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2007年8月26日 (日)

「公務員」議論のあり方

先週日曜に投稿した「市長選に向けた組合の対応」へのコメントはパタッと止まり、一つ目が寄せられたのは金曜の午後でした。記事の話題によってコメントの数が上下するのは今までも同様でした。閲覧されている多くの方がブログにおける基本ルールを守っていただいているおかげだと思っています。

それでも時折り、記事内容と無関係なコメントが寄せられることもありました。一年前、福岡市職員の無謀な飲酒運転によって幼い三つの命が奪われました。その事故が起きた時の最新記事だった「さいたま市で自治労大会」に対し、公務員への怒りをぶつけるコメントが続きました。

金曜日に届いたコメントも、いみじくも同じ福岡市に勤める職員の飲酒運転事故を非難した内容でした。事故報道のURLを紹介した短いものでしたが、いろいろな思いが頭の中を駆け巡りました。その夜にお答えした私のコメントも短いものでしたが、飲酒運転撲滅に向けた大勢の人の努力を水泡に帰す本当に残念な事故だったと思っています。

昨年8月25日の福岡市の事故を契機とし、このブログのコメント欄で飲酒運転に関する白熱した議論が交わされました。「飲酒運転の撲滅へ」はPart3まで重ね、「飲酒運転と懲戒処分」まで4回にわたる記事を投稿し、その間、数多くの皆さんから率直なご意見を頂戴しました。当時の議論が真っ先に思い浮かびましたが、翌土曜の朝に寄せられたとおるさんのコメントと同じ趣旨の違和感も感じていました。

記事と全く無関係なコメントであることには触れないのでしょうか?コメント欄の流れの中で、話題が逸れていくのは仕方がないにしても、全く無関係なコメントに対しては、その旨の指摘くらいはしても問題無いと思いますが。

公務員だから報道されるという意味では、公務員問題ではありますが、地方公務員の待遇や安定度を下げて「普通の職業にしよう」という時流なのだから、そういう特別視も同時に無くすのが筋だろうと思います。

まったく記事内容と無関係なコメントは、とおるさんの問いかけと同様、できれば避けていただけることが基本だと考えています。ただ今までも内容によって記事本文と関連しないコメントに対しても、特に注意を呼びかけることなく応答してきました。今回も「無関係さ」にこだわるより、自分なりの感想を一言述べさせていただく方が適切だと判断しました。

様々なご意見を伺えるのがブログの利点だと思っていますので、明らかなスパムコメント以外は削除しない考えで運営しています。トラックバックも同様で、多少営業目的なサイトへのリンクだったとしても消さなかったケースが少なくありません。ちなみにコメントでもトラックバックでも、アダルトサイトへ誘導される場合などは即座に削除しています。

続いて今回記事の本論と呼ぶべき話に触れさせていただきます。とおるさんから寄せられた後者のご指摘、過去にも同様な趣旨で論点となりがちだった問題です。先ほど紹介した福岡市職員の飲酒運転による三児死亡事故の時など、公務員全体が厳しく批判される顕著な事例でした。また、公務員だから強く非難される面も否めず、そのことの是非も議論のポイントになりがちでした。

以上のような論点に対して私の考え方は一貫しているつもりです。ブログを始めた頃の記事(「公務員はいいね」に一言)でも記してきましたが、一定の身分保障など労働条件が確保されている分、公務員が守秘義務や個人情報保護などの法令に対して厳しく縛られ、ひとたび法律違反を犯した時の処分やマスコミによる報道が大きく扱われるのは仕方ない話だと思っています。

とおるさんは公務員を「普通の職業」としていくのならば、公務員を特別視するのは改めるべきであると主張されています。完全に同化することを前提にした場合はその通りですが、今後、どのように公務員制度が改革されても、官と民の「壁」はなくならないものと見ています。その「壁」があることによって官と民が対立を深めるのではなく、制度上必要な「壁」であると認め合っていけることが理想だと考えています。

したがって、これからも公務員が常に周囲から厳しく見られ続けることも、率先垂範の期待を背負わされていくことも前向きに受け入れなければなりません。その意味で、公務員の不祥事や事件が起きるたび、このブログのコメント欄へ手厳しいご意見が寄せられていくことは本望だと覚悟しています。

ただ整理しなければならない点があります。公務員と一口に言っても、国家公務員から都道府県、市町村に働く職員など千差万別です。さらに市役所間でも仕事の進め方や雰囲気など大きく違ってきます。公務員全体に共通する批判や意見に対しては、一般論として反面教師とする機会ととらえることができます。

