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2006年4月 1日 (土)

地公法第36条と政治活動

今日から新しい年度に入ります。役所は4月から翌年3月までの1年間が事業や会計などの区切りとなる年度となっています。また、昨日3月31日は退職される皆さんとご挨拶させていただきました。改めて本当にお疲れ様でした。いろいろお世話になり、ありがとうございました。ぜひ、これからの新たな人生のスタート、頑張ってください。

今年は4月1日が土曜日であり、保育園や図書館など一部の職場を除き、多くの職員の実質的な新年度は3日月曜から始まります。ちなみに私自身は明日日曜、一足早い新年度を迎えます。転出転入の多い年度末と年度初めに臨時窓口が開かれるため、その当番での出勤です。

さて、前回記事「政治方針確立の難しさ」へtokoさんから地方公務員法第36条と公務員組合の選挙闘争の関係についてコメントをいただきました。お気遣いが伝わる書き方での貴重なご指摘にたいへん感謝しています。ありがとうございました。

実は組合員の方からも同じような質問を受ける時がありました。すでにコメント欄でお答えしましたが、その内容をお読みいただく場合は記事本文最後の「コメント(2)」か「最近のコメント」欄を1回クリックする必要があります。そのため、コメント欄まで読まれない方がいらっしゃるかも知れませんので、なるべく大事な問題は記事本文でも扱うように心がけています。

ご指摘のとおり地公法第36条で、地方公務員は特定の政治的立場に偏らず、中立であることが求められています。ただし、この法律をもって地方公務員の政治活動が一切禁止されている訳ではありません。公職選挙法の規定により、地位利用による選挙運動の禁止や公務員のままで立候補できない点、さらに当該職員が属する区域での選挙運動などが制限されている程度です。

付け加えると公選法に基づく選挙は事前運動が禁止され、告示日以降でないと行なえません。したがって、告示日前は日常の政治活動に位置付けられています。公選法で選挙運動は、特定の選挙において特定の候補者の当選を目的として投票を求める行為とされています。

したがって、告示日前に「今度の市議選で○○さんへの投票をお願いします」は問題があり、「○○さんはこのような考え方で政治活動を進めています。ご支援をお願いします」は許容範囲です。この違いを以前の記事「選挙運動とインターネット」でも取り上げましたので、お時間がありましたらご覧になってください。

また、地公法第36条は職員の政治的行為の制限を定めていますが、この規定は労働組合の政治的行為を制限するものではありません。組合が特定の選挙へ向けて、特定の候補者の支持や推薦を決め、組合員へ周知することは組合活動の範囲とされています。

以上のように法的に問題ないとされた一線を遵守し、組合として一定の政治活動に取り組んでいます。なお、国家公務員は人事院規則によって地方公務員より政治的行為の制限が厳しく、特定の政党を支持した運動そのものが難しい立場とされています。

ちなみに今後、地方公務員の政治活動も厳しく制限しようとしている動きがあります。背景として政権維持に危機感を抱いた自民党が、民主党の応援団である自治労など公務員組合の政治力の弱体化を狙ったものと見られていました。民主党の総選挙での惨敗やメール問題での自滅など、自民党に余裕が生まれたのか、この国会での具体的な動きはなさそうですが…。

最後に一言。今までも繰り返し述べてきたことですが、組合の政治活動は組合員の労働条件の維持・向上のための手段であり、日常の職場課題と主客逆転するようでは本末転倒なことだと考えています。そのような趣旨をご理解いただき、できる範囲内での組合の政治活動へのご協力をよろしくお願いします。

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コメント

私の感覚では,公務員と言えども労働者なのですから,職務上の立場を利用したりしない範囲でなら特定政党・政治家を支援する活動は何ら問題ないと思うのですが。
それを制限しようとする動きがあるのなら,労働運動全体への攻撃として,民間労働者も公務員労組を応援するべきだと思いますね。

投稿: WontBeLong | 2006年4月 3日 (月) 01時54分

WontBeLongさん、いつも公務員組合の置かれた立場にご理解いただき、励ましとなるコメントありがとうございます。
今まで連合の中で、民間組合と公務員組合は連携や信頼関係が保てています。その絆を今後も強めながら、さらに幅広い層の人たちからも共感を得られる運動に努めていきます。その一つのツールとして、このブログでも様々な思いを発信していこうと考えています。
これからもご注目ください。よろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2006年4月 3日 (月) 08時27分

