一喜一憂の組合活動
先週行なわれたアメリカの中間選挙は、民主党がブッシュ共和党を破り、12年ぶりに連邦議会上下両院で多数派を占めることになりました。開戦した正当性をはじめ、泥沼化しているイラク戦争への批判が大きな争点とされた結果でした。ブッシュ大統領は即時にラムズフェルド国防長官を事実上更迭し、イラク政策の見直しに踏み出す姿勢を余儀なくしています。
このブログの記事を振り返る際、どのような出来事があった頃なのか分かることも貴重だと思い、時折り時事の話題を取り上げてきました。最近は投稿ペースが週一回となっているため、今回のように記事タイトルと異なる話が唐突に出てしまって恐縮です。
本題ではありませんので一言だけ、このことに対する感想を述べさせていただきます。イラク戦争を支持した小泉前首相、そのことを結果として認めてきた私たち日本人は今後、どのように総括していくのか、何も反省しないで忘れていくのか、内外から民度が問われているのではないでしょうか。
さて、組合活動の非常に忙しい日々が続いています。賃金確定闘争が並行して取り組まれる中、組合役員の改選期を迎え、先週金曜夜には定期大会が開かれました。定期大会とは組合員全員の出席を呼びかけ、一年間の活動を振り返り、新たな活動方針を議論する場です。
昨年の記事「組合大会成功への試行錯誤」でも記したとおり、大会への出席者数を一つの成功のモノサシとしています。委任状の提出により、今のところ規程上の大会成立が危ぶまれる心配はありません。それでも力強い方針を確立するためには、一人でも多い出席者による議決が理想です。
出席者が減少していく現状を踏まえ、全員参加型から代議員大会へ切り替えていく組合が多くなっています。しかしながら私どもの組合は何とか今のスタイルを維持していこうと考え、これまで試行錯誤や努力を重ねてきました。もともと年間6回程度開く職場委員会は代議員制であり、年1回の定期大会だけは、誰もが毎年出席できる可能性を残すことが重要だろうと思っています。
とは言え、あまりにも少ない出席者数に落ち込んだ場合、確立した組合方針の信憑性が疑われかねません。今回、350人近くの組合員の皆さんに出席いただきました。組合員総数が1506人ですので、4人に1人弱の出席となります。他の組合の皆さんから見て、多い少ないの評価は分かれるものと思いますが、300人を超える人数の組合員が一堂に会する機会は貴重なことだと考えています。
加えて最近、前回記事「組合委員長のためいき」で示したとおり組合活動に対して暗くなりがちな中、出席者数のワーストを更新する不安も抱えていました。しかし、今回の出席者数は例年比較で見劣りしない水準であり、正直胸をなで下ろしたところでした。
さらに喜ぶべき報告があります。毎年、必ず数人の方から議案に対するご意見やご質問が寄せられています。質疑討論が少ないシャンシャン大会ではなく、それなりに活発な大会議論が交わされてきました。それが今回は常連の方をはじめ、若手、女性、幅広い職種の方から貴重なご意見が多数示され、かつてない議論時間の盛り上がりを見せました。
示された意見内容は、指定管理者制度などアウトソーシングが急激に進んでいく中、行政の責任を憂慮した声やその際の労使協議への役割を期待した質疑が多く、たいへん建設的な大会議論となりました。批判的な口調でのご指摘もありましたが、全体を通して「厳しい情勢だからこそ組合の役割は大きい。ぜひ、頑張ってほしい」との叱咤激励が大半だったと受けとめています。蛇足ながら教育改革に関するタウンミーティングのような「やらせ質問」など、一切ないことを付け加えさせていただきます(笑)。
組合活動の中心を担う執行部の人数は少なくなりましたが、大会での議論には改めて勇気付けられました。今後、1506組合員の思いや力を効果的に引き出していける運動や組織の再構築に向け、先頭に立って頑張る決意を新たにしています。日常的な組合活動の中で、あまり一喜一憂するのは好ましくないのかも知れません。それでも一憂があっても一喜があるからこそ、組合役員を長く続けている理由だろうとも思っています。
大会に先がけて実施された組合役員の信任投票も、選挙委員の皆さんの頑張りで95%を超える高い投票率でした。また、全役員が信任率80%を超え、私自身は今年も90%を超え最上位での信任を得ることができました。このように決して悲観することばかりではなく、明るい一喜があることも忘れないよう温めていきます。
最後に一言。このブログへのコメントも厳しいご意見がある一方、励みとなる暖かい声も寄せられています。特に手厳しいコメントが続いていた方から「逃げない姿勢に好感」など、ある面で評価したコメントが寄せられたりすると素直に嬉しいものがありました。
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コメント
otsuさんのお気持ち、よく分かります。
お互いに頑張りましょう。
さて、賃金確定闘争の時期ですが、いかがなものでしょうか?
