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2005年12月17日 (土)

「はめられた公務員」の警告

前々回記事「学校給食への安全責任」に対するアンディさんのコメントへ、mihhyさんがコメントをお寄せいただきました。このように一つの記事を通して、コメント投稿者同士が意見交換していけるのもブログの醍醐味だと思います。

最近、コメント投稿者同士が「2チャンネル」的な表現で誹謗中傷し合っているブログを見つけました。ぜひ、この「公務員のためいき」に関しては批判意見も率直に認め合いながら、節度ある熱い激論が交わされていくことを期待しています。

mihhyさんのコメントにあった「小泉首相の策略」、まさしく同感です。国の政策の失敗により、バブル経済を招き、バブルがはじけた後にも有効な手立てを講じることができず、財政を破綻させました。さらに小泉政権は一握りの「勝ち組」を生み出す一方で、圧倒多数の国民を「負け組」に追いやりました。

年収300万に満たない方たちが増えていく中、批判の矛先を公務員へ向かわせることは、政権にとって一石三鳥の効果があるはずです。国民の不満のはけ口が政府から逸れること、増税していくための露払い、公務員人件費を大胆に削るための環境づくりが考えられます。その仕組まれた構図の中、公務員の総人件費削減、取りやすい所から取る安易な増税路線が打ち出され、膨大な財政破綻のツケを払おうとしています。

ここで以前読んだ「はめられた公務員」(光文社)のことを改めて思い出しました。著者の中野雅至さんは市役所、県庁、国の出先機関・本省、それぞれに勤務経験がある方で、内側から見た「役人天国」の実情を的確に伝えた上で、今後、公務員が「犠牲者」となっていくことを警告していました。

特に公務員の方へは、お読みいただくことを推奨したい本です。自分たちが今、どのような位置にいるかを考えさせられ、様々な制度面についても勉強になりました。そして、その本の背表紙にも掲げられている次の言葉が、中野さんの一番言いたいことだったと思っています。

日本をダメにした真犯人は「政官業癒着」なのに、「官」だけがすべての責任を背負わされているのだ。が、もうこの流れは止まらないから、あと2年もすれば公務員の大量リストラ が始まるだろう。つまり、最後に地方公務員が罠にはめられて、「生け贄」 となるシナリオが完成するのだ。

政官業癒着の構造は、耐震強度偽装問題でも取り沙汰されています。小泉首相の出身派閥である森派へ、注目のヒューザーから毎年多額の献金が渡っていました。偽装発覚後、ヒューザーと国土交通省との交渉を仲介したのも森派の伊藤公介元国交相でした。

証人喚問に立った自民党の渡辺具能衆議院議員の追及の甘さ、証人喚問にヒューザーの小嶋進社長が呼ばれなかったことなど、この問題に対して自公連立政権が今一つ及び腰に見えるのは何か後ろめたいことがあるからでしょうか。

話が本題から少しそれていきましたが、日本の社会の中で改革すべき核心部分が放置されたまま、財政破綻の責任を公務員のみに負わせていく流れは非常に問題です。公務員側も襟を正すべき点は正しながら、主張すべき正論は毅然と主張していく必要があります。

その一つのささやかなツールとして、このブログを通して引き続き、いろいろな主張を発信していくつもりです。ぜひ、お気軽にご意見やご批判をお寄せください。

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コメント

お疲れ様です。
前回のコメントに「ベム」がなかったのは、たまたまです。どうも、すいません(苦笑)

さて、このようにインターネットの普及により物理的制約がなくなり、色々な方々の意見が交換できるようになったことについては、私自身もOTSUさんと同様に感心する部分が多くあります。
ただ、こうした環境ゆえの秘匿性や制約もあり十分に想いが伝わりきらない不十分性もあることを個人的に認識しながら、前回のコメントの補足的なことと個人的な想いをカキコします。

まず、私たちが考えなければいけないこととして、正確な情勢の把握です。
それは、「公務員は叩かれている、厳しい」といった表面的な事象ではなく、前回にもカキコしたような「何が誰にどのようにされているか」だと考えます。
資本・当局が利益のために「公」の仕事を「民」に解放し、低所得労働者が生み出し、低所得労働者が増加していることを理由に公務員が叩かれる・・・といったことです。

その上でどうするか?ですが、多くのことがあると考えます。
一つは政治。政治家自身が、本当に国民(住人)のことを考えるのであれば、低所得労働者を生み出さない労働法制の整備や規制を取り組むべきですし、私たち自身がそうした政治家を国会や地方議会へ送り出す取り組みをしなくてはなりません。
次に多くの労働者と話すことでしょう。公と民の労働者が実態を話し、互いが改善に向けて取り組むことが必要と考えます。例えばOTSUさんが書き込みされています公契約制度の整備についても、連合のみなさんの理解が得られる提起と考えます。
そして、自身の組合員と意見交換を行うことです。公務員バッシングの中、「もっと働かなくてはいけない」という雰囲気になり、以前にasaやんさんがカキコみされていたような労働組合自体が労働強化につながりかねない提起をするような実態もあります。
「職場を守ること」と「組合員の生命と権利を守ること」、「公共の福祉の向上・充実をさせること」、これらの命題を、どのスタンスでどのように取り組むか、そのために十分な意見交換や交流が必要と考えます。

すいません。例によって長々とカキコみをしました。
また、今回カキコみしたことについて、私自身がどれだけ実践できているか?と問われれば、ほとんどできていないと答えるしかありません・・・。
多くの方々から「分かっていても、できない」と言われるかもしれませんが、こうしたことを一緒に考えいける仲間が、少しでも増えればと思っていますので、ご意見をよろしくお願いします。

投稿: アンディ・ベム | 2005年12月19日 (月) 11時10分

アンディ・ペムさん、いつも力のこもったコメントありがとうございます。
私も同じような問題意識を持ちながら記事の投稿を重ねているつもりです。今後、このような議論がブログや実際の職場で活発化できるよう努力していきます。
ちなみに今夜、投稿を予定している記事のタイトルは「保育園民営化の問題点」です。ぜひ、ご覧になってください。

投稿: OTSU | 2005年12月19日 (月) 12時37分

http://www.geocities.jp/koumuin_saikoujan/

投稿: | 2006年4月22日 (土) 17時59分

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