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2006年3月25日 (土)

平和な社会を築くために組合も

最近の記事「在日米軍再編問題」へ通りすがりの公務員さんから次のようなコメントをいただきました。

ただ通りすがっただけの者ですが、労働環境改善以外の組合活動に関しては批判的な立場です。なぜなら、我々組合員が組合費を払っているのは、労働環境を改善してくれることへの対価です。

「とりわけ政治課題に関しては切り口によって組合員のとらえ方は分かれがちであり」と認識されているならば、組合員から支払われている組合費を政治活動等に支出することが、組合員の総意に基づかない支出であることは理解いただいているのではないでしょうか。

平和運動や政治活動は、それぞれNPO団体等や政党がそれを担っており、組合がそれをしなくてはならない必然性がありません。個々人がそれらの団体に加入なり投票すればよいだけのことです。組合費で平和運動や政治活動を行うのは、労働環境改善と抱き合わせでそれらを売りつけるような行為であると考えます。

このような趣旨のご意見は今までもたびたび耳にしていました。その都度、私なりの考え方を述べてきましたが、たいへん重要な問題ですので改めてお答えさせていただきます。

そもそも組合活動は組合員一人ひとりのためになることを第一の目的としています。ただ時には「なぜ、労働組合がそこまでやるの?」と違和感を持たれる場合があるかも知れません。その顕著なものとして、政治活動や反戦平和の取り組みがあげられがちです。

過去の記事「組合の平和運動」などでも述べてきましたが、自分たちの職場だけ働きやすくても、社会全体が平和で豊かでなければ暮らしやすい生活となりません。そのために労働組合としても、一定の平和や政治活動が欠かせないものと考えています。

通りすがりの公務員さんも平和活動そのものを否定している訳でなく、組合が取り組む必然性について疑問を投げかけられているものと理解しています。確かに組合として必ず取り組むべき運動領域ではないかも知れませんが、平和な社会を築くためには政党や市民団体などに限らず、様々な組織による運動も重要なはずです。

かなり昔ですが、全日本検数協会事件(名古屋高判昭和46年4月10日労民集22巻2号453頁)の判決文で、「労働組合がその目的達成に必要な政治活動や社会運動を行なうこと自体は何ら妨げられることではない」と裁判所も述べていました。結局、日韓条約に反対した政治ストライキによる解雇は有効とされた裁判でしたが、労働組合の政治活動そのものは肯定された事例でした。

また、以前の記事「骨っぽい挨拶の菅直人さん」で紹介しましたが、民主党元代表の菅直人さんは「今までの歴史の中で、社会を動かしてきたのは農民運動であり、労働運動、学生運動、市民運動だった」と話されていました。とは言いながらも、組合の本務である労働環境改善などが疎かになったり、平和運動との関係が主客逆転するようでは論外です。

したがって、しっかり職場課題に取り組んだ上で、できる限りの守備範囲で組合が政治的な活動や平和運動を進める意義は決して少なくないものと考えています。さらに再三述べてきたことですが、それらの活動を進める方向性は組合員全体で意思一致をはかることが大前提となります。

そして、ご指摘のあった「総意」の問題です。組合が進める活動の方針は、すべて所定の機関手続きを経た上で確立したものであり、組合員の「総意」であると言っても差し支えないのかも知れません。一方で、とりわけ平和や政治活動の方針に対して、様々なとらえ方をしている組合員の方が少なくないことも認識しなければなりません。

以上の問題意識を踏まえ、最近の記事「在日米軍再編問題」を投稿してきました。今回の記事内容で、通りすがりの公務員さんの疑念に充分答え切れたかどうか分かりません。いずれにしても組合は組合役員のものではなく、組合員一人ひとりのものです。そのように実感していただくためには日常的な意思疎通が欠かせません。その意味でも、このブログを通して様々な問題について意見交換できれば幸です。

最後に個人的な「ためいき」を一言。組合としての平和活動も重要だと言っていながら最近、時間的にも気持ち的にも余裕がなく、充分な対応がはかれていません。それでも年に何回かは集会や駅頭ビラ配布などの行動に参加していますが、あくまでも使命感や義務感によるものであり、いつも「早く終われば良いな」と思っている不謹慎な私でした。

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コメント

お答えいただき恐縮です。1点だけ。

自分たちの職場だけ働きやすくても、社会全体が平和で豊かでなければ暮らしやすい生活とはならない、これには同意します。しかし、このことは
>そのために労働組合としても、一定の平和や政治活動が欠かせないものと考えています。
ここには直結しません。

例えば、平和に関する政治活動を投票行動で表すとして、自民党、民主党、共産党、社民党いずれに投票することが「平和」に結びつくのか?
その考え方は人によって様々であり、必ずしもひとつの解には至らないはずです。

このことは、組合とは異なる支持政党を持ちながらも労働改善を望む人々が組合活動から遠ざかる大きな原因を作っており、そのことが職員全員の総意=組合の総意とならない可能性を持たせ、ひいては労働改善への力そのものを削ぎかねない問題になっていると考えます。

投稿: 通りすがりの公務員 | 2006年3月26日 (日) 15時16分

通りすがりの公務員さん、こちらこそ再度ご訪問いただき恐縮です。
今回、組合としての政党支持問題のご指摘だと受けとめています。この問題は非常に悩ましく、組合員の不団結の要因となる懸念を正直抱えています。一方で総論的な意味合いからは、支持協力関係が緊密にはかれる政党との連携も無視できません。やはり組合員の利益につながる意義付けを背景とし、特定の候補者や政党を支持する必要性が求められています。
この問題は改めて記事本文で取り上げたいと思いますが、お時間が許すようでしたら昨年の総選挙前後のバックナンバーをご覧いただけたら幸です。ぜひ、これからも率直なご意見のコメントをお待ちしています。よろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2006年3月26日 (日) 20時08分

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