窓口サービスのあり方、議論白熱
「組合を信じていませんから!」
この厳しい言葉とその時の冷ややかな視線、グサッと私の胸に突き刺さり、ずっと頭から離れません。その言葉を投げかけられた後、いろいろ話をさせていただき、「もう一度だけ信じてみるけど、今度、裏切られたら組合を辞めますから」と伝えられながら、その方とは別れました。
昨夜、私どもの市の窓口サービスのあり方について、市民課、保険課、出先機関の窓口職場を所管する課の職員を対象に市の計画案の説明会が開かれました。計画案自体、各職場代表も入った検討の上で練られてきていましたが、関連する職場の職員全体で意見交換できる場としては今回のスタイルが初めてでした。
会の進め方としては、市民課長が30分ほど計画案の説明を行なった後、質疑や意見交換の時間を60分以上予定していました。その時間配分から分かるように計画案をアリバイ的に関連職員全体へ説明し、トップダウンなやり方で強引に進めるような姿勢は課長たちの側になく、職員の率直な声に耳を傾ける機会となった会議だったと思います。
窓口サービスのあり方について多くの職員から現場に根差した貴重な意見や質問が出され、終了予定時間の午後8時を大きく回るほど議論が白熱しました。その説明会の後、ある女性職員から冒頭の言葉が投げかけられました。
市の政策会議で方針化した窓口サービスのあり方に関する計画案の中には、行革推進の姿勢が色濃く示されていました。昨年11月に投稿した記事「市役所の窓口業務も民間参入?」で報告しましたが、懸命に努力している職員のモチベーションを下げるような委託化などの記述が計画案に盛り込まれました。
ここで組合の出番があった訳ですが、市当局へ申し入れた上で計画案の取扱いを次のとおり確認しました。窓口職場の委託化など労使協議の必要な事項は、組合への提案が必要であり、労使合意なく一方的に実施しない原則を改めて確認しました。
したがって、委託化などの記載はあくまでも「案」の位置付けとなり、実施する際は労使協議が必要イコール「現時点では白紙」と軌道修正をはかりました。このことは当該の部課長も了解し、市民課長の説明の中でも「この部分は労使協議事項でありペンディングとします」と切り分けていただきました。
この労使確認事項に関しては事前に関連職場の組合員へ周知していました。しかし、説明が政策会議の資料に基づいて行なわれたため、出席職員の関心や不安がその保留事項にも集まりがちとなりました。逆にそのような重要な話が「現場職員の声が反映されず強行されてしまうのではないか」と心配する意見も上がっていました。
この説明会へは一市民課職員としての出席でしたが、ちょうど課長からの目配せもあったタイミングで、私から労使で確認した内容を改めて説明させていただきました。「委託化の問題などは組合へ提案された後、その是非について皆さんと協議することになります。業務レベルで進む話と異なり、労使協議は労使対等な立場で議論できますので、委託化の問題などは白紙であると考えてください」と説明を加えました。
さらに「一方で本庁職場でのワン・ストップ窓口のあり方などについては直接的な労使協議事項でなく、その職員配置で可能かどうかのみが労使協議の対象となります」と続けました。その説明会の中で、本庁窓口でのワン・ストップのあり方についても基本的な考え方に関わる意見が多数出されていました。そのため、「今日の会議で出された様々な意見を受けとめていただき、本庁窓口でのワン・ストップのあり方についても幅を持った検討の必要性」を個人的な要望として付け加えさせていただきました。
このような要旨で行なわれた説明会の後、その女性職員から「今まで私のいた職場は皆、委託化されてきた。そう言いながらも結局、押し切れらてしまうのではないの」と告げられたのでした。そのご指摘に対し、私からは「確かに委託化提案を受け入れた職場もありましたが、行革提案を押し返した時も少なくありません。どちらにしても組合がなければ、すべて当局の思い通りに進められてしまいますよ」と釈明させていただきました。
今回の件で、その方の信頼を裏切る結果を招いたら弁明の余地がなくなります。ただし、現時点で委託化の問題などを「白紙」に押し返したことは事実ですが、数年先に市当局から提案が示された場合、提案そのものを拒むことはできません。したがって、以前の記事「市役所の窓口業務も民間参入?」で取り上げた市職員側の問題意識について、広く市民の皆さんからもご理解いただけるような今後の組合運動がますます重要だと痛感しています。
| 固定リンク
コメント