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2006年12月10日 (日)

行政のアウトソーシング

金曜の夜、私も役員に名前を連ねる連合地区協議会の定期総会が開かれました。今回の総会で、議長を筆頭に長年役員を務めてきた方々が退任されました。その方々には個人的にも親しくお付き合いいただき、たいへんお世話になっていました。本当にお疲れ様でした。そして、ありがとうございました。

さて、前回記事「民間委託提案の法的な懸念点」で労働者派遣法について触れ、業務委託又は業務請負による働き方との違いを明らかにしました。ちなみに業務委託と業務請負の違いも簡単に整理してみます。

業務委託とは、自分で行なうべき仕事の全部又は一部を他者に依頼し、契約によって定めた時間内での定めた業務遂行へ対価を支払うものです。仮に所期の成果が上がらなくても拘束した時間の役務に対し、報酬を支払うことになります。ビル内の清掃や車の運転などが例示できます。

業務請負とは、何か特定の物を完成させる目的で仕事を引き受けてもらう契約となります。したがって、約束した成果物が先方の責任下で仕上がらない場合、対価を支払う必要はありません。例えば、家の建築や設計図の作成などがあげられます。

ブログを開設して良かった点は、生半可だった知識を整理する機会が増えたことです。インターネット上に誤った情報を発信できないものと強く自覚し、その都度、いろいろ自分自身で勉強する動機付けとなっています。

話が少し横道にそれ気味でしたが、本題に戻します。私どもの市の行政改革プランでは、アウトソーシング(業務の外注)を意識した内容が満載です。「民間委託化の推進」「指定管理者制度の活用」「PFIの検討」などの言葉がズラリと並んでいます。

単純な図式として、財政が厳しい、人件費を削減したい、制度上簡単に大幅賃下げはできない、それならば職員数を削減する、そのために職員が担ってきた業務を外注する、どこの自治体でも同様な論法を基本に計画が策定されているはずです。

一昔前まで行政のアウトソーシングと言えば「民間委託化」を示すようなものでした。それが国策として、アウトソーシングを推進させるための法制度改正が頻繁に行なわれてきました。昨年9月の記事「ご存知ですか、指定管理者制度」で記したとおり、この法改正で公の施設の管理が民間事業者、NPO法人、ボランティア団体などにも広く委ねられるようになりました。

今回の記事では「PFI」について少し掘り下げてみます。PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)」とは、公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行なう手法です。国や地方公共団体の事業コストの削減、より質の高い公共サービスの提供をめざし、1999年(平成11年)7月に「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」(PFI法)が成立しました。

PFIの事業形態は単一なものではなく、独立採算型やジョイント・ベンチャー型など多様であるようです。神奈川県立保健大学、東京都水道局金町浄水場の発電施設、藤沢市総合防災センターなどが先行例として知られています。公開競争入札などで選定された業者と契約を結ぶ際、事業内容、工期、事業期間、公共施設管理者の負担額、官民の役割とリスク、責任の分担、契約の解釈に疑義が生じた場合の対処措置、事業の継続が困難になった場合の対応措置などを明確に決めることになります。

PFIの契約は施設等の建設の請負契約と異なり、「機能発注」契約と言われ、行政サービスの機能面の質が確保されれば、施設の規格など細かな面については行政側が関与できません。また、20年から30年といった長期契約になることが多く、期間終了後、施設等を行政に返還するのか、その場合は有償か無償か、現状復帰させる義務を負うのかどうか、契約に明示しておくことが大切だそうです。

私どもの市の学校給食共同調理場は老朽化しているため、新しい施設建設が計画されています。その際、「PFIの検討」が行革プランの中で取り沙汰されています。子どもたちへ絶対安全で質の高い給食を提供していくことは労使の垣根を越えた至上命題です。そのように考えた時、あまり全国的にも聞かない学校給食共同調理場へのPFI導入が妥当なのかどうか、現場職員の目線を大事にした労使交渉が今後本格化していくところです。

その他にも市立体育館の指定管理者制度への移行など、行革プランにそった提案が見込まれています。行政のアウトソーシングが強まっていく動きそのものを頑なに拒むつもりはありませんが、市民サービスや労働条件面への影響などを一つ一つ慎重に見極ていくのが組合の重要な役割だと考えています。

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コメント

安上がりだとか、面倒だとか、やりたくない仕事だからといった理由で、何でもかんでもアウトソーシングっていうのには、私も抵抗があります。
やはり、サービスの受け手からの視点や責任体制などあらゆる側面から検討を加えるべき!
ここ数年、行財政改革に名を借りて、何でもアリのところが心配です。
行政内部だけでなく地域住民や団体と意見交換をしながら、情報を共有しながらいかにあるべきか、きちんとした将来像を確立して進めていかなければ、単なる行政の下請け業界ができるだけだと思います。

投稿: shima | 2006年12月13日 (水) 08時24分

shimaさん、コメントありがとうございました。
本当にその通りだと思っています。「官から民へ」を頭から否定しませんが、今後も短絡的な発想での「官から民へ」には問題提起していくつもりです。
また、この数年間の政策的な動きは、ある意味で行政に対する規制緩和や市場開放の側面もあるようです。それもオリックスの宮内会長らの要望に応えているようにも見受けられます。

投稿: OTSU | 2006年12月13日 (水) 18時08分

公務員実情日記、試験対策ブログはじめました。
元官僚の日記です。国1、試験情報、霞ヶ関内情を
書いていきます。よければ遊びにきてください。
相互リンク・ブックマークも大歓迎です!

http://hyper-koumuin.cocolog-nifty.com/blog/

投稿: 公務員 | 2006年12月21日 (木) 01時35分

公務員さん、はじめまして。相互リンク、大歓迎です。
さっそく当ブログへリンクしましたので、よろしくお願いします。
「脱官僚の激白」はブックマークし、これからも訪問し、興味深く読ませていただきます。

投稿: OTSU | 2006年12月21日 (木) 07時31分

リンク、ありがとうございました。
私の方でもリンクをはりました。
また是非遊びに来てください!
定期的に更新します。

投稿: 元公務員 | 2006年12月22日 (金) 01時13分

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