自治労の闇、自治労本部の見解
久しぶりに平日の夜、記事を投稿します。ある程度速報性にもこだわり、内容も身近な職場課題を取り上げようと考えていました。昨夜、私どもの組合の保育士連絡会が主催し、「楽しい子育てしませんか~困ったちゃんのほめ方・叱り方」と題した学習会が開かれました。
このブログで保育園の問題を今まで2回ほど取り上げてきました。「保育園民営化の問題点」と「保育園民営化に賠償命令」という記事でした。その最初の記事の中で、東京大学大学院の汐見稔幸教授のお話をご紹介しました。昨日の学習会は、その汐見先生を講師としてお呼びしていました。
100人定員の市民会館会議室があふれかえる参加者の数だったと聞いています。実は出席を予定していたのですが、所用で顔を出すことができませんでした。自分自身が実際に参加せず、伝聞や関連する内容で記事内容を構成するのは「さいたま市で自治労大会」のような大きな催しの時にとどめるべきものと考えています。
したがって、今回の記事も職場課題から少し離れた硬めの内容となりました。それでも今回の内容も早くお伝えすべき必要性を感じていましたので、久しぶりに休日を待たず平日夜に新規記事を投稿しました。
自治労の闇を撃つ 日本最大労組で横行する巨額詐欺事件 全労災のカネが食い物に!
先週金曜、月刊「現代」に上記のとおりショッキングな見出しの記事が掲載されました。この記事を新聞広告で知り、さっそく購入し、目を通してみました。フリージャーナリストの岩瀬達哉氏のスクープとして、1998年に発覚した自治労大阪府職の「共済保険金着服・詐欺事件」の解決方法の不明瞭さなどを21頁にわたって取り上げていました。
一昨日、自治労都本部を経由して私どもの組合へファックスが届きました。月刊「現代」10月号の掲載記事に対する自治労本部と自治労共済の見解でした。自治労本部らは冒頭の文章で誹謗・中傷する記事だと反論し、毅然とした態度で臨みながら適切な対抗措置を講じていくと訴えていました。
改まった自己紹介となりますが、このブログの管理人である私は自治労に加盟する市職員労働組合の執行委員長です。単組(単位組合の略で「たんそ」と読みます)における全責任を負う役割を担っていますが、この問題に関しては比較的フリーな視点で発言できる立場だと思っています。そのような前置きをした上で、記事への論評や自治労本部への注文などを書き込んでみました。
1998年7月、自治労大阪府職の副委員長(当時)による共済保険金の詐取が発覚しました。「現代」の記事は、あくまでも副委員長の個人的な犯罪とするため、あまり追い込まないよう自治労側が手心を加えた和解に持ち込むなど、裏取引があったと伝えています。
それに対する自治労の見解は、弁護士や会計士を含めた合同調査委員会が徹底調査を行ない、副委員長を刑事告発、民事上の損害賠償請求訴訟と裁判上の和解など、すべての対応は終了していると表明しています。そのため、自治労として新たにコメントすべき事柄は皆無だと述べています。
合わせて別紙「自治労大阪府職・団体生命共済の共済金詐取事件の概要について」を添付し、事件の手口、副委員長の懲役3年(執行猶予4年)判決の量刑理由、和解の経過や再発防止に向けた改善策などが分かるようになっていました。
個人的な感想です。毅然とした態度で適切な対応措置を講じると表明する一方、自治労として新たにコメントすべき事柄は皆無…、少し説得力が乏しい印象を抱きました。事件の隠蔽工作があったとする「現代」の記事に対し、具体的な反証を加えない場合、逃げているような疑念が生じてしまいます。
続いて「現代」の記事に対する違和感です。巨大組織の裏金の実態を白日の下にさらすと言ったセンセーショナルな扱いでしたが、現在進行形で自治労全体が「闇」の温床となっている印象操作だと言わざるを得ません。最近の記事「岐阜県の裏金作りと自治労の不祥事問題」で記したとおり、2001年秋、どうしようもない自治労の不正の数々が明らかになりました。
その一連の事件を厳しく反省し、一から出直し、生まれ変わった今の自治労があると信じています。「現代」の記事は、それ以降も組織として不正が横行する体質が残り、背景には1390万人が加入する全労済との癒着があるように示唆していました。しかし、現在に続く組織的な「自治労の闇」なのか、10月号の特集で、そのことを裏付ける直接的な記事内容は見当たりませんでした。
一方で、2004年に島根県本部、2006年に佐賀県本部で、それぞれ事務局職員による掛金横領事件が明るみになりました。これらが一部の不届き者の個人による犯罪だと言い切れるのか、私にとって判断する材料が不足しています。さらに岐阜県職労の裏金隠匿協力は、極めて残念ながら致命的な組織の不正行為だと断言せざるを得ません。
自治労本部への注文です。ぜひ、内向けの「見解」表明にとどめず、広く外側に向かって毅然とした「現代」記事への反論を加えるべきだと思っています。また、不幸にして万が一、ある面で「闇」の指摘が事実だとするならば、一刻も早い自浄能力や各県本部への強力な指導力を発揮すべきだと考えています。
今回の記事内容に対し、自治労の一員である私への批判をはじめ、厳しいご意見が寄せられることを覚悟しています。それでも、今まで自治労に関連する記事を多数投稿していながら今回の問題に触れないのは不自然だと思い、このような記事を投稿させていただきました。
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コメント
頑張れ!
