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2007年10月13日 (土)

社保庁元係長の逮捕

これまで時折り、インターネット上や雑誌などで目にした興味深い話題を当ブログで紹介してきました。そのような時、必ず伝聞調で綴っています。100%事実かどうか断定できない可能性もあり、読み手にその判断を委ねる書き方でした。

役所の文書などでは絶対使えない手法ですが、このようなブログでは許される範囲だろうと思っています。「アメリカ企業から郵政民営化の功労者である竹中さんに2兆円(「いざなぎ超え」と新自由主義)」の話は、あまりに突飛な噂話の類いだったため、厳しい批判コメントをいただいてしまいました。

一方、情報や知識については必ず確認することを習慣化し、うろ覚えや憶測で記事を書かないように心がけています。電子辞書を傍らに置いて、誤字や誤用などにも注意しています。それでも「他山の石とせず」のように迷わず使った慣用句が誤りで、ご指摘を受けて訂正した赤面する例もありました。正解は「他山の石として」教訓化していく使い方でした。

前回記事「舛添厚労相の発言」のコメント欄で、深く反省しなければならない事実誤認を犯してしまいました。全国指名手配されていた社会保険庁の元係長が逮捕された報道を取り上げた際、「懲戒免職されていた元係長」と書き込んでいました。投稿直後、せっせさんから「発覚前に依願退職(もちろん退職金つき)」とご指摘を受け、「懲戒免職」の箇所のみを削除し、次のとおり訂正したコメントは残しています。

全国指名手配された社会保険庁の元係長、厚労相の強い指示を受けて「全国指名手配」され、働いていた風俗店で逮捕に至ったニュースが象徴的です。本人いわく「指名手配されていたことを知らなかった」とのことでした。繰り返し述べてきましたが、法律に則った一連の行為を決して批判できません。ただあまりにもシンボリツクな事例に押し上げられているような気がしています。この元係長の場合、特に本人は逃げ隠れしていなかったのにもかかわらず、仰々しく全国指名手配するケースだったのか疑問に思っています。

私が引っかかったのは「本人が知らなかった全国指名手配」の件でした。しかし、せっせさんからは懲戒免職だったかどうかで前提が変わる点の指摘も受けています。さらにken314さんから「懲戒免職と思いこんでしまっているあたり、やはり公務員なんだな、と思いました。心が折れました」とのコメントも寄せられました。確かに致命的な誤りだったと重く受けとめています。申し訳ありませんでした。

今後の戒めとするためにも、この問題を改めて記事本文で取り上げてみました。なぜ、このような過ちを犯したのか、まず自分自身の心構えの問題がありました。じっくり時間をかけている記事本文と違い、コメント欄の文章はきわめて短時間に書き込んでいます。朝、通勤前の時間に書くことも多く、コメントに対しては冒頭に記したような慎重さが欠けがちでした。

とは言え、報道内容などに関して曖昧なまま書き込むことは決してありません。今回の元係長逮捕のニュースも新聞記事を手元に置いて、参考にしながらコメントを書き上げています。ちなみに逮捕されたことを伝える新聞記事の内容は次のとおりでした。

福岡県警捜査2課と小倉南署は8日、国民年金の保険加入者から徴収した保険料33万円を着服したとして、業務上横領容疑で全国に指名手配していた小倉南社会保険事務所(北九州市小倉南区)の元係長、北川勝久容疑者(37)が、熊本市内の風俗店で働いているところを発見し、同容疑で逮捕した。北川容疑者は本名で勤務し、店の借り上げ住宅で生活していたが、自分が指名手配されていたことは知らなかったという。社保庁の年金横領が問題化して以降、逮捕者が出たのは初めて。

調べによると、北川容疑者は同事務所で国民年金保険料の徴収業務をしていた2006年2月上旬ごろ、保険料が未納だった加入者2人の自宅を訪問。同事務所の金庫から盗み取った領収証を加入者に渡して現金を徴収し、2人から受け取った保険料計33万円を着服した疑い。福岡社会保険事務局は昨年12月、北川容疑者が同様の手口で、加入者7人11件分の保険料計100万5900円を着服したとして県警に告訴した。県警は余罪についても追及する方針。(読売新聞10月9日)

特に社会保険庁を辞めた経緯は書かれていませんでしたが、頭から懲戒免職されたケースだと思い込んでしまいました。次のような指名手配した時のニュースまで確認する手間を惜しまなければ、今回の誤りは避けられたようでした。

