公務員の労働基本権
ワールド・ベースボール・クラシックの決勝戦、日本代表は10対6でキューバを下して栄誉ある初代王者となりました。2次リーグで敗退の危機だった絶望の淵からはい上がってきた驚異的な優勝劇でした。
車で外出していましたが、カーナビ画面のテレビで勝利の瞬間は生放送で見ることができました。横浜高校時代から松坂大輔投手のファンであり、その夜、このブログを書きながら改めてビデオでMVPを獲得した松坂投手らの奮闘を観戦しています。
やはり日本列島が歓喜した歴史的な日でしたので、珍しく野球ネタで入らせていただきました。さて、前回記事「多くの方に支えられながら101回」へ早々に何人かの方からコメントをいただきました。ありがとうございました。
ブログを始めて本当に良かったと思っている理由が何点かあります。公務員や組合役員の立場からの主張を不特定多数の方へ発信できる点、幅広い考え方のご意見をいただける点、それら相互交流はブログの最大の利点だと考えています。
また、ブログの記事を書くことで自分の考え方などが整理でき、不確かなことは書けないため、いろいろな資料を調べたりする勉強の機会にもなっています。さらに新聞や自治労からのFAX情報に対し、以前とは比較にならないほど敏感になっています。特に公務員関連の記事を目にした新聞は必ず手元に残すようにしています。
したがって、昨日の夕刊(読売新聞)の「公務員へ労働基本権付与 政府・連合 協議会新設合意へ」の見出しを見逃すことはありませんでした。翌日の朝刊(読売新聞)にも「政府、連合に配慮 公務員削減 円滑実施に不可欠」の見出しで追加記事が掲載されていました。記事内容の概略は次のとおりです。
政府と連合は20日午後、公務員への労働基本権の付与問題を検討するための新たな協議機関の設置を合意しました。小泉内閣の重要法案である行政改革推進法案に明記した公務員削減を実現するためには連合の協力が不可欠と判断し、政府が連合に配慮した形でした。
労働基本権は労働三権とも呼びますが、団結権、団体交渉権、団体行動権つまり争議権(ストライキ権)を指します。これらは日本国憲法第28条で規定されていますが、公務員は争議権が一切認められず、団体交渉権も非現業組合の場合は協約締結権がないなど一定の制約があります。
公務員の労働基本権制約問題で日本政府はILO(国際労働機関)から是正勧告を受けていましたが、ずっと無視し続けてきました。ようやく重い腰を上げた背景として、与党内に「政府と連合が協議を重ねることで、連合と民主党の間にくさびを打ち込めるのではないか」との思惑もあるようです。
一方で、政府・与党内には公務員に労働基本権を付与すれば「ストライキで国政が停滞する」「国民サービスの低下につながる」など否定的な意見も多く、中馬行革相は「付与を前提としない協議」だと強調しています。それに対して連合側は「最終的に労働基本権は付与されず、公務員削減など政府側の言い分だけが通る事態は絶対避けたい」と警戒感を強めている構図です。
公務員の労働基本権確立は長年の課題であり、公務員組合側の悲願であることは確かです。法的な面での労働基本権の確立は絶対重要ですが、そのために他の「公務員」問題がすべて押し切られるとしたら個人的には少々疑問に思います。
特にストライキ権が付与されても、住民からの理解や信頼関係が薄かった場合、抜くことができない「伝家の宝刀」になってしまうかも知れません。以前の記事「ニューヨークで25年ぶりのストライキ」でも訴えさせていただきましたが、労働組合の社会的な存在意義やストライキの必要性を労働組合自ら内外に示していくことが重要なはずです。それらの活動も重視しながら、公務員の労働基本権確立をめざしていくことが理想だと考えています。
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