http://www.chihoujichi-center.jp/jichiro-fukuoka/index2.html
投稿: 私も単組委員長 | 2006年9月 8日 (金) 11時38分
若干趣旨外れるのですが、正当な報道もあれば、明らかに事実無根の報道も特に週刊紙を中心に多いんです。
「いい加減なことかかれたら雑誌社相手に訴訟を起こすべきだ!」とうちの単組のおえらがたに主張したことがあるんだけど、「訴訟起こしてわれわれの労働条件が改善されるんだったらやってもいいけど、そーじゃねーからな」と言われて、心底がっかり。そんな守りの姿勢でいいんかしらと思うのです。
投稿: hammer69_85 | 2006年9月 8日 (金) 23時07分
私も単組委員長さん、ハマーさん、コメントありがとうございました。
やはり自治労関係者は「現代」の記事に強く関心を示しているものと改めて感じたコメントでした。私も組合員からの信頼を維持するためには、訴訟費用など惜しむべき経費ではないと考えています。
付け加えれば適切な対応措置、法的な訴えも辞さないとも読み取れていたのですが、新たにコメントすべき事柄は皆無、少々残念な及び腰な姿勢だと思っています。
投稿: OTSU | 2006年9月 9日 (土) 08時46分
「県本部の専従から帰ってきた奴は、皆ゴルフがうまくなっている。」・・・市役所で昔から言われていることです。
97年から04年にかけて8億7千万円の現金が使途不明のまま流出した頃に、県本部に出向していた同級生がいて、確かに以前とは格段にうまくなっていましたねぇ^^;
古くからの友人なんで、あまり突っ込むのも気の毒なので、事件のことは双方意識的に話すことはありません。
正直なところ、頭はあまりよくないけど、元々性格的に悪いことができるタイプではないので、悪い時期に出向していたものだと同情しています。
多分、元をたぐれば、自治体ぐるみの裏金作りができなくなって、分け前がこなくなったのに、それまでの甘い汁が忘れられない労組幹部が、それまでどおりの飲み食いや個人流用を続けていたってことでしょう!
今のところ、女性事務員だけが逮捕されているけど、後の5億円を越える使途不明金の行方は解明されていません!
警察だって腰が引けてるのは、それなりの理由があるだろうと考えるのが自然でしょう。
その気になれば、犯意の稀薄なこんな杜撰な事件の裏は簡単に取れますよ^^
友人だからというわけじゃありませんが、これまで甘い汁を吸ってきた連中に何のお咎めもなく、たまたま悪い時期に当たった者だけ悪者にされるのは気の毒だし・・・仕事の割りに薄給の時代も確かにあって、その時代から培われてきていた慣行でしょうからねぇ^^
なにしろ、自分が友人の立場だったら、絶対にそういうことに手を染めることはありえなかった!という自信はまっくありませんから、ギャンギャンいう資格はないと思っています^^;
OTSUさんも立場上悩まれるのでしょうが、教訓は得られたのですから、もう済んだことにしないと、ストレスが溜まるだけです。
それにしても、今日も日本中でおバカな公務員が飲酒事故を起こしてますねぇ^^以前なら、新聞の地方版にチラッと書かれていたようなことを、NHKが全国放送ですからね。本当にイヤらしい「国営放送」ですよ!
まだ叩けばいくらでも「ホコリ」は出るくせに・・・
投稿: ニン麻呂 | 2006年9月 9日 (土) 23時23分
わたしは30年以上に渡り組合の役員で活動をしてきました。
ここ数年自治労の右傾化に泣く組員が増えました。
内部告発、パワハラ、過労死が有ろうとも組合は動きません。
モノ言う組合員は粛清されます。
今の自治労の実態です。
投稿: KAZUYA | 2019年4月28日 (日) 07時46分
KAZUYAさん、コメントありがとうございました。
ご指摘のような話が事実であるようであれば残念なことです。「右傾化」という問題ではなく、労働組合の役割や存在意義が問われているものと思っています。
投稿: OTSU | 2019年4月28日 (日) 20時34分