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2005年12月13日 (火)

学校給食への安全責任

私どもの市の12月定例議会で、職員数削減を強く求める一般質問がありました。毎回、この種の質問を得意とする市議会議員から示され、特に学校給食調理員をターゲットにした質問内容でした。学校給食の調理業務は民間委託化すべきと主張し、調理員の新規採用などもってのほかだと市側を追及しました。

ちょうど、この記事に取りかかった時、つけていたテレビは「たけしのTVタックル」でした。その夜も出演者が好き勝手な意見を言い合いながらも、公務員は高給料の割に働かない、もっと数を減らすべきだとする主張は全員一致しているようでした。一方的な言われ方に不愉快に思う時が多いのですが、どんな議論が交わされていくのか、参考までに意識して、よく見る番組です。

バラエティだとはいえ、その影響力は馬鹿にならない番組だと感じています。出演者全員が同じトーンで公務員バッシングを繰り返せば、視聴者は自然と公務員や自治労は「悪」であると刷り込みされがちです。もう少し違った角度からの意見を主張できる方の出演を期待したいところですが、この一方的なバッシングの中で公務員側に立つ勇気のある方は本当に少ないようです。

さて、このようなマスコミ報道が増えれば増えるほど、市議会の中で「職員を減らせ」との声が強まってくるのは至極当然な流れと言わざるを得ません。今回、それらの声に対し、矢面に立たされた学校給食のあり方を通して、行政の責任と役割を考えてみます。

まず行政が担えば安全で、民間だと不安、逆に民間が担えば効率的で、行政は非効率だとの短絡的な決めつけは問題です。どちらが担っても食中毒など起こさないよう万全な対策を講じていくのは当然であり、また、あえて非効率な業務運営を行なう訳もありません。

学校給食に限らず、利益を目的とするかどうかが官と民の決定的な違いだと考えています。利益の有無にかかわらず、必要なサービスを提供するのが官の責任と役割です。法律や規則の枠内で、競争しながら利益を上げようとするのが民間企業の役割です。企業によっては社会的な責任を負っている側面がありながら、そのバランスが崩れた例が耐震強度偽装事件の構図だと思っています。

確かに学校給食業務は民間で担えるでしょうし、実際、全国の学校給食の15%ほどが民間委託化されているそうです。言うまでもなく学校給食は児童生徒に対する食の安全を最優先しなければならない業務であり、O-157やBSEの問題など非常に神経を使う状況となっています。

繰り返しになりますが、民間だと安全対策が疎かになると決めつける訳ではありません。万が一でも起こしてはならない事態が不幸にして起きた場合、その責任から行政は免れることができません。だとするのならば、学校給食業務への直営責任を全うすることが非常に重要なことであると確信しています。

学校給食の問題を考える時、食育の話も触れる必要があります。また、民間委託の問題を考える時、社会的な均等待遇の実現も課題認識する必要があります。これらに関しては、また機会があれば掘り下げたいと思っています。今回は学校給食を例示しながら、民間が担える業務でも、その責任を行政が全うするためには直営でいくことの重要性を訴えさせていただきました。

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コメント

公務員バッシングが全国的に吹き荒れる中、給食調理員など現業職場を中心に民間委託化が叫ばれているのは、どこの自治体でも同じです。
私が住む広島県内でも、よく取り立たされています。そうした中で、取り組むべきこと、考えなければいけないことは何か、しっかりした議論が必要です。
私個人も感じていることですが、私たち公務員に「民間はコスト優先で、安全な食の提供はできない」、民間を「仕事を奪う敵」と見ている意識があるよう思いますし、残念なことです。保育の委託も然りですが・・・。こうした考えは、民間で働く労働者に対して失礼でしょう。
公の仕事の民間解放を求めるのは、かつて利益にならなかった分野ですら、儲けの対象にしようとする資本の要求からです。
そのため、民間の現場で働く労働者は、低賃金で働かされ、所得が300万前後という人たちが増加してきました。
こうした低所得の人たちが生み出され、その低所得を理由に公務員が叩かれる・・・。こうした流れが作られました。
市町村議員さんをはじめ、国会議員さん方も民間委託を唱えるのは結構ですが、民間委託の結果、有権者の多くを占める労働者(住民)が低賃金で働かされている。この実態を考えることはあるのでしょうか?
いつもながら、長々とカキコしてすいません。秋闘から春闘へつながる時期ですが、共にがんばりましょう!

投稿: アンディ | 2005年12月14日 (水) 08時41分

 アンディさんの意見に共感するところ大です。

 大げさな例えとは思いますが、かつて、革命前夜のフランスでは、国家財政が膨大な借金により破綻し、民衆への大増税が王侯貴族への反発を招き、急進的な革命へと突き進みました。

 日本の現状も、国民を顧みない国のトップ(政治家たち)や、膨らむ一方の借金、貧富の二極化、増税や社会保障費の負担増など、共通する部分があるように思われます。
 今の日本で、革命が起こるはずもありませんし、革命を推奨するつもりもありません。ただ言えるのは、このような情勢の中にあって、「公務員を悪者にする」小泉首相の策略にまんまとはめられてしまったということです。
 その尻馬に乗って、選挙に当選せんがために「行革」「公務員数削減」を空念仏のように繰り返すだけの議員のなんと多いことか、嘆かわしいばかりです。

投稿: mihhy | 2005年12月17日 (土) 00時20分

「利益の有無にかかわらず、必要なサービスを提供するのが官の責任と役割です。法律や規則の枠内で、競争しながら利益を上げようとするのが民間企業の役割です。」

賛成です。民間に給食などの子供の健康にかかわることを任せるなんてとんでもない間違いだと思います。民間はやはり利益を真っ先に考えるので、一定した質の高いものは望めないように思えます。

イギリスでは給食を10数年前に民間委託に変更した結果、現在の学校給食の質はとんでもないところまで下がり、子供たちの健康はむしばまれています。イギリスの子供はみんな若くしてメタボです。ジェイミーオリバーが一人で給食の改革を頑張っていますが・・。

日本の質の良い給食は、世界に誇れるものなので、ずっとそのままであってほしいです。

投稿: みどり | 2008年10月14日 (火) 08時16分

みどりさん、コメントありがとうございました。

ご賛同いただき、たいへん心強く思います。学校給食の問題など、最近の記事(2008年7月20日)で「最適な選択肢の行政改革とは?」という内容も投稿しています。お時間がある時、ぜひ、そちらもご覧いただければ幸です。

投稿: OTSU | 2008年10月14日 (火) 23時13分

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