保育園民営化に賠償命令
最近、新しいハンドルネームの方から以前投稿した記事へのコメントが続きました。それぞれ率直な感想や私と同じ市民課で働く方から共感を得たコメントの内容でした。のりさん、市民課さんさん、食券少女さん、改めてありがとうございました。このように相互交流できるのがブログの持ち味だと思っています。ぜひ、これからも多くの方からコメントをお待ちしています。
先週末、小泉首相が「改革の総仕上げ」と位置付けた行政改革推進法が国会で成立しました。国家公務員を今年度から5年間で5%以上純減、商工組合中央金庫と日本政策投資銀行の完全民営化、31の特別会計の統廃合などが定められました。
また、官民競争入札の具体的な仕組みを定めた公共サービス改革法(市場化テスト法)、公益性の高い法人に税制優遇を与える公益法人制度改革関連3法も同時に成立しました。民主党は、中央省庁の随意契約や天下りへの対策がないことを批判し、行政改革推進法に関しては反対したようです。
郵政民営化に異常な執念を燃やした小泉首相が登場し、国でも地方でも「官から民へ」の流れに拍車がかかっています。公務員側から発信する当ブログでは繰り返し、「民」に任せると行政サービスの質が低下する、「官」に任せていると非効率などの主張それぞれが不適切であると述べてきました。「官」と「民」の責任と役割を踏まえ、相互に補完していくことが大事であると訴えてきました。
先日、この「官から民へ」の激しい流れに対し、一石投じる判決が横浜地裁で示されました。横浜市立保育園4か所の民営化を巡る訴訟で、対応が拙速すぎたとして保護者らの主張を一部認め、市に慰謝料の支払いを命じました。
原告の保護者は民営化の取り消しを求めましたが、新たな混乱を招くとして取り消しそのものは認められませんでした。しかし、保護者説明会で同意が得られないまま「民営化は決定事項」として押し切った市の姿勢に対し、地裁は「特別に民営化を急ぐべき理由があったとは認められない」として、裁量権の逸脱と乱用を認定しました。
また、「引き継ぎ期間は3か月あれば充分」とした市の主張に対しても、地裁は厳しく批判しました。発表から5年後に民営化し、さらに6年かけて職員を入れ替えた神奈川県福祉事業団の例をあげ、大きく異なる市側の主張に疑問を呈しました。
今回の判決では「民営化決定の背景に財政問題があったのは明らか」と判断されています。以前の記事「保育園民営化の問題点」で投げかけましたが、保育の質を担保するためには経験豊富な保育士の存在が欠かせず、一人ひとりの子どもを適切に見守れる配置基準が重要です。
コスト削減を目的とした民営化が進めば、それらが疎かになり、保育園のレベルダウンにつながっていく心配があります。そのため、保育園の民営化を巡っては全国各地で取り消しを求めた行政訴訟が起きているようです。
私どもの市の行革プランでも保育園の民営化が掲げられています。今回の判決を教訓化し、子どもや保護者ら利用者側の視点に立つ必要性を行政側は強く認識しなければなりません。今後、組合としても保育園職場の皆さんと連携し、市側へそのことを強く訴えながら行革プランに対峙していくことになります。
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