北川容疑者は横領発覚前の06年7月に依願退職し、現在行方が分からなくなっている。退職後、加入者の指摘で犯行が発覚、福岡社会保険事務局が県警小倉南署に告訴していた。北川容疑者は発覚後の同事務局の調査に対し「借金の返済に困った」などと横領の事実を認め、最近、親族が横領額を返済したという。同事務局は「在職中に発覚すれば懲戒免職に相当する」として退職金の返還も求めている。(毎日新聞10月3日一部抜粋)

自分のミスを反省しながら元係長逮捕の一連のニュースを紹介させていただきました。さらに墓穴を掘らないためにも言葉を選ばなければなりませんが、福岡社会保険事務局の対応にも何か締まらなさを感じてしまいがちです。いずれにしても今後、記事本文はもちろん、コメント欄でも不確かな情報は記さないよう充分注意していきます。

最後に一言。社会保険庁が宮城県大崎市に代わって、年金保険料を着服した元職員を告発しました。舛添厚労相の発言をめぐる波紋は日々広がっています。また、前回記事のコメント欄での議論の流れからすれば、今回の記事は脇道にそれたものだったかも知れません。次回以降の記事で、いずれグリーンピアの問題なども掘り下げていくつもりです。

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コメント

>OTSUさん

この件に関してOTSUさんに非が有るとは思えないのですが。

初報の内容から言えば、「懲戒免職だろう」と判断するのはおかしくないです。

第二報以降で初めて、事件発覚より先に依願退職していたことが報道されたのですから、その時点で認識の誤りを訂正すれば良いだけのことなのではないでしょうか?

むしろ、この経緯でOTSUさんが「依願退職だろう」と思うようなら、「公務員の発想はおかしい」ということになるのではないでしょうか?

OTSUさんがこの事件で普通に「懲戒免職だろう」と判断したと言うことは、こういうケースでは懲戒免職されるのが当然と言う感覚を地方公務員の現場感覚でも有しているということにしかなりません。

何故、この件で「懲戒免職と思いこんでしまっているあたり、やはり公務員なんだな、と思いました。心が折れました」というken314さんの反応が出るのか理解できません。

>ken314さん
OTSUさんが単にうっかりして、事実確認が出来ていなかっただけで、心が折れてしまうのは何故でしょうか?

投稿: とおる | 2007年10月13日 (土) 07時43分

とおるさん、おはようございます。コメントありがとうございました。
そのように受けとめていただけると少しホッとします。ただ「依願退職」だったニュースは先に伝えられていたものであり、私の確認不足だったことは否めませんでした。
また、議論を誘導するため、意図的に「懲戒免職」とした訳ではありません。しかし、コメント内容の趣旨が変わりかねない重大なミスを犯してしまったため、公正な問題提起ではない印象を与え、ken314さんのような感想につながったものと思っています。その上で「心が折れました」は期待感の裏返しの言葉だと解釈させていただいていました。

投稿: OTSU | 2007年10月13日 (土) 09時01分

 今回の「告発」の件を見ると、やはり「国策捜査」があるのかなという感じがします。

 そもそも「業務上横領」は親告罪ではないはずですから、捜査機関が本気になってやる気さえあれば、官民問わず、「告発」などなくてもよいはずなんですよね。
 実際、「収賄」など、告発なんかなくても捜査して摘発しているんですから。

 告発というパフォーマンス自体が、結局は年金保険料の流用や年金制度自体そのものへの議論をそらすための、「目くらまし」にほかならないと考えています。
 
 ところで、私自身は「申請主義」という行政のシステム自体が問題であると考えていますが.......。これについては、民間の生命保険会社でも同様の問題がありましたから、これを「他山の石として」、行政にどう取り入れるかが問題と考えています。

投稿: Unvollendete | 2007年10月13日 (土) 13時28分

某市役所の職員です。
社会保険庁が宮城県大崎市に代わり年金保険料を着服した元職員を告発した件ですが、報道によれば、横領した金は返済し、懲戒免職も受けているそうですね。だったら、重犯でもない限り、判決は、被害を復元し、懲戒免職で社会的な制裁を受け、本人も反省しているとして、執行猶予となることでしょう。(これまで仕事で刑事裁判を何度か傍聴した経験からの判断です。)
以前、私と同じ役所の別の部に所属する友人が、公務で検察庁に刑事告発の相談に行ったら、検察庁は忙しいのだから、いちいちそんなことで告訴などするな、市役所で解決しろと怒られたと言っていました。今回も、検察庁の本音は、つまらぬ告訴をしやがってというところでしょう。起訴するには、どんな簡単な事件でも、細かく調書をとり、起訴状を書かねばならない。そして、判事、検事、弁護士のスケジュール調整しての公判が少なくとも3回。執行猶予付きでも、判事は事実認定をし、きちんと判決文を書かねばならない。こうして費やされる時間とお金。裁判は税金で行われるのです。
それなのに告発ばかり言う桝添厚労相の真意は、年金問題を末端の横領問題に矮小化することにあると思われて仕方がありません。

