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2007年3月24日 (土)

東大阪市の非常勤職員制度

第16回統一地方選挙の幕開けとなる13都道県の知事選挙が木曜日に告示されました。その日から4月8日の投票日までが選挙期間となりますので、今後、いろいろ注意すべき点が多々あります。ブログで政治的な話題が一切できない訳ではありませんが、なるべく具体的な候補者名を示した話は慎むつもりです。なお、このような点を詳しく解説したサイト「サクジョ・ヘイサという都市伝説」を参考までにご紹介します。

1947年、新憲法施行前に自治体の首長と議会議員選挙が一斉に行なわれました。その後、任期はすべて4年ですので選挙への関心を高めるため、全国的に日程を統一して実施してきました。ただし、任期途中での首長の辞職や死去、議会の解散があった場合、統一地方選の日程から外れることになります。

さらに最近の市町村合併の広がりによって、ますます統一的な日程で実施される選挙の数は減る傾向を強めています。ちなみに私どもの市は首長と議員選挙、ともに統一地方選から外れています。市議選は昨年6月に行なわれ、市長選は今年9月2日に予定されています。現時点で正式に意思を表明した立候補予定者はいませんが、いろいろ水面下では噂が聞こえてくる今日この頃です。

さて、所得格差を語る上で「非正規」雇用の問題がクローズアップされています。当ブログでも「非正規」という言葉を頻繁に使ってきましたが、当事者の方から「私たちの雇用は正式なものではないの?」と以前問いかけられたことがありました。そのような意味合いを配慮し、私どもの組合では「正規」職員を常勤職員と呼ぶ一方、嘱託職員の皆さんらを「非正規」職員と呼ばないよう努めています。

ここで改めて自治体に働く職員の法的な位置付けを簡単に整理してみます。地方公務員法第3条で「地方公務員の職は、一般職と特別職に分ける」とされています。特別職は市長や議員らのほか、第3条3項3号の位置付けによる「臨時又は非常勤の顧問、参与、調査員、嘱託員及びこれに準ずる者の職」があり、この規定を根拠に数多くの嘱託職員の皆さんが雇用されています。

いわゆるアルバイト、臨時職員の皆さんは地方公務員法の第22条5項「緊急の場合や臨時の職に関する場合」を根拠とすることが多く、雇用期間は6か月で、更新は1回、最長1年と定められています。特に「緊急」や「臨時」の明確な基準はないようです。

そのほかに再雇用や再任用職員の制度があり、一般職の任期付職員に関する法律や育児休業取得者の代替に限定した任期付職員などの法整備も進んでいます。このように非常勤職員の任用根拠は多岐にわたっていますが、今回、東大阪市の一般職非常勤職員制度の事例を取り上げてみます。

全国の自治体で常勤職員の削減が進む一方、臨時・非常勤職員の採用が急増しています。自治労の調査で、1980年に9万人だったのが2006年には39万人を超えています。学校給食職場などでは食の安全や質の向上をはかる立場から経験豊富な臨時職員が求められ、中には結果的に20年を超える雇用実態も生じていました。

地方公務員法第22条による雇用は最長1年ですが、例えば1か月間、勤務しないことによって同一人が同じ職場で働き続けることが可能となっています。言うまでもなく昇給制度も適用されることなく、均等待遇の原則から極めて好ましくない現状が多くの自治体で見受けられるはずです。

このような問題の解決をめざし、自治労東大阪市職労は地方公務員法第17条を適用した任期を定めない臨時職員の制度確立を市当局へ求めました。粘り強い労使交渉を経て、2004年4月から「一般職非常勤職員制度」規則が施行されました。その結果、昇給制度の導入や手当の支給など、雇用の安定と労働条件の改善が一気に進みました。

最近の記事「非常勤職員も昇進」の先がけのような事例でしたが、好意的に見られている荒川区の制度と若干状況は異なりました。東大阪市の場合は一部の市民から「お手盛り」的な視点で非難され、この制度に異論を唱えた市民グループによって住民訴訟が起こされました。

2006年9月に大阪地裁で判決が示され、裁判所は原告の請求をすべて棄却し、市側が全面勝訴しました。原告の主張は、①欠員が生じていないのに職員を任用した(地公法17条違反)、②能力の実証を経ずに採用した(地公法15条、17条4項違反)、 ③非常勤職員には報酬で支払うべきところを給与・手当を支給したこと(地方自治法203条違反)の3点でした。

