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2006年6月24日 (土)

財政問題と労働組合の立場

金曜日の早朝4時、多くの日本人がW杯1次リーグF組の最下位からジーコジャパンの決勝トーナメント進出の奇跡を夢見ました。「神様ジーコ」への配慮の話はあり得ないものでしたが、すでに決勝トーナメント進出を決めているブラジルの戦略的な余裕に付け込んだ2点差以上の勝利、きわめて薄い可能性が「もしかしたら」の悲願となっていました。

やはり残念ながら現実は厳しく、結果は1対4の完敗、日本代表は前回王者ブラジルの厚い壁に押しつぶされました。前半34分の玉田圭司の先制ゴールから10分ほどが夢想した世界の絶頂の時間でした。それでもブラジルは2002年の日韓大会準決勝からW杯4試合連続無失点中で、日本戦を完封すればブラジルとして新記録達成だったそうです。その記録を玉田の左足が砕き、王者ブラジルに対して一矢報いた試合だったとも言えます。

このような記事を書いているとサッカー通のように思われるかも知れませんが、私自身はW杯だから格段に注目している数多いサポーターの一人に近いはずです。このところ寝不足が続いていたため、金曜の朝もテレビをつけながら本当の夢の中で「決勝トーナメント進出の夢」を見ていたと同然な状態だったようです。一方で、正真正銘の熱烈なサッカーフアンである私どもの市役所の有志数名は、日本戦にこだわらず最高レベルの試合を観戦するため、日本の敗退が決まったその日にドイツへ旅立っています。

いつものことながら記事タイトルと関係ない話が長く続き、たいへん恐縮です。さて、前回記事「プライマリーバランスの均衡に向けて」へのご意見をお願いしたところ「消費税率、引き上げ容認48%」との記事のトラックバックをいただきました。また、同じ職場の方からは新聞記事のコピーを参考資料として渡していただきました。ありがとうございました。

その新聞記事は、東京大学の伊藤隆敏教授が日本経済新聞に連載した「やさしい経済学-財政改革」の8回分の内容でした。私の前回記事でも歳出削減と増税問題を取り上げましたので、専門家の立場からより詳しくプライマリーバランスの論点を説明された非常に参考となる資料でした。ちょうど同じ記事内容がインターネット上に公開されていました。

私自身の不勉強さがばれてしまいますが、ドーマー条件など初めて耳にした言葉も多く、記事内容をすべて理解しきれた訳ではありません。その程度の者が伊藤教授の話を紹介するのは適切でなく、ぜひ、興味のある方はリンク先を直接ご覧になってください。一定の知識や情勢認識の参考として、このブログ記事での議論につながれば幸だと考えています。

実は財政面の議論を深めるにあたって、「公務員のためいき」の宿命とも言える立場性の問題がありました。過去の「公務員」論議でも行き着く先の一つの壁でしたが、私が労働組合の役員の立場でブログを発信しているため、あるロジックから抜け出すことができません。と言うよりも、勝手に抜け出してはいけない大きな信念であるロジックでした。

たっくんさんから「給与引き下げを受け入れないのであれば、どうするのか?借金?増税?他項目の削減?」と問いかけられ、狛江市議の清水さんからは「自治労が自らに鞭を打つ行政改革を発信出来なければ、地方政府の民主党政権も実現できないですよ」とのご指摘を受けていました。

確かに厳しい財政状況の中、市側の提案を何でも反対したり、従来の権利や水準を絶対守る立場での労使交渉はあり得ません。公務員を見る市民の目の厳しさなども強く認識し、引き下がるべき時は苦汁の決断を今まで数多く下してきました。それでも組合側つまり現場職員の目線で見て絶対引き下がれない問題に対しては、断固突っぱねた提案も少なくありません。

労使交渉事項は労働条件の問題に限り、管理運営事項すなわち経営に関する課題は対象となりません。だからと言って組合側が財政問題に関心がなかったり、無責任に「破綻しても仕方がない」などと考えている訳ではありません。自治労としては各都道府県に地方自治研究センターを立ち上げるほど力を入れています。

清水さんのコメントに対しては「ご指摘を重く受けとめながらも、司、司の労働組合の立場からより良い市政改革に臨んでいく決意です」とお答えしていました。厳しい市財政の建て直しに向け、市側が行財政改革推進の計画を策定すること自体、当然、組合側が反対したり否定する立場ではありません。

ただ労働条件に関わる問題の変更に際し、必ずしも市側と組合側が同じ目線に立てない場合のあることが「司、司の立場」だと考えています。そのことが結果として、市民サービスの維持向上につながる場合が多いことも付け加えさせていただきます。このようなロジックにより、たっくんさんのご質問に対しても明確に答え切れず、論点のすり替えだとのご指摘があるかも知れません。

最後に一言、ブログの利点は一方通行とならない意見交換できる機能がある点だと以前書きました。その上で、一つの結論とした考え方が絶対正しいとは限らず、幅広い視点やご意見に耳を傾けながらベターな答えを見出せたらと願っています。

