要職に就く先輩たちが少なくありませんでした。今回の大会で選出した特別執行委員のお二人も、たいへんな重責を担っています。一人は先日、自治労都本部で最も重い責任を負う役職となり、もう一人は連合本部の政治担当副事務局長として小沢代表の全国行脚の大半に同行した方でした。

出身組合の執行委員の定数が欠けている中、よく「白鳥の水かき」の話をする時がありました。先輩たちの活躍ぶりから足元の組合もしっかりしているように見られがちですが、水面下はバタバタしているとの例えでした。このような戯れ言はさておき、お二人の先輩それぞれが後顧の憂いなく職務に専念でき、よりいっそう組合員の皆さんから信頼を得られる組合活動に頑張っていく決意を新たにしています。

最後に余談となりますが、大会が終わった後に連合副事務局長の先輩に小沢代表の辞意表明の舞台裏を尋ねてみました。事実経過はマスコミ報道で大筋明らかになっていますが、福田首相が「国連決議に基づく自衛隊派遣」を受け入れる判断を下したことで、一気に「大連立」協議へ傾いたことを小沢代表は強調していたそうです。機会がありましたら次回以降、「大連立」騒動の話題を取り上げてみようと考えています。

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2007年11月 3日 (土)

徒然と、このブログについて

驚きました。木曜と金曜、2夜続けて「えっ!」という出来事に接しました。中日対日本ハムの日本シリーズ第5戦、完全試合までアウト3つとしていた山井投手を交代させた落合監督の判断、本当に驚きました。昨夜は自民党と民主党との連立協議のニュースが駆けめぐり、前夜以上に驚き、あ然としました。

山井投手の交代は「まめをつぶし、いっぱいいっぱいだった」などの舞台裏の事情もあり、世間の反応は賛否が拮抗しているようです。連立の話は、その夜のうちに役員会を開いた民主党が連立政権への参加を拒否しましたが、至極真っ当な判断だったと思っています。

一方、福田首相との党首会談で即決せず、提案を持ち帰った小沢代表の思惑がよく分かりません。さらに自民党内には「小沢氏側から連立参加を持ちかけた」と指摘する声も出ているようです。こちらの話も党首会談の舞台裏などが徐々に明らかになるのかも知れませんが、とても賛否が拮抗するような世論となり得ないはずです。

ここで民主党が自民党と手を組んでしまったら参議院選挙で示された民意はどうなったのでしょうか。政権交代をめざすと言ってきた民主党の大義や説明責任はどうするつもりだったのでしょうか。政権与党に対するチェック機能を高め、政党が緊張感を持ちながら切磋琢磨しなければならない小選挙区制において「大連立」の発想自体、選挙制度の形骸化を招きかねません。

予想外のニュースに出くわしたため、予定外の前置きが入りました。さて、前回記事「木を見せて森を見せない政治」に対し、様々な切り口から幅広い内容のコメントをいただきました。また、私の表現力の拙さから主張したかった趣旨が適確に伝え切れていないことも反省しています。

ken314さんからご指摘がありましたが、談合の温床につながったり、満足に働かず高額な給料や退職金を受け取る天下りを決して認めている訳ではありません。それでも「天下りや特殊法人を全廃する」とした掛け声が先行していく動きには違和感を抱いています。税金の無駄使いをなくすのは言うまでもなく、その上で公務員が国民のために全力で職務を遂行できる制度をどう築くかが「森」の議論だと考えています。

不正や犯罪に対しての大小を訴え、小さな不正は見逃し、巨悪の追及に専念すべきとの趣旨の記事ではありませんでした。当然、社会保険庁の怠慢や年金保険料の横領問題を矮小化するための「木」や「森」の話ではありません。のぶさんの「納税者がそれぞれ目の前の理不尽なことから公にするのが、この国を立ち直らせる手段だと思う」とのご意見も基本的にその通りだと感じています。

masaさんから厳しい言葉で社会保険庁の労働組合(自治労国費評議会)を批判するコメントが寄せられました。OA化の進歩など社会情勢の変化に対応し、すみやかに改めるべき労使確認事項も多かったように見ています。そのような点は労使で率直に反省し、批判されてもやむを得ないものと考えています。しかし、国費評議会が「社会保障事業に巣食う経済ヤクザ」だったとの言葉は容認できるものではありません。