しかし、明らかに他の役所の具体的な事例に対し、このブログで踏み込んだ答えを求められても簡単に示すことはできません。また、個別事例の批判内容を取り上げ、公務員全体に落ち度があるようなコメントも時々寄せられます。そのような時、コメント欄を閲覧している公務員の方が反論されることも多々ありました。

批判されるような仕事をしていない自負があるからこそ、熱い言葉での議論につながっていくのだろうと思っています。ただ直接相対できないインターネット上の難しさがあり、さらに一人ひとりのモノサシやハードルの高さが違う可能性もあり、論争がかみ合わないケースも頻繁に生じていました。

今後、「公務員」議論のあり方として、全体に共通する一般論なのか、個別の役所における問題なのか、少し整理して進める必要性を感じています。とは言え、あまりその区分けに固執すると意見交換が消極的になったり、貴重な情報提供を受ける機会が減る懸念もあります。したがって、コメント投稿の際、このような点を頭の片隅に留めていただくだけで幸だと考えています。

最後に当たり前なことですが、私自身、公務員全体の代弁者でも、すべての責任を負える立場でもありません。そのため、単刀直入にお答えできないことが多く、逃げているように映る場面があるかも知れません。しかしながら繰り返し述べてきましたが、コメント一つ一つ必ずジックリ読ませていただき、いろいろなことを考えていく動機付けとしています。

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2007年8月19日 (日)

市長選に向けた組合の対応

2005年8月16日にブログを始めてから丸2年が過ぎました。今回が198回目の記事投稿となります。始めた頃は週に複数回の更新が当たり前だったため、電卓を叩くと3.7日に1回の更新ペースを刻んでいます。ちょうど1年ほど前から週1回、土日を利用した新規投稿が基本となり、現在に至っています。

そのため、アクセス数は月曜日が比較的多くなっています。常連の方が大勢いらっしゃることの証であり、たいへん有難いことです。また、火曜以降も極端にアクセス数が落ち込むことなく、少ない日でも500件以上、最高1302件で推移してきました。大手検索サイトの上位に並ぶ記事が増え、有名な某掲示板でも紹介されるなど、新規訪問者数の増加が理由の一つです。

合わせて記事の更新にかかわらず、たくさんの常連の方が週に何回か訪れてくださっているようです。新規投稿した記事に対し、思いがけない広がりを見せた議論がコメント欄で交わされる場合もあります。常にブックマークからの訪問者が3分の1以上を占めているのも、このような意見交換を注目されている方が多いからだと感じています。

管理人としてもコメント欄に寄せられる様々なご意見を楽しみにしています。コメント欄は幅広い視点や立場からの興味深い声を直接伺える貴重な場だと思っています。その意味で、コメント投稿者同士の議論も歓迎していますが、コメント欄が殺伐とした雰囲気や「炎上」気味になることだけは避けたいものと願っています。

さて、今までコメント欄だけでは充分答え切れない場合など、記事本文で改めて私自身の考え方を詳しく述べてきました。最近のコメント欄は、公務員の仕事のあり方や資質の問題などが論点となりがちでした。そのような流れからすると今回の記事タイトルに接し、意表を突かれた方もいらっしゃるかも知れません。実は前々回記事のコメント欄で、次のような質問を受けていました。

最も身近な市長選挙まで1ヶ月を切ってしまっている現在、この話題について全く取り上げられないのが解せない。組合の委員長としては、あくまでも国政が重点項目なのであって、地元の市長選挙などは関係ないということなのか。現時点で、現職は?……、保守系が2名、共産系が1名、その他で1名の立候補。民主党系は……。組合としては、どのような立場で臨むのであろうか……。

私どもの組合員からの問いかけであることは一目瞭然でした。シニカルな言い方に若干引きながらも、私からは次のとおりコメント欄で取り急ぎお答えしてきました。

地元の市長選挙、最も関心の高い選挙であることは言うまでもありません。このブログで取り上げることに意義があるものと判断した場合、当然、重要な課題である市長選挙に触れていくつもりです。現時点で申し上げられる内容として、まず一市職労の立場から主体的に取り組む力量がない点は周知のとおりです。その上で、組合が推薦している市議会議員の方とは常に情報や意見を交わしてきています。

なお、このような乱戦模様となった中で、必ず民主党系候補も擁立する方向で最終的な調整に入っています。あまりにも残り日数が少ない異例な展開となっていますが、組合の臨む方針が固まりしだい組合員の皆さんにお諮りします。次号の組合ニュースで、このような経緯や対応案を明らかにした上で、状況に応じて緊急の職場委員会も開催する予定です。