社会保険庁解体の阻止、公務員制度改革の阻止、給与の削減と成果制度の導入は我々にとって害悪になるだけの存在です。
ですが民主党が政権を握るのももうすぐです。
共に闘いましょう

投稿: | 2009年3月15日 (日) 13時06分

2009年3月15日(日)13時06分に投稿された方、ご訪問ありがとうございます。
今後も投稿される機会があった場合、できれば名前欄(ハンドルネーム)だけはご記入くださるようよろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2009年3月15日 (日) 17時18分

職業選択の自由があるのですから、政治活動は、現在の職を辞して行えばよいのではないでしょうか?公務員は全体の奉仕者なのですから、原則に従って政治活動は避けるべきだと思います。

投稿: | 2009年4月10日 (金) 04時56分

2009年4月10日(金)04時56分に投稿された方、おはようございます。

政治活動を行ないたい訳ではなく、労働組合として一定の社会的、政治的な活動も必要であり、法的に許される範囲を綴った記事です。したがって、「職を辞して」というご指摘は少し的を射ていません。その上で言うまでもなく、政治活動を中心に考える公務員がいた場合は、退職することが妥当だろうと思っています。

なお、意見交換をスムースに行なうため、できれば名前欄(ハンドルネーム)だけはご記入くださるようよろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2009年4月10日 (金) 06時37分

A市の地方公務員(非現業)です。私の済むB市で中学の同級生がB市の市会議員に立候補するとします。
私に確実に認められる選挙運動もしくは地公法に抵触の可能性がある行為をご教示ください。
思いつくことは、順不同ですが
1 私が後援会員になる
2 選挙事務所・後援会事務所の活動に参加する
3 2の活動は
  ①街宣車に乗る ②街頭演説に同行 ③演説会場で応援活動
  ④事務所の電話で投票依頼 ⑤票集計作業を行う
4 同級生・先輩後輩に声かけあって応援できる者を把握する。
5 4で応援者が個別に投票を依頼しいわゆる票をつかむ。
6 後援会に票数を報告する。
以上のことはいかがでしょうか
このほかにもありがちな活動で認められること抵触することをご教示のほどお願いできると幸いです

投稿: 一地方公務員 | 2013年9月16日 (月) 11時35分

一地方公務員さん、ご訪問ありがとうございます。

お尋ねについて、手元にある資料をもとに取り急ぎお答えさせていただきます。法律の専門家ではありませんので、そのような点についてはご理解の上、あくまでも一つの目安としてお考えください。また、これまでの法律解釈で認められていた行為が今後裁判などを通し、その是非が改めて問われる場合もあり得ます。加えて、可能だと判断できる事例についても、住民の皆さんから誤解や批判を受ける可能性もあります。

その意味合いで考えた際、あえて誤解を受けそうな行為は意識的に避けたほうが賢明な社会情勢になっているものと思っています。万が一、後から違法だと認定された場合、自分自身へ手痛い制裁が加えられるとともに応援した候補者の方にも迷惑をかけることになります。前置きが長くなりましたが、基本的に表舞台に出るような応援は慎むよう心がけるべきだろうと考えています。

1 私が後援会員になる⇒可能です。

2 選挙事務所・後援会事務所の活動に参加する⇒選挙事務所の総括主宰者にはなれませんが、それ以外は可能であるようです。念のため、当該職員が属する区域での選挙運動そのものには関われませんので、あくまでも今回のような事例に限った話を前提としています。一方で、常設されている政治団体となる後援会の役員には区域を問わず一切なれません。

3 2の活動は①街宣車に乗る②街頭演説に同行③演説会場で応援活動④事務所の電話で投票依頼⑤票集計作業を行う⇒属する区域外であれば、総括主宰者にならない限り、すべて可能という解釈になります。ただ前置きで書いたような点には充分留意すべきだろうと思っています。なお、徴税吏員や選挙管理委員会事務局職員は区域を問わず選挙運動はできません。

4 同級生・先輩後輩に声かけあって応援できる者を把握する⇒上記3と同様な解釈となります。

5 4で応援者が個別に投票を依頼しいわゆる票をつかむ⇒上記3と同様な解釈となります。

6 後援会に票数を報告する⇒上記3と同様な解釈となります。

補足ですが、公示・告示日以降が選挙運動期間となる点について厳格な線引きを意識してください。それ以前の直接的な働きかけは事前運動として禁止されていますのでご注意ください。

投稿: OTSU | 2013年9月16日 (月) 17時53分

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