私の思いは以前の記事「年金記録問題と労組の責任」などで記したとおりです。そして、年金保険料に群がったとの意味では、多くの政治家にも責任の一端があったようです。温水プール付きのペアーレ(社会保険健康センター)や1施設約200億円のグリーンピア(大規模年金保養基地)が、政治家の強引な口利きによって全国各地に建てられました。

少し話が横道にそれますが、和歌山県にあったグリーピア南紀の跡地問題で、自民党の二階俊博代議士と香港の請負業者であるボアオとの不透明な関係も取り沙汰されています。社民党代議士の保坂展人さんのブログ「どこどこ日記」で、民主党提出の「年金流用禁止法案」を審議した参議院厚生労働委員会の質疑も垣間見ることができます。

その中で、舛添厚労相は「国がいちいち口を出すことはできない。これは那智勝浦町という独立した自治体の問題だ」と逃げ腰の答弁に終始しているようです。保険料横領問題で「盗人は最後の一人まで牢屋に入ってもらう」と繰り返し、「市町村がやらないなら社会保険庁長官の名前で告発する」と高圧的に主張した舛添厚労相の発言とは思えない消極さです。

長々と綴ってきましたが、私自身、物事に対して多様な見方があることを当たり前だと思っています。そのため、当ブログでは結論的な主張を押し付ける書き方は慎んでいるつもりです。それでも私の考え方が特に中立的なものではないため、相反する考えをお持ちの方からすれば、今回の記事も含め、不愉快に感じる内容が少なくないかも知れません。

一方で、自分自身の考えが絶対正しく、他者からの批判意見に耳をふさぐタイプでもないつもりです。そのため、このブログへの幅広い視点からのご意見を歓迎し、厳しいご指摘を受けた時も謙虚に受けとめながら自問自答する貴重な機会だと考えています。とは言え、感情面が先走った言葉や単なる誹謗中傷のコメントに対しては、棘を含んだレスで応じた場合も時折りありました。

また、公務員やその労働組合を頭から批判する立場でのコメントが寄せられた時は、これまでの経験上、少なからず嫌な予感がしています。お互い平行線をたどる議論、「メビウスの帯」状態となるような終わりのない対話を危惧してしまいがちでした。たいへん失礼ながら前回記事へのmasaさんのコメントがそのような印象を受けました。

加えて、短い文章のコメント欄では言葉足らずとなる恐れがあり、誤解を招いたり、充分真意が伝わらない懸念もあります。そのため、masaさんのコメントへのレスは、バックナンバーの「5千万件の年金記録漏れ」から続く一連の記事、そのコメント欄での数多くの議論をお読みいただくことのご紹介にとどめました。しかし、masaさんのようなお怒りに対し、丁寧に対応していくことが当ブログの目的の一つですので、その丁寧さに欠けたレスであったことを反省し、今回の記事本文につなげています。

masaさんのコメントに絡み、私の気持ちを適確に語っていただいたコメントをken314さんから頂戴しました。このようなフォローをいただけることは本当に感謝の思いで一杯です。特にken314さんは「心が折れました」と初めは批判気味のコメントをくださった方でした。その後、コメント欄での対話を通し、ある程度、お互いの距離感が縮んだ方の一人だと思っています。このような関係を築けることが当ブログを続けていく励みの一つでした。

最後に、週一の更新ペースとしているため、一つの記事に話題を盛り込みすぎている時があります。前置きだけで、標準的(?)なブログの長さになっている場合があるかも知れません。その一方で、東京都人事委員会の勧告や公務員への労働協約権付与の問題など、このブログで取り上げたい内容が数多くありながら時機を逸してしまいがちです。

この「公務員のためいき」を開設したのは一昨年の夏でした。最初の1年間は、組合活動に関するイベントなどを素早くマメにブログの記事としてきました。次の年からは、特段目立った話題がない恒例行事はスルーすることも多くなりました。それでも組合にとって最も重要な会議である定期大会関連の記事は2年続けて投稿してきました。今年も来週11月7日に開かれる定期大会に関しては次回以降の記事で取り上げる予定です。

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