市長選は来週日曜に告示日を迎え、9月2日が投票日となっています。私どもの市は議員選挙と市長選、二つとも統一地方選の日程から外れています。したがって、当ブログの管理人である私の所属している自治体がどこであるか少し調べればお分かりになるはずです。それでも一般的なインターネット上のルールにそって、なるべく今後も実名は出さないようにしていくことをご理解ください。

まず「このブログで取り上げることに意義があるものと判断した場合」と書きましたが、4年に1回の市長選挙に触れない話はあり得ないものと考え直していました。不特定多数の方々が閲覧できるブログの性格から配慮すべき点もあるかも知れませんが、市民の皆さんはもちろん、私たち職員にとって非常に重要な選挙戦、市長選に関する記事をスルーできないものと判断しました。

コメント投稿者のT.C.さんの手元に最新の組合ニュースは届いているものと思いますが、そこに書かれている内容を補足する記事とさせていただきます。新聞報道にあるとおり立候補予定者の顔ぶれは、共産党が推薦する前女性市議のT氏、自民党が推薦する元収入役のS氏、現市長が支援する前市議のW氏、弁護士のM氏、コミュニティーラジオ局前会長のY氏の5名です。

現在の組合が主体的な立場で市長選に取り組む力量はありませんが、この間、私どもの組合が推薦している市議を通して様々な意見を交わしてきました。推薦市議は民主党系会派の代表を務めているため、その方から市長選に向けた情報は逐次寄せていただいていました。かなり前に聞いた話として、自民、公明、民主の与党3会派が統一して擁立したかった候補は現副市長でした。自民党側の内部分裂で幻に終わってしまいましたが、行政手腕の面などから大半の方が納得する候補者だったろうと思っていました。

民主党系の候補者を必ず擁立する方向で最終的な調整に入っている話をお伝えしましたが、結果的に民主党は推薦候補も掲げない「自主投票」にとどまりました。参院選での民主党への追い風が市長選に必ずしも直結したかどうか分かりませんが、自民党側がS氏とW氏陣営に分裂する選挙戦であり、民主党にとって勝てるチャンスだったことは確かです。民主党系会派の市議7名、地元選出の国会議員、都議会議員が連日対応を協議しましたが、どうしても具体的な候補者を選び切れなかったようです。

このような経緯の中、立候補予定者が最終的に出揃った段階で、組合は特定の候補者を推薦するための時間や情報が不足しているものと判断しました。しかし、市長選が私たち職員にとって重要であることに変わりありません。そのため、予定候補者全員へ下記内容の質問書を送り、回答いただけた場合は原文のまま組合員の皆さんへ公開し、市長選に向けた個々人の判断材料とする対応をはかっていきます。

  1. 地方分権の進め方や財源問題について考え方をお聞かせください。
  2. 厳しい財政状況の中、私たち組合も行政改革そのものを否定する立場ではありません。しかし、公的責任や市民サービスの低下につながるようなアウトソーシングや職員数削減には反対せざるを得ません。「経営改革プラン」への評価も含め、具体的な行政改革の手法や考え方についてお聞かせください。
  3. 耐震構造面や老朽化の問題などがあり、新庁舎は計画通り建設すべきであると考えています。実施設計まで進んだ新庁舎建設の問題についてご意見をお聞かせください。
  4. 私たちは騒音や墜落の危険が伴う横田基地や立川基地は撤去すべきであると考えています。横田基地の軍民共用化問題など、基地に対する考え方をお聞かせください。
  5. 行政や職場など様々な分野で男女平等参画の推進が必要だと私たちは考えています。基本条例も定められた男女平等参画の進め方について考え方をお聞かせください。
  6. 格差社会が問題視される中、労働条件の均等待遇原則の確立が求められています。その上で、自治体に働く非常勤職員の待遇改善に向けたお考えをお聞かせください。
  7. 市民サービスの維持向上のためにも、安定した労働条件の確保が必要であると考えています。その上で、労働条件の変更に際しては労使対等な立場で、お互い誠意を尽くした交渉が求められています。ぜひ、労使交渉に臨む基本姿勢についてお聞かせください。

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2007年8月11日 (土)

人事院、6年ぶりのプラス勧告

ブログのコメント欄は様々な意見や主張の相互交流の場となり、幅広い考え方に接することができる有意義な場だと考えています。また、匿名性が担保されるため、歯に絹を着せぬ率直な声が聞ける貴重さがあることも確かです。一方で、相対して交わす会話と異なり、書き込んだ言葉の真意が充分伝わらない場合や、感情が前面に出た手厳しい言葉が並びがちな難点もあります。

