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2006年7月17日 (月)

対北朝鮮決議と中東情勢

国連安全保障理事会は15日午後(日本時間16日午前)、北朝鮮のミサイル発射を非難し、弾道ミサイル計画に関連するすべての活動の中止とミサイル発射凍結の再確認、核開発放棄などを求める決議案を全会一致で採択した。

日本主導の安保理決議案が採択されたのは初めて。国際社会が結束して北朝鮮に核・ミサイル開発の放棄を迫る意思表示となった。同決議1695は強制力を伴う国連憲章7章に基づくものではないが、安保理決議自体が各国に順守を義務付ける法的拘束力を持つ。

決議は、北朝鮮の7月5日の「テポドン2号」など弾道ミサイルの発射を非難し、再発射の兆候があることに「重大な懸念」を表明。核開発を公言している北朝鮮の今回のミサイル発射が「地域と周辺の平和、安定、安全を危うくするものである」と確認した。 【読売新聞 7月16日】

北朝鮮が7発のミサイルを日本海へ発射した日、このブログでもその行為を批判する内容を書き込んできました。船舶などに被弾して人的な犠牲もあり得た危険性をはじめ、何よりも国際的な緊張関係を高める暴挙だったと考えています。

再発射を北朝鮮に自制させる外交努力が求められていましたが、冒頭の新聞記事のとおり国連安保理で対北朝鮮決議が採択されました。それに対し、北朝鮮の国連大使は「通常の軍事演習の一環」と主張し、採択後45分の最短記録で決議を拒否しました。

中国とロシアを含めた全会一致の決議は「日本外交の偉大な成果」と高く評価する声があります。確かに今回、麻生外相の積極的な動きが序盤から目立っていました。その一方で、当初目論んだ制裁決議の中味が弱められたことを「腰砕け」と批判する声も出ています。

各国の利害や思惑がうずまく国際社会の中で、一部の国の主張のみを押し通せないのは当然だと思います。したがって、「窮鼠猫をかむ」状態に北朝鮮を追い込まないバランス感覚が国連の機能として働いたと見るべきかも知れません。

いずれにしても国連で決議を採択することが目的ではなく、北朝鮮に国際社会の中で理性的な対応を迫ることが主眼だったはずです。この決議が実効あるものとなるのかどうか、拉致問題などの全面解決の道を開けるのかどうか、今後の北朝鮮包囲網の国際的な協調が重視されています。

そのため、現時点で日本外交の勝ち負けを評価することについて、あまり意味がないものと思っています。ただ今回の決議の過程で改めて浮き彫りになったことがあります。日本が最も信頼し、追従してきたアメリカから日本は再び土壇場でハシゴを外されました。

国連安保理の常任理事国入り問題の時と同様、日本が期待するほどアメリカは日本のことをフォローしないことが明らかになりました。何でも言うことを聞く便利な属国程度に思われているのかも知れません。

そのようなアメリカとの関係や北朝鮮のミサイル脅威を必要以上に強調し、ますます「普通」に戦争をできる国に突き進もうとしている動きが気になります。専守防衛など従来の原則の範囲内で敵基地攻撃は可能との声が上がり始めています。ちなみにタカ派である山崎拓元防衛庁長官が「憲法違反」だと批判する自民党内の構図も不思議でした。

要するにハト派、タカ派などと簡単に線引きできない難しい時代を迎えていることを認めなくてはなりません。誰もが平和を望んでいるものと思いますが、各論に対する判断は千差万別となりがちです。このような時代だからこそ、正確な情報つまり事実をしっかり把握していくことが大事だと考えています。

そのような意味合いから日曜の夕方に見たテレビ番組の内容は非常に貴重であり、戦争の「正義」の危うさや愚かさを改めて思い返すことになりました。TBSの「報道特集」で北朝鮮のテポドン発射を扱った内容と合わせ、中東の「過激集団」ハマスに密着した特集を報道していました。

自爆テロなど武装組織のイメージが強いハマスでしたが、日常的な福祉や医療活動にも力を注ぎ、パレスチナの人々に圧倒的な支持を受けていることを知りました。そして、その番組では海水浴に来ていた家族がイスラエル艦船の砲撃により、女の子一人残し惨殺されたシーンが報道されていました。

また最近、イスラム教シーア派民兵組織ヒズボラによるイスラエル兵の拉致を契機とし、イスラエル軍はレバノン国内各地へ空爆も始めました。ヒズボラ側もイスラエル北部の産業都市ハイファへロケット弾による攻撃を加えるなど、それぞれ多くの死者を出し、日増しに戦火は激しくなっています。

パレスチナ問題は複雑な歴史があり、簡単に善悪を語ることはできないかも知れません。しかし、実際に市民を殺戮しているイスラエルの戦闘行為は、北朝鮮のミサイル発射以上に非難し、国際的に自制を求める暴挙だと言えます。

サミット前に小泉首相がイスラエルを訪れたタイミングで、皮肉にもレバノンへの攻撃が激化しました。「理性的な行動を…」と訴えたようでしたが、アメリカ一辺倒である小泉首相の言葉に重さがないのは至極当然でした。すぐにレバノンの戦火を他人事とし、ラクダにまたがり「ラクデナイ」と親父ギャグを飛ばす小泉首相に何か期待する方が愚かなことでした。

長々と書いてしまいましたが、アメリカから見ればイスラエルが「正義」であり、ハマスやヒズボラはテロ組織である「悪」となります。平和な国際社会を創ることは半永久的な悲願となるような難題かも知れませんが、武力の行使は武力による報復の連鎖を招くことを歴史が証明しています。国際政治の舞台の中、「平和憲法」を持つ日本ならではの役回りが必ずあり、その役割を適確に発揮できる国となれるよう心から願っています。

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