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2005年12月21日 (水)

市場化テスト推進室と公務労協が交渉

市場化テストとは、これまで官が独占してきた仕事やサービスを公平な条件の競争入札方式で民間事業者と競わせ、落札した方がその仕事を担う制度です。つまり官民競争入札制度であり、2005年度はハローワークや社会保険庁関連の一部の事業、刑務所の警備や巡回業務の補助などがモデル事業として試行的に実施されていました。

その市場化テストの法案を「公共サービス効率化法」の名称とし、内閣府の市場化テスト推進室が中心となり、来年の通常国会提出に向けて準備を進めています。最近の記事「市役所の窓口業務も民間参入?」で取り上げましたが、住民票や戸籍謄本などの証明発行業務も市場化テストの対象となる見込みです。さらに最近、竹中総務大臣は国勢調査など56種類の統計業務も対象とするよう指示しています。

小泉首相が発信する「官から民へ」の強烈な圧力の中、各省庁の様々な業務が市場化テストの対象に広がる気配です。内閣府は「透明・中立・公正な競争条件のもと、価格と質の両面で、より優れた主体が落札し、当該サービスを提供する」制度であると提言しています。その動きに対し、自治労が結集する公務労協(右サイドバーの用語解説リンクに追加)は、一昨日、次の3点を中心に市場化テスト推進室と交渉を行ないました。

  1. 市場化テストの法制度設計に当たっては、職員の権利と雇用、労働条件の確保を明確に規定すること。また、市場化テストによって公共サービスを提供することとなる事業者において、社会的に公正な雇用・労働条件を確保するよう制度化すること。
  2. 公共サービスの安定的・継続的供給が確保されるための制度的保障を明確にすること。
  3. 公共サービス、雇用・労働条件に関わる諸課題について、使用者としての政府の責任体制を明確にし、交渉・協議の枠組みを確立すること。

その交渉の詳細は公務労協情報をご覧いただければと思いますが、今一つ、うまく議論がかみ合っていない印象でした。市場化テスト推進室長本人が「過大評価」と言っているとおり法案提出の実務を担当している一官僚に過ぎず、大きな権限がない相手に対して「暖簾に腕押し」交渉にとどまったように見受けられました。

室長は「安かろう、悪かろうにならない」「民が落札しても定員との関係で整理し、これまでと同様に配置転換と新規採用抑制で折り合うはず」とし、「使用者の立場ではない自分が雇用や労働条件について責任ある対応を示せない」と終始していました。

公務労協は消化不良のまま、改めて交渉・協議の場を設け、公務員の使用者としての政府の責任ある対応を求めることとしています。そもそも政府側は正式な労使交渉の場ではなく、意見交換の場であるとの認識のようです。一筋縄ではいかないかも知れませんが、ぜひ、次回以降は政治家である大臣クラスとの交渉を持ち、よりいっそう市場化テストの問題性を浮き彫りにしてもらいたいと願っています。

このブログを通して「官と民」について、様々な切り口で投稿を重ねてきました。ぜひ、右サイドバーの「最近の記事」や「バックナンバー」をクリックし、関心あるテーマ内容をご覧ください。特に「民間委託は安上がりの悩ましさ」をご覧いただけましたら幸です。なお、コメントは名前と内容(これがないと意味ないですね)のみで送信できますので、お気軽にご意見をお寄せください。

最後に、前回記事「保育園民営化の問題点」に対して、いろいろ貴重なコメントをいただきました。アンディ・ペムさん、DJまいうーさん、ぷにぽんたさん、ありがとうございました。また近いうち、保育園の問題について触れたいと考えていますので、これからもよろしくお願いします。

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 へっぶしんのニュースや日記です。  日経新聞の社説の小泉政権の礼賛ぶりに驚愕を隠せずにキーボードを鳴らしている。本日の社説はあまりに稚拙だ。産経新聞並に思考が停止している。批判的精神のかけらもない。迎合主義者の御用記事だ。  昨日の記事で書いたが、日本....... [続きを読む]

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