裁判所は「常勤職員の給与との均衡」を重視し、事細かく条例に書かれていなくても給与条例主義に反するものではないと判断しました。少しでも格差是正をめざす上で、非常勤職員制度の確立や拡充は欠かせません。その意味で、この判決は全国の自治労組合の役員を勇気付ける意義深いものでした。

残念ながら原告の市民グループは高裁へ控訴し、判決は確定していない状況です。また、所得格差などの問題は自治体内部の職員間の問題よりも、社会全体を通した格差是正が深刻な課題だと認識しています。そのことを留意しながらも東大阪市や荒川区の例を参考にした上で、まずは自分たちの身近な課題、できるところから一歩踏み出したいものと考えています。

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2007年3月17日 (土)

春闘の柱に格差是正

金曜の朝、運転する車のフロントガラスに小粒の雪が舞い降りてきました。みぞれは都心でもパラつき、観測開始以降、47年ぶりに記録を塗り替える最も遅い「東京の初雪」となりました。一方、気象庁による桜の開花予想がデータの入力ミスにより、東京の場合、明日18日だったのが23日に訂正されました。それでも例年より5日ほど早い予想です。

雪不足によって早々と閉鎖されるスキー場のニュースなど、地球温暖化の深刻さが現実みを帯びてきた「暖かい冬」も終わろうとしています。続いて季節は、有力4候補の論戦が激化してきた都知事選をはじめ、統一自治体選挙の「熱い春」へ移り変わろうとしています。ちなみに連合東京や自治労都本部の方針を踏まえ、私どもの組合も浅野史郎さんの「支持」を今週開く職場委員会に提案する予定です。

さて、2007春闘の真っ只中ですが、連合は景気回復を実感できる賃金改善と合わせ、「非正規」労働者の均等待遇を重点目標と定めてきました。使用者側のガードも堅く、充分な回答を引き出している組合が決して多い状況ではありません。それでも攻めの姿勢を強め、さらに「非正規」の方々の待遇改善を春闘の柱とした意義は大きかったはずです。

今まで連合は身内である組合員の待遇や権利を守ることを優先し、未組織や「非正規」労働者の劣悪な処遇を放置してきたと批判される時がありました。確かに濃淡はあるかも知れませんが、積極的にパート労働者らを組織化してきた組合も少なくありません。また、たびたび連合の統一行動として労働相談窓口の駅頭宣伝などに私も参加してきましたので、「非正規」労働者らに無関心だったとの決め付けは不本意な言われ方でした。

ただし、組合費を納めている組合員の処遇問題が最優先されてきた点は、労働組合の責任と役割上、ある意味で当然な話だろうと考えています。組合員の期待を背にした組合は、まず足元の日常的な職場活動を全うする責務があります。その上で、社会的な課題や政治活動へも運動領域を広げていくバランス感覚が欠かせないものと思っています。

このような優先順位の付け方もあったため、ますます既存の組合は未組織の労働者に対して冷たいとの印象を持たれがちだったかも知れません。しかし、パートや派遣労働者が急増し、その賃金水準などをスタンダードに考える暴論も聞こえ始めています。今、まさに組織労働者の待遇を維持向上していくためにも、「非正規」労働者の待遇改善が欠かせない構図となっています。

このような情勢を踏まえ、連合は2007春闘で格差社会の是正を強く訴え、これまで以上に「非正規」労働者の均等待遇の問題に力を注いでいます。当然、自治労も今春闘で格差是正を重点課題に位置付け、その趣旨を統一要求書に反映させ、全国の自治体当局へ一斉に提出してきました。

主な重点要求として、自治体における最低賃金の底上げや次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画の非常勤職員への適用などが掲げられました。また、公共サービス民間労働者の公正労働を実現するため、社会的価値基準の遵守等を盛り込んだ入札改革につながる自治体公契約条例の制定などをめざしました。

今後、この春闘での取り組みを足がかりとして、格差是正に向けた運動が「お題目」「アリバイ的」などと揶揄されないよう具体的な成果を上げていかなければなりません。とりわけ競争入札が価格一辺倒に強まれば強まるほど、民間労働者の人件費のダンピングが進みがちな現状を変革する必要性を痛感しています。

