財政破綻した夕張市
ADSL接続が何とか安定してきましたので、久しぶりに本格的な記事の投稿に取りかかりました。残念なことに北朝鮮が7発ものミサイルを日本海へ発射した日に重なり、記事タイトルと異なる内容での再開となりました。
どのような北朝鮮の思惑があるのか定かではありませんが、航行している船舶に被弾し、人的な犠牲もあり得た卑劣な行為だと言わざるを得ません。国際的な緊張関係が強まり、日本としても経済制裁を発動する事態となりました。飢えで苦しんでいる自国民の生活を省みず、巨額な費用がかかるミサイルの愚かな浪費であり、穏やかに暮らしたい在日朝鮮人の方々をも嘆かせる暴挙だったと断罪しなければなりません。
さて、記事本文の投稿を見合わせていた時期にもかかわらず、いくつかコメントやトラックバックをいただき、ありがとうございました。お寄せいただいたコメント内容などを踏まえ、財政破綻した北海道夕張市の事例を考えてみます。
先月、夕張市は自治体の倒産にあたる財政再建団体に移行する方針を表明しました。単年度収支は黒字でも負債が600億円を超え、自主再建は不可能と判断し、財政再建計画を策定した上で総務省から財政再建団体の指定を受けることになりました。
財政再建団体は地方財政再建促進特別措置法に基づき、市区町村で実質収支の赤字額が標準財政規模の20%(都道府県は5%)以上になった場合が対象となります。夕張市の場合、約9億円がデッドラインでした。ちなみに標準財政規模とは、自治体の市税などの一般財源をベースにした標準的な財政規模を示す指標だそうです。
夕張市は全国有数の産炭地でしたが、ピーク時の1960年に約11万7千人だった人口も現在は約1万3千人まで落ち込んでいました。国際映画祭や夕張メロンが有名になっていますが、観光客の数も思うように伸びなかったようです。
負債の半分を占める一時借入金は、出納整理期間の5月末までに金融機関から借り換えを行ないながら年度末の負債残高をゼロにする「自転車操業」を繰り返した結果、約300億円まで膨らんでいました。
財政再建団体の指定を受けた自治体は赤字を起債(借金)で埋め、国が利子補給するなど優遇措置を受けることができます。一方で、国民健康保険料や保育料などの値上げ、自治体独自で実施している事業の廃止、各種団体への補助金などが削減対象となり、あらゆる行政サービスの低下が避けられません。
当然、職員の賃金や手当も引き下げの対象となります。そのため、6月に支給された職員への一時金(ボーナス)が人事院勧告通りだったとして、組合も含めて批判した内容のブログ記事を目にしました。しかし、独自な削減を行なうためには支給基準日の6月1日以前に条例改正が必要でした。
破綻した財政状況を認識しながら通常の額の支給を決めたのは夕張市当局の責任であり、組合を批判するのは筋違いだと思っています。そもそも組合は市の経営や財政面に口をはさめる立場ではありません。それでも「自治体や会社がつぶれてしまったら元も子もないだろう」と言われる時がありますが、その論調に組合が乗ってしまうと働く側に安直なしわ寄せが行きがちです。
一方で、組合が自分の市の財政状況をまったく把握しないで労使交渉に臨むのも論外だと思っています。万が一、夕張市のように財政再建団体に追い込まれた場合、労使で自主的に交渉していく幅は吹き飛んでしまいます。何よりも市民の方々へ大きなしわ寄せが行く最悪な事態は全力で避けなくてはなりません。
とは言え、あくまでも立場性の違いから労使交渉と財政論議は、今後も切り分けていく原則に変わりはありません。その上で非常に悩ましい問題ですが、今こそメリハリやバランスをしっかり意識し、組合としての責任や役割を掘り下げていく局面だと考えています。
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コメント
2006年7月 5日 (水)
財政破綻した夕張市
(略)
夕張市は自治体の倒産にあたる財政再建団体に移行する方針を表明しました。単年度収支は黒字でも負債が600兆円→億円の間違いでは?
投稿: | 2006年7月 8日 (土) 13時39分
2006/07/08 13:39:12
上記コメントでのご指摘、ありがとうございました。
ご指摘のとおり600億円の誤りでした。このような間違いがないよう注意してきたつもりでしたが、本当に恥ずかしい桁違いの記載ミスをしてしまいました。
また、記事の訂正やコメント欄でのご指摘に対するお礼も遅れてしまい、申し訳ありませんでした。
投稿: OTSU | 2006年7月 9日 (日) 18時34分
夕張に映画館が必要な気分。
投稿: 岡本昌明氏(夕張市長) | 2009年2月 1日 (日) 11時50分
地道に地元商店さんと地域の情報を届ける行いを始めています。役割・・・庶民もネットで力をつけなければと立ち上がっています
投稿: ふるさと応援隊 | 2009年12月 7日 (月) 21時59分
ふるさと応援隊さん、ご訪問ありがとうございます。
ネットでのご奮闘、頑張ってください。
投稿: OTSU | 2009年12月 7日 (月) 22時39分