投稿: 惑星人 | 2007年10月13日 (土) 13時50分

こんばんは、相変わらず腰が低いですね。

今回の懲戒免職はOTSUさんが謝る必要はないと思いますよ。
自治労が出したコメントなら問題だけどこれって私的なブログじゃないですか。余暇を使って書いてるんだから、その程度の誤解はぜんぜん問題ないですし、「あっ、ごめんね」で十分すぎるぐらいです。

また、今回の告発の件ですがこれは私的には有効だと思いました。確かに税金の無駄遣いかもしれませんが、意義ある無駄遣いだと思いました。
今までは、不祥事が内々に処理されていて近所に知られずに済んでいたものが、告発されればそういうわけにはいかないものになると思っております。
告発が抑止力になることを願います。
企業のお金は私的なものですが、公金は税金です。ある意味、国民全体が被害者です。
今回は見せしめです。くどいですが、これが抑止力になることを願います。
また、舛添さんには大いにこの調子で行ってもらいたいです。

投稿: エニグマ | 2007年10月13日 (土) 23時05分

Unvollendeteさん、惑星人さん、エニグマさん、コメントありがとうございました。

一定の結論を出していた事件に対する告発問題、Unvollendeteさんのご指摘のとおり舛添厚労相のパフォーマンスであることは衆目の一致するところです。しかし、その行為への評価は立場や視点で大きく異なるようです。

法律を厳格に遵守するのは当然ですが、惑星人さんが指摘された警察や検察側の事情もその通りだろうと思っています。事件の悪質性などは捜査機関が判断する原則をすべての法律違反に適用した場合、それはそれでたいへんな話につながる気がしています。

エニグマさん、お気遣いありがとうございます。必要以上に腰を低くしているつもりはありませんが、ブログのザブタイトルのとおり「謙虚さ」を心がけています。不愉快に感じた方がいらっしゃったことは確かですので、率直に謝らせていただきました。

投稿: OTSU | 2007年10月14日 (日) 09時10分

ご無沙汰いたしておりました。
この間もみなさんの議論は拝見させていただいておりましたが、日常の業務と単組の取り組み、PTAや地域の行事が立て込んで、参加する機会を失しておりました。

さて、今回の告発劇は????
職員の関わった事件の多さにも驚きましたが、それでも???

確かに厳正に対処することで今後の警鐘としたい意図は十分に理解でき、否定するところではありません。
しかしながら、すでに被害を弁済し、懲戒処分となっていた場合、社会的制裁も受けて後、言葉は悪いのですが「今さら」という感じがいたします。
「今後は、厳正に対処するぞ。徹底的にやるぞ。」というのであれば建設的というか効果も期待するのですが・・・。
おそらく、今回の件も今から公判の間に退職金を返すなりされれば、せいぜい執行猶予付き判決となる公算が大きいでしょう。

退職金を返せということなら、告発なんてしなくても当事者と話し合えばいいし、それでも返さないとなってから告発に踏み切ってもいいんじゃないのかな?

警察、検察、裁判所その他諸々、関係機関に要する費用は結構な額になると思います。
それなら、もっと重大な事件にその時間と労力、経費を充てた方がいいんじゃないかな???

告発すること自体、国民にアピールすること自体が目的の大臣のパフォーマンスで終わってしまいそうで残念です。

要は、再発の防止。コンプライアンスと職員のモラル確立が最大の目標と思うのですが・・・。(しかし、それでも事件の数は目を疑うというか、地方公務員として恥ずかしい限りです。)

投稿: shima | 2007年10月14日 (日) 13時43分

shimaさん、お久しぶりです。コメントありがとうございました。
法律は勝手に解釈できないため、舛添厚労相の主張が正論となり、実態や心情面からの悩ましさが退けられてしまうのが残念です。公務員にとっての極刑である懲戒免職で処分され、人生の再チャレンジ中の人に対し、何年も間が空いてからの刑事告発、「死屍に鞭打つ」故事が頭に浮かんでしまいます。
このように語るとお叱りを受けるかも知れませんが、この問題では正直なところ理屈と感情がせめぎ合いしています。とにかく今後、絶対公金を横領する職員を出さない組織としていくことが最も重要であることは言うまでもありません。