最後に「逆格差是正」を懸念する話を付け加えさせていただきます。最近、安倍首相は菅総務相に自治体の清掃職員や学校給食員、公用車の運転手など技能労務職員の給与について、民間企業との比較など実態を把握し、公表するよう指示したようです。それを受け、菅総務相は「私もかねて、現業職員の給与は民間事業者に比べてかなり割高になっているという問題意識を持っている」と強調し、これまで以上に民間委託を積極的に行なうよう自治体へ求めていく考え方を明らかにしました。

ある面で安倍内閣の本質を現した報道内容でした。以前の記事「行政のアウトソーシング」などで、これまで頻繁に民間委託の問題を取り上げてきました。今回の報道に接し、その是非は横に置いた上で、安倍首相と菅総務相の頭の中に格差是正の問題意識が乏しいことの分かる事例だと感じました。「民間事業者の給与は現業職員に比べてかなり割安になっている」と問題意識を示した上で、地方行革のあり方を問えば、もう少し支持率も上がるはずなのにと余計な心配(?)するエピソードでした。

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2007年3月11日 (日)

労働ダンピング

金曜に日付が変わった深夜、新年度に向けた職員数の増減に関する労使交渉が大筋決着しました。一人でも職員数を削減したい自治体当局の思惑に対し、現場目線での反論を加え、一定の押し返しをできる点こそ労使交渉の重要な役割だと思っています。

その日の仕事は際立って密度が濃かったため、3時間程度睡眠できたことは本当に幸でした。また、翌日の土曜は久しぶりにゴルフを楽しむタフな週末となり、さすがに昨夜は9時頃、睡魔に襲われていました。

ゴルフと言えば、ある執行委員から「ブログにゴルフのことは書かない方が良いのでは」と指摘を受けました。最近の記事でゴルフに行ったことを書きましたが、ゴルフをプレイする組合役員が「労働貴族」的なイメージで見られることを心配した意見でした。

数十年前までは確かにゴルフをブルジョアのスポーツと位置付け、「絶対自分はゴルフクラブを持たない」とこだわる組合役員が多かった話は聞いていました。しかしながら現在、たいへんリーズナブルな料金でできるようになり、ゴルフは誰もが楽しめる健全な生涯スポーツだと考えています。

したがって、私にとって予想外の忠告であり、正直驚きました。このブログのカテゴリーは「日記・コラム・つぶやき」としていますので、時々、プライベートな話も取り上げてきました。そのため、ゴルフへ行ったことをコソコソ隠す必要性は一切ありませんので、あえて今回も話題の一つとして取り上げてみました。

さて、前回記事「非常勤職員も昇進」に対し、多くのコメントをいただきました。コメントの大半は基本的に荒川区の試みを評価するご意見でした。その中で、にんにんさんとのらさんから採用のあり方、瑞鶴さんからは異なる視点での貴重な問題提起を受けました。今後、機会があれば別な切り口での議論とさせていただく予定です。

今回の記事も「労働」をテーマに掘り下げていきますが、著しい格差社会を招いた背景として「非正規」雇用の急増が指摘されています。最近、「働いても働いても生活できない」、深刻なワーキングプアの問題が広がっています。長時間労働と低賃金、企業の使い勝手の良い有期雇用の理不尽さなど、「非正規」労働者の置かれた厳しい実態が浮き彫りになってきました。

先日、自治労都本部春闘討論集会の講演で直接お話を伺うことができた弁護士の中野麻美さんの著書「労働ダンピングー雇用の多様化の果てに」を手に入れました。購入した書店で、その新書本は客の目につきやすいよう平積みされていました。このテーマが注目され、それなりに売れている証だろうと感じました。

中野さんは、1986年を戦後労働法制がギアチェンジした年だったと述べています。男女雇用機会均等法と労働者派遣法が制定され、労働基準法の大幅改正があった年でした。均等法で募集や採用に対する女性差別が問題視された一方、休日や深夜、女性も男性並に働ける方向へ転換されました。

派遣法が労働力の商品化に拍車をかけ、均等法が結果的に「正規」と「非正規」の枝分かれを促したと分析されています。つまり均等法の施行が女性に対し、過酷な時間外勤務や転居を伴う人事異動がある道を選ぶかどうか求める構図となりました。

企業との結びつきが強い「正規」労働者、「仕事と家庭の両立」を重視した労働者の色分けが強まる転機となった法律だと中野さんは見ているようです。その選択肢を自己責任としたため、徐々に後者は「家計補助的賃金」の色彩が濃くなり、自立した生活の保障などが考慮されない廉価な労働力にみなされていきました。