民間景況は回復基調とはいえ、今回の国の勧告は比較基準の見直しもあり、厳しさを増すばかり・・・。
若い組合員の中には、こんなことなら公務員になんてなるんじゃなかったという愚痴もあるやに聞きます。
この組合員たちが、働き甲斐のある、しかもやりがいのある労働条件整備を確保したいと思いますが・・・。
力不足は否めません。キツイですよね!
投稿: shima | 2006年11月13日 (月) 20時32分
shimaさん、コメントありがとうございます。
賃金確定闘争ですが、私どもの組合は東京都人事委員会勧告を基本に決着点をさぐっています。官民比較方式見直しの経緯に若干納得いきませんが、このことも含めて決まったルールには従わざるを得ないと思っています。つまり0.31%の賃金削減は粛々と受け入れることになります。
その上で、同一経済圏である都の水準と乖離しないためにも、地域給による一方的な賃金削減には反対しています。昨年、東京都をはじめ、都内の自治体すべて地域給を見送ってきました。今回、都人勧に基づき地域給を導入し、月額給料を下げる場合、それに見合った地域手当の引き上げを欠かせない指標としています。
以上の指標は最低限の到達点と考えていますが、この機会に賃金水準を引き下げようとする厳しい情勢があります。私ども三多摩の自治体組合は今週末、交渉の山場を迎える予定です。とりまく情勢の厳しさを真摯に意識しながらも、組合員の期待感を大切にした組合機能が発揮できるよう全力を尽くすつもりです。
shimaさんのコメントを受け、長々と書かせていただき、たいへん恐縮です。本当に公務員組合にとって厳しい時期ですが、お互い頑張りましょう。
投稿: OTSU | 2006年11月13日 (月) 21時42分
現業公務員管理職です。
組合対策に90%以上のエネルギーを費やしています。
組合対策に費やされる労務コストは膨大なものになるでしょう。
組合は事務所の事務機その他を使い放題です。
これに消費されるコストを指摘することは、タブーです。
団体交渉に次ぐ団体交渉で、事実上のストライキをされてしまいますから。
そんな組織がまともであるわけがありません。
もちろん、個人の能力差に言及することも、適材適所への人員配置異動に関する議論もタブーです。
組合が人事権を握っているにちかい地方組織も存在します。
また、給与は年齢に応じて設定されるため、平の係員でも高齢になれば、若い管理者より遥かに高い給与を得ていることも普通におこります。
これを偉さ?と勘違いして、上司の指示に従わないものもいる、これを労働組合が援護するというような、むごい状況が現出します。
かつての国鉄と同じ状況でしょう。
かつての国鉄や郵政のように民営化されれば、まともな職員が救われると信じています。
投稿: 現業公務員管理職 | 2006年12月 9日 (土) 19時12分
初めて投稿します。
現業公務員管理職さんに質問です。
①「組合対策に90%以上のエネルギー・・・」とありますが、私の感覚で大変恐縮ですが、「対策」という意識から感覚がずれているのでしょうね。「協調」とまでは言いませんが、同じ土俵で協議をしているとの気持ちで接すればおのずと相手の意識も変わってくるのではないのでしょうか。
②組合は事務所の事務機・・・とありますが、使用頻度ももちろん問題でしょうが、私は自治労の組合員ですが、私の職場の管理職の皆さんは、以前組合員だった経緯もあり自治労共済などは管理職になっても継続し、組合事務所の事務機器や事務用品なども使用していますよ。(首長も60歳までは共済加入者でした)建前を言えば「管理職は組合に近づくな」「組合員は職場で混同するな」となるのでしょうが、それぞれの意識の問題であり、それぞれが、それぞれの立場でいかにその職場や自治体(会社)などをより良くしていくか、その中に組合員の社会的地位向上や賃金労働条件の改善が含まれているのではないかと思っています。
投稿: 一組合員 | 2006年12月28日 (木) 18時46分
一組合員さん、はじめまして。コメントありがとうございました。
現業公務員管理職さんへのご質問ですので、私がお答えすべきものではありませんので一言。たいへん共感できる事例でのご意見をいただき、管理人として非常に感謝しています。
ところで私自身も現業公務員管理職さんのコメントに対し、お答えしていた記憶がありました。他の記事を探してみたところ、現業公務員管理職さんから同様な内容のコメントを12月3日の記事「民間委託提案の法的な懸念点」にもお寄せいただいていました。そのため、その記事のコメント欄で現業公務員管理職さんからのコメントに対して、お答えしていたことを付け加えさせていただきます。
投稿: OTSU | 2006年12月28日 (木) 23時56分