投稿: OTSU | 2007年10月14日 (日) 17時49分

>とおる様
>OTSU様
「心が折れる」は、まさに期待の裏返しです。
「この人は、“不祥事に甘い、身内に甘い”という
公務員の負のイメージからは遠い人なんだ」という
期待感をOTSUさんに対して持っていました。
それが、あのコメントで、「やはり身内に甘い人
なんだ」とがっくりきたのです。
ただ、経緯を説明して貰いましたので、納得はしました。

一方、「横領」については、「これから横領が生じたら
告発するのか」がみえません。
今一番逆風が吹いているときですら告発しないのなら、
これからも横領は「告発されない程度」の軽い犯罪
として公務員の方から認識されるんだろうな、というの
が正直な気持ちです。

>退職金を返せということなら、告発なんてしなくても当
>事者と話し合えばいいし、それでも返さないとなってか
>ら告発に踏み切ってもいい
その類の提案は宮城県知事等からは、だされていないと思い
ます。
改善策が明示されていないのに「告発は不公平だ」と
いわれても「やはりこれからも横領は続くのだろう」
という気持ちが先に立ちます。
年金に限らず、これから横領等が生じたときに、告発
する/しないを明言して欲しいです。

投稿: ken314 | 2007年10月14日 (日) 22時58分

ken314さん、コメントありがとうございます。また、経緯についてご理解いただき、ありがとうございました。
横領に対する告発、今後、必ず行なうべきだと考えています。これまで原則を貫かなかった事例が多く、「身内に甘い」ような批判を受けています。住民の皆さんから「身内に甘い」と決め付けられるのは本意ではありませんので、今後、曖昧な対応は許されないものと思っています。

投稿: OTSU | 2007年10月15日 (月) 07時12分

企業の法務関連の仕事をされている方のブログで、この話題について触れられているので紹介します。
企業の法務に携わる方の実務感覚に基づく現実的意見であり、私も基本的にこれに同意見です。

>OTSUさん及び他の方

これを読まれても、今後は必ず告発すべきとお考えになりますか?

http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/
2007-10-13
■[企業法務]告発のコスト

>社保庁自身、もはや風前の灯火とも言うべき組織だけに、背後に控える舛添要一厚生労働相の意向に従わざるを得なかったのだろうが、
>普通の民間企業なら、たかだか28万100円の着服額で、既に全額弁済され、懲戒免職を食らっている元職員に対してさらに刑事処分を求める、といったような無駄なことはしない。

>さらに言えば、懲戒免職を食らい、30代にしてその先相当苦しい人生を歩んでいかなければならないことが予想される元職員に、
>さらに追い討ちをかけるようなことをしたのでは、在職している社員の士気にも係わることになる。

>それゆえ、この手の犯罪に対する制裁は、あくまで「私的」なものに留め、刑事処分までは求めない、というのが実務の“知恵”といえる。
(中略)
>そうでなくても年金問題の処理で一杯いっぱいになっている社保庁に余計なミッションを課す大臣の姿勢は、
>“単なるパフォーマンス”との謗りを免れ得ないし、それによって、刑事司法制度に余計な負荷をかけることになるのだから、なおさらタチが悪い。

投稿: とおる | 2007年10月16日 (火) 07時20分

上記コメントに対して。

責任回避の意味も含めてこれまでが有耶無耶になっていたのだから、これほど横領件数が多いのですよ。
失われた金額を考慮するとここで告発をするという前例を作るコストなどたかが知れています。

公務員の告発義務は行政事務を適正に行う為に儲けられたもので、それを捻じ曲げた自治体などは信用するに足りないということも露呈してしまいました。


投稿: かおる | 2007年10月16日 (火) 09時00分

とおるさん、かおるさん、コメントありがとうございました。
この間の論議における対照的なご意見をいただきました。私の思うところは今までに述べたとおりです。
一点だけ気になったことがありました。確かに公務員の告発義務は行政事務を適正に執行するためですが、内部の不正防止のみを目的としていません。職務の執行に際し、外部の人間に対しても勝手な判断で目こぼしさせない義務規定とされているようです。
したがって、公務員は必ず腐敗するような前提で見られるのは悲しいものがあります。ただ残念ながら過去の不正の多さから強く反論できない忸怩たる思いがあることも確かです。