同時に経営の厳しさや国際競争力を高める目的が喧伝され、財界の意向をくんだ労働法制の規制緩和などが繰り返される中、ますます労働力のダンピングが進みました。さらにリストラや就職氷河期を経て、本来自立した生活給が必要な労働者までも「家計補助的賃金」水準に余儀なくされる事態に至っています。

有期雇用、派遣、パート、偽装請負など、雇用の液状化現象が「貧困化」や労働現場での人権侵害を引き起こしています。その著書の中で、人間の労働が「物件費」に組み込まれ、商品以上に買い叩かれる具体的な実例が頻繁に紹介されていました。

一方で「正規」労働者に対しては、「非正規」との違いを際立たせる理由付けから長時間労働や過酷なノルマが課せられるようになってきたと述べられています。業績や成果主義も強まり、労働現場での熾烈な競争が多くの労働者の心身を消耗させていると中野さんは訴えています。

ILOのフィラデルフィア宣言で「労働は商品ではない」という原則を掲げています。労働は商品のように生産や在庫の調整ができず、市場原理にさらされた時、商品以上に値崩れしやすいからです。また、雇用や労働条件の劣化は貧困と暴力の蔓延を招き、経済社会が衰退していくことを国際社会は認識してきました。

それにもかかわらず、市場原理主義者は「敗戦直後ならともかく、今日において、その原則は時代遅れ」だと言い切っています。中野さんは、出産や子育てなど人間ならではの「非合理」な営みや生身の人間としての生活を守るため、時代が変わろうとも「労働は商品ではない」という原則は重要であると強く反論しています。

以上は中野さんの「労働ダンピング」を読み、印象に残った点を自分なりの解釈で書き綴ってみました。非常に内容の濃い著書でしたので、今後も当ブログの記事を投稿する際の参考とさせていただく予定です。最後に、その著書の「おわりに」の結びの言葉を紹介し、次回以降の記事につなげていきます。

 何もしなければ、悪くなるだけ。新しい経済の枠組みに対応できる、商品ではない人間のための新しい労働システムを構築する働きかけが必要なのだ。

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2007年3月 4日 (日)

非常勤職員も昇進

ようやく東京都知事選挙の主役が顔を揃えました。この間、民主党の迷走ぶりが非難されていましたが、石原都知事から「やっぱり推薦はいらない」と断られた自民党側も情けない点では五十歩百歩の前哨戦だったと言えます。

宮城県知事だった浅野史郎さんは「知事になってからは、選挙の時の敵よりも、味方の方が怖い。借りはつくらない方がいい」との信念があり、特定の政党や団体から推薦を受けない選挙戦に取り組んできました。そのため、民主党都連の中で、推薦できない浅野候補への一本化に不満の声が残っているようです。

しかし、石原都知事の独善的で公私混同が著しい都政の「私物化」に何としても終止符を打たなければなりません。したがって、私個人としては勝てる可能性の強い浅野さんの立候補を心から歓迎しています。また、かつて民主党は宮城県知事選挙でも、浅野さんを「勝手連」的に応援してきた経験があります。ぜひ、今回も石原都知事の三選阻止に向けて、一致団結してほしいものと願っています。

東京都下と呼ばれる三多摩地域の首長が都知事をたたえた話は、まず耳にしたことがありません。一方で、都知事の部下となる都職員、とりわけ労働組合側からの批判の声は頻繁に聞こえていました。このような話は就任当初から指摘されていたにもかかわらず、前回、石原都知事は308万7190票と圧倒的な支持で再選を果たしました。

次点は民主党と社民党が推薦した樋口恵子さんの81万7146票で、勝つことはあり得ないと思っていましたが、4倍近くの得票差に唖然とした記憶があります。圧倒的な人気を誇っていた石原都知事も、今回は強い危機感を募らせているように見受けられます。

先週、東京都は2008年度から低所得者層を対象にした都民税の減免措置を発表しました。約60万人が対象となり、年間の減税額は50億円になる見通しです。選挙目当ての大盤振る舞いであるとの批判に対して「どう解釈されようと結構です」と石原都知事は居直っていますが、選挙戦への危機意識と都政「私物化」が浮き彫りになった事例だと思っています。