前回記事へのコメント欄が少々、後者と呼べる雰囲気に近付いてしまいました。実生活でも同様ですが、感情的な言葉をぶつけ合ってしまっては、本来ならば理解し合える議論の内容でも溝を広げてしまう場合があり得ます。常に私自身も心がけていることですが、立場や考え方の違いは認め合った上で、ぜひ、建設的な議論につながるコメント投稿へのご協力をよろしくお願いします。

さて、話題は8月6日に示された人事院勧告の内容に移らせていただきます。人事院による2007年度の給与勧告は、2001年以来6年ぶりの引き上げとなり、年収ベースでは9年ぶりの増額となる見込みです。若年層を中心にした一般職国家公務員の月給を4月に遡って0.35%引き上げ、期末・勤勉手当(ボーナス)を0.05月分引き上げて年間4.5月分とするよう人事院は内閣と国会に勧告しました。

勧告は今年4月分の公務員賃金が民間企業に比べ、1352円(0.35%)下回ったとの独自調査に基づいています。特に差が大きい初任給や20代までの若年層の月給を中心に引き上げ、中高年の月給は据え置く内容です。初任給は大卒程度の1種を2000円増の18万1200円とし、少子化対策の観点から子どもの扶養手当も500円引き上げ6500円とするよう求めています。

初任給の格差拡大が「公務員離れ」の一因と分析され、今回の人事院勧告の眼目は初任給の引き上げにあったようです。民間の今年4月の大卒者の初任給は平均2362円増の19万5048円に上昇し、公務員との格差は広がる一方でした。今回の勧告で、労働市場の動向にようやく足並みをそろえた格好だと言われています。

人事院は勧告と合わせ、非常勤職員の待遇改善に向けた検討、所定内勤務時間の短縮に向けた準備を開始することなどの報告も行なっています。人事院勧告の内容は今後、地方公務員の賃金改定にも大きな影響を与えていきます。なお、安倍首相は6日夜、記者団に対し、人事院勧告を完全実施するかどうかについて「国民の理解が必要だ。結論ありきではない」と慎重な姿勢を示しています。

連合は人事院勧告に対する事務局長談話として「6年ぶりの月例給の改善は、民間組合のつくりだした賃金改善の流れを強めるものと評価できる。政府と国会は、人事院勧告の取り扱いを政争の具とせず、早期完全実施をはかるべきである」とし、「非常勤職員の待遇改善が今後の検討課題として言及されている。これまでほとんど触れられなかった経緯を考えると一歩前進といえるが、検討だけで具体的な待遇改善がはかられなければ、公務労働者間の格差は拡大する」と一定の評価とともに注文を加えています。

公務員の労働基本権制約の代償措置である人事院勧告に対し、安倍首相から「国民の理解が必要」だと言われてしまっては非常に切ない思いがあります。このブログでの論争の新たな火種となる一言かも知れませんが、8月7日に内閣府が公表した経済財政白書の現状分析にも注目する必要があります。

戦後最長の景気回復が続きながら所得や家計消費の鈍化原因として、①フルタイムの非正規社員の増加、②高い賃金を得ていた団塊世代退職者の増加、③地方公務員の高給与構造の見直しによる賃金の引き下げなどをあげています。決定的な原因を絞れなかったようですが、政府自ら成長を実感できない背景として公務員賃金の抑制策を指摘した点は意外でした。

民間準拠で公務員賃金の水準は決まっていくサイクルですが、地方公務員賃金の動向を参考にして決まる地場賃金相場があることも事実です。また、昨年3月の記事「私鉄総連書記長らの発言」に掲げた宮下正美書記長の「民間企業で賃金が上がらない、または下げられることから、公務員の賃金が下げられています。このことは再び民間企業に波及し、公務員ですら賃金が下がったことを理由に、さらに賃金が下げられる悪循環を招いています」との言葉を改めて思い出しています。

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2007年8月 5日 (日)

安倍首相と小沢代表の「党首力」

「聞く耳を持っている人なんだが、情報が少ないんだろうなあ」、テレビに映った片山虎之助自民党参院幹事長の安倍首相を評した一言が印象に残りました。先週日曜の参議院議員選挙で、民主党は60議席を獲得する圧勝、自民党は37議席にとどまる歴史的惨敗を喫しました。岡山県は自民党の牙城であり、楽勝と見られていた片山参院幹事長も「姫の虎退治」に屈しました。

参院選が終わって一週間、いろいろなメディアが選挙結果の分析を加えています。政治とカネ、年金の問題や閣僚の不始末など、様々な自民党の敗因が取り沙汰されています。勝敗の要因が複合的であることは確かですが、個人的には党首の力量の差が今回の選挙戦の明暗を大きく分けたものと考えています。今回、このブログでは「党首力」に絞って、安倍首相と小沢民主党代表を比べてみます。