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コメント

もっと単純に労働組合としては、放漫財政のツケを労働者に転嫁するのは許せん!という立場でいいんじゃないんかなぁと思うんだよなぁ・・大部分の職員は財政・予算をどうするということについて権限を持っていなかったわけですし・・

投稿: ハマー | 2006年6月25日 (日) 02時51分

ハマーさん、さっそくコメントありがとうございました。いつも歯切れよく、論点に切り込んでいただき感謝しています。
私の記事も長々と書いていましたが、ご指摘のような意味合いも託していました。組合は財政面で口をはさめる立場でなかったため、財政の厳しさだけを安易な理由にした賃金や人員の削減は承服できません。その一方で、時代情勢の変化や合理的な理由がある見直し提案だった場合、組合としても真摯に受けとめざるを得ません。結果として、その提案を受け入れることで財政面でのプラスにつながる場合があります。
一方で、組合側が労使交渉を優位に進めるためにも、自治体財政の分析や情報を把握することの大切さも軽視できません。しかし、あくまでも立場性の違いから労使交渉と財政論議は、今後も切り分けていく大原則が変わることはありません。
コメント欄でのお答えも長くなってしまい、主張したい点がぼけてしまったかも知れません。ぜひ、これからも率直な意見交換ができればと思っていますので、よろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2006年6月25日 (日) 09時57分

財政問題にひっかけての話ですが…

夕張市が財政再建団体になりましたが、関連の新聞報道によれば「先に破綻した赤池町は、破綻に至る過程での努力として、
それまで委託に出していた公園の草刈は休日返上の町職員が担った」などとありました。
普通に考えれば、休日返上ということは残業代も支払われない状態だったと思いますが、だとすれば町政の赤字を職員の無報酬労働に転嫁するような行為だと思います。
他都市でも、予算がないからという理由で何でも職員にやらせようとする傾向があるように思われます。行政の務めを果たすことは望むところですが…。

投稿: 通りすがりの公務員 | 2006年6月27日 (火) 20時02分

通りすがりの公務員さん、コメントありがとうございました。
「自治体や会社がつぶれてしまったら元も子もないだろう」と言われる時があります。ただその論調に労働組合が乗ってしまうと働く側に安直なしわ寄せが行きがちです。非常に悩ましい問題ですが、今こそメリハリやバランスをしっかり保ち、組合としての役割や主張を発信していくべき局面だと考えています。
通りすがりの公務員さん、これからもお時間がある時、お気軽にご訪問いただき、また気が付いた点などがありましたらコメントをお寄せください。

投稿: OTSU | 2006年6月28日 (水) 08時26分

夕張市の件に関しては、いろいろあるのは承知してます。でも、公務員以外の人から見れば単純に「公務員は何をやってる」「組合もこんな時に金を要求するのか」なんて浅はかな物言いをするのもいるのに、残念ではありますが存在するのです。

(以下、あるブログにあった記述)
こんな人をバカにした話はなかろう!財政再建団体入りということは民間企業でいえば「倒産」と同じ。そのような倒産企業がボーナスの支給額を引き下げるのには条例改正が必要であるなどとの話は本末転倒である!
また労組が屁理屈をこねているが、所詮組合などは会社に寄生する「寄生虫」と同じであり、寄生虫が偉そうなことを言うな、と言いたい!
http://blog.goo.ne.jp/sakuragaokanogen/e/b3ce37436bac1a02dc3773e0462ac4f3

いくらなんでも、「寄生虫」呼ばわりは「酷い」の一言。物事を表面のさらに表層部分しか見てない典型だと思ってます。

ただ、こういう人間がいるというのも、反面教師として頑張っていかなければ・・・と最近思ってます。厳しい時代でしょうけど・・・

投稿: 通りすがりの一公務員兼執行委員 | 2006年7月 2日 (日) 13時59分

通りすがりの一公務員兼執行委員さん、コメントありがとうございました。
ご紹介いただいたブログにも目を通してみました。基本的に公務員の待遇一つ一つが人勧制度や条例に基づき、決して突出したものではないはずです。また、自治体の財政再建団体入りと企業の倒産、類似点と異なる点があります。それを無視し、「夕張市、ボーナス大盤振る舞い」の読売新聞の見出しは意図的なものを感じていました。
その記事に乗せられた批判内容のブログ、さらに労働組合を「寄生虫」と呼ぶ思考は確かに私も不愉快でした。そのブログのコメント欄で、通りすがりの一公務員兼執行委員さんがその言葉の撤回を求めたのは勇気ある行動だと思っています。
それに対し、ハンドルネームを名乗って投稿しているのにも関わらず「名乗らないのはコメントする資格はない」との答えには驚きました。
いずれにしても、様々な考え方や視点の方々とも対話できるのがブログの利点だと思っています。ADSLの調子が今一つで記事本文の投稿を見合わせていますが、次回のタイトルは「財政破綻した夕張市」を予定しています。公務員や労働組合の立場の理解が少しでも進められるような議論提起になれればと考えています。
私も通りすがりの一公務員兼執行委員さんのように問題だと思ったことに対し、フットワークを軽くし、勇気を出して行動できるよう頑張ってみます。これからも、よろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2006年7月 2日 (日) 21時04分

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