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2005年12月15日 (木)

民間委託は「安上がり」の悩ましさ

アンディさん、前回記事「学校給食への安全責任」へ、すばらしいコメントありがとうございます。そのまま一つのブログ記事として引用(盗作?)したいほど、いろいろな思いが伝わってくる内容でした。ところで、アンディさん、名前から「ペム」が取れたのですね。それと広島県の方だったと知り、自治労王様の「全国性」と今さらながら物理的な距離を感じさせないインターネットの持ち味に感激したところです。

実は前回記事の最後が「民間委託の問題を考える時、社会的な均等待遇の実現も課題認識する必要があります」と回りくどい言い方だったので、もう少しストレートな表現の記事の投稿を考えていました。そう思っていたら、アンディさんから次のとおり的確な表現で、前回記事のフォローとなるコメントをいただきました。

公の仕事の民間解放を求めるのは、かつて利益にならなかった分野ですら、儲けの対象にしようとする資本の要求からです。そのため、民間の現場で働く労働者は、低賃金で働かされ、所得が300万前後という人たちが増加してきました。こうした低所得の人たちが生み出され、その低所得を理由に公務員が叩かれる・・・。こうした流れが作られました。

本当に同感です。行政改革で必ず民間委託などアウトソーシングが目玉となり、直営より「安上がり」、だから財政健全化につながると論立てられています。なぜ、「安上がり」なのか、アンディさんの指摘のとおり低賃金の労働を強いられる方がいるからです。

残念な現実であり、今後の市場化テストなどで官民がコストを中心とした競争を行なえば、まず官が民に勝てる可能性はありません。したがって、公務員が担う必要性や直営責任を明確に打ち出せない限り、加速した「官から民へ」の流れは簡単に止められないものと思います。

一方で自治労は最低賃金制度の改善や公正労働基準を義務付けた公契約制度の改革など、働く人たち全体の労働条件底上げをめざした社会的な運動にも力を注いでいます。しかし、この運動が具体的な成果を上げられないならば、自分たちの賃金水準を守るためのパフォーマンスとみなされてしまうかも知れません。

非常に悩ましい問題です。それではオランダのダッチ・モデルのように公務員賃金を主体的に抑制し、公務のワークシェアリングを進めるべきなのでしょうか。否、子どもの教育費などで厳しい家計の組合員の方から「冗談じゃない!」と一喝されてしまいます。

もともと公務員賃金は、人事院勧告による民間賃金水準の相場を反映したものです。先走って後ろ向きな発想を持つ必要はなく、やはり理想は公務員賃金水準を一つの社会的なモノサシとした均等待遇原則の確立です。

財政を考えるのは市当局の経営責任で、組合は労働条件面の要求の前進をめざすだけ…、管理運営事項は労使協議の対象とならない労使関係の基本形です。しかし、組合側も情勢認識として財政の厳しさなどは押さえる必要があります。闇雲に拳を振り上げても、らちが明かず、結果として組合員のためにならない事態を招く恐れも想定しなければなりません。

とにかく労働条件の社会的な底上げの運動は、自治労や連合へ結集して進めていくことになります。それと平行して自分の市の業務の「官か民か」は、現場を熟知した当該職場の組合員と連携し、多面的な検証を加えていかなければなりません。今後、学校給食の民間委託化など市側の行革プランに毅然と対抗していくためには、市民の皆さんからも共感を得られる「だから直営」を打ち出せるかどうかが勝負だと考えています。

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コメント

年収300万を低所得者と馬鹿にする公務員の驕りを感じました。300万の貰えれば普通の暮らしができます。

投稿: 民間人 | 2005年12月27日 (火) 19時16分

そんな必要最低限の生活で本当にいいの?ってことですよ。わしも年収300万くらいですが。結婚して子ども生んだらやってけないがね。ましてや3人は子どもを生まないと日本全体で少子化が進むというのに・・

最近、職場でも「私、物欲ないですから」とか言ったら、上司が「みんなが物欲なくなったら日本経済成り立たないって!」と、大笑いしたなぁ・・

投稿: hammer69_85 | 2005年12月28日 (水) 03時11分

>民間人さん

 「普通の暮らし」って何ですか?
 最近,自分の基準で「普通」を押し付ける人が多くて困りますな。

投稿: 通りすがり | 2005年12月28日 (水) 21時27分

やはり地方公務員は、権利ばかりを主張しすぎと思わざるを得ないですね。

>もともと公務員賃金は、人事院勧告による民間賃金水準の相場を反映したものです。先走って後ろ向きな発想を持つ必要はなく、やはり理想は公務員賃金水準を一つの社会的なモノサシとした均等待遇原則の確立です。

公務員賃金は従のはずなのに下げるのが嫌だから主が合わせろと言ってますね。

サービス業の低賃金化は憲法の精神からもどこかで歯止めが必要ですが、地方公務員が難易度の低い仕事にまで一律で優良企業のサラリーを確保したのがおかしいのです。

そもそも、民間とは公務員の方が圧倒的に好んで使う語彙でよほど生活者と一線を引きたいのでしょう。

>子どもの教育費などで厳しい家計の組合員の方から「冗談じゃない!」と一喝されてしまいます。

義務教育の質が十分なら家計を圧迫するほどの教育費は必要では無いし、自分の都合で税金にブラ下がられても迷惑です。
それほど教育にお金を掛けたければ給料は高い仕事に就けばいいだけです。
しかし、それは地方公務員でいるより何倍も難易度の高いものですが。

PFIについて別途記されていましたが、あれは民間の方がコスト的にも質的にも優位と認めていますよね。
突き詰めて考えると企画が出来る一部のプロ以外は身分保障された公務員である必要が無いとは思いませんか?
実施段階は専門性に応じて専門家なり企業なり、はたまた嘱託なりにアウトソーシングする方が質もコストも優れたものになるでしょう。

ちなみに教師は更新制になるようですが一般行政職もそうすべきですよね。

投稿: 自治労は甘い | 2007年7月 3日 (火) 17時13分

自治労は甘いさん、昔の記事へのコメントありがとうございました。
そのようなご意見や見方が本当に急増していることを実感しています。いみじくも最新記事を通し、同様な趣旨が厳しい論点となっています。基本的な立場は、この記事で自問自答した内容と大きく変わっていません。
ただその考え方に少しでも賛意をいただけるのか、当方の考え方が決定的な誤りなのか、このブログを通して今後も議論させていただくつもりです。ぜひ、最新記事もご訪問ください。

投稿: OTSU | 2007年7月 3日 (火) 22時04分

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