安倍首相は最終日まで本当に大敗はないと信じていた(日刊ゲンダイ)ようです。選挙戦の最終盤、安倍首相の演説に足を止めていたのは公明党支持者も含めて大半がサクラ動員だったこと、小泉前首相の時と比べて格段に聴衆の数が少なかったこと、このような事実を安倍首相は認識していなかった話が選挙後に報道されています。

その原因は安倍首相の側近にあったようです。演説会場での応援が終わるたび、付き添っていた井上義行首席秘書官は「総理、すごい人出ですね。私はこんな群集を見たことがありません。総理の人気は本物ですよ」と安倍首相へ伝えていました。小沢代表との党首討論などの際も同様だったはずです。つまり側近から「茶坊主」的な評価ばかり聞かされていたため、選挙戦の序盤で「私か、小沢代表を選ぶのか」と豪語できたのでしょう。

自分自身の人気が凋落していることに気付かず、自民党への逆風に対しても実績を正確に伝えないマスコミが悪く、選挙戦が不調なのは足を引っ張る閣僚たちの責任だと本気で安倍首相は思い込んでいたようです。さらに選挙区で勝ち抜くためには清新な候補者への差し替えを指示したにもかかわらず、それを拒んだ参院自民党幹部の判断ミスも頭の中をかすめていたはずです。

有権者が明確に安倍政権を否定した中、早々に続投を宣言した背景には「自分は悪くない」という大きな勘違い、現実を直視できない安倍首相の資質がもたらしたものと言わざるを得ません。安倍首相は「私の進めてきた基本的な政策は間違っていない」と強弁し、「国民の皆様とお約束した改革を止めてはならない」と釈明しています。

安倍首相の周囲には、そのように励ます人物も多いのだろうと思います。しかし、偏った一部の声や情報だけで、国家の行方を左右する最高責任者が判断を誤るようでしたら深刻な事態です。いずれにしても安倍首相は自民党の総裁として党員から信任されていたに過ぎず、今回の参院選が初めて国民の意思を示すものだったはずです。

昨年10月に投稿した記事(「美しい国へ」から感じたこと)で記したとおり、安倍首相の経験不足、苦労知らず、考え方の偏りなど、稚拙な面が一気に参院選の結果に凝縮された気がしています。官邸の番記者だった産経新聞の記者から見れば、安倍首相は「たいへん前向きで、すばらしい人」だと評価されています。しかしながら一国の命運を握る総理大臣が人を見る目もなく、情報を適確に判断する能力が乏しい人材であっては非常に困ります。

一方、民主党の小沢代表について考えてみます。まず民主党代表に就任した直後の記事(小沢民主党代表への期待感)で、前原前代表とのコントラストの中で頼もしく感じた点を書き込んできました。その第一印象に違うことなく、私たち労働組合、つまり連合との信頼関係の修復に力を注がれてきました。小沢代表になってから民主党を支持する労働組合がスッキリ応援できる環境が整い、無用な誤解や相互不信を拭うことができました。

連合側も特別な配慮を求めていた訳ではなく、支持協力関係がある組織同士、改めて当たり前な付き合い方ができるようになっただけでした。「支援は受けても聞く耳は持たない。官公労とは手を切りたい」などとデリカシーのない発言が漏れ聞こえてきた前代表に比べ、一つ一つの言葉の重さを理解しているのが小沢代表でした。

一事が万事、このような小沢代表の姿勢や重厚感が既存の支持組織をまとめ、さらに自民党の支持基盤だった団体への浸透にも有効だったものと思います。当然、外面だけではなく政策的な方向性も、農業政策など現在の自民党の「改革」路線と対極的な内容だった点も受け入れられた要因となったはずです。

民主党の代表になってからの自著「小沢主義(オザワイズム)」、評論家の森田実さんの著書(「小沢一郎」入門)など、少しでも小沢代表を知ろうと思いながら読み込んできました。その結果、右から左まで自民党以上にバラバラだと揶揄されがちな民主党ですが、小沢代表のめざす方向性で一致団結できる印象を得ています。

参議院で第一党となった民主党、政権選択に直結する総選挙に向けて、これからが真価を問われる正念場です。消去法的な期待による一票から信頼を託された一票に高めていくため、民主党の地道な努力が求められています。安倍首相VS小沢代表の再戦の可能性は低いものと思っていますが、誰が党首であっても、敵失がなくても勝てる地力が民主党に備わっていくことを一支持者の立場から願っています。

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