いつものことながらタイトルと異なる話が長くなって申し訳ありません。もともと雑記風のブログでしたが、特に最近は週一回の投稿間隔となってしまい、その傾向が強まっています。わざわざ別の記事に分けるも何ですので、このまま本題に入らせていただきます。

さて、先週木曜の読売新聞夕刊一面のトップに「区役所の非常勤職員も昇進 荒川区が格差是正策」と大きな見出しが掲げられていました。

東京都荒川区は新年度から、非常勤職員に対する待遇を改め、給与アップのほか、経験や能力に応じて昇進する制度を導入する。民間で正社員と非正社員の格差是正が課題となる中、公務員についても常勤と非常勤との待遇格差を出来るだけ解消し、非常勤職員の意欲を引き出したい考え。区によると、非常勤職員の昇進制度は珍しいといい、他の自治体から問い合わせが相次いでいる。

正規の職員とは別に採用される非常勤職員は原則、単年度ごとに契約が更新される。常勤職員は週40時間の労働が基準となるのに対し、非常勤の場合は週30時間程度が基準となるケースが多い。ボーナスや退職金の支給もない。

荒川区では、常勤職員は1983年の約2400人をピークに減り続け、現在は約1600人。これに対し、非常勤職員は95年に約410人だったのが、現在は約610人と全職員の約28%にまで膨らんだ。財政難を背景に常勤職員を減らして人件費を削減する一方、行政サービスが低下しないよう給料が比較的安い非常勤を増やして対応してきたためで、不況下に非正社員を増やしてきた民間企業や、他の多くの自治体などと共通する構図となっていた。

今回、待遇改善の対象になるのは、非常勤職員のうち再雇用・再任用の区職員OBを除いた約400人。主に窓口業務や各部署の庶務、図書館司書、翻訳や通訳といった仕事で、30、40代の女性が比較的多い。勤続年数はまちまちだが、非常勤の中で最も多い「事務嘱託員」の場合、週30時間の勤務者に対する給与は、熟練を積んだベテランも、新人も、同じ月16万8600円だった。

新制度では〈1〉一般非常勤〈2〉経験6年以上が目安の主任非常勤〈3〉係長級の総括非常勤――の3種類に区分した上で、給与は一般非常勤が17万1300円、主任は20万2100円、総括は25万300円に増額。主任や総括に昇進した後は非常勤の部下の指導にもあたる。

昇進の可否を判断するための勤務評定は厳密に行い、昇進希望者にはリポート提出などを課す方向だ。これまで残業は想定していなかったが、職責の増大に伴い残業するケースもあり得るとして、超過勤務報酬を新設する。有給休暇の拡大など福利厚生も今より手厚くする方針だ。

OBの非常勤職員については、常勤職員として長年処遇してきたため対象に含めていない。人事院によると、非常勤職員に対する昇進制度は中央省庁にも例がない。同区職員課では「非常勤職員にも、区政業務の一線を担う一員としての成果を期待したい」と話す。(2007年3月1日 読売新聞)

久しぶりにインターネット上の記事をそのまま引用し、省力化させていただきました。この話は1月下旬に開かれた自治労都本部の春闘討論集会で、すでに荒川区職労の委員長から報告を受け、その時も画期的な改善だと感心していました。

私どもの市でも学童保育所や学校事務などの職場で非常勤職員化が進み、その方々を市職労への直接加入の組合員として迎え入れています。したがって、非常勤職員の待遇改善は常に労使協議の大きな課題でした。

これまで「雇い止め」や休暇制度など少しずつ改善をはかってきましたが、半歩前進するのにも厳しい交渉が強いられていました。逆に最近、「均等待遇」の先駆的な制度の見直し提案が示されるなど、不本意ながら非常勤職員の課題も行革の対象として扱われています。

今回、個人的には荒川区の制度改善の内容そのものよりも、読売新聞の取り上げ方に大きな驚きを覚えました。新聞記事全体を通して、荒川区の試みを高く評価している姿勢が充分伝わってきました。つまり厳しい自治体財政への影響面よりも、格差是正の重要性からとらえた非常勤職員の待遇改善を好意的に扱った記事内容でした。

格差是正の問題がクローズアップされている中、行政自らの足元を見直す機運が盛り上がっていく潮目となることを期待しています。組合役員の立場からはこの流れを効果的に利用し、改めて非常勤職員の「均等待遇」の実現をめざしていく決意です。

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