投稿: OTSU | 2007年10月16日 (火) 22時52分

OTSU様
「これからの横領事件に対しては告発すべき」
ことを表明頂き、有り難うございます。
>公務員にとっての極刑である懲戒免職で処分され、
>人生の再チャレンジ中の人に対し、何年も間が空
>いてからの刑事告発、
確かに、「時間をおいてからの告発」は、実質的に
処罰の二重化を招き、酷に過ぎると思います。
これら二点では私とOTSUさんとの意見は一致している
と思います。
ただ、問題は、「これからの横領事件については必ず
告発する」という意思表明が、社保庁及び役所側から
明確になされていない(少なくともそのような報道
はされていないと思います。私が無知なだけかもしれま
せんが)ことだと思います。
私を含めて、「過去の横領事件の告発をしない」
=「これからも横領事件の告発はしない」と受けとめ
ている人が大多数だと思います。
社保庁等がこの点に気づいていないのか、意図的に
「これからの横領事件を告発する」ことを表明していない
のかはわかりませんが、ここを解決しない限り、国民との
温度差は解消できないと思います。
また、公務員の方のなかでも、あえて「火中の栗を拾う」
という誠意ある方に対して集中的に苦言を呈する形になり、
OTSUさんには申し訳ないと思っています。色々板挟みに
なってつらいでしょうが、OTSUさんのような方が公務員の方の
主流になるよう期待しています。

惑星人様
>公務で検察庁に刑事告発の相談に行ったら、検察庁は忙しいのだから、
>いちいちそんなことで告訴などするな、市役所で解決しろと怒られたと
>言っていました。

>とおる様
>刑事司法制度に余計な負荷をかけることになるのだから、
>なおさらタチが悪い。
検察庁は忙しい、刑事司法制度に余計な負荷をかける、
というのは心情的に理解できる面もありますが、自分の
会社で20万程度の横領があって、「忙しいから告発する
な」と言われたら、私は激怒します。
>市役所で解決しろと怒られたと言っていました
これが事実なら、それこそ大問題だと思います。
検察庁が忙しいなら人員補強するなり、告発の要件を
検討するなりすればよく、それを国民側が配慮しなけ
ればいけないというのは本末転倒そのものです。
「告発する」という国民の正当な権利の放棄を勧める
ような行為は、人として、また法律家として失格だと
思います。

会計士の方に関しては、(既に懲戒免職等を行ってい
るという前提で)コスト面から「告発する/しない」
を決めるのは合理的な判断だと思います。

>そうでなくても年金問題の処理で一杯いっぱいに
>なっている社保庁に余計なミッションを課す大臣
>の姿勢は、“単なるパフォーマンス”との謗りを
>免れ得ない
ただし、上記の意見に関しては、その会計士さんが
本気でいっているのかどうかはわかりませんが、
「グリーンピアを作る余力があったのだから、
告発ぐらい簡単にできる」
「これから起こりうる横領の損失抑制効果のほうが
遙かに大きい」
という反論で詰みだと思いますよ。

投稿: ken314 | 2007年10月17日 (水) 01時17分

>ken314 さん

あの私の紹介した記事と惑星人さんのコメントをごっちゃにしてレスしないで下さい。

それと紹介した記事は、会計士の書いたものではありません。企業の法務担当の人が書いたものです。

何故、ちゃんと読まないで変な反応をするのでしょうか?
その点についての釈明を求めます。

なお、
>「グリーンピアを作る余力があったのだから、告発ぐらい簡単にできる」

それは、年金資金を流用して告発しろと言うことでしょうか?それこそ本末転倒な意見です。
グリーンピアは余力で作っていたわけではなく、役所の人員で作った訳でもありませんよ。

>「これから起こりうる横領の損失抑制効果のほうが遙かに大きい」

これは貴方がそう期待しているだけであって、現実ではありません。

「原則懲戒免職+横領金の返済」の抑制効果よりも、「刑事告発」の抑制効果の方が遙に大きいとする根拠はありません。

現実問題として、横領等の犯罪は借金に追われている等正常な判断力を失っている人間が起すものなので、その先に刑事告発がまっているから止めようと考えられる状態なら、最初から起きませんよ。

