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2006年5月11日 (木)

メリットがない住基ネット

昨夜、新規加入の組合員対象に「新人歓迎オリエンテーション」と呼んでいる組合説明会を催しました。会の冒頭、私から一言挨拶する段取りでした。いつも限られた時間、もしくは短い方が歓迎される場面で挨拶することが多く、今回のように5分以上の持ち時間があるのは貴重な機会でした。

このブログで様々な内容の記事を投稿していますので、最近、挨拶する時のネタに困ることがなくなっています。そのため、久しぶりに長々と話してしまい、勢い余って「公務員のためいき」の宣伝もしっかりさせていただきました。

全体的に陽気な方が多いような印象を受けましたが、とりわけ入所早々に合気道部を立ち上げた一人の方の元気の良さには感心しました。帰り際、玄関の外で合気道の型を皆に披露し、コンクリートの上で受身を取る姿は「若さ」を強烈に感じさせられました。

さて、水曜日の朝刊に住民基本台帳ネットワーク、いわゆる住基ネット関連の記事が二つ載っていました。自分の所属する職場が市民課であり、必然的に目がとまる内容でした。

一つは、見出しが「横浜市 住基ネット全員参加へ」でした。住基ネットの安全性が確保されるまでの緊急避難措置として、横浜市は今まで住基ネットへ個人情報を送信するかどうか市民が選択できる方式を採用していました。

個人情報保護法が制定されたことや、外部からの不正侵入への防護策がとられていることなどから「安全性は総合的に見て問題ない」と中田市長は判断し、「非通知」希望者約82万6千人分のデータ送信を7月から始めるとのことです。

もう一つは、「お寒いオンライン手続き 税申請1件経費4万円 住基カード低迷で」と社会面に大きな見出しが踊っていました。インターネットを通して確定申告などの電子申請ができるようになっていますが、利用率が1%に満たないものが多いそうです。1件の申請に約4万円の経費が行政側にかかるものもあり、実施は時期尚早だったと批判の声が出始めていると報道されていました。

電子申請を行なうためには住基カードが必要とされ、さらに本人確認のための公的個人認証の手続きも必要とされています。面倒な手続きに加え、今のところ住基カード自体にあまり持っているメリットが感じられません。運転免許証を持っていない方が顔写真付きの住基カードの交付を受け、公的な身分証明書代わりに使える程度のメリットです。

住基カードがあれば、全国の自治体どこでも住民票の写しが受け取れると説明されています。ところが実は住基カードがなくても、運転免許証があれば広域住民票の写しは取得できるようになっています。加えて住基カードの発行手数料は有料(私の市では500円)であり、普及しないのが当たり前かも知れません。

2003年8月に住基ネットが第1次稼動しました。国は電子政府・電子自治体の基盤となるシステムであり、全国どこでも住民票の写しが取れるなど様々な「便利さ」を宣伝していました。一方で情報保護も万全だと説明していましたが、安全面を危惧したいくつかの自治体が不参加を表明しました。

現在でも杉並区、国立市、福島県矢祭町が参加していません。今回、横浜市が「安全」と判断したようですが、新手の危険なコンピュータ・ウイルスが登場したり、頻繁に情報流出が問題となっている中、絶対に住基ネットは大丈夫だと言い切れるのでしょうか。

私ども組合は住基ネットの稼動に反対の立場でした。自治体や市民にとってメリットが少ないにもかかわらず、労力やコストの負担が大きく、個人情報の安全面でも不安を感じていました。

最近の事例ですが、自分の担当業務でも住基ネットに関連して振り回されました。3月末時点での住民基本台帳人口を東京都へ報告する事務を担当しています。自分のところのシステムから出力される数字が、住基ネットで把握する数字と異なることが発覚しました。

どの時点で転出者を人口からマイナスするかどうかの違いでした。私の市だけの問題ではなく、全国的にも数多くの自治体で差が生じていたようです。そのため、それでなくても繁忙期の年度末に多くの職員が住基ネットの数字に近付けるため、手作業的な余計な事務を強いられました。

