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2006年3月29日 (水)

政治方針確立の難しさ

月曜日に人事異動の内示がありました。対象者の方々にとって午後3時すぎの発表までの時間は期待と不安が交錯する日でした。市役所の仕事は幅広く、転職したような劇的な職場環境の変化を味わえる場合があります。

発表された後、昇任や希望職場へ異動できたかどうか悲喜こもごもで、その夜の駅周辺の居酒屋に市職員が多数繰り出したことは言うまでもありません。自分自身異動した訳ではありませんが、私もその一人に加わり、夜遅くまで飲み語り合っていました。

さて、前回記事「平和な社会を築くために組合も」に対し、通りすがりの公務員さんから改めて次のようなコメントが寄せられました。

平和に関する政治活動を投票行動で表すとして、自民党、民主党、共産党、社民党いずれに投票することが「平和」に結びつくのか?その考え方は人によって様々であり、必ずしもひとつの解には至らないはずです。

このことは、組合とは異なる支持政党を持ちながらも労働改善を望む人々が組合活動から遠ざかる大きな原因を作っており、そのことが職員全員の総意=組合の総意とならない可能性を持たせ、ひいては労働改善への力そのものを削ぎかねない問題になっていると考えます。

通りすがりの公務員さん、再度ご訪問いただき、今回も貴重な問題提起となるコメントありがとうございました。コメント欄でもお答えしましたが、ご指摘の趣旨は組合としての政党支持の問題だと受けとめています。

この問題は非常に悩ましく、確かに組合員の不団結の要因となる懸念を正直抱えています。自民党と社会党が対峙した55年体制の頃からもあった問題だと思いますが、それでも当時は今よりスッキリしていたかも知れません。旧総評系の組合が社会党を支持しても大半の組合員は賛同した時代だったはずです。

自治労で考えれば、かつて数多くの自治体で組織内議員を誕生させ、参議院全国区があった頃の組織内候補の得票は組合員数以上だったと聞いています。選挙制度が多少異なりますが、最近の参議院比例区候補の得票は組合員数の3分の1程度となっています。

1990年代に活発化した政党再編を経る中で、自治労をはじめとした連合傘下の組合は民主党を基軸とした政治方針を打ち出してきました。昔から政党支持の問題は非常に難しい面がありましたが、現在の民主党との関係は輪をかけて悩ましいものとなっています。

民主党の場合、もともと安全保障の問題など様々な考え方を持った国会議員が結集した政党であり、平和に対するアプローチは自治労方針と必ずしも合致しません。加えて公務員叩きをセールス・ポイントにする議員の多さにも違和感があります。

このような難しさを抱えながらも、昨年の総選挙戦は私どもの組合も民主党を応援しました。自民党が勝利した場合の危機感、民主党とは相互に連携をはかれる信頼関係がある点などを組合員の皆さんへ訴えさせていただきました。昨年の総選挙前後のバックナンバーの記事にいろいろな思いを託しましたので、ご覧いただけたら幸です。

総選挙の結果は民主党の惨敗、その直後に選出された前原新代表からは組合を突き放すような発言が目立っていました。そのため、昨年11月末に連合三多摩は「前原民主党代表と語る会」を開き、お互いの信頼関係の再構築に努めました。組合と政党との関係上、政策面などで是々非々になることは当然ですが、勤労者の視点を大切にした政治をめざす意味合いでの信頼関係は確認できたものと思っています。

政治方針の問題は当たり前のことですが、どうしても具体的な政党の評価などの議論になりがちです。一方で総論的な話としても、支持協力関係が緊密にはかれる政党との連携の重要さを押さえなくてはなりません。やはり組合員の利益につながる意義付けを背景とし、特定の候補者や政党を支持する必要性が求められています。

とりわけ公務員の場合、自分たちの労働条件は法律や条例で定められていくため、協力関係が築けている議員の存在はいっそう重要なものとなります。したがって、特定の政党や候補者のために組合は頑張っている訳ではなく、組合員の労働条件の維持・向上につながるからこそ選挙闘争にも力を注いでいます。

以前に比べて、組合員の皆さんの政党支持に対する考え方の幅は広がっているものと思います。確かに固有名詞が伴う政治方針を確立することによって、組合離れの原因を作り出す恐れもあります。

しかし、選挙闘争に取り組む意義の重要さも軽視できず、さらに労働組合の社会的・政治的な影響力を高めていく一つの手法としても具体的な政治方針の確立は欠かせません。したがって、組合員の皆さんと議論を経た上で一つの方針を確立し、それに向けて結果が出せる活動を進めていくことが今後も必要だと考えています。

言うまでもなく、とりわけ選挙闘争方針は組合員一人ひとりに押し付けるべきものではありません。選挙闘争の重要性を組合員の皆さんへ訴え続けることによって、ご理解ご協力を求めていくものだと位置付けています。そのような慎重さや丁寧さを組合役員が失念した時は、組合員の団結にヒビが入っていくものと自戒しています。

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コメント

はじめまして。

公務員の方に、かねてから一つお聞きしたかったことがあります。
地方公務員法36条にて、公務員は政治的活動に制限があることをOTSUさんもご存知かと思います。この制限と選挙闘争、自治労の方はどのように折り合いをつけているのでしょうか?

教員採用試験の勉強中にこの条項を知り、いわゆる選挙活動はしてはいけないんだと解釈していました。(結局、能力が足りずに落ちてしまったのですが)
ですが、日教組や自治労など、公務員系の労働組合に所属しておられる方は、応援として選挙事務所に行かれています。
採用試験に受かった後には、労働者の権利確保の点から組合運動に参加したいと考えているのですが、この点がどうにも個人的にひっかかってしまって…。

難しい問題だとは思いますし、困らせてしまうのではないかと心配です。OTSUさんの個人的な見解でかまいませんので、教えていただきたく思います。

投稿: toko | 2006年3月31日 (金) 01時16分

tokoさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
ご指摘のとおり地公法第36条で、地方公務員は特定の政治的立場に偏らず、中立であることが求められています。
ただし現時点では、一切の政治活動が禁止されている訳ではありません。政党に所属することや公務員のままで選挙に立候補できない点、さらに当該職員が属する区域での選挙運動などが制限されています。
付け加えると選挙は事前運動が禁止され、告示以降でないと行なえません。したがって、告示日前は日常の政治活動に位置付けられています。また、組合役員が組合員の方々へ組合方針を訴えることは、組合活動の一環としています。
いろいろ回りくどい言い方で恐縮ですが、法的に問題ないとされた一線を遵守しながら活動しているつもりです。ちなみに今後、地方公務員の政治活動への縛りを強めようとしている自民党の動きがあることも付け加えさせていただきます。
ぜひ、これからも何かお気づきの点がありましたらお気軽にコメントをお寄せください。よろしくお願いします。


投稿: OTSU | 2006年3月31日 (金) 07時03分

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