« 12月議会始まる | トップページ | 学校給食への安全責任 »

2005年12月10日 (土)

耐震強度偽装事件からの警鐘

このブログの題材に事欠くことはないのですが、このところ毎晩遅い帰宅が続き、投稿する間隔が開きがちでした。もともと年末は忘年会などで飲む機会が多いのに加え、組合関係の定期総会が立て続く時期にも重なっています。総会後、新旧役員の引き継ぎを兼ねた慰労会がセットされている場合も多く、非常に血糖値が気になる季節です。と思いながら、つい誘われると2次会まで行ってしまう意志の弱さ(?)も反省しています。

さて、マンションなどの耐震強度偽装問題が新聞やテレビで連日報道されています。姉歯元建築士の責任は当然重大ですが、この事件をとりまく構造的な問題の徹底解明が強く求められています。このブログでは「官と民」の役割を考えるための切り口として、この耐震強度偽装事件を取り上げてみました。

1995年の阪神淡路大震災により、多くの建物が倒壊しました。その倒壊した建物の土台や柱の強度不足が問題となり、明らかな手抜き工事が指摘されたケースも少なくありませんでした。それ以降、改めて耐震強度への注目が高まる中、建築確認申請の件数も年々増え続けました。件数増に対して自治体の人員だけでは充分に対応できなくなり、加えて規制緩和の流れが強まっていく時期とも重なり、1999年に建築確認・検査への民間参入が始まりました。

現在、建築確認は自治体が直接携わるほか、イーホームズなど民間の指定確認検査機関が行なっています。今回の事件に対し、いくつかの自治体でも強度偽装を見逃していました。したがって、この事件が起きた背景として、建築確認・検査への民間参入が問題だったと決めつけるのは早計かも知れません。

しかし、ここで以前受講した「政策法務」研修での講師の言葉が思い起こされます。「民間はルール違反さえしなければ基本的に活動は自由、行政はルールがなければ動けない」と述べられていました。この事件は元建築士の悪質なルール違反が発端でしたが、本来行政が全責任を負うべき分野への民間参入のあり方について一石投じたものと考えています。

これまで行政なら1か月はかかるビルの建築確認を民間の検査機関では1週間で仕上げるケースがあったと聞きます。コスト削減や早期竣工は建築主が喜び、その検査機関に顧客が集まる構図となります。しかし、それで安全性確保という検査機関の使命が充分果たせていたのか非常に疑問です。要するに守るべきルールに対して公正性が保たれていたのか、しっかり検証すべき問題です。

結果として長野県や平塚市なども強度偽装を見破ることはできませんでしたが、当然、上記のような「配慮」とは無縁だったはずです。また、どうしても民間は利益追求を第一としますので、過度なコスト節減に走る場合も考えられます。今の時代、行政もコスト意識を強く求められ、効率性に関して無視して良いとは決して思っていません。ただし、コストを削ることで、安全面の確保が疎かになるようでは言語道断です。

小泉首相は「民でできることは民で」と簡単に言います。この建築確認・検査のように官でも民でもできるかも知れませんが、改めて官と民の責任や役割について深く議論する必要性を強く感じています。今後の「官から民へ」の拙速な動きに対して、大きな警鐘を鳴らした事件だったと考えています。

|

« 12月議会始まる | トップページ | 学校給食への安全責任 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/130697/7536291

この記事へのトラックバック一覧です: 耐震強度偽装事件からの警鐘:

« 12月議会始まる | トップページ | 学校給食への安全責任 »