財政問題と労働組合の立場
金曜日の早朝4時、多くの日本人がW杯1次リーグF組の最下位からジーコジャパンの決勝トーナメント進出の奇跡を夢見ました。「神様ジーコ」への配慮の話はあり得ないものでしたが、すでに決勝トーナメント進出を決めているブラジルの戦略的な余裕に付け込んだ2点差以上の勝利、きわめて薄い可能性が「もしかしたら」の悲願となっていました。
やはり残念ながら現実は厳しく、結果は1対4の完敗、日本代表は前回王者ブラジルの厚い壁に押しつぶされました。前半34分の玉田圭司の先制ゴールから10分ほどが夢想した世界の絶頂の時間でした。それでもブラジルは2002年の日韓大会準決勝からW杯4試合連続無失点中で、日本戦を完封すればブラジルとして新記録達成だったそうです。その記録を玉田の左足が砕き、王者ブラジルに対して一矢報いた試合だったとも言えます。
このような記事を書いているとサッカー通のように思われるかも知れませんが、私自身はW杯だから格段に注目している数多いサポーターの一人に近いはずです。このところ寝不足が続いていたため、金曜の朝もテレビをつけながら本当の夢の中で「決勝トーナメント進出の夢」を見ていたと同然な状態だったようです。一方で、正真正銘の熱烈なサッカーフアンである私どもの市役所の有志数名は、日本戦にこだわらず最高レベルの試合を観戦するため、日本の敗退が決まったその日にドイツへ旅立っています。
いつものことながら記事タイトルと関係ない話が長く続き、たいへん恐縮です。さて、前回記事「プライマリーバランスの均衡に向けて」へのご意見をお願いしたところ「消費税率、引き上げ容認48%」との記事のトラックバックをいただきました。また、同じ職場の方からは新聞記事のコピーを参考資料として渡していただきました。ありがとうございました。
その新聞記事は、東京大学の伊藤隆敏教授が日本経済新聞に連載した「やさしい経済学-財政改革」の8回分の内容でした。私の前回記事でも歳出削減と増税問題を取り上げましたので、専門家の立場からより詳しくプライマリーバランスの論点を説明された非常に参考となる資料でした。ちょうど同じ記事内容がインターネット上に公開されていました。
私自身の不勉強さがばれてしまいますが、ドーマー条件など初めて耳にした言葉も多く、記事内容をすべて理解しきれた訳ではありません。その程度の者が伊藤教授の話を紹介するのは適切でなく、ぜひ、興味のある方はリンク先を直接ご覧になってください。一定の知識や情勢認識の参考として、このブログ記事での議論につながれば幸だと考えています。
実は財政面の議論を深めるにあたって、「公務員のためいき」の宿命とも言える立場性の問題がありました。過去の「公務員」論議でも行き着く先の一つの壁でしたが、私が労働組合の役員の立場でブログを発信しているため、あるロジックから抜け出すことができません。と言うよりも、勝手に抜け出してはいけない大きな信念であるロジックでした。
たっくんさんから「給与引き下げを受け入れないのであれば、どうするのか?借金?増税?他項目の削減?」と問いかけられ、狛江市議の清水さんからは「自治労が自らに鞭を打つ行政改革を発信出来なければ、地方政府の民主党政権も実現できないですよ」とのご指摘を受けていました。
確かに厳しい財政状況の中、市側の提案を何でも反対したり、従来の権利や水準を絶対守る立場での労使交渉はあり得ません。公務員を見る市民の目の厳しさなども強く認識し、引き下がるべき時は苦汁の決断を今まで数多く下してきました。それでも組合側つまり現場職員の目線で見て絶対引き下がれない問題に対しては、断固突っぱねた提案も少なくありません。
労使交渉事項は労働条件の問題に限り、管理運営事項すなわち経営に関する課題は対象となりません。だからと言って組合側が財政問題に関心がなかったり、無責任に「破綻しても仕方がない」などと考えている訳ではありません。自治労としては各都道府県に地方自治研究センターを立ち上げるほど力を入れています。
清水さんのコメントに対しては「ご指摘を重く受けとめながらも、司、司の労働組合の立場からより良い市政改革に臨んでいく決意です」とお答えしていました。厳しい市財政の建て直しに向け、市側が行財政改革推進の計画を策定すること自体、当然、組合側が反対したり否定する立場ではありません。
ただ労働条件に関わる問題の変更に際し、必ずしも市側と組合側が同じ目線に立てない場合のあることが「司、司の立場」だと考えています。そのことが結果として、市民サービスの維持向上につながる場合が多いことも付け加えさせていただきます。このようなロジックにより、たっくんさんのご質問に対しても明確に答え切れず、論点のすり替えだとのご指摘があるかも知れません。
最後に一言、ブログの利点は一方通行とならない意見交換できる機能がある点だと以前書きました。その上で、一つの結論とした考え方が絶対正しいとは限らず、幅広い視点やご意見に耳を傾けながらベターな答えを見出せたらと願っています。
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