投稿: とおる | 2007年10月17日 (水) 05時39分

Unvollendete さん

あなたは、「申請主義者」だったはずですが、修正するのですか?
先日のコメントと比べて違和感を感じております。

しかし、行政の闇はいくら慣行とはいえ表沙汰になるのに時間がかかり過ぎますね。
この件が社会問題化したことによって国が実態調査をするかどうか国会で議論されましたが、また時間だけが過ぎていかないように総務大臣には仕事をしていただきたいものです。

投稿: 立川市民 | 2007年10月17日 (水) 07時13分

>とおる様
会計士としたのは私の思いこみでした。
申し訳ありませんでした。

>「刑事告発」の抑制効果の方が遙に大きいとする根拠はありません。
その通りですね。同様に、この状況で告発することを
>余計なミッション
>“単なるパフォーマンス”
とする根拠もないと思いますよ。なにせ、実際に試した事例がないんですから。
「感情論には感情論の反論が帰ってきて千日手になるだけ」ということ
を意図してあの書き込みになったのですが、文章が下手で上手く伝わらず、申し訳ないです。

ところで、
「これからの横領事件に対しては告発すべき」
「時間をおいてからの告発」は、実質的に処罰の二重化を招き、酷に過ぎる」
これら二点ではおそらく私とOTSUさんとの意見は一致している
と思いますが、とおるさんは如何でしょうか。

投稿: ken314 | 2007年10月17日 (水) 08時47分

>ken314さん

前半部分について了解いたしました。

後半部分については、
>「これからの横領事件に対しては告発すべき」
>「時間をおいてからの告発」は、実質的に処罰の二重化を招き、酷に過ぎる」

私の現在のスタンスは、紹介した記事と同様です。全ての横領事件を告発するのは無駄と思います。
横領金額が極端に大きかったり、弁済しない等の悪質なもの以外は、懲戒免職と弁済で、十分な制裁と見せしめの効果があると考えます。

これは実務上、制度運用上の効率を考えた意見です。

正直な話、私個人としては、横領犯が告発されても痛くも痒くもありませんし、気分的にはむしろスッキリするかもしれません。
そのため、個人的感情としては、ken314さんのような立場をとることも可能ですし、心情を理解することもできます。

しかし、客観的に見て、刑事告発に伴うデメリットを埋め合わせるだけの気分的なもの以外のメリットが感じられません。

起訴猶予や執行猶予で留まるレベルの事件を原則として刑事告発しても、何の見せしめ効果も生じません。
そんな無駄なことに貴重な検察官の能力と時間を費やすよりは、検察官にはやらなければならないことが他に幾らでもあると思います。

逆に、仮に全額弁済しても起訴猶予や執行猶予にならなくなるような事態が生じると、横領犯が素直に弁済しなくなるので、完全にマイナスな効果です。
もちろん、検察がそういう方向に動くことは、まず有り得ない事態であると思いますが。

投稿: とおる | 2007年10月17日 (水) 20時01分

ken314さん、とおるさん、立川市民さん、ご訪問ありがとうございます。
多面的な見方や情報に触れる機会となり、本当にこのブログを続けていて良かったと思っています。時には勇気付けられ、時には自分の考えの浅はかさを反省する、たいへん貴重な場となっています。ぜひ、これからもよろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2007年10月17日 (水) 21時38分

OTSU様
このサイトをみることで、公務員に対する不信感がある程度は払拭されましたような気がします。

とおる様
>現実問題として、横領等の犯罪は借金に追われている等正常な判断力を失っている人間が起すものなので、その先に刑事告発がまっているから止めようと考えられる状態なら、最初から起きませんよ。
>そんな無駄なことに貴重な検察官の能力と時間を費やすよりは、検察官にはやらなければならないことが他に幾らでもあると思います。

これらに関しては、私とは認識が違いますね。横領件数が非常に多いこと、一件あたりは比較的少額(例えば28万100円)のケースが多いこと、を考慮すると、横領のリスクを過小評価して犯行に及んでいるケースが多いと思います。
職を失い退職金を失うというリスクを認識したうえで高々数十万程度の横領を行う人がこんなにたくさんいるとは思えませんから。
「これからの横領事件に対してはすべて告発する」と明言することで、横領のリスクが正しく認識されると思います。そうなれば、横領件数もかなり減るので、検察官の負担もそれほど増加しません。

