安倍内閣への雑感
横浜高校時代から松坂大輔投手のファンであることを以前の記事で書いたことがありました。そのような訳で先週木曜夜は9時頃に眠り、深夜3時前に起き、松坂投手のメジャー公式戦デビューの試合を生で観ることにしました。
結果はロイヤルズ相手に7回1失点10奪三振、みごとな初勝利に感激しました。今後、イチロー選手との対決など楽しみなカードが続きますが、新しい仕事に四苦八苦している中、寝不足に注意しながら応援していこうと思っています。
この快挙を日本はもちろん、アメリカのマスコミも大きく取り上げていました。野球に興味のない方にとって過剰な報道で、ある意味で迷惑なことかも知れません。しかし、この方の発言には少々違和感を感じました。(余談ですが、「違和感を感じる」は「馬から落馬」のような誤用でないことを電子辞書で確認)
尾身幸次財務相が6日の閣議後の記者会見で、松坂初勝利に関連して「この種の問題をNHKで毎朝取り上げるのは、ニュースのバランスから見て問題がある」と述べ、NHKの放送姿勢を批判した。さらに「世界や人類全体の動きを、もうちょっと多く放送しないと、公共放送としての意味が薄れてくる。経済や社会、国際関係のニュースをバランスよく報道してもらいたい」と同局に注文を付けた。【2007年4月7日スポニチ】
この後、スポニチ紙面では「松坂フィーバーで日本列島がわき返る中、水を差すような発言」だと続いています。私のようなファンの立場からは本当にその通りだと思います。それでも閣僚という立場の発言でなければ、それほど違和感を感じなかったかも知れません。
その日、不祥事を起こした放送局に対し、総務相が再発防止計画を求める新たな行政処分を盛り込んだ放送法改正案が閣議決定されました。NHKや日本民間放送連盟は「報道や表現の自由を損ねる懸念がある」と即時に反発するコメントを発表しています。
このようにNHKなどテレビ局側と行政との関係が物議をかもしている微妙な時期、予算を握る大臣の発言として適切だったとは到底思えません。意図的なのか、無意識なのか分かりませんが、ネット上の「空気が読めない」「安倍政権の閣僚のレベルはこんなもの」などの酷評が大きくうなずけます。
どうも閣僚の発言力の重さ、つまり権力を行使する立場であることをわきまえず、最近、個人的な主張を簡単に発信する大臣が目立っています。器でない人物が大臣の椅子に座り、その力を使えることがうれしくて、はしゃいでいるようにも見えてしまいます。やはり総裁選の論功行賞人事のツケがまわっているのではないでしょうか。
加えて松岡農水相の「ナントカ還元水」事務所費問題をはじめ、尾身財務相も沖縄科学技術大学院大学の疑惑があり、たたけばホコリが出そうな閣僚の多さにはあきれ返ります。スキャンダルが目立ってくると、その人物から理にかなった話をされても「あなたには言われたくない」と拒絶反応が働きがちです。
当然、このような閣僚らを任命した安倍首相の責任は重いはずです。それにもかかわらず、かたくなに松岡農水相や「女性は産む機械」発言の柳沢厚労相らを必死に守り続ける安倍首相の姿勢は非常に問題です。そもそも安倍首相自身が総理大臣としての器や資質を疑問視されてきた中で、同じ穴のムジナを簡単に切れなくなっているのでしょうか。
しかし、たいへん恐ろしいのは能力や清廉さに大きな疑問符が付く安倍内閣が前政権の巨額な遺産を引き継いでいる点です。衆議院で圧倒多数の議席を占めているため、守ると決めた閣僚のクビが守れ、何よりも問題なのは重要法案が強行採決を繰り返せば簡単に通って行ってしまいます。
すでに教育基本法が59年ぶりに改められました。次に狙われているのが憲法であり、その手続き法として国民投票法案が今国会の最大の争点となっています。また、たびたび「抵抗勢力」に屈しないと演出した前内閣を模倣し、その二番煎じ的な強引さが気になる公務員制度改革の問題も焦点化されています。
「公務員のためいき」というブログ名でもあるため、実は今回、公務員制度改革を記事として予定していました。それが前置きの文章が膨らみすぎてしまい、途中で記事タイトルを変えさせていただきました。したがって、次回以降の記事で公務員制度改革の問題を改めて取り上げるつもりです。
最後に、ご存知のとおり本日は統一地方選前半の投票日です。最も注目されているのは東京都知事選挙だと思います。残念ながら下馬評では現職が優勢な情勢です。それでも選挙は投票箱のフタが閉まるまで何が起こるか分かりません。政権交代への一里塚となる7月の参院選に弾みをつけるためにも、奇跡が起こることを最後まで願っています。
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コメント
尾身大臣の発言に違和感を感じたのは私も同じです。
スポーツにはほとんど興味がなく、野球やメジャーや松坂に至ってはまったく関心のない私でもそう思いました。
選挙の季節ですから、もっと政権ヨイショ、石原ヨイショの記事を書け、といっているように受けとったのは勘ぐりすぎでしょうか。
投稿: とむ丸 | 2007年4月 8日 (日) 12時11分
とむ丸さん、コメントとTBありがとうございました。
いつも「とむ丸の夢」へおじゃまし、情報や考え方の面での参考とさせていただいています。
これからも改めてよろしくお願いします。
投稿: OTSU | 2007年4月 8日 (日) 12時34分
反戦な家づくり 明月です。せっかくTBいただいたのに、間違って削除してしまいました。申しわけありません。よろしかったら、再度お願いします。
投稿: 明月 | 2007年4月10日 (火) 22時01分
明月さん、了解しました。
わざわざご丁寧にありがとうございました。
「反戦な家づくり」はブックマークし、たびたびおじゃましています。これからもよろしくお願いします。
投稿: OTSU | 2007年4月10日 (火) 23時12分
民主党にも「たたけばホコリが」!
さくらパパ、賭けゴルフという犯罪をしてました。
1年もかけて候補選びをしていた民主党の危機管理能力は?
民主党の牧山弘恵議員の選挙費用超過疑惑と同様に、
大新聞は「さくらパパ」問題をこのまま報じない可能性がありますね。
そうそう、あの民主党の小沢代表発言も・・・
柳沢「生む機械」麻生「アルツハイマー」は大問題にして、
どうして小沢「脳死」は問題にならないんでしょう?
投稿: あやか | 2007年8月23日 (木) 11時15分
あやかさん、コメントありがとうございます。
横峯議員に対しては、民主党の候補者として擁立した時から「なんだかなぁ」と感じていました。牧山議員のテレビでの発言も不適切で、不見識なものだったものと思っています。
小沢代表の「脳死」については、一概に差別的な発言だったかどうか簡単に判断できません。客観的な状態を示す比喩として許される範囲ではないでしょうか。それでも、あえて使わなくても良かった言葉だったろうと思っています。
投稿: OTSU | 2007年8月23日 (木) 21時49分