多くの職員の皆さんから協力を得て、昨年は230人ほどの差がありましたが、今年は30人ほどの差にまで縮めることができました。しかし、そもそも杉並区など住基ネットに参加していない自治体がある中で、この「正確性の確保」作業がどれほどの意味を持つのか疑問でした。

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コメント

 私も市民課にいます。人口集計は私も苦しめられました。合併もあったので余計に年度末は大変でした。
 住基ネットで楽になったといえば、転入通知郵送が減った事くらい?発行には1枚15分以上かかるし、果たして住民にはどれだけ恩恵があるのか?まだまだ見えません。。。
 システムに完璧なものは無いと思いますし、例のWinnyによる資料の流出のように人間が運用している以上、必ず穴はあります。情報流出は外部からの攻撃だけではありません。
 国はカードの多目的利用を推進してますが、二の足を踏んでるところが多いのが事実では。

投稿: 市民課さん | 2006年5月23日 (火) 03時04分

「市民課さん」さん、コメントありがとうございます。
私と同じ職場の市民課の方からのコメントは身近な思いが共有でき、とてもうれしく感じました。
本当に住基ネットなどは、国民のメリットや自治体の負担など二の次で「始めたら止まらない、国のメンツのために突き進む」姿勢があるように思えます。さらに省益や天下り先の確保など、疑い始めたらきりがありません。
記事本文で言い足りなかったことを長々と書かせていただきましたが、これからもお時間がありましたらご訪問ください。よろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2006年5月23日 (火) 07時29分

私は四月に市民課に異動してきて担当の端くれとなりました。
更なる推進のためにいろいろ上から降りてくるのですが、どこにメリットがあるのだろうと検索してみてヒット2番目がこの記事でした。これでは説得力はないですよね・・・

新たなる天下り先っていったって、団塊の世代それを要求されても・・・運転免許証のほうが公認度高いですしね。他人に運用されないように自分で運用しておく、自分の個人情報の活用され状況について調べられる(?)、以外のメリットってあるのでしょうか。

投稿: 食券少女 | 2006年5月25日 (木) 18時59分

自分で投稿しておきながらなんですが、「自分の個人情報の活用され状況について調べられる(?)、」と、何かで見たような気がして探してみたのですがとりあえず見当たりません。この部分だけ、保留させてください。何で見たんだろう?無責任に書いてしまってすみませんです。

投稿: 食券少女 | 2006年5月25日 (木) 20時01分

食券少女さん、コメントありがとうございます。
やはり住基ネットは市民課職員共通の悩ましさがあるようですね。
ところで「住基ネット メリット」で検索2番目はびっくりしました。自分でも試してみたらグーグルとニフティは確かに2番目でした。一方、ヤフーは埋没気味で、途中であきらめました。
これからもご訪問いただき、お時間がある時は他の記事もご覧になっていってください。

投稿: OTSU | 2006年5月25日 (木) 21時34分

こんばんは。OTSUさん。
私は「住基カード メリット」で検索して、なんでもいいから説得力のあるメリット探すつもりだったのですが、寒い状況です。いろいろ見ていて、カードや自治体の苦肉の?サービスよりも、ネットそのものに価値があり、コードが最後の砦かなと思いました。

あまりにメリットがないと、コードを開放してしまうのではないかと恐ろしいです。もちろん始めは条件付なのでしょうが。

これをご縁に時々覗かせてもらいます。無理せず率直に語ってください。

投稿: 食券少女 | 2006年5月26日 (金) 01時41分

住基ネット便利じゃん

投稿: | 2010年10月19日 (火) 15時43分

2010年10月19日(火)15時43分に投稿された方、コメントありがとうございます。

どのような点が便利なのか、もう少し具体的に書いていただければ幸いでした。なお、次回投稿される際は、意見交換をスムースに行なうために名前欄の記入についてご協力ください。

投稿: OTSU | 2010年10月19日 (火) 21時15分

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