もっとも、「横領が発覚してもまさか懲戒免職にはならないだろう」と考えて犯行に及んでいるというのであれば、告発しなくても、「横領が発覚すれば必ず懲戒免職になる」ことを明確にすれば、ある程度の抑制力になるとは思います(ただし、告訴して横領者の名前が報道され、本人以外の上司、同僚も警察の取り調べをうけるという事態になることによる抑制力よりは弱いと思いますが)。

そこで、公務員の方に(可能であれば)お答え頂きたいのですが、「横領すれば少なくとも懲戒免職に処す」という明確な通達等は、内部ではなされているのでしょうか。また、自治体等は、報道陣に対しても同様の宣言を行っているのでしょうか。
現状では、「告発はしない」という発言が大きく報道され、一方で横領に対してどのような対策をとっているのかはあまりみえてこないので、結局これからも横領の発生件数は変わらないのではないかという不安が先に立ちます。
地方自治体や社保庁が「横領すれば懲戒免職以上の処分を行う」と明言しているけども報道されていないのか、あるいは自治体等が明言を避けているのか、気になります。

投稿: ken3141 | 2007年10月19日 (金) 02時43分

>ken3141さん

>「これからの横領事件に対してはすべて告発する」と明言することで、横領のリスクが正しく認識されると思います。
>そうなれば、横領件数もかなり減るので、検察官の負担もそれほど増加しません。

仮の話ですが、従来、内部解決率が90%で刑事告発に至るのが10%だったとすれば、刑事告発が100%になれば、検察官の負担は10倍に増えますよ。
刑事告発をすることにした結果、横領件数が30%に激減したとしても、検察官の負担は3倍増です。現実にはアナウンスをしただけで、そこまで低下するとは考え難いですが。

どう考えても、検察官の負担は激増することになると思います。

さらに言えば、こういった厳罰化のアナウンスは、導入当初はそれなりの効果を上げますが、人間は環境に慣れてしまうので、時間の経過とともに抑制効果は薄れていきます。
飲酒運転等の危険な運転行為が厳罰化の方向に動き、さんざんアナウンスされても無くならず、再び起きてしまうのと同じです。

ken3141さんは、厳罰化とそのアナウンス効果について、過剰な期待をしていると思います。

投稿: とおる | 2007年10月19日 (金) 06時03分

とおるさん、

公務に専念できるように上場企業並み(企業全体から見れば勝ち組)の給与を漏れなく保障されている公務員が、遊ぶ金欲しさに強制的に徴収した金に手をつけているのだから、採用やその後の啓発など人事管理に重大な瑕疵があるのでしょう。

厳罰化すると捜査・裁判に係る行政コストが増えると主張されていますが、行政への信頼を無くす行為をした輩に不適切な裁量による恩赦で払うコストに比べれば相殺以上の効果があるでしょう。
告発が抑止力にならなければ、加重的な罰則を作れば良いのですよ。
法益は公正な行政運営と行政に対する信頼です。
厳罰化は、飲酒運転ではある程度の効果が出ています。

所得と職業で犯罪発生率を比較すれば、公務員のセクターは同所得層の平均以上かもしれませんね。

OTSUさん
公務員に労働協約締結権が認められる方向ですが、どのような状況が想像できますか?
ぜひ、現場のご意見を頂戴したいと思います

最近は「真摯に受け止める」という台詞も他で聞くことがあり、安っぽくなってしまいました。

犯罪のみならずパフォーマンスの悪い職員には降格や転属、はたまた退場を求めます。
匿名でも職員個々の評価の実態を公に議論すべきだと感じます。

投稿: リアリスト | 2007年10月19日 (金) 12時43分

ken3141さん、とおるさん、リアリストさん、コメントありがとうございました。

公務員を批判的に見ている方々との相互理解が少しでも進む機会となれば、たいへん意義深いことです。その意味でken3141さんの一言は非常にうれしく思います。

ken3141さんのお尋ねに対し、私どもの市では対外的に公表している「懲戒処分の指針」があります。その中で「公金又は公物を横領した職員は、免職とする。」と定められています。

リアリストさんからの問いかけですが、労働協約締結権が法的に保障されることは、公務員組合にとって一歩前進であることは間違いありません。しかし、どのように法律面での整備が進んだとしても、大事なのは日常的な労使の信頼関係であり、馴れ合いとならない労使対等の緊張関係だと思っています。さらに住民の意識と乖離しないパランス感覚を組合側が磨くことも重視されています。以上の点が不充分なままの労働組合だった場合、法的保障も「絵に描いた餅」となってしまう懸念を抱いています。

投稿: OTSU | 2007年10月19日 (金) 21時52分

 しばらく留守にしていたので、私に対するコメントがあったのに驚きました。

>あなたは、「申請主義者」だったはずですが、修正するのですか?

という書き込みがありましたが、私は以前のコメントで「申請主義」だから制度を使う側はよく知らなければならないと、地方自治体に勤める職員としての立場で書いているはずです。(国庫補助の制度を自治体が使うときの立場)

 しかし、その後に住民の窓口に対する要望(ワンストップを例にしました)では、そういうこともやるべきであるともはっきり書いているわけです。

 「申請主義」は使う側が制度を理解していなければならない(挙証責任がこちらにある)ので、職業として従事している人ですら大変なものですが、一般の住民はそういうわけではありませんから、サポートが必要であることは当然であると考えています。

 これらの発言もきちんと見て評価してもらいたいものです。 

投稿: Unvollendete | 2007年10月20日 (土) 22時29分

OTSUさん

>住民の意識と乖離しないパランス感覚を組合側が磨くことも重視されています。

バランス感覚は、体験して肌で感じないと数字の意味も理解できないと経験上感じますが、カウンター以外は実質上外部から遮断されている多くの公務員には、バランス感覚を知ること自体が困難でしょう。

外部環境に直接的に順応しなくても存続できる役所には経済的、倫理的、様々な面で乖離が認められますが、経済的に疲弊している地方においては経済面が顕著です。(OTSUさんには実感が無いでしょうが)
人事院が関与しなくなり結果的に地域経済の実態に公務員の待遇も落ち着いてくれれば良いのですが、様々な抵抗があるはずです。
地方公務員の約半数、100万人程度は過剰に保障されているとするなら、これは誤った保護政策ですよね。

投稿: リアリスト | 2007年10月21日 (日) 10時51分

Unvollendeteさん、リアリストさん、コメントありがとうございました。
このブログの最大のテーマとも言えますが、リアリストさんのようなご意見をお持ちの方が多いことを強く認識しています。その認識を公務員側が持っているかどうかも重要なことだと考えています。
なお、直接的なお答えとなりませんが、今夜、新規記事を投稿しました。ぜひ、またご訪問いただければ幸です。

投稿: OTSU | 2007年10月21日 (日) 21時39分

とおるさん
>刑事告発をすることにした結果、横領件数が30%に激減したとしても、検察官の負担は3倍増です。
>どう考えても、検察官の負担は激増することになると思います。
や、私が求めているのは横領件数の減少ですから。横領件数がたとえ50%になるだけでも十分な成果ですよ。
http://www.asahi.com/special/070529/TKY200709210309.html
によると、
>社会保険庁は21日、市区町村職員の国民年金保険料横領に関する2次調査の結果を発表した。90市区町村の101件に及び、横領金額は2億4383万円。19日公表の中間とりまとめ
>よりも6件、約1600万円増えた。101件のうち、退職金が支払われない懲戒免職は43件にとどまり、何ら処分しなかったのも22件あった。

とのことなので、横領に対するリスクが正しく公務員に認識されていないのが現状です。「必ず告発」にすればリスクが正しく認識されるでしょう。 

また、繰り返しますが、検察官の負担は国民側が過度に心配する必要はありません。
ただし、全体に対する「公務員の横領」の告発件数の比率がわからないと無意味ですね。
この比率が例えば1%から3%になっても「激増」とは思えない。逆に、この比率が50%であれば、まさしく「激増」ですね。
全体告発件数は調べられなかったのですが、国税庁での年間告発件数だけに限ると160件ぐらいで、これまでにわかった年金関係での公務員の横領総数は100件ぐらいですかね。ただし、年金横領のなかった鳥取県ですら、
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1313057658
で、
[鳥取市で相次ぐ公金着服]
http://219.166.24.90/tokusyu/focus/060812.html
とのことですから、年金問題以外の横領にまで範囲を拡げると、告発件数は凄いことになるかもしれませんね。
地方自治体には、最低限「横領したら、懲戒免職以上の厳しい処分を行う」ことを明言して欲しいものです。

>OTSUさん
公務員の告発義務(まあ、法解釈は諸説あるみたいですが)があることから、そういう規定はあるでしょうが、
実際に懲戒免職にもならない例が多いので、その規定が有名無実化していると思います。
「これからは確実に懲戒免職以上の処分がある」ことを明言したほうが、国民の理解を得られると思います。

投稿: ken314 | 2007年10月